戦局は、停滞していた。
あらゆる攻撃を受け、耐えてきたクロウリー。
少しずつ攻撃を加えつつ、フログレットの攻撃を受け流していくアークス。
セリアが補助回復にまわる場面が増え、フローラの弓矢も、効いているか怪しい。
何より、メレヤの魔力が切れていた。
大砲撃による援護が切れた。
(ギリギリだな、こりゃあ)
と、クロウリーは分析する。
相手の動きのパターンこそ掴めているものの、突破口が見当たらない。
いや、掴めてはいるのだ。
それは、炎。
相手が回避してくるから、結局当たってないが。
しかも。
(あいつ、俺たちを巻き込んで自滅しようとしている!?)
フログレットの水魔法ザバも、フローラのメラも、壁の全く同じところに直撃している。
(あと、1回か2回……)
許される魔法直撃回数を計算する。
それをもとに、動きを指示する。
「フローラは矢を放て!間違っても炎を点けるな!アークス、突き主体で頼む!」
「え!?りょ、了解!」
「わかった」
動転しかけながらも、矢を次々と放つフローラ。
斬り流しから突きへ。
そして、クロウリーはもう一度、叫ぶ。
「ピオラ頼む!」
その声に応えたのは、セリア。
「疾風の加護よ!」
黄色の光がその身を取り巻く。
駆け出す。
フログレットが魔法を使わなくなったのを見越して。
跳躍。
壊れかけの壁の真反対に、着壁。
そして、突貫する。
渾身の一突き。
「クロウリー!?」
アークスもびっくりの高速機動。
矢も何も刺さっていないどてっぱらに、長剣が突き刺さった。
動けない。動けるわけがない。
相手の意図が、フログレットには全く読み取れなかった。
それが、運の尽き。
会心の一撃だった。
ずぶっと、剣を抜く。
そして。
炎の一線が、フログレットに刻まれた。
勝利の瞬間だった。
「言い残したことはないか?」
クロウリーは言った。
「悪かった、こいつらを帰してやってくれ」
フログレットが応えた。
「分かった、引き受けよう。」
と。その時。
石が落ちる、鈍い音がした。
「やべえ、塔が崩れる!」
誰が言ったか。
フログレットも慌てて階下へと降りようとする。
メレヤを抱えて、クロウリーたちも崩壊から逃げ出した。
がらがらがらどーーーん。
塔の上部が、なくなったように見えただろう。
実際、崩れていた。
((((弁償が怖い!!))))
この塔を立て直す。
となると、莫大な金額がかかるのは容易に想像出来た。
牢屋フロア・4階に戻り、アークスのリレミトホールで全員が塔から脱出。
そして、丁度ドラゴン退治を終えた大人達と共に、レーメの村へと戻っていった。
笑いながら。
後日談。
「無事に主犯をやっつけて来ましたよ!ただ……」
「塔が、壊れちまったんだ……」
「「すいませんでしたあああああああ!!」」
村長に謝りに行ったカイルとクロウリー。が。
「よかろう。どうせ使われとらなんだし、いっそいい機会じゃ、解体するか!」
「「ええええええええええええ!!」」
捜索隊全員、解体作業に関わったため、報告は1週間、遅れることとなった。