悔いある選手達は二次元へと進む   作:ゆーこー

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日向 孤次郎 一年目の甲子園を賭けて

激闘第一高校との練習試合の後、練習を続けてきた俺達は、一年目の地区予選の一日目の試合を迎えようとしていた。

ステーティングメンバーはあのときの練習試合と同じ

 

1 佐野 二

2 岡部 一

3 大園 中

4 日向 遊

5 斎藤 右

6 田中 捕

7 錦野 左

8 白河 投

9 中林 三

である。

 

一回戦の相手は、あかつき大附属高校

甲子園の常連高校の一つだそうだ。

それも今日の先発投手は一年生の猪狩守と言う選手らしい。仕方無いとはいえ、完全になめられているようだな。

 

実際、パワフル高校の実力はその程度である。

一回表に四点を失い、その裏は三者連続三振で呆気なく攻守交代、二回表に五失点、その裏の攻撃、俺の打席がやって来た。

猪狩守という投手、どうやら俺達が弱いから出されたわけではないようだ。間違いなく実力でレギュラーを勝ち取った選手ようだ。打席に立って気が付いたのだが、こいつのストレート…全然落ちない。それどころかホップしているようにすら見える。

面白い球だ。初球のインローのボールは思わず見逃してしまった。

二球目のアウトハイのボールは中々落ちないボールに馴れず、真後ろに飛ぶファールボール。

三球目の高めの釣り球に思わず手を出しそうになった。普通の球なら落ちてきてストライク、俺の中の何万回と見てきた普通のストレートの記憶が俺の体に今のボールを打たせようとした。

四球目、緩急で三振を取ろうとしたのだろう。大きく変化するカーブを真芯で捉え、俺が一塁に着く頃にはボールは場外に消えていた。

その後の三人は連続三振で三回表に変わった。

 

試合結果は2対15 コールド負けだった。

誰も猪狩の球を打てず、俺の前にランナーがたまらないものだから、俺のソロホームラン二本の得点しか入らなかった。

 

俺一人が打てても意味がないんだ。俺はそれを理解している。だが、うちの部員はそれを理解していない!

日向が得点取ってくれるから俺らは守備だけしっかりやってればいい。などとぬかすのだ。

 

これでは甲子園に行くことなんて夢のまた夢。予選一回戦だって弱小チーム相手じゃないと勝ち抜けないぞ!

 

この地区の優勝は俺らが戦ったあかつき大附属高校だった。

 

 

新体制となったパワフル高校野球部で、俺はひたすら同級生に指導をし続けた。

 

山道にはとりあえずコントロールを強化してもらいたいので四隅に投げ分ける練習をさせている。

矢部は足の速さをより生かせるようにミートを重点的に練習させている。

他の奴らは基本的に守備練習だ。

俺は基本的に打撃力よりも守備力を重点的に鍛えさせる方だ。

チームメイトに何故かと聞かれたので俺はこう答えた。

バッティングってのはいくら鍛えても打てないときは打てないし、逆に練習量は並みでも当たるときは当たる。

しかし、守備は日頃から鍛えておかないとラッキーなことなんて基本的に起きない。

10点とれても11失点しては意味がないのだ。ならば一点しか取れなくてもエラーゼロで無失点の方がよいだろう?

 

もちろんこれは持論であり、打撃を重視する人もいる。

だがこれだけは信じて欲しい。打席なんて一試合に指で数えられるほどしか回らないが守備は何回だって出番があるのだ。その度に失敗していたら狙い打ちされて二桁失点だってあり得ると。

 

この時、倉本という男と火野という男が彼の知らないところでくしゃみをしたという。

 

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