運命の光   作:リッティー

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第十四話 一人、旅立ちの時

レーメに子供たちを送り届けた後は、アラハギーロに帰るだけだ。

帰宅はアークスのルーラで一瞬。無論、大人達も一緒だ。

ただ、やった本人は相当疲れた顔をしていた。

魔力、結構使うんだ……

俺・クロウリーには魔法適正無いから解らんが。

 

 

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アラハギーロ城。

故郷に戻って来れた感慨で泣きそうなテレサ以下22人を連れて、謁見の間へと歩く。

騎士団の鎧に身をまとった直属兵や、カイルさん達門番兵、俺やフローラのような学生まで動員した誘拐事件が、終わりを告げた事を伝えるために。

 

 

国王様は、手放しで喜んで下さった。

動員した人全員への特別賞与は勿論のこと、一番の元凶を伸した俺たちには、大金が送られた。

 

 

そして、俺はこの事件に関する個人的な見解を述べた。

『新たな勇者が誕生する。彼らはそれを狙っていた』

と。

 

 

 

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アラハギーロ修剣学校にて、少しどころかだいぶ早い卒業式が執り行われた。

俺は、この日、アラハギーロ修剣学校を卒業する。

 

それは、あの日、謁見の間で言われた事が原因だった。

新たな勇者を探し、導け。

それが俺の使命だと。

 

五月三十一日。

クロウリー、異例の卒業の日だった。

 

 

 

夜。

旅支度は、もう終わりだ。

明日からは、世界をまたに掛け、旅を始めなければならない。

終わりは無いのだろう、きっと。

勇者と出会うだけで、英雄譚が終わるなんて、無い。

むしろここからが始まりだ。

 

そして、その英雄譚には、きっと自分もいるのだろう。

 

そんなことを考えながら、瞼を閉じて眠りについた。

 

 

 

さよなら、故郷。

いつかまた、戻って来る時もあるだろう。

でも、それは英雄譚の半ばかもしれない。

 

 

俺たちという名の英雄譚の。

 

見送りは、フローラやテレサ、俺の家族だった。

 

俺は、振り返らずに歩いた。

 

東門を出て、港へ。

 

進む。

 

止まらない。

 

 

 

始まってもいないのだから。

 

 

 

 

そして、一つの幕が閉じる。

 

 

 

 

過去という名の幕が。

 

 

 

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船上。

新聞を読んでいた俺は、思わず口の中のものを吹き出した。

そこには、こう書かれていた。

『マンハイム王国女王陛下、またもや王城脱走』

と。

 

……またかよっ!!




はい、章タイトル回収です。

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