太刀川さんと小鷹さんをソフトボール部から引き抜きたい。
野球経験者である二人を引き抜くことは非常に重要なことだと思う。
もちろん校内で有力な人を探すのも大切だけど、確実な人も欲しい。
ソフトボール部は強いから人気がある。野球部に入るなんて人は基本的にいない。
私は太刀川さんと小鷹さんを説得していて、気が付いたら夜になっていた。一人で街灯の少ない夜道を歩いていると私と同じ制服を着ている女の子が不良に絡まれていた?
絡まれて…やっつけた!?
その女の子は四人いた不良を見たこともない拳法で撃退した。
「まだいたか!」
次の瞬間私の目の前に接近してきた女の子は、私が不良じゃないことに気がつき攻撃をやめた。
「し、失礼しました~てっきり不良の残りかと~」
外灯で明るく照らされた公園のベンチに移動した私と女の子、改め大空美代子さん。からしのような髪の色の長髪の大空さんは今さっきのことを内緒にして欲しいという。私はそれを受け入れた。
すると大空さんは私に貸しを作らないためになにかひとつ願い事を聞くというので野球部に入ってくれないか誘った。
彼女の動きからして運動神経は抜群のはず。
次の日、矢部田さんから大空さんとの関係をしつこく聞かれた。
何しろその手の方で有名な人だったらしく野球部に入部するとは思っていなかったそう。
その後私はネコリンの情報でこの学校数少ない男子生徒で野球経験者の小山雅君をスカウトし、野球部の雰囲気は悪くないと思ってくれたようで入部してくれた。
そして、太刀川さんが一人で入部してきた。
入部するならてっきり二人で来ると思ったから驚きだ。
小鷹さんの私に対する接し方も急変したので、何かあるとは思ったが、女子選考試合が間近に控えていた私に考える暇は無かった。小鷹さんを引き抜くのは、無理なんじゃないかとさえ思った。
投げ込みをする太刀川さんの球を受けている私は違和感を感じた。ボールに迷いがある。
私にはそれがわかっても治せなかった、正確には治す術が今無いのだ。
太刀川さんは小鷹さんが必要なんだ。
投げ込みを終えた後で太刀川さんから小鷹さんのことを聞くと、喧嘩をしたらしい。
太刀川さんは野球の未練を捨て去れなかった。ソフトボールではその迷いから小鷹さんとの喧嘩の原因になったらしい。
しばらくは様子を見るしかない。また時間がたった頃に仲直りする機会があればいいんだ。
女子選考試合まで、私はその響かないボールを受け取り続けた。