ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道   作:肉球小隊

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皆様お待ちかね(かなぁ?)毎度お馴染みお風呂回です。

ですがすみません、前回後書きで大洗編は後一回と告知しておきながら、
書き漏らしたエピソードがある事に気付き大幅加筆をした結果、
話の尺がとんでもなく長くなり二回に分ける事となりました……。


第二十四話   オンセン・ウォー!

 走り去るみほを見送った後ラブが小さくフッと息を吐くと、いつの間にか愛がその傍に寄り添って影の様に佇む姿があった。

 普段であればどちらかというと険しさを含んだ無表情でいる事が殆どであるが、今の愛は珍しく優しさを湛えた無表情を見せており、ラブもその表情に穏やかな笑みで応えるのだった。

 周りにいる他のメンバー達もまた同様な表情を見せており、みほの提案を受け入れた事でまたひとつラブの中の凍り付いていたものが融けた事の喜びを噛締めている様だ。

 

 

「そうだ、丁度いいわ、例の物こっちに届けて貰う様艦に連絡入れておいてくれる?」

 

「解った…着替えも持って来るよう伝えておくわ」

 

「うん、宜しくね~」

 

 

 ラブ達が温泉に入る事を決めた頃、まほ達もまたそれぞれの学園艦に帰投すべく会場を後にしており、今日また新たに見せ付けられたAP-Girlsの破壊力にどう対処すべきか頭を悩ませながら散って行ったが、その中でもプラウダは数日後には対戦せねばならずカチューシャの顔色は明らかに青く、ノンナの表情も険しく辺りに恐怖を撒き散らしていた。

 

 

「ほんと…良いお湯ね、とても気持ちいいわ……」

 

 

 頬をほんのりと上気させたラブの口からリラックスした様子でそんな言葉が漏れる。

 

 

「…でも私の身体はこんな状態だから皆さんが不快な思いをしたらごめんなさい……」

 

 

 ラブは続けてそう言った時には少し目を伏せており、皆何か声を掛けようとするが中々言葉が見つからずに口を開きかけては言い淀みを繰り返していた。

 そんな中に在って梓だけが意を決した様に立ち上がり、多少噛みながらではあったがラブの言った事を否定し自分の思いの丈を口にした。

 

 

「そ、そんな事ないです!い、厳島先輩はとても綺麗です…スタイルもいいしその…あの……」

 

「ありがとう梓さん」

 

 

 梓の様子にクスリと笑った後ラブは笑みを浮かべ梓に向かい頭を下げた。

 その後は少し自分の事故について語ったラブは、ある程度で話を締め後は他愛も無い話をしながら和やかな雰囲気の中存分に湯を楽しんでいた。

 

 

「それにしてもあの後直ぐによく貸し切りに何てして貰えましたね」

 

 

 両の手で湯をすくって指の間から流れ落ちるのを眺めながらそう言った後、ラブが視線を杏に向けると当の杏も人の悪い笑みを浮かべながらいつもの口調で答える。

 

 

「きしし♪まあ大洗女子も地元じゃ今やちょっとしたアイドルだからね、これ位は何とかね」

 

「うふふ♪そうでしたね、御見それしました会長さん」

 

 

 そのとぼけた会話に場が一層和んだ中、少し真剣な顔をした典子がラブの元に寄って来た。

 

 

「ええとあの、厳島さ…厳島先輩ちょっといいですか?」

 

「ん?磯辺さん…私一応()()()なんだけどなぁ……まあいいか…で、なんでしょう?」

 

「あのね、試合中私達が一番最初に狙われてたみたいな気がしたんだけどなんでかな?やっぱりアヒルさんが一番弱いから?」

 

 

 ラブの思惑を知らない典子としては何故自分達がという想いが強かったのだろう。

 真剣な典子の表情見たラブも穏やかながら真摯な表情になると静かに語り始めた。 

 

 

「磯辺さん、隣にいいかしら?」

 

「え?あ、ハイ!」

 

 

 ラブの隣に典子が腰を下ろすと、ラブは再び微笑を浮かべ話を再開する。

 

 

「磯辺さん、あなた勘違いをしてるわ。私がアヒルさんを最初に撃破したのはあなた達を軽視していたからじゃない、むしろその逆に一番危険視していたからよ」

 

「えっ!?」

 

 

 意外なラブの発言に典子は大きく目を見開き驚きの表情を浮かべている。

 それはいつの間にか傍に来ていた他のアヒルさんチームのメンバー達も同様であった。

 

 

「だってそれは当然の事よ?私達も対戦前には可能な限り映像資料や戦譜を集め、大洗に関して徹底的に研究したわ。まあ検証を始めて直ぐにアヒルさんチームは、攻撃目標の優先順位の上位に浮上したけどね。でもそれは当たり前の事なのよ、だってそうでしょ?あなた達の戦績を見て尚そうしない人間がいたら、それは無能の極にあると言っていいわ」

 

「え!?でも私達が乗ってるのは八九式ですよ?」

 

 

 典子は困惑しつつも自身が車長を務める愛機の名を上げた。

 それが卑下して言っている訳ではない事はラブにも解っており、ラブもそれに対して優しく微笑みひとつ頷くと更に話を続けた。

 

 

「そう、そこが一番大事なポイントよ。これは八九式を馬鹿にして言う訳ではないからそこは誤解しないで聞いてね。確かに八九式は戦車道で使用される戦車の中では最弱と言っていい存在かもしれないわね、まあ千代美…アンチョビの所のタンケッテみたいな例外は別としてこれは事実だと思うの。でもあなた達アヒルさんチームはその八九式であれだけの戦績を残している、これははっきり言って驚異的なものよ」

 

 

 ここまで話したラブの語り口は真剣そのものであり、いつの間にか大洗のメンバー全員も真剣な表情で聞き入っていたが、対照的にAP-Girlsのメンバー達はそれを当然といった顔で聞いている。

 

 

「全国大会だけに限っても、初戦のサンダース戦でフラッグ車を釣り上げたのに始まって、アンツィオ戦ではあのチョロチョロ走り回るタンケッテを全て正確に撃ち抜いて壊滅に追いやったでしょ?プラウダの高火力相手にフラッグ車を務めた時だって見事に最後まで生き残って見せたし、黒森峰なんかはあのマウスまで封じ込めて見せて、更にその後散々翻弄してるじゃない。これだけやってて評価されない方がおかしいってものよ」

 

 

 ラブが言う様に自分達が徹底検証され尤も危険視されていた事に、典子を始めアヒルさんチームの面々はその表情の驚きの色を隠す事も出来ない。

 

 

「今日は確かにウチにとって火力面での一番の脅威であるポルシェティーガー…レオポンを最初に罠に掛けたけど、それはたまたまその場面が最初に来ただけの話で、ハッキリ言って脅威度で最上位にいたのは磯辺さん、あなたが車長を務めるアヒルさんなのよ。これは嘘偽り無く本当の話、私達はアヒルさんを真っ先に倒さなければならない強敵としてこの一戦に挑んだの。何故ならアヒルさんは戦局を左右する場面で必ず大仕事をやってのけているから。そう、私達AP-Girlsは大洗と戦うに当りあなた達アヒルさんと言う存在を尤も恐れたのよ」

 

「えぇ!?だって()()()()はやっぱり西住隊長のあんこうチームじゃ──」

 

「あぁ、みほ?みほなんて脅威度の優先順位で言ったら最下位よ、因みにまあレオポンは例外として上位でアヒルさんとほぼ同ポイントで危険視していたのは梓さんのウサギさんチームよ♪」

 

「えぇぇぇ────!?」

 

 

 典子の話を遮る様にラブはせせら笑うような表情で爆弾を投げ、大洗側の人間は全員驚愕に目を剥き大声を上げ驚いた。

 

 

「何でそんなに驚くかな?」

 

「そんな!だって西住隊長ですよ!?西住流ですよ!?」

 

「うん、そうね西住流ね、そして私は厳島流。その関係性はみほから聞いているかしら?」

 

「ま、まあ大体は……」

 

 

 問われた典子も戸惑いつつもそう答えた。

 

 

「そう、なら解るでしょ?私達はお互いの手の内をよく知っているわ。それにね、みほが西住流らしからぬ戦い方をする様になった原因は、小さい頃から私が色々仕込んだからだもの。長い休みの度に私に付いて回って下らない悪戯繰り返してたんだから当然と言えば当然よね~♪だからみほが何考えてるかなんて大概見当が付くし、実際今日も負けたとはいえみほの事ははしっかり追い詰めてたでしょ?今日唯一みほにやられたと思うのは、海岸にレオポンを伏せさせていた事位ね。でもまあ結局警戒してたウサギさんにやられたんだから、私もまだまだ修行が足りないって事よね~」

 

 

 お気楽にケラケラと笑うラブの傍で、みほは頬を赤らめ恥ずかしそうに俯いている。

 

 

「まあそんな訳で私は磯辺さん達の事も、磯辺さん達の乗る八九式の事も全く見縊ってなんかいないし、むしろ全くその逆で手強い相手としか見ていないわ」

 

「そ、それじゃあ……」

 

 

 ここまでの話で典子も自分達アヒルさんチームと八九式が認められていた事を理解し、感極まったのか大きく見開いたその瞳に涙を溜めている。

 

 

「ええ、その通りよ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

 典子が大きな声で礼を述べるのと同時に妙子と忍、そしてあけびの3人も揃ってラブに頭を下げポロポロと涙を零しながら抱き合って喜んでいた。

 

 

「それともう一ついい事を教えてあげる。事故のせいでブランクがあったとはいえ私の戦車道歴はそれなりに長いわ、そのキャリアの中で真正面から防盾に直撃弾を受けたのは初めてなのよ。佐々木さんって言ったわね、あなたいい腕してるわ、もっと高火力の砲だったらあそこで私は討ち取られて試合もそこで終わっていたわ」

 

「えぇ!?」

 

 

 ラブの口から聞かされた衝撃の事実にあけびは驚きの声を上げビックリ顔で固まってしまう。 

 しかしラブはその様子を見て微笑んだ後にクスクスと笑いながら更に続けた。

 

 

「でもねぇ、あの大学選抜戦でカール相手にやったアレはどういう発想なのよ~?アレで飛んだ千代美も千代美だけどさぁ、映像手に入れて初めて見た時は私ら揃ってアゴが落ちたわよ。普通考えてもあんな事やる~?どうやったらあんな事思い付くのよ?まあその後に落っこちて引っ繰り返ったタンケッテ使ってヘッツァーまで飛んだ時には全員同時に椅子からずり落ちたわ」

 

「いや、あのそれはぁ!」

 

 

 呆れた顔をするラブに向かいわたわた手を振る典子を見て皆一斉に笑い、それでまた元の賑やかさが戻るとラブも一緒に心底楽しそうに笑い始めた。

 

 

「みほ、いいチームを創ったわね」

 

「うん!ありがとうラブお姉ちゃん!」

 

 

 ラブに褒められみほもまた誇らしげな笑顔を見せると、ラブも満足げに頷く。

 だがここでいい話で話を纏めた様に見せた後、みほが油断した処でさり気なく何でもない話の様に付け足しで爆弾を落とすラブ。

 

 

「そうそう、みほは中学に入る直前まで、フライドチキンの白ヒゲおじさんがサンタクロースの正体だと信じてたのよね~♪」

 

「に、西住先輩!?」

 

「マジ!?」

 

『可愛い~♪』

 

「ら、ラブお姉ちゃんよくもー!」

 

 

 試合中必死で阻止して来た過去の恥かしい話をいい話のついでにあっさりと暴露されたみほは、真っ赤になって涙目でラブに掴みかかり両の頬をび~っと引っ張っている。

 ラブは痛がりながらも笑っており、それが周りの笑いに更に拍車を掛けているのだった。

 

 

「んもー!ラブお姉ちゃんのバカー!」

 

「あはははは♪みほは本当に可愛いねぇ」

 

 

 また一つ明らかになったみほの可愛い一面に皆クスクスと笑う。

 そして笑いがひと段落し、落ち着いた処で今度は梓がラブの元に近寄り戸惑いがちに質問をする。

 

 

「厳島先輩、あの…さっきの話なんですけど……」

 

「さっきの話…?ああ、本当よ。それが何か?」

 

「え?だって……」

 

「自分達の実績を考えてみなさいよ、あなたは全国大会のヤングタイガー賞受賞者よ。自分を過小評価しない事ね、私が冷静に分析した結果なのよ?私だってあんな予想外の事態がなければ今年の全国大会には当然出るつもりでいたし、そうなればヤングタイガー賞だって狙っていたわ…尤も三年遅れの1年生じゃ果たして受賞出来たかは疑問だけどね。でも出たとしても梓が受賞したのなら私も納得だわ、あなたにはそれだけの実力がある。それは自信を持っていいいわ、現に今日だって私を倒したじゃない。私だってまぐれでやられる程落ちぶれちゃいないわ」

 

「でもあれは!」

 

「最初はアクシデントかもしれないけど、あのタイミングで砲撃命令を下したのもそれを実行出来たのも実力が無ければ出来ない事よ。だから私の評価は間違っていないって事なのよ」

 

「はぁ……」

 

「もっと自分に自信を持って自分らしい戦車道を貫きなさい。梓には後二年私のライバルでいて貰わなきゃいけないんだからね~♪」

 

「えぇぇ~!?」

 

 

 最後は少し意地悪な顔で笑いながら梓に指鉄砲を向けバ~ンっと撃つ仕草を見せた。

 

 

「さあ、髪を洗いましょ♪愛、皆さんに例の物を配ってくれる?」

 

「ええ、分かったわ」

 

 

 愛を筆頭にAP-Girlsのメンバー達が、脱衣所に用意しておいたシャンプーとコンディショナーのセットを運び込み次々と配って回る。

 最初は驚き固辞したものの事情を説明すると皆喜んで受け取って、揃って泡々になりながら髪を洗い始めその感触を楽しんでいるのだった。

 だがやはりというかお約束というか愛がラブの髪を洗い始めると、そのエロい光景から皆目を逸らせなくなり、特にウサギさんチームの一年生達には刺激が強過ぎるのか、全員真っ赤になりながらもガン見で自分の髪を泡々にしている。

 

 

「凄いえっち……」

 

「ちょ!?あや!失礼だよ!」

 

「え~?だって凄くない?」

 

「それは……!」

 

「梓はペコさんとあんな事しないの?」

 

「優季!?何を言い出すの!?」

 

「だって気になるよね、笠女の学園艦で梓だけペコさんと一緒の部屋に行っちゃったし」

 

「あゆみまで!」

 

「やってると思う……」

 

「桂利奈!?」

 

「おっぱい……」

 

「紗希……もう知らない!」

 

 

 ここぞとばかりにウサギさんチームのメンバー達は梓を弄り始め、梓は顔を真っ赤にしながらその攻撃の防戦に必死だったが、止まる事を知らない容赦の欠片も無い激しい攻撃に真っ赤な顔のまま独り湯船に逃げ込んで行った。

 

 

「まあ…いいけど……」

 

 まる聞こえな梓達のやり取りに微妙な顔をしつつ、洗い上がった髪を愛に結い上げて貰ったラブは自分も湯船に行き掛けた処で丁度髪を洗い始めたばかりのカエサルを見つけ、その頭上に見えないフラグをピコーンっと立てた。

 素早い身のこなしでカエサルの背後に忍び寄ったラブは、カエサルの背中にそのたわわなアハト・アハトっをぴったりと密着させ肩に手を置き声を掛けた。

 

 

「た~かちゃん♡今日はあまり相手をしてあげられなくてゴメンね~♪」

 

「うぇぇ!?ラブせんぱいぃぃ!?」

 

「お詫びにねぇ、たかちゃんの髪私に洗わせてね~♪」

 

「あ、あの!出来ればカエサルと…って、うひゃあぁぁぁ!」

 

 

 あっと言う間もあらばこそ、ラブは張りのあるアハト・アハトをカエサルの背中に押し付けむにゅむにゅとさせながら、カエサルの泡立ち始めたばかりの髪に指を通し猫でも撫でる様に丁寧に洗い始め、その甘美な感触に思わずカエサルは身悶えしながらも抗う様に声を上げた。

 

 

「あああ、あの自分で洗え…ああん♡背中に……そ、ソコは違っ…!ダメえぇぇ……」

 

 

 二人の美少女が泡々で密着し戯れる光景に全ての目が釘付けになり、気の早い者は既につ~っと鼻から赤いものを流し始め貸し切りの温泉は一気にピンク濃度が上昇していった。

 結局コンディショナーで仕上げる処まですっかりラブにいい様にされたカエサルは、完全に脱力しフラフラと湯船にその身を沈めるのであった。

 

 

「ふぅ…結局フルコースで万遍無く洗われてしまった……」

 

「気持ち良かった?」

 

「はい…って、うわ!いつの間に!?」

 

 

 一息吐いた瞬間に隣に並んでラブが湯に浸かっていた事に驚くカエサル。

 そんなカエサルにラブは意味有り気な笑みを浮かべ、口先に人差し指を立てると嬉しそうな声で耳元に内緒話をする様な声で話し掛けた。

 

 

「ねぇたかちゃん、今日の事はひなちゃんにはナイショにしようね~♡」

 

 

 その悪魔の様な言動に思わず頭を抱えたカエサルだが、ラブも自身のここまでの愚行がこの温泉内にいる少女達のリミッターを、外れる寸前にしまった事にまだ気付いていなかった。

 

 

「……カエサルでお願いします……」

 

 

 力無くそう言うカエサルの横でニコニコ顔で湯に浸かるラブだが、そのラブに向かいまるでカピバラが泳ぐ様にす~っと近寄る影があった。

 

 

「もう何もしないから安心して♡で?気持ち良かったかな~?」

 

「…はい…とっても……」

 

「よかった~♪…んん?」

 

 

 カエサルにちょっかい出して楽しんでいたラブも、謎の物体が湯に浮かぶ自身のたわわの直ぐ目の前にまで接近して来た処で漸くその存在に気が付いた。

 

 

「えっと…紗希ちゃん?」

 

「おっぱい……」

 

「えっ?」

 

 

 急に目の前でプカっと浮かび上がり、唐突に一言呟く様に言った紗希に反応出来ないラブ。

 そしてどうリアクションするべきかラブが迷っていたその時──。

 

 

 

 

 

 ちゅぱ♡

 

 

 

 

 

 紗希が突然ラブのたわわの頂の、とても綺麗なピンク色の敏感な先っちょに吸い付いた。

 

 

「えぇ!?ちょ、さ、紗希ちゃあぁ~ん♡」

 

 

 ラブはその不意討ちにそれ以上言葉が続かず、色っぽい喘ぎ声と共にその身をくねらせる。

 

 

「ちょっと紗希!あなた一体何をやって──」

 

 

 突然の紗希の暴挙に梓が慌てて止めに入ろうとしたが、ラブの喘ぎ声と結果として非常にエロい挑発ポーズを間近で見てしまった瞬間、ギリギリの処で掛かっていたリミッターが遂に外れ回転数が一気にレッドゾーンに到達してしまった。

 

 

「厳島せんぱぁ~~~い♡」

 

「あ、梓ちゃん?あなたまで!?」

 

 

 とてもあの真面目で大人しい梓とは思えぬケダモノの表情で。ラブのたわわの先っちょに吸い付く梓の舌使いに、ラブは更に身をくねらせ色っぽい声を発してしまう。

 

 

「あ、あぁん♡だ、そんなダメぇ…え?た、たかちゃんまで!?」

 

 

 紗希と梓の二人に両のたわわの先っちょを責められ身悶えていた処に、今度はカエサルが二人を押し退けガリアを圧するが如くラブのたわわを攻め立てた。

 

 

「カエサルお前もかぁぁ……あ…あ…先っちょつままないでぇぇ!しまったぁ!調子に乗り過ぎたぁ!え?あ、ソコは…あぁぁ~~~ん♡」

 

 

 それを言うならブルータスであろうし完全に自業自得であるが、今のラブにとってはそれ処ではなく、次々襲い掛かる快楽の刺客に弄ばれ如何にその状況から逃げ出すかで頭はいっぱだ。

 しかし周りを見れば、既にその視界は色欲で理性のリミッターが吹き飛んだ少女達で埋め尽くされており、もう逃げ場など一切残されていない事をラブも悟る。

 

 

「あ…終わった……」

 

 

 ラブのその一言を合図にケダモノ重戦車と化した少女達が一斉に襲い掛かり、ラブの破壊力抜群な肉体はカルドロン(大鍋)の中で翻弄され続ける事になった。

 

 

「こんじょ~♡」

 

「の、典子ちゃん!?」

 

「このサイズは校則違反よ♡」

 

「サイズは校則関係無い!あなた達風紀委員じゃなかったの!?」

 

「重おっぱいキラー参上♡」

 

「重おっぱいってナニ!?」

 

「おっぱい防衛ライン崩壊しましたぁ!ごめんねぇ♡」

 

「もう意味が解らない!」

 

 

 続々と続く波状攻撃にラブはもう息も絶え絶えになっている。

 

 

「お、お願い…もうやめ……りょ、両側から吸わないで…ああん♡そんなコリコリなんて大技何処でぇ…ダメ!そこは違っ……い、いやぁ…う、後ろ!?そこはもっと違っ…!おへそぉ!?ダメよほんと!もう許し……ちょ!…み、みほさっきの復讐のつも…ああん凄い…前後同時!?あ、あ、あ…あぁぁん♡だからお風呂回は嫌いなのよ~!」

 

 

 自業自得な断末魔の悲鳴を上げケダモノ重戦車の群れに完全に蹂躙され、その群れがやっと己が煩悩を100%満足させ散った後には、独りラブが胸のたわわの浮力で辛うじて湯船に浮いていた。

 

 

「うぅ…みんな酷い……無防備な状態でたかちゃんにちょっかい出した私がバカだったわ……」

 

 

 後悔先に立たずなセリフを口にしたラブが、やっとの思いで脱衣所に辿り着き愛の介助で髪を乾かし服を着始めると、ここでもやはりお約束の騒ぎが巻き起こる。

 

 

「あんな大きなブラ見た事無いよ……」

 

「頭にかぶれるよね……」

 

「何処に行けばあんなサイズ売ってるんだろう?」

 

「絶対特注でしょ?」

 

「……」

 

 

 毎度の事に背中のホックを留めて貰う最中のラブはもう言葉も無い。

 動作の一つ一つに視線が集中するがその中に在って典子と忍、麻子と杏の目は完全に死んでいた。

 

 

「さあ、それじゃあ艦に戻って鍋の仕込をするかねぇ。でも厳島ちゃん悪かったねぇ、こんな豪華なバスなんか出して貰っちゃってさ」

 

 

 ライブ終了後観戦エリアから温泉まで歩くには些か距離があり、大洗の戦車を艦に戻した後はラブの提案で笠女のスクールバスと呼ぶには余りに豪華なサルーンバスが2台出動していた。

 

 

「ああ、いいのよ気にしないで。こちらこそ温泉にご招待頂いて、これからあんこうまで御馳走になるんだからお安い事よ」

 

「いやいや厳島ちゃん、明日のライブにまでご招待頂いてるのに、それこそあんこう位じゃこちらこそお安い事ってもんっしょ~」

 

「うふふ♪」

 

 

 バスに乗り込む前ラブと杏は並んで歩きながらそんな会話を交わしているが、カチューシャは例外としてその身長差はとても同い年には見えない。

 小柄な上にそのロリフェイスもあり、年齢以上に大人びて見えるというか完全に大人の女のラブと並ぶと、何処か犯罪めいた雰囲気が醸し出され周囲のヒソヒソが止まらない。

 

 

「アレいいの!?」

 

「いや、ちょっとマズイだろう?」

 

「成長し過ぎと成長しなさ過ぎ……」

 

「校則違反よ!」

 

「いや、さっき校則違反処じゃない事やってただろう?」

 

「ロリと野獣…いや、ロリと巨乳か」

 

『それだ!』

 

『……』

 

 

 言いたい放題にラブも杏も何も言い返す気にもなれない。

 そんな微妙な悲喜交々を乗せた笠女のバスは、すっかり日の傾いたサンビーチ通りを学園艦の待つ大洗港に走って行く。

 明日になれば笠女学園艦の一般開放と、聖グロ戦の際には商港であり船舶の出入りも多く安全面の問題から実現出来なかったS-LCACの体験乗船や、メインのライブやその前のイベントなど予定がめじろ押しな為とてもラブ達と一緒にゆっくりする時間など取れるはずもなく、今夜のあんこう鍋パーティーが実質共に過ごせる最後の時間となっている。

 その準備の為会長のデスクなどを片付けスペースが確保された生徒会長室では、敷物が敷かれ何処からか調達して来た多数の炬燵の上の鍋の間を杏が独り仕込みの為に飛び回っていた。

 その他の準備があるのか柚子と桃の姿は今は見えない。

 

 

「よし、これで後はみんな揃ったらで問題無さそうだねぇ」

 

 

 ちょうど粗方の仕込が終わったのか、杏が腰に手を当て鍋の並ぶ会長室を見回し満足そうにニンマリと笑みを浮かべていると、会長室のドアをノックする音が響いた。

 

 

「誰だい?開いてるから構わず入ってよ」

 

 

 杏の気取らない声と共に扉が開くとそこには神妙な顔をしたラブの姿があった。

 

 

「失礼致します角谷会長……」

 

「あれ?厳島ちゃん、西住ちゃん達と一緒に大洗(ウチ)の学園艦巡りしてるんじゃなかったっけ?まあそこじゃナンだから入ってよ」

 

 

 突然現れたラブに、再び会長室で二人きりという事態に若干恐怖心を抱きつつも杏はラブに会長室に入る様促した。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 杏が警戒するのとは別に至って礼儀正しく会長室に入室したラブは、杏の近くまで来るとまずは一度深く一礼し礼の言葉を述べるのだった。

 

 

「でも急にどうしたのかな?鍋ならもう少し時間掛かるからさ、それまでは西住ちゃん達と遊んでればよかったのに」

 

「いえ、角谷会長にどうしてもお話ししておきたい事が御座いましたので、私だけ抜けさせて貰い勝手ですがこうして窺わせて頂きました」

 

 

 そう話すラブの表情はついさっきまでとは打って変わって真剣そのもので、杏もその心中が読めずその表情の困惑の色を隠す事が出来ない。

 

 

「ほえ?そりゃまた一体どんな話で──」

 

 

 杏がラブにそう問い掛けた瞬間それを遮る様にラブはその場で床に膝を突くと、杏に向かい深々と頭を下げその額は完全に床に押し付けられいた。

 

 

「い、厳島ちゃん一体何を!?」

 

 

 驚いた杏が慌ててラブに声を掛けたが土下座したラブはそのまま微動だにしない。

 

 

「厳島ちゃん!?」

 

「昨日私は実戦経験が不足しているAP-Girlsの為とはいえ、角谷様に対し大変無礼且つ卑怯な手段を用い試合中終始砲手を務める様強要致しました事深くお詫び申し上げます」

 

「いや、だから──」

 

「また河嶋様に対しても甚だ失礼な発言をした事も重ねてお詫び申し上げます」

 

 

 そこまで言った後ラブは更に強く額を床に押し付け硬直した様に動かない。

 

 

「止めて!止めてよ厳島さん!」

 

 

 堪り兼ねた杏は声を張り上げラブの元に駆け寄り頭を上げさせようとするが、石の様に硬直したラブはその姿勢のまま動こうとはしなかった。

 

 

「ごめんなさい…ごめんなさい……」

 

 

 よく聞けば小声で謝罪の言葉を呟き続けており、更にその声は明らかに涙声である。

 

 

「もう止めてよ!そしてお願いだから私の話を聞いてよ!」

 

 

 そう叫んだ杏の声も涙声になっており、それを聞いたラブの身体の力がフッと抜けた。

 杏は何とかそのラブの上体を引き起こすと、そのままその前に自分も膝を突く。

 

 

「角谷さま……?」

 

「私の話聞いてくれる……?」

 

「…はい……」

 

 

 ラブがそう返事をすると小さく一つ息を吐いた杏は、ラブの手を取り隅の方に片付けられたソファーへと誘うと一緒に座る様に促した。

 

 

「あのね、昨日言われた事だけどさ、正直いつか誰かに言われるとは思ってたんだよね……」

 

「え……?」

 

「うん、まあそれを言われるのは恐らく西住姉辺りかと思っていたんだけどね…まさか厳島さんから言われるとは思ってもいなかったんだけど、それはまあ観閲式で会うまで厳島さんの存在何て知りもしなかったから仕方ないよね。でね、その何と言うか実際西住ちゃ…西住さんの存在を知って卑怯な手を使ったのは事実だし、いつかそれが周りに知られれば責められる事は覚悟はしてたんだ。でもね、例えそんな汚い手を使ってでもこの学園を守りたかったんだよ、その気持ちには一切嘘偽りは無いしあの時は本当にそれしか手が無かった……でもそれで西住さんに辛い思いをさせてしまった事は今でも本当に申し訳無いと思う、これはいくら謝っても謝り足りないのは自分でも解ってるんだ」

 

 

 そこまで言った杏は、膝の上で固く握られたラブの手を解きほぐす様に優しく撫でつける。

 

 

「だからね、厳島さんがそこまで気に病む必要は無いんだよ、言われて当然の事を私はしてるんだから。それに私自身厳島さんに言われた事で何かやっとすっきりしたんだよ。後ね、か~しまの事も気にしないでいいから、アレにも実際()()困ってるのは事実だからさ」

 

 

 杏は最後には笑い話にする様に言うとニカっと笑った。

 

 

「角谷様……」

 

「あ~も~、その様って止めにしようよ~、様って言われる度に何か背中痒くなるからさ~」

 

「でも……」

 

「なんと呼んでくれてもいいけど様だけはやめようよ~」

 

「あの…でしたら杏、杏って呼んでもいいですか……?」

 

「ほえ?なんだそんな事、わたしゃ一向に構わないよ」

 

 

 杏の返事にホッとした様な表情になったラブは、少しモジモジして恥ずかしそうに頬を赤らめながら俯き加減で更に言葉を続けた。

 

 

「あ、ありがとう…それともう一つお願いが……その…私、私とお友達になって貰えませんか?」

 

「へ?」

 

 

 突然の事に杏は鳩が豆鉄砲喰らった様な顔になったが、ラブの方は言った瞬間には既に真っ赤な顔になっていて、緊張の為かその身体をキュッとさせて小さくなっている。

 

 

『可愛い!この(ひと)はなんて可愛い(ひと)なんだろう!?』

 

 

 思わず小躍りしそうになるのを必死に堪えながら、杏は心の中でそう叫んでいた。

 今までは同い年なのに自分なんかより遥かに大人の女と思えていたラブが、今はとても可愛らしい少女に見えて、杏は何とも表現し難い胸の高まりを堪えるのに苦労するのであった。

 

 

 




ラブと会長の組み合わせは予想出来た人はいるかなぁ?
初期構想からあったとはいえそれ以上に話が膨らんで来たので、
これは自分でもこの先書くのがちょっと楽しみになって来ました♪

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