八幡の短編集   作:天・プラ子

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時間が取れない…


その漫画は誰のため 3

文化祭3日目を迎えた朝。

 

「やっぱりサボってはいけないだろうか…」

 

いやね?確かに昨日は「あいつと話してみるか。キリッ」みたいな感じだったが。翌日になると急にやる気がゼロになるんだよ。よくあるよね?それに俺が行かなくてもあいつらは何とかなるだろ。という事で今日はお布団に包まれて眠ろう。

 

「お兄ちゃん。朝ごはん出来てるから早く降りてきて。ってまだ寝てるの?早くしないと遅刻しちゃうよ。小町が」

 

どうやら小町は今日も俺を足として使おうとしているようだ。

 

「悪いな小町。お兄ちゃんは布団からでたら死んでしまう病にかかってしまったから、今日は休む」

 

「なーに長っ鼻の海賊みたいなこと言ってんの…。あのねお兄ちゃん。小町はね、青春を知らないお兄ちゃんに。ちょーっとでも楽しい思い出を作ってほしいのですよ。確かに中学の頃のお兄ちゃんは黒歴史を量産しては、碌な思い出も友達もできなかったけど、今は違うでしょ?」

 

たしかに、あの頃と比べて関わるやつは増えた。こいつらを友達と呼んでいいのかわからないが。この関係は悪くないとは思っている。

 

「どうせ今お兄ちゃんは『友達と呼べるかわからない』とか考えてるんでしょ」

 

「………」

 

思っていることをズバリ言い当てられて何も言えない俺に小町は溜息をついた

 

「相変わらず捻くれてるね、このゴミいちゃんは。それとも捻ぇちゃん?」

 

「それじゃ性別変わってるだろ…」

 

「まぁいいや。お兄ちゃん。友達かどうかわからないんだよね。じゃあはっきりさせないとね。お兄ちゃんの言葉を借りたら『解はまだ出ていない』だよ。問題の答えははっきりさせないと」

 

「そんな簡単に出せるもんか?」

 

「それはお兄ちゃんしだいだよ」

 

「答えが出たとしても間違ってるかもしれねぇだろ」

 

「答えなんてみんなそれぞれ違うし正解なんてないでしょ。本当に納得できる答えがお兄ちゃんの答えだよ。ボッチのお兄ちゃんには考える時間はあるでしょ?」

 

「俺には人間関係の計算なんかできない。数学もできないまである」

 

「はぁ。お兄ちゃんが計算でできた友達を信じるわけないでしょ。お兄ちゃんはもっと素直になればいいんだよ。好きなものは好き。嫌いなものは嫌いって」

 

「俺超素直だから。カツアゲされたらすぐ財布を出すぐらいには素直だぞ」

 

「それビビってるだけじゃん…」

 

「ぐ、まぁそうだが。はぁ。仕方ねぇ、いくか」

 

「やっと動く気になったよこのゴミいちゃんは。もうご飯冷めちゃうから。早く降りてきてよね」

 

「…なぁ小町」

 

「なに、お兄ちゃん」

 

「もう漫画描かないのか?」

 

「……描かないよ」

 

小町はそういうと俺の部屋から出て行った。

 

「……」

 

俺は空虚感を感じながら学校の準備を進めるのだった。

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

チャイムギリギリに学校に着いた。構内では最終日という事でそれぞれ心残りの無いように張り切っているようだ。

 

「ちゃお!比企谷!今日も来たんだー!」

 

沢木口が俺の方に手を振りながら駆け寄ってきた。

 

「なんで来たんだよみたいな言い方するのはやめてくれませんかねぇ。俺じゃなかったらまじで不登校になるぞ…」

 

「えー。だって比企谷ってこういうのあんまり好きじゃなさそうじゃん」

 

おっしゃる通りで

 

「沢木口の言い方は確かに悪いが、確かに比企谷はこういったお祭りは好まなそうだな」

 

更には女帝こと入須まで来た。

 

「別に祭りが嫌いなわけじゃない。人ごみが嫌いなだけだ」

 

「人が沢山いたほうが楽しくない?」

 

「いや。全然。うるさいし、邪魔なだけだ」

 

「ふむ。なるほどな」

 

「比企谷って変わってるよね」

 

「それはない。周りがおかしいだけだ。てか、お前らの方が変わってるだろ…キャラ濃すぎるんだよ」

 

沢木口に至っては髪の毛が団子3兄弟だよ。

 

「いや、比企谷も大概だから。それで、なんで今日もサボらなかったの?」

 

「まぁ色々あってな」

 

「答えになって無いじゃん」

 

「ぐっ、べ、別にいいだろ。ただの気まぐれだ」

 

「ふーん。まぁいいや。比企谷、今日一緒に回らない?」

 

「え?嫌だけど?」

 

「別にいいじゃん!一緒にまわろーよ!」

 

「いい考えだな。私も同行させてもらおう」

 

「え、なに入須までやる気になってんの?俺嫌だって言ったよね?」

 

「よし。じゃあレッツゴー!」

 

「ねぇ。俺の話聞いてる?」

 

「最初はどこ行こっかー」

 

「はぁ。手芸部にでも行けばいいんじゃねぇの」

 

「おお。比企谷乗り気だね。てか、なんで手芸部?」

 

「別に乗り気じゃねぇよ…。小町のお土産を探そうと思っただけだ。それに入須の興味のひくものもあるかと思ってな」

 

少しの意趣返しの意を込めて入須をいじる

 

「わ、私は別に!」

 

「おー!いいね~。かわいいのいっぱいあるかな。」

 

「だから私は別に可愛いものが好きなわけではない!」

 

「あーはい。そうですねー」

 

「おい!沢木口。ひっぱるな!」

 

「ほら比企谷も早く!」

 

「へいへい」

 

俺は引っ張られる入須を見ながら手芸部の教室へ歩みを進めた。

 

 

 

 

 

「顔がにやけてるぞ」

 

「あ、いや、これは…」

 

俺達は手芸部の教室に着きぬいぐるみやキーホルダーなどを見ていた。入須はカエルの様なぬいぐるみを持ちながらほほえみを浮かべていた。

 

「別に今更お前が可愛いもの好きだとかどうでもいいが、隠してるつもりなら、もう少し表情を隠せ。にじみ出てるぞ」

 

「だから私は別に!」

 

「ねぇねえ入須!これチョーかわいくない!?」

 

「沢木口……」

 

どうやらいくら女帝でもパーソナルスペースが非常に狭くぐいぐい来る沢木口の様な奴は苦手なようだ。

 

「ねぇねぇどう思う!?」

 

「これは…かわいいのか?」

 

沢木口が手の持っているのは、誰が作ったのか、どちらかというと気持ち悪いという言葉がしっくりくるようなモンスターのぬいぐるみだった。

 

「えー。可愛いのにー」

 

「どちらかというとこっちの方が」

 

と、入須はさっき見ていたカエルのぬいぐるみを持ちあげた。

その時ちょうど放送が始まった。

どうやら古典部が十文字を迎え撃つらしい。

あの事件は奇術部からキャンドルを盗まれ、次の『く』はどうしてか飛ばされ次の『け』が付く軽音部から弦が盗み出された。そして残すは『こ』だけになっていた。

 

「なぁ、二人とも。少し移動しよう」

 

そう言って俺は二人を連れて静かで人の少ないところを目指した

 

 

 

「それで、どしたの?」

 

沢木口は興味津々で、入須は黙って続きを促してきた。

 

「今回の騒動の犯人って誰だと思う?」

 

俺は気になったことを二人に聞いてみた。

 

「ふむ。謎解きは私の分野ではないが…」

 

「きっと幽霊だよ!誰にも見つからず次々と物を盗むなんてふつう無理だし!」

 

「……入須はどう思う?」

 

「わからないな。ヒントはあのメッセ―ジと開かれたカンヤ祭の歩き方だけだからな」

 

「無視ってひどくない!?」

 

「ああ。確かこのページだな」

 

「被害者からしておそらくこのページが犯人の標的なのだろう」

 

「その認識であってると思う」

 

「でも、こんだけ固まってるっておかしくない?」

 

「ああ、だから犯人はおそらくこの冊子に小細工ができる総務委員会で間違いないだろう」

 

「しかし、なぜ『く』を飛ばしたんだ。部活ならグローバルアクトがあるはずだが」

 

「このページに載ってないからじゃない?」

 

「これだけ文字が集まっているんだ。犯人は総務委員のうちの誰かだろ」

 

「そうだな。そして総務委員ならグローバルアクトも入れる事が出来たはず」

 

「しかしそれをしなかった。出来なかった?」

 

「する必要がなかったとか?」

 

「でもこのページで『く』って陸山しかいないもんね。でも部活じゃないから。ん~」

 

「そうだな。陸山は部活じゃないから関係な…い?」

 

「どうかしたの?」

 

「さっきも言ったが、標的はこのページに載っているところだ」

 

「そうね」

 

「なら、陸山も標的に入るんじゃないか?」

 

「!?たしかにそうだが、しかし、彼は」

 

「誰も部活動から物を盗むなんて言ってないだろ?」

 

「なるほど。確かにそうかもしれないな」

 

「この事件のキーはおそらく陸山だろうな」

 

「どうして?」

 

「陸山だけが人って言うのもあるが、今まで被害にあった部活にはメッセージカードとカンヤ祭の歩き方が置かれている」

 

「そうだね」

 

「それともう一つ。文化祭が終われば物を返すと言う書置きもあるらしい」

 

「ああ。確かにあったらしいな」

「それがどうしたの?」

 

「普通の泥棒なら盗んだものを返したりするか?それに祭りを盛り上げるにしても被害にあった人たちからすれば迷惑以外の何物でもない。そう考えたら誰かへのメッセージと考えた方がしっくりくる。そしてそのメッセージの相手がおそらく」

 

「陸山という訳か」

 

「おそらくそういう事だろう」

 

「じゃあ陸山に何か言いたいことがある総務員会の人が犯人ってこと?」

 

「たぶんな」

 

「でも、陸山に言いたい事ある人を探すなんて無理があるんじゃない?」

 

「ああ。だが、普通に不満を持っている奴なら、こんな回りくどい方法を使わずに、生徒会宛の手紙やら、目安箱に投函でもするだろ」

 

「それもそうね。なら、この回りくどいやり方もメッセージと考えてもよさそうね」

 

「ああ」

 

「じゃあ陸山と親しい人ってこと?」

 

「おそらくそうゆうことだろう」

 

「じゃあ陸山と親しい総務委員会の人って誰だ?」

 

「陸山は顔が広いからな総務委員会にも知り合いは多いが、おそらく一番は田名辺あたりだろう」

 

「誰?」

 

「総務委員会会長だよ」

 

「で、なんでそいつだと思うんだ?」

 

「去年陸山が漫画を描いたのは知っているかな?」

 

「ああ。あいつが俺に押し付けてきたからな」

 

「あの漫画は合作でね。陸山と田名辺ともう一人の女子生徒で作られたものなんだ」

 

「そうだったのか」

 

「じゃあその本にヒントがあるってことじゃない?」

 

「それなら後輩に貸す約束をしていてちょうど持ってるぞ」

 

カバンの中から夕べには骸にを取り出す。

 

「君が後輩と仲良くやってるというのも驚きだな」

 

「うるせぇ。仲良くはねぇよ」

 

「とりあえず読んでみようよ」

 

「それもそうだな」

 

それから3人で夕べには骸にを読み始めた。

 

10分と少しして俺達は読み終わった。

 

「なかなか興味深い内容ね」

 

「でも、何かヒントになる事あった?」

 

「いや、特になかったと思うが…」

 

「え~。じゃあ振り出し―?」

 

「いや、この文を見てくれ」

 

『私たちは今回一回で解散するつもりはありません。来年のカンヤ祭目指し、もうスタートしています。原作のAは、次回は作風をコロンと変えてミステリー風に攻めると言っています。なんでも、クリスティの超有名作を一ひねり二ひねりできないか企んでいるとか。タイトルはもう出来ているそうです。予告します。次回作のタイトルは『クドリャフカの順番』………』

 

「……沢木口」

 

「ん?なに?」

 

「校内で『クドリャフカの順番』という漫画は売られていたか?」

 

「正確に全部見たわけじゃないけど、売られてなかったと思うよ」

 

「そうか…」

 

「きまりね」

 

「ああ…」

 

「犯人分かったの!?」

 

「まず。メッセージを受け取る側。これは、犯人の手口からして陸山で間違いないだろう。そして犯人だが…」

 

「うん」

 

「おそらく総務委員会会長、田名辺だろう」

 

「なんで?」

 

「今回の事件の順を追っていくと」

 

アカペラ部⇒アップルジュース

囲碁部⇒いし

占い研⇒運命の輪

園芸部⇒AK

お料理研⇒お玉

壁新聞部⇒カッターナイフ

奇術部⇒キャンドル

 

「そこでくは飛ばされて、軽音部の弦が盗まれた」

 

「……」

 

沢木口は黙って続きを促してくる

 

「でも、くは飛ばされたのではなく、すでに盗まれた。いや、犯人の言葉を借りるなら、失われたとしたら」

 

「つまり、陸山からくが付くものがなくなったってこと?」

 

「ああ。そしてその失われたものというのが、ここに載っている『クドリャフカの順番』だろう」

 

「じゃあ犯人が伝えたかったメッセージって」

 

「このあとがきからして、原作担当も背景担当も描く気はあったんだろ。だが、陸山は違った。あいつはおそらく漫画を描くことをやめたんだろ。だが他のメンバーは陸山に描いてほしかった。だから今回の事件を通してメッセージを送ろうとした。クドリャフカの順番のストーリーをなぞってな」

 

「…んーなるほどねー」

 

「本当の動機まではわからんがな。入須なら知りえるかもしれないが」

 

「流石にそこまでは無理よ」

 

と、そこまで話したとこで周りの話声が増えた。

 

「結局犯人見つからなかったなー」

「犯人は生徒会とかじゃないのー」

「あー盛り上げるためってことか。ありえるな」

 

等の声が聞こえてきた。そして壁新聞部の号外には

 

古典部敗れる

 

と書かれていた

 

「結局捕まえられなかったのか」

 

「今から捕まえたらいいじゃん!」

 

「嫌だよめんどくさい。それに俺ですら解けたんだ。名探偵君も解いてるだろ」

 

「あ。それはあるかもしんない!」

 

「折木君は君以上に頭が切れるからな。…そろそろ教室に戻らないといけないな」

 

なかなか楽しい時間だったと言って入須は去って行った。

 

「あたしもそろそろ行かなきゃ。じゃね比企谷」

 

沢木口もそう言って去って行った。

俺も行くかな、そう思った矢先、前から河内が歩いてきていた

 

「あれ?比企谷。こんなところで何してんの?」

 

「さっきまで、入須と沢木口もいたんだよ」

 

「ふ~ん」

 

「聞いてきたくせに興味なさそうだな」

 

「べつに」

 

「別にって…」

 

なんなんだよ…何か怒らせるようなしたか?まぁいい。河内を探す手間が省けた。改まって話そうとすると緊張するが、ここで河内と話そう

 

「なぁ、河内。ちょっとはなしゃないか?」

 

「ぶふっ!」

 

……帰りたい。

 




思った以上に長くなってしまいました…

次がラスト予定です。

意見、提案、要望、感想、評価、お待ちしてます!

あ、次はけいおんとのクロスを書こうかなと思っています。
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