自信の最高球速は138km/hと普通かそれ以下である
彼女の第1の武器はナックルである
130km/hの高速ナックルと80km/hのナックルを武器にしている
それだけならただのナックルボーラーであるが彼女の武器はそれだけではない
両投げ両打ちでオーバースロー、サイドスロー、テイクダウンゼロ投法を使いこなす器用さ
誤差1mm単位のコントロール
9回まで投げ抜くスタミナ
打席に立てばラインギリギリのバントや芸術的な流し打ちを決めるその繊細なバットコントロール
しかしプロ野球選手にはなれなかった
お気づきいただいているだろう
彼女は女だ
今でこそ女子プロ野球も存在するが、彼女は満足できなかった
不完全燃焼のまま生涯を終えた彼女は、真っ白な空間に懐かしき高校生の頃の自分の姿で立っていた
「お主は男共と同じ舞台に立ちたいのじゃな!」
突如目の前に現れた今の私より年齢の少なそうな金髪の少女
軽く動揺しつつも長年の人生故か以外と冷静だ
「安心せい!わらわの方が遥かに年上じゃ!」
自信満々に言われるが女性にとって歳とはそんな軽いものだったかのと困惑する
「はあ…それで何のご用件で?」
「何じゃつまらないやつじゃのう…もっと驚かぬのか普通は?」
にしても不思議なものだ
体が若返っているなんて…
「自分の世界に入り込むな!これからお主は転生して男女関係の無い場所で野球をするのじゃ!」
その言葉に年甲斐もなくとても反応した
「ほんとですか!?あのときの悔しさを払えるのですか!?」
思わず肩をもって大きく揺さぶる
少女は力一杯その手を振りほどいた
「それはそっちの世界での頑張り次第だが…体はそのままだしまあ大丈夫じゃろ…」
何故目をそらす!引かれたのか?
「だいぶ精神も子供の頃に戻ったの、そろそろ転生しても良いかの」
まさかそんなこともされていたなんて、この娘はいったい…
「わらわは野球の神様じゃ!不幸な天才達を転生させて眺めるのが趣味じゃ!」
「いい性格してますね…」
「そんなことは良いのじゃ!転生前に伝えるぞ!そっちの世界には他にも転生者がおる!高校からの転生!あとは臨機応変に頼むぞ!」
「お主にはぴったりだろう、聖ジャスミン高校にお主は行くのじゃ!」
その瞬間目の前が真っ黒になった……
本日三人目の選手を転生させた神はベッドにねっころがった
「女性でも戦いたい、その気持ちよーくわかるぞ」
神の記憶の中にとある男の言葉が蘇る
『女性が活躍する社会って少し言葉がおかしいと思うね、「女性も」じゃないと俺は賛同できないね』
「わらわの趣味でこの地に呼ばれた選手の一人、一人の人間の言葉がこんなに重いとはのう…」
しかし、何がそんなに心に刺さっているのじゃ?
わらわは別に関係ないことなのに…
その男は我々にとっての未来から今の世界の
この神に呼ばれた選手
何故その時代に呼ばれなかったのだろうか?
きっと彼はこの時代の人と戦いたかったのだろう
「さあ役者は揃ったぞ、この三人の生き様を見せてもらおうか!」