ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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今回はチョビ子がコンタクトにツインテールになる切っ掛けを捏造してみました。

因みに作中登場するプチトマトのサラダは作者が良く作る、
好物の酒のつまみです。


第五話   それでも夜は明ける

 もう夏も近く夜が明けるのも随分と早くなって来ている。

 結局私は昨夜一睡もする事が出来なかった。

 疲れ切っているのに目を閉じると頭の中に、今も苦しんでいるであろうラブの姿が浮かんでしまい結局そのまま朝を迎える事になってしまった。

 布団の中でひとつ小さく溜め息を吐いたその時。

 

 

「眠れなかったのね」

 

 

 隣で寝ている敷島刑事が声を掛けて来た。

 

 

「あ、おはようございます敷島さん」

 

「うん、おはよう安斎さん、まぁ、あんな事の後では無理もないか」

 

「敷島さんはよく寝ていらっしゃいました」

 

「あはは、私の場合職業柄気が付いたら、寝られる時はどんな場所でもしっかり寝られるようになってしまっていたわ」

 

 

 そう言うと起き上がりひとつ伸びをしてこう続ける。

 

 

「さて、少し早いけど起きて朝ごはんにしましょうか?安斎さん今朝は食欲ある?ちゃんと食べられるかな?」

 

「少し胃が重いです…」

 

「徹夜しちゃったもんねぇ…何か胃に優しい物でも作るか」

 

「あ、あの…私に作らせて頂けませんか?」

 

「あら?お客様にそんな事はさせられないわ」

 

「いえ!これだけお世話になってせめてそれ位させて下さい」

 

 

 敷島刑事は腕を組んで少し考えた後こう答える。

 

 

「う~ん、分かったわ、それじゃあお言葉に甘えようかしら」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 苦笑しつつも更に言う。

 

 

「やってもらうのにありがとうも無いもんだわ、冷蔵庫の中の物は好きに使ってくれて構わないからね」

 

 

 私は取り敢えず顔だけさっと洗った。

 その時見た自分の目はかなり赤く充血していて、昨日は泣き過ぎたと自分でも思う。

 寝間着代わりのTシャツにショートパンツのままキッチンに向かい、冷蔵庫の中を見て何を作るか考える。

 

 

「卵はある、あと塩鮭とお豆腐があって野菜室にはプチトマトか」

 

 

 結局私は甘めの玉子焼きに塩鮭を焼いてお豆腐のお味噌汁を作る。

 プチトマトは半分に切りオリーブオイルとパルメザンチーズをさっと振り掛けた。

 それらを作るうちにご飯も炊いておいたが炊飯器は急速炊飯も出来る良い物で、これは私もちょっと欲しいと思った。

 

 

「これは美味しそうねぇ♪見ていて手際も良かったし」

 

「その…小さい頃から母に仕込まれました」

 

「素晴らしいお母様ね、それでは頂いていいかしら?」

 

「お口に合うと良いんですが」

 

 

 朝ごはんを頂きつつ点けてあるテレビのニュースを見ていると、昨日の件はまだそれ程詳細は報道されてはいなかった。

 演習場で爆発事故が起きたらしい事、負傷者が出ている事、陸自の不発弾処理の部隊が出動している事、ただし演習場が広いので周辺に避難指示は出ていない事。

 これは昨夜交代で入浴中に見たニュースと殆ど内容に変わりは無かった。

 

 

「ふぅ、とっても美味しかったわぁ♪」

 

「お粗末さまでした」

 

「お母様の仕込が完璧なのね、私が作るより遥かに美味しかったわ」

 

「そんな…」

 

 

 そんなやり取りの後お茶を入れつつ今日はどう動くのか聞いてみる。

 

 

「まずは申し訳ないけど署の方に一度顔を出します、現場の方は交代で周辺警備と臨時の詰所にいる連中に任せておけばいいから、その後は病院にずっと居られるわ。何しろ残っている砲弾も弾薬架が歪んだりで取り出しにも相当時間が掛かる様だし」

 

「夜中も眠れなくて考えたのですが、私は病院に送って頂ければ充分ですのでそこまで付き合って頂くわけには…」

 

「安斎さん…あ~、もう千代美ちゃんって呼んでいい?」

 

「はあ…」

 

「ここまで来てそんな事はもう言いっこ無しよ」

 

「でも」

 

「それにね千代美ちゃん、おそらく今日には厳島さんのお母様も到着されるはずだわ、その時私が病院に居た方がその後の対応が取り易いと思うのよ」

 

「解りました、そういう事でしたら今日も宜しくお願いします」

 

 

 そうと決まれば後は出掛ける仕度をするだけ。

 少ないとはいえ持って来ていた衣服に着替え、髪を梳かし三つ編みを編み直す。

 

 

「そう言えば千代美ちゃんっていつも三つ編みなの?他の髪型は?例えばそうツインテールとかどう?それで眼鏡からコンタクトに変えたりしたら、千代美ちゃん可愛いから間違い無くあなた引く手数多よ♪」

 

「そんな…からかわないで下さい…コンタクトもまだ早い気がするし…」

 

「あ~、アレか、千代美ちゃん自分が可愛い自覚が全然ないんだ~」

 

「……」

 

 

 そうこうするうちに身支度も整い、二人はマンションを出て敷島刑事のチンクエチェントに乗り込むとまずは横須賀警察署に向かう。

 

 

「あ、そういえば学園艦にも私を待たず出港してもらうよう連絡しておかないと」

 

「あぁ、それなら問題ないわ。昨日千代美ちゃんが入浴中にお母様に電話して、学園艦への連絡をお願いしておいたから。警察への協力という事で学校の方も欠席扱いにならないよう頼んでおいたから安心して」

 

 

 敷島刑事がやる事は万事に措いてぬかりが無い。

 そして車も警察署に到着する。

 

 

 

「敷島君捜査状況に関してなんだがね…」

 

 

 年かさの上司らしき人物が敷島刑事に話し掛けて来る。

 

 

「それでしたら現段階では昨日上げておいた調書以上の物はありません、現場も陸自の処理待ちな上、関係各位には初期段階で安斎さんからの連絡で初動が完了しています。後は本庁による弾薬製造元への捜査の開始待ちです。私の方は病院の方で厳島さんのお母様の到着を待たねばなりません」

 

「あぁ、しかしだね…」

 

「課長、私は本来今日は非番なんですよ、そもそも昨日も当直明けに戦車というだけで現場に呼び出され初動にあたっているんです。私に四の五の言う前に現場で私を呼び出したへっぴり腰どもをもうちょっと何とかしてくれませんかね!?」

 

「あ…まあその何と言うかそのもうちょっと穏便な…」

 

「何か!?」

 

 

 最後は視線で課長を黙らせる敷島刑事はどうやらこの課全体を尻に敷いている様だ。

 

 

「敷島刑事凄い…」

 

 

 思わず千代美もそう呟かずにはいられない。

 その後いくつかの用を済ませた敷島刑事は千代美に宣言する様に声を掛ける。

 

 

「ヨシ!それじゃあ病院に行こう千代美ちゃん」

 

 

 そして再び乗り込んだチンクエチェントは走り出す、恋の元へ。

 




気が付けば随分お気に入りが増えていてびっくりです。
読んで頂けているのが解ると執筆の励みになりますね。
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