運命の光   作:リッティー

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第1章 旅立ちの刻
一話 街の異変


アラハギーロ。

一流の剣士を養成する学校を持つ、一騎当千の皇国。

その首都もまた、内部に城を持つことから、

アラハギーロと呼ばれていた。

 

 

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「クロウリー、あーさーよー‼︎」

 

「ん……もうちょっと……」

 

母親に起こされた彼は、クロウリー。

アラハギーロ修剣学校の6年生である。

5月の布団の温みに、二度寝しかけた彼だったが……

ちら、と、部屋の窓の外を見る。

 

「やっべーーーー!?もうこんな時間⁉︎

かーちゃん、今、何時⁉︎」

 

日照りさんさん、真っ青な空に、慌てて階下へと降りたクロウリーは、大急ぎで支度しなきゃと朝食を急いで食べる。

そんな彼の様子を見ながら、母親・レイラは一言。

 

「そんな慌てなくてもいいでしょ、今はまだ6時台よ?」

 

「……あ」

 

学校が8時から始まることを、そして朝ご飯と準備、学校へ行くまで30分ほどだということを、

忘れかけていたクロウリーであった。

大休暇の後の日であった。

 

 

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クロウリーには、竹馬の友と呼べる少女がいる。

テレサである。

今日も今日とて、隣家でもある彼女の家の扉をノックする。

 

トン、トットトントントン

 

いつもの合図。

普段は、家の窓から、

「ごっめーん‼︎今行くーーーー」

などと返答がある、はずなのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を開けて出て来たのは、テレサのお母さん。

そして、

 

「ごめんね~、クロウリー、今日はお休みだって言っておいて」

 

と、言った。

それだけなら彼も、風邪だと信じて疑わなかっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、発言には続きがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日も、明後日も」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どういうことなんですか、ナミさん」

 

たまらず、クロウリーは聞いた。

 

「テレサはいない。起きたら、いなくなってた」

 

「……!!」

 

クロウリーは、息をのんだ。

親友が、居なくなった。

それは大事(おおごと)だ。

 

しかも、だ。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「分かったおばさん、テレサのことは任せろ‼」

 

と言って、クロウリーはその場を後にした。

 

 

 

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クロウリーの住む街・アラハギーロには、とある有名人がいる。

 

カンダタ。大盗賊と貴族たちに恐れられ、大義賊と教会や孤児院がひいきにしている、盗賊団。

そして、その本拠地(アジト)があるのが、この街なのだ。

 

そして、盗賊団の本拠地(アジト)には、たくさんの情報と、手練れがいる。

 

 

本来ならばテレサと二人、学校で自主練に励んでいる時間。

 

クロウリーは一人、本拠地(アジト)へと向かった。

 

彼の狙いは情報と捜索願い。

 

「カンダタ、いる?」

 

と、門番に聞くと、

 

「ああ、いるぜ、クロウリー。また父ちゃん繋がりか?」

 

と、答える門番。

 

父ちゃん繋がり、と門番が言ったのは、クロウリーとその父ライアンが、アラハギーロの悪徳貴族を挙げる役割を果たしているからだ。

即ち情報提供者。

そして、作られたリストをもとに、盗賊団も活動を続けていられる。

が。

 

「あー、今日は情報提供じゃないんだ。

強いて言うなら、お願い、かな?」

 

「お願いか……じゃあ、中入って」

ありがとう、とだけ言って、勝手知ったる様子で本拠地(アジト)内をすたすた歩くクロウリー。

既に彼に案内はいらない。

間諜として、ここに入った回数は、クロウリーが最大だ。

 

 

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「カンダタ、俺だ」

 

「クロウリーか、まあ、座れや」

 

盗賊団カンダタファミリー本拠地(アジト)最奥。

 

クロウリーとカンダタは相対した。

 

「今日だが、お願いだ。

親友が誘拐されたっぽい。

探してくれるか?」

 

クロウリーは、単刀直入に切り出した。

 

対するカンダタは。

 

「この際だからいうぞ、クロウリー。

そうやって攫われたかもしれない子供らを探してくれって依頼が、何件も来てやがる。

ここ1か月で……20件目だ」

 

「連続事件……か」

 

1か月で20人は攫われている。

これは……   ()()()()

確実に組織的な行動だろう。

国王陛下から兵士団に依頼が行ってもおかしくない規模だ。

 

「やばいなぁ……」

 

カンダタが唸る。

 

「うん、帰ってからまた話そう。ここで考えても長くなるだけだ」

 

学校がある手前、クロウリーは長居ができない。

 

修剣学校へと駆け出すクロウリーを見据えながら、カンダタは一人、呟いた。

 

 

 

 

「頑張って行って来い‼

俺も俺のやることをやる」

 

 

 

 

 




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