壱の太刀
あれからいくつもの世界を二人で回った。平行世界の現代の日本や魔法が発達した世界、端は平安時代の日本まで遡ったこともある(途中で世界を渡る人形師にもあったことは、驚いた)
旅の途中でいくつもの出会いがあり、いくつもの争いがあった。中で酷かったのはとある世界でテロに巻き込まれた時だ
そのとき初めて自分の意思で人を殺した
肉を裂き、骨が切れる生々しい感触は今でも忘れられない。それでも正気でいられたのは師匠と最初に誓った制約のおかげだろう
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さて、いつも通り世界を渡るために時空の歪みにはいった時に話は移る
師匠に続いてその歪みにはいった途端、頭に色々な情景が流れてくる。草原や竹林、そしてどこか燃えている木造の建物の中で誰かが柱にもたれ掛かっている光景が次々と映る
『━━私らしいといえば私らしいかな』
『でも、全部見届ける人と弟子がいるなんて、そんな贅沢は思いもしなかった』
『まさかこうなるなんて』
この後を聞き逃したら、絶対に後悔するという心の叫びが薄れ行く意識をギリギリのラインでとどまらせている
『━━━━━━』
だが、最後の言葉を聞く前に意識が突然失っていくのを感じられた
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目が覚めると、何処かの洞窟で俺の服を敷き布団代わりとして寝かされていた。周りを見渡しても誰もいないようだ
いま愛用している刀もそばに立て掛けられていることから、おそらく師匠に介抱してもらったのだろう
「目が覚めた?突然この世界に来たときに倒れたから驚いたわよ」
「すみません、どのくらい寝てました?」
「そうね‥‥、半日ってところかしら」
半日って、結構寝てたなおい。どんだけ疲れてたんだよ俺は‥‥‥
何か夢を見ていた気がするが、思い出そうとすると頭が痛む。なら、思い出さないのが懸命か
「さて‥‥。まだここがどの辺りなのか分からないから、また旅をしながら辺りを散策しましょうか」
師匠の言葉に賛同しながら、体を起こしてなまった体を動かす。この分なら戦闘をする分にも問題ないだろう
洞窟から出てみると、眩しいほどの青空が広がっていた。この天気ならここから見える田んぼ付近の草むらでお昼寝するのは気持ちが良さそうだ。腰に掛けてある刀を確認し、首にかかるロケットを握りしめる。ロケットにいつも通り願掛けしたあと、先に行く師匠に着いていった
そして、この世界での探索が始まった
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「さて、一人悲しく周辺散策しますか‥‥」
師匠が早めのご飯にありつき、俺はそこまで腹が減っていなかったので一人で周辺を回っている。今のところ嫌な感覚もせず、昼寝をしたいところだが、サボっているところを見つかると非常にめんどくさくなるので周辺を警戒しながらも歩き回る
「そいえば…」
一人でこんな風にぶらぶらとするのは久々だった気がする。いつも師匠の周りについてお世話をしているか、修行でひたすら打ちっているかをしているぐらいだったからな
あれから俺は強くなったけど、それでも師匠がいうサーヴァントに勝てるか分からない。だが、本気の師匠とタメを貼れるなら俺は相手にならないだろう
「ほんと、嫌になる・・・」
そんな自己嫌悪をしているとき、あの時以来感じることがなかった
しかも、その後に感じる妖気は師匠がいると思われる方角から漂っている
そこからの行動は早かった
自分の腰にかかっている刀を抜き、妖気が感じられる方角へと駆け出す。その時の魔力で基礎能力を上げておくのも忘れない。いつか出会った人形師のお姉さんに感謝する
師匠の元に走りながらも、自分の周りを警戒し、トレイン状態にならないように気を付ける
鍛えられた脚力に加え、強化魔術による魔力ブーストのおかげが、妖気が感じるところまではそう時間が掛からない
その証拠にもう戦っている師匠の後ろ姿が見えてきた。どうやら現地の子を守りながら戦っているようだ。
「あれは守られているより、共闘している・・・?」
その着物の子を後ろに庇い、師匠に指示を出しながら戦っているオレンジ髪の女の子がいる
師匠の動きを見る限り、その指揮能力は本物のようだ
おそらく彼女が師匠のいってたマスターのことだろう。しかし、気配遮断をした怨霊が近づいていることにまだ気がついてはないみたいだ。魔術で強化された目で師匠の方を見てみると、こちらに気がついている
なるほど、そういうことですか
怨霊の攻撃が届く範囲でようやくその存在に気がつく彼女だが、まだ人間である彼女はその攻撃はよけれないだろう
だけど………
「後方不注意だぜ、人類最後のマスターさん!」
その二つの間に俺が割り込み、怨霊の爪を刀で受け止めることで彼女を守る
受けた刃で爪を弾き飛ばし、それからの流れで突きを放ち怨霊を絶命させる
もっとも、幽霊に物理攻撃が通用するのか不安だったが、杞憂だったみたいだ。師匠の方を見てみるとあらかたの敵勢力の討伐が終わっている
「あなたは…?」
オレンジの髪の少女はこちらを向き、突然現れた俺に対して戸惑っている。そりゃそうか、そばに来るまで気づけなかった敵の間に割り込み、助けてくれたとはいえ刀をもった不審者には変わらないからな
なら、ここは俺から名乗るべきだな
「俺の名前は織斑一夏、武蔵さんの弟子をやっている。アンタが師匠が言っていた人類最後のマスターってやつか?」
「は、ハイ!藤丸立花です……って、武蔵ちゃんの弟子ィィィぃィィィ!?」
そこまで驚くことなんだろうか?
というか……
「師匠!大丈夫でしたか?」
「あれくらい私に抱えれば朝飯前よ。って、立花ちゃんが面白いことになってるけど、何かあったの?」
それは俺にもわからないです……
そんな放心している藤丸さんがこちら側にくる頃には、先程までの闇の世界が消え、青空に戻っていた
ここで軽く補足説明
人形師について:実は本編でも武蔵ちゃんが遭遇してました。
武蔵「メガネを掛けた人形師さんに聞いた話だけど、夢見て異世界に渡るって事もごくごく稀にあるとか?」《『Fate/Grand Order』、亜種特異点Ⅲ 屍山血河舞台 下総国「英霊剣豪七番勝負」 第一節「第一歌 プルガトリオ(序)」より抜粋》
ここで一夏君が教えて貰ったのはあくまで強化魔術だけなので、一夏君の魔術戦闘はほぼ皆無です
正直、物語を見直しているときに初めて気がつきました。見直してみる乗って、素晴らしいですね