前書きに何を書けばいいのか分かりませんが、少しずつやっていきたいと思います。
士門君から電話が掛かってきた次の日。士門君は私に連絡をしてこなかった。
当然といえば当然だ。
予想通りに、士門君が峯治さんから「貴人」がどのようにして継承されるのか聞いたのなら、それを知るはずのない私に教えるわけがないし教えたいとも思えないだろう。
しかし士門君には悪いが、その気遣いは無駄だ。
「レイシア、“デバイス”のロックを解除。儀式を行っている島を特定して、経過を教えて」
なぜなら私の手元には“全知”とも言える式神がいる。彼女に搭載した機能をフルに使えば、この世界で知り得ないことなど何一つとしてない。
「了解しました。デバイス“Black Monolith”のロックを解除。島にかけられた隠蔽の術式に介入します」
彼女の黒い棺型のデバイス。“Black Monolith”が淡い光を放ち、それに呼応するように彼女の腰に設置されたデバイスも発光する。
そして十秒もしないうちにその光は収まった。
レイシアは鵜宮の先祖が作っただろう結界をものの見事に無効化した。天将十二家がたった一つの島を隠すために張った結界を秒単位で無効化するとか、我ながらとんでもない式を作ったと思う。
「隠蔽の術式を突破しました。李江さんの携帯端末に情報を送りますか?」
「不要だよ。そのまま口頭で説明してくれたらいい」
レイシアは元々、両親を亡くした私の生活を補助させるために作ろうと思った式神だが、その頃の私にはケガレよりも人の方が恐ろしく思えて仕方なかった。
だからというのもおかしな話だが、レイシアは対人、あるいは対現代社会に適した能力を持っている。
レイシアは
こと情報戦に限れば、私とレイシアに敵はいない。
「現在確認される生体反応は2つ。これは鵜宮泉里と鵜宮天馬のものです」
レイシアの専用デバイス、“Black Monolith”から青白い光が発せられ、それが島の形を作る。その中心からほど近いところに2つの点が表示された。
これが泉里さんと天馬だろう。
「李江さんが顔合わせをしている他の鵜宮の方々ですが、鵜宮八尋は両腕を失ったところに首を刎られ死亡。左馬之助は天馬に斬殺されてます。光は戦闘行為を行わず、逃げていたところに首を刎られたようです」
「本当に殺し合いなんだ……」
八尋くんは年齢の割に恵まれた体躯を持っていて、元気で好ましい性格をしていた。
左馬之助くんは、俗に言う男の娘というやつで、剣術が得意だった。
光ちゃんは、他人を見下す傲慢な性格をしていたけど、可愛いところもあった。
全員が誰かを殺し、そして誰かに殺された。
「あっ」
「李江さん、「貴人」の継承者が決まりました」
そして私の目の前で一つの反応が、ピッ、と音を立てて消えた。
「新たな「貴人」は鵜宮家の第六宗家の末弟、鵜宮天馬です。彼は鵜宮泉里との一騎打ちに勝利しました」
千文字越えがなかなかに厳しくていつもギリギリです。