悔いある選手達は二次元へと進む   作:ゆーこー

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日向 孤次郎 燃える秋の大会

俺達の秋の大会はバス停前高校との試合から始まった。

この試合に勝利した俺達の次の対戦相手は大筒高校。

そのチームの中心選手はセカンドで五番の冴木という女性選手であった。

 

元々この高校は打って打って打ちまくる攻撃重視のチームだったらしいが、女性選手の解禁により彼女が出場出来るようになり守備などにも力を付けてきたようだ。

 

一回の表大筒高校の攻撃は、ツーアウト 一・二塁で冴木の打席に回ってきた。

 

やはり打撃力重視チームだっただけあって二年生の投手田中先輩では打たれてしまう。

田中先輩はMAX137キロのストレートとカーブ、シュートを持っているが、この先を勝ち抜くにはキャッチャーがその実力を十二分に発揮させても厳しいだろう。

とりあえず俺は囁き戦術に出てみることにした。

「一球目、頭の近く行くから気を付けろ」

予告通り冴木の顔の目の前を通過させる。

「何の真似だ?」

「次はアウトローにストレートを投げるぞ」

冴木は俺の言葉を疑い、宣言通りきたアウトローに振り遅れた。

「もう一球アウトローだ」

今度は宣言とは逆にインハイにストレートを投げさせた。

何とか追い込むことが出来た。

しかし、もう囁き戦術は使えないかもしれないな。

「次、チェンジアップ投げるぞ」

完全なる嘘。先輩はチェンジアップなど投げれない。

要求はストライクゾーンに入ってくるシュート。

 

どうやら冴木は完全に囁き戦術から抜け出すことは出来なかったようだ。当たりはしたが一塁ゴロで終わった。

一回裏、一番矢部が出塁し、送りバントで送り、三番が三振し俺に回ってきた。

初球からホームランにして二点を先制した。

しかしこちらも相手の勢いを完全に止めることは出来ず、二回に一点を取られ、四回に同点に追い付かれるが俺がソロホームランで逃げる。六回に相手に三点を奪われると七回裏にまたソロホームランで一点を返すが絶望的だった。

冴木の守備は素晴らしい。この試合だけで彼女の守備の上手さは理解できる。守備範囲の広さは当然のことながら、取ってからの処理も速く、困難な体制からの送球も速く乱れない。打撃もミート重視で手堅い。囁き戦術は一度目しか通じなかった為、二打席目からは打たれ続けている。

さらにリリーフで入った山道が八回に炎上し五失点。

九回にまたソロホームランを放ったがそれで反撃はそれで終わってしまった。

 

秋の大会は4-10と終わってみたらかなり酷い点差になっていた。

 

俺が荷物をまとめて帰ろうとすると彼女に声をかけられた。

「日向と言ったな。いきなり呼び止めてすまない」

「冴木だったな。それで何のようだ?」

「その…今の試合で凄い選手だと思ってな。ガタイの割に動きは素早いし…あれだ、暇な日に一緒に練習出来たらなと思ってな」

「俺は敵校だぞ?お前の打撃センスと守備の上手さは俺も認めるがな、不味いんじゃないか?」

「連絡先だけでも交換してくれ。私はもっと強くなりたい」

「まあ、交換だけならしといてやる。じゃあな」

 

試合に負けて相手選手と連絡先交換とは、一体俺は何をやっているんだ……

 

 

 

 




日向は努力している人の頼みは断りきれない
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