紅白戦を終え、俺の実力は即戦力とされた。
だが、このままでは勝てない。
当たり前のことだが、野球は一人じゃ勝てない。
仮に俺が四番で全打席ホームランを放つとしよう。
他の人が全く打てなければ4点近くしかとれない。
投手がそれ以上点を取られればそれでおしまいだ。
先輩達は俺を誉める、既に頼っている。
そんなんじゃだめなんだ。
俺の心配の種は監督に言った。
監督は自惚れるなと言うだけだった。
確かに普通の人が見ればただの自惚れ、例えあの試合を見ていても警告として言うだろう。
心配事は先輩達だけじゃない。
個人的に山道、あいつには悪い意味で驚かされっぱなしだ。
見た目に反するスカスカ筋肉。
全然曲がらない上に緩急の無い変化球。
同じ代だから余計に心配になるのだろう。
とりあえず俺は山道にカーブを覚えさせた。
山道の場合カーブがある無しで大違いだ。
不安だらけの中、夏の大会前に用意された練習試合が来てしまった。
1 佐野 二
2 岡部 一
3 大園 中
4 日向 遊
5 斎藤 右
6 田中 捕
7 錦野 左
8 白河 投
9 中林 三
俺以外は全員上級生だ。
折角なので白河投手の能力だ。
142km/h コントロール54D スタミナ67C 変化球 フォーク3 スライダー2 カーブ4 と、中々悪くない投手だ。
本日の練習試合の相手、強豪校として名の知れている激闘第一高校。
まあ、この高校が練習試合を了承してくれたのだけでも奇跡的だろう。
ちなみに場所はパワフル高校のグラウンドだ。
俺の中で気にしているのは一年生で俺と同じ四番の遊撃手友澤。他の選手は三年生、しかも強豪校なのだから相当の才能の持ち主に違いない。
一回表、激闘第一の攻撃。
既にランナーは一・三塁、アウトカウントはひとつだ。
友澤、お前の実力見せてくれ!
友澤の実力は予想通りのものだった。
フルカウントからインローギリギリに入ったフォークをレフト側ホームランゾーンにかっ飛ばした。
結局一回から5失点。さすがだ。
一回裏は三者凡退、二回表は白河さんが立て直し無失点。そして二回裏俺の打席。
相手投手は左投げか。右打席に立ち、一球目から本塁打を狙う。
初球、インローギリギリに入ってきたスライダーを打った。ボールはセンターの頭上を越し、校舎のガラスに直撃させた。文句無しの本塁打、まあ校長からの文句が監督に行くかもしれないな。
悔しいがこの試合は完敗だった。
試合結果は33-4、勿論33点の方が激闘第一だ。
この四点も俺の本塁打のみである。課題は丸見えだ。
投手陣の強化、野手陣の打率向上。
守備力の強化。唯一の良かったところは、監督のお陰か声が途切れなかった所だ。
…こんなんじゃダメだ!
夏の大会まで期間が無い、一年目の甲子園出場は難しいな。