はぁはぁ、暑い…マウンドから三塁にいるランナーに睨みを効かせる。
八回表3-3ここでの失点はでかすぎる。
時は遡ること一週間前。
女子選考試合のメンバーを決める為にとあるグラウンドに女子高校生野球部は集まっていた。
その中には私達聖ジャスミン高校も勿論含まれる。
その選考の結果一週間後の試合の出場選手が決まった。
投手
涼風、早川、太刀川、十六夜
捕手 美園、
一塁手 川星、
二塁手
遊撃手 冴木、夏野、
三塁手 大空、
外野手 柳生、新島、矢部田、
である。
青系の髪でボーイッシュな印象の冴木さんは二塁手と遊撃手を守れるだけでなく女性選手としては珍しいレベルの運動神経を持ち、大空さんより安定した長打を見せてくれる。
緑の髪のアンダースロー早川さんは独自の変化球マリンボールを所持していて癖が強い投手。
その他心強い選手が一杯である。
そして一週間このメンバーで練習を行い、今日に至る。
スターティングメンバーは、
1 矢部田 中
2 新島 右
3 柳生 左
4 大空 三
5 冴木 遊
6 涼風 投
7 美園 捕
8 川星 一
9 浪風 二
相手は春の甲子園出場校から選ばれることになっており、今回選ばれたのはハロルド・マチェット高校である。
一回表
相手打線をナックルと高速ナックルを使い三者凡退に抑え、その裏に矢部田さんが出塁、新島さんが送りバントを成功させワンアウト二塁のチャンスに柳生さんが内野フライを上げツーアウトになるものの大空さんが二塁打を放ち先制点を奪い冴木さんが更に二塁打を上げ一点を追加、私がセンター前ヒットでツーアウト 一・三塁になり、美園さんがキャッチャーフライを上げ一回裏の攻撃は終わった。
ハロルドマチェット高校メンバーも相手が女性と油断していたがその隙をついて二点とれたのは非常に大きかった。
続く二回表先頭打者にヒットを打たれるも後続の三人をしっかり抑え無失点。二回裏は相手の投手が調子を取り戻し三者凡退に終わった。
三回表、風が吹いてきた。
ナックルは風に弱い、万が一のことを考えてナックルの数を減らしカットボールとストレートを使い詰まらせて打ち取る方法に切り替えた。
三回も両者無得点、四回表に投手交代リリーフとして十六夜さんが登板した。
私はまだ必要かもしれないと判断され川星さんに代わり一塁手になった。
その回十六夜さんのジャイロボールが狙われ一点を取り返された。
裏は無得点に終わり続く五回表、調子を立て直し始めた十六夜さんに本塁打が襲った。
結局その回を投げきった後十六夜さんは悔しがりながら、次の投手早川さんになった。
早川さんは六回を得意のマリンボールを中心に抑えたが、七回にカーブとストレートを狙われワンアウト 一・三塁のピンチ。
そこに太刀川さんが登板すると悩みのあるそのボールではこのピンチを切り抜けることは出来ず、最初の打者に犠牲フライを打たれた。
残りワンアウトをフォークで奪うとその裏に大空さんが単独本塁打を放ち同点となった。
そしてこの八回に先頭打者に二塁打を許し、続くバッターに送りバントを決められワンアウト 三塁のピンチとなる。
ここで私が再びマウンドに上がり今に至る。
太刀川さんは一塁手になった。
風も収まってきたので安心してナックルが使える。
私は渾身のナックルを右打者の胸元からアウトローギリギリに落ちるように、完全にコントロールした。
前にも話したと思うけれど、私は転生前投げられる限りナックルを投げ続けた。
私にとってナックルは箸を使った数より遥かに多い。
そのお蔭で私は通常では考えられない、ナックルの軌道のコントロールを会得した。
その日の天候、風、ボールの状態に指の状態。転生前様々なシチュエーションで投げ続けたことにより私は真のナックルボーラーになれたと思っている。
私はその力を今最大限発揮しただけ。
あえて言ってしまうけど、私にとってナックルボールは体の一部である。
八回表、二者連続見逃し三振。
九回表、三者連続三振。
九回裏、冴木さんの二塁打により大空さんがホームイン。我々女性チームは見事勝利した。
これで、甲子園の予選に出られる!