最強陰陽師の幼なじみ   作:紅ヶ霞 夢涯

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第1話 鵜宮天馬と望月李江

 私、望月李江には幼なじみがいる。

 

 幼なじみの名前は鵜宮天馬。彼は天将十二家の一つである鵜宮家の第六宗家の末弟だ。

 普通ならそんな人物と知り合うこともないのだろうが、何でも私の両親が凄腕の陰陽師だったらしく、しかも鵜宮家の傘下筆頭を務めていたとかで、鵜宮家の皆さんとは一通りの顔合わせを五つのときに済ませているのだ。

 現在11歳の泉里さん、八尋くん、左馬之助くん。その一つ下で10歳の天馬。最年少の9歳の光ちゃん。この中で私と天馬は同じ年齢だったこともあって、幼なじみと言える関係にまでなった。

 まぁ、だからと言って……。

 

 

 

 

「だからって天馬のサボりに私を巻き込むのは止してくれませんか?こっちは貴方と違ってそこそこ真面目なんですよ」

 

「嘘つけ。俺と比べたらマシってだけだろうがよ。それに、どうせ俺達が学校で教わることなんてないんだしいいじゃねぇか」

 

 もうとっくに学校の授業は始まっている時間帯に私と天馬は人気のない通学路を歩いている。これは別段珍しいことではなく入学当時からやっているので、もはや慣れたものだが、私は別に毎日サボっているわけではない。週に三~四回ほど、天馬と一緒に登下校をするが、それ以外は朝からちゃんと学校に行っている。

 

 ?つまり週に二~三回しか真面目に登校してない?それは十分に不良学生ですと?そんなことは知りません。

 

 それはそれとして確かに天馬の言うように、私たちが今の学校で学べることなどあまりないのですが。

 

「天馬みたいなバカな天才と私を一緒にしないで下さい。私はただの天才です。確かにわざわざ学校に行ってまで学ぶことなどほとんどありませんが、ないわけではないのです」

 

「……何かあるのか?」

 

 しばし自分で考えた様子の天馬だったが、考えるという行為に飽きたのかすぐに問い掛けてきた。

 

「ずばり、弱者との付き合い方です」

 

「ふーん。そんなのもあんのな」

 

*唐突な第三者視点

 他の人が聞いたら「そんなわけあるか!」と言うだろう台詞を堂々と言い、天馬が納得しているのを良いことに、一般的な感性も持っている李江は「そんなもんです」と気軽に言う。

 そして双方共に自身が「天才」であると自覚し謙遜することもない。

 果たしてこれで良いのか、未来の十二天将「貴人」と鵜宮家傘下筆頭。

*第三者視点(終)

 

「こらぁ鵜宮!またお前遅刻か!」

 

 予想通りというかいつも通りというか、学校に到着した私と天馬を迎えたのは有り難くもない教師の怒声でした。

 

「他の鵜宮の仲間たちに恥をかかせるようなことをするんじゃない!」

 

「すいませ~んw」

 

「今日は遅刻してすいません。それと毎日ご苦労様です、先生」

 

 一応謝っている天馬に続いて頭を下げる。そのついでに、もはや遅刻魔天馬の担当となってしまっている男性教師を労った。

 

「………そう思ってるならお前だけでも真面目に来てくれ望月」

 

「それは無理でしょう」

 

 仮にも天馬は天将十二家の直系だ。そんな天馬からの誘いを断るなどできようはずもない。

 たとえそれが「一緒に学校をサボろう」という内容でもだ。

 それに、不良生徒相手に一歩も引かないこの人には敬意を覚えるが、私は真面目に授業を受けるつもりなど毛頭ない。基本的に実際に術を行使する授業以外のときは、独自の術式や呪装を作成したり、オリジナルの式神を考えたりして時間を潰している。

 

「鵜宮天馬!望月李江!」

 

 教室に行こうとしたら声を掛けられた。その声は明らかに友好的なものではない。

 

「お前たちというやつはどうしてそんなにやる気がないんだ!」

 

「んん~~~?」

 

「あぁ、士門君でしたか。今朝の合同小隊演習はどうでしたか?」

 

 斑鳩士門。

 後方に向けて尖った赤い髪と大きな眼鏡をしているのが特徴の少年だ。

 彼もまた天将十二家の一つ、斑鳩家の人間だが、何やら複雑な事情をお持ちのようで、分家の人間でありながら今は本家の方でお世話になっているのだとか。

 

「学年いっこ下のてめぇには関係ねぇだ」

 

「ある!!合同小隊演習では俺たちは同じグループなんだ!!」

 

「士門君、せめて最後まで言わせてあげて下さい」

 

 私の言葉は呆気なく無視され、天馬と士門君の言い合いは熱を帯びていく。

 

「お前が朝練をサボったせいで俺たちのグループだけ今朝、何もできなかったんだぞ!!」

 

「うるせぇなぁ~~~。仲間なんて俺には必要ないって言ってるだろ!」

 

 あぁ、何だか士門君の変なスイッチが入ってしまったようだ。

 

「お前はっ……、諸先輩方に申し訳ないとは思わないのかっ!!俺は鵜宮の方々は皆素晴らしい陰陽師ばかりだと思っていたのにっ…!!」

 

 しかしそのスイッチは天馬の言葉で強制的に打ち切られる。

 

「じゃあてめぇが鵜宮家に入ればいいだろ。斑鳩が嫌なら代わってやろうか?」

 

 その瞬間に「あ、士門君キレた」と分かったので、そっと天馬を士門君の方へ押して自分の安全を確保する。

 

「お前という男は~~~~っ!!!」

 

「やんのかぁあ~~~~~っ!!?」

 

「やめなさい!」

 

 二人の衝突をいかにも委員長的な人が止めた。

 鵜宮泉里、12歳。

 私が顔合わせをしたなかで最年長の人で、まるで絵に描いたような聡明な淑女さんだ。

 ほとんどの人が次の鵜宮家当主と目する人でもある。

 

 私は彼女に軽く会釈して先に教室へ向かった。

 天馬と士門君の諍いはいつものことだし、それを泉里さんが止めるのも見慣れた光景だった。

 

 

 

 

 

 その日の授業が終わった。

 何か1歳下の光ちゃんが早退したらしいが、一体何があったのやら。

 考えすぎかもしれないが、今日のその辺りから鵜宮家の皆の様子が少しおかしかった気がする。

 特に天馬だ。

 今日も私の家に寄るのか聞いたら、「今日はいい」とか、「お前も真っ直ぐ家に帰れ」だの、らしくないことを言っていた。

 いつもは夕飯を食べてから就寝間近まで私の家に居座って寝るときだけ彼の家に帰るのだ。

 

 ーーーーーまぁ私が考えても仕方ないことだ。

 その内またひょっこりと顔を出すだろう。

 

 

 

 

 

 翌日から天馬どころか鵜宮家の皆の姿を見なかった。

 

 

 

 

 

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