天元の道、一つの夏が通る   作:楓の

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今回はグロ要素が入っています。閲覧するときは気を付けて下さい


本当はここまで悪者に仕立て上げる予定はなかったんや……


捌の太刀

竹林から出たあとは、走り、走り、逃げ惑って、いつの間にか開けた場所に出ていた。

抜けてきた竹林の方を振り返って見ても、ヒトの形をした何かがこちらを捉えて追ってきている様子は見られない。正直、今でもあのドス黒い殺気の塊を当てられた時の感触が残っている。

 

「……里の方までは逃げてみる。胤舜殿の形をしたあれの生体もわからないし、堂々と里に踏み込んでくるかもしれない。」

 

 

 そう、今までの悪霊と違ってあれは胤舜という人物を元に構成されたバケモノである。おぬいちゃんが言っていたように、悪霊は里に近づけないかもしれないが、元が人間ならば里に入られるかもしれないのだ。そうなってしまえば今の戦力ではその里の住民はもちろん、こちらの命も危機に晒すことになる。

 だが……

 

「他に方針がない……か」

 

「そう、私たちには行き場がない。今はその方針のつもりだけど……」

 

 師匠は刀を構え、突然現れた悪霊達と向き合う。本当に、こんな逃走劇の途中に出てきてほしくはなかった。師匠は即座に戦闘態勢に入り、リッカ達を守るように彼女達の前に立つ。この程度の敵なら魔力を纏った拳で対抗できる。しかし、今の師匠なら敵をこぼすことはないだろう。なぜなら……

 

「さて、さっきの分のイライラが収まらないの。だからあなた達には悪いけどここは押し通らせてもらうわよ!!」

 

「まあ、荒れてるからなぁ…」

 

絶賛暴走中出合った

 

 

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 

 

 向かって来た敵を師匠が蹴散らしながら、俺たちはおぬいちゃんの庵へと駆け抜けていく。非戦闘員である二人は俺が抱え、鎧の残骸や死体などをくぐり抜け目的地へと急ぐ。向かっている途中、何か胸騒ぎがしていたが、そんなことを忘れるほどに急いでいた。

 だからこそ気づけなかった、あれ(・・)の接近を……

 

 

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 

 

「里はすぐそこだよ!そこの土手を超えたらもう里!」

 

ようやくついた里は、人々が寝静まり虫の鳴き声が響いていた。しかし、あのバケモノの事を考えると迎撃や逃げるとしても村の人々を起こさないといけないだろう。そんな平穏に当てられたのか、心が落ち着いたと同時に胸騒ぎがし始める。

………いや、気づいていないふりをしていて本当はあのさっきの戦闘時から気がついていた。

 

 いやでも忘れられない、あのドス黒い感触。それを肌身で感じ取っている、しかもすぐ近くにいることがわかる。どうやら、師匠もそれを感じ取ったらしくおぬいちゃんと田助を抱えて近くの藁積みに隠れる。それに続くようにリッカを抱えて俺も藁積みの中に隠れた。

 そして、ほどなくして胤舜さんモドキが現れ俺たちのことを探していたが、すぐにやめて……

地獄が始まった

 

 

 初めに入った家の主は運良く……いや、運悪く起きていたようでその人の悲鳴が聞こえてきた。何かが折れた音や砕けたおとが響き、その音が響く度に嗚咽混じりの命乞いが聞こえてくる。「やめて」や「楽にして」という言葉が聞こえてくるが、その一つ一つが生々しく、何かが殴られる音が合間に聞こえ、やがてその声は小さくなっていく。

 そして、その騒ぎを聞きつけた人がその家に駆けつけたのか数人の足跡が聞こえてくる。そして、また悲鳴が聞こえる。

 

「く、首がぁ!変な方向にぃ!?」

 

「なんだよこれ……、そこらへん血だらけじゃないか!」

 

 だが、そんな驚いた声もすぐに悲鳴へと変わっていく。藁の隙間から見えたのは、首と胴体がまっぷたつにされた人や槍が体を貫通している人、頭を足で砕かれている人……

 胤舜モドキの体は村中の生命を殺し尽くした頃には、手も体も黒い赤色の血に染まっており、その顔は狂気に満ちていた。そして、何かを大声で言い放ってどこかに去って行ったのはわかるが、もうそれどころではなかった

 

 

 藁から出て、吐きそうになる口を抑えてなんとか冷静さを保とうとする。リッカの方は自分に抱き寄せて外界の情報をいれさせないようにしたが、肝心の自分が耐え切れなかった。襲われる人々を見て、何も出来ず、ただその殺戮が行われていく様を見ることしか出来なかった。

 

 

「…………ごめんなさい、悔しい思いをさせて」

 

やめてくれ

 

「すぐに出て行きたかったでしょう。里の人達を助けたかったよね、君なら」

 

やめてくれ

 

「技を振るうにしても武器がない。切り裂き、断って、命を奪う刃がない」

 

やめてくれよ

 

「だから━━追いつかれた時点でこれは避けられなかった」

 

「……ちくしょう!!」

 

 

 分かっていた。村を目的地としていた時点で、ここの人達を犠牲にするしかなかったなんて。理屈では分かっていた、だけどどこか助けられるなんて希望的な観測があった。だが、現実は無情であった

 だからこそ、納得は出来なくても理解して前に進まなければならない。これ以上被害を出さないためにも

 

「せめておぬいちゃんと田助のお爺さんだけでも助ける!━━━行くわよ!」

 

 

 

 

 

そうして一行は血で紅く染まった村を出て、おぬいちゃんと田助のお爺さんがいる庵へと向かっていく。その先には一体何が待っているのか?

 

 

 

 

 

 






これでも抑えた方です。
むしろ、軽いくらいなのかな←感覚麻痺



ジャンヌマスター、まさかの紫式部に一目惚れしました。今回は当てに行きます

創作意欲が復活し、リメイク出すかもしれないので公開状態に戻しました。
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