………しかし感想を初めて頂いた私には、感想をどのように扱えばいいのかさっぱりです。普通に返信すればいいんですかね?
約束していた放課後、私は誰もいなくなったであろう時間帯に、士門君がいる教室に向かった。
しかし、誰もいない放課後の学校というのも新鮮な感じがする。これで晴れていて夕暮れの太陽の光が窓から差し込んでいれば文句無しだが、生憎と本日は雨。雨粒がガラス窓を叩きつけ耳障りな音を立てる。
「俺はどうすればいいんだ……」
いざ教室に入ろうとしたときに、士門君がそんなことを呟いたのを聞いた。
え?何それ?もしかして士門君は少し早めに厨二病にかかってしまったのか。9歳でそれはちょっとした悲劇だろう。
などと馬鹿げたことを考えてみたがそんなわけがない。
彼は顔に影を落とし、何かを堪えるような表情をしていた。
「意外でした。士門君は案外馬鹿なんですね」
そう口にして教室に一歩踏み入れた。
「望月、李江……」
「私はこうして来たわけですけど…。士門君大丈夫ですか?朝からどうも調子が悪いようですが」
「いや、別に何でもない」
自分の席に座っている士門君の顔を覗けるように、一言「そうですか」と言って彼の席の前にしゃがみ込む。
私と彼の目が合った。そのまましばし、じ~っと士門君の青い瞳を見続ける。
根負けしたのか、やがて士門君はいつもの凛々しい表情を浮かべ、何か覚悟を決めたような気がした。
<士門side>
俺は話すことにした。
鵜宮の皆がなぜいなくなったのか。何をしていたのか。
そして天馬だけが生きていて、他の人たちはもういないのだということを。
だけど、その前に。
「……望月李江、先に言っておく。これから俺が語ることはきっと、聞かない方がいいものだ。それはお前も例外じゃないと思っている。だから」
今なら聞くのを止めてもいい。
そう言おうとしたが、それよりも先に彼女が口を開く。
「くどいですよ、士門君。貴方が何を私に語ってくれるのかは知りませんけど、貴方の様子でそれが決して軽々しく言えることではないのは分かります。それでも貴方は言おうとしてくれているんでしょう?」
そこで一拍空けて、彼女は言った。
「なら、私は聞きますよ」
「……そうか」
俺は俺が鵜宮の皆について知っていることをすべて李江に言った。
泉里さんや天馬がいなくなったのは、新しい「貴人」を選ぶ儀式を行うためだったということ。
その儀式は“蠱毒”を人間で行う殺し合いだということ。
新しい「貴人」となったのは鵜宮天馬だということ。
「そうですか……。天馬が新しい「貴人」に……」
「あぁ、そうだ」
「………………」
彼女は無言で立ち上がった。その顔は影に隠れていて、どんな表情かが分からない。
直視するのが怖くなって目を逸らした。
きっと両親がいない彼女にとって、泉里さんや天馬たちが彼女の心の支えだったはずだ。それがいきなり消えて無くなったのだ。彼女の受けたショックは計り知れない。
こういうときには何か一言でも言うべきなのだろうが、一体何を言えばいいのか分からない。
だが、彼女が取った行動は予想外のものだった。
くしゃっ。
「えっ……?」
頭を撫でられていると気づくのに数秒かかった。
「……いや、なぜ頭を撫でる」
「貴方が頑張っていたからですよ、士門君。こんなことを峯治さんから聞いてしまって、それを誰にも言わずに抱えていたんでしょう?」
思いがけない言葉が耳を打った。
「士門君は私よりも年下なのに、頑張りましたね」
頑張った?俺が?
そんなわけない。俺は峯治さんから聞いたことをそのまま伝えただけだ。その峯治さんに聞くというきっかけすら彼女がくれたものだ。
だから。
「……俺は、何もしていない」
「そんなことありません。こうして私に言ってくれたじゃないですか」
そう言って笑いかけてくる。その笑顔を見た自分の顔が、少し赤くなったのを感じた。
「あれ?もしかして照れてます?」
「照れてない!」
我ながら図星だと思ったのと、これ以上撫でられるのはマズい気がして勢いよく席を立った。その際目の前の人物が、残念そうな声を上げたが無視する。
「俺はもう行く。お前も早いうちに帰るんだぞ」
「はい、分かってます。士門君も気をつけて帰って下さい」
そして教室から出て行く。
李江の感謝の言葉を背中越しに聞きながら。
<士門side終>
窓の外に傘を差した士門君の姿が見えた。彼は朝と比べれば軽い足取りで校門から出て行く。まぁ、それでも普段ほどの元気はなかったが。
「目論み通りでしたね、李江さん」
何もない虚空からレイシアの声がする。
別に彼女の姿が見えないだけで、頭の中に声が聞こえるとか響くとかそういうのじゃあない。普通にレイシアが私に直接話しかけているだけだ。
「嫌なことを言うね、レイシア。確かに士門君が色々と喋ってくれた方が都合が良かったとはいえ、それだけってことはないんだから」
「あら、本当ですか?」
「信用ないねぇ」
くすくすと笑い、レイシアと軽口を叩きながら教室から出る。
これ以上この場に留まって、学校に残っている教師とあっても面倒だ。
それに士門君から聞いたことは、すでに全てレイシアを介して知っていたも、彼の口から語って貰ったことで
「それじゃあレイシアは先に帰っておいて。私は天馬を探すとするよ」
「ご自分で探されるのですか?私の方で鵜宮天馬の現在地を特定することも可能ですが」
「あっ、それもそうか」
彼女ならその程度容易いのは理解している。実際彼女に探して貰うのが確実で簡単だ。
だけど。
「いや、自分で探す。何か今はそんな気分なんだ」
「……そうですか。では、お帰りをお待ちしております」
彼女の気配が自分から離れていくのを感じながら、外へと足を運んでいく。
「ごめんなさい、士門君。私はやっぱり自分のことが大事なんですよ」
彼を利用したことに、少しだけ罪悪感で胸が痛んだ気がした。
次回、ようやく天馬を出せそうです。
それはそれとして私が戦闘シーンを書けるの大分先になりと思うんですよね。