「トリックオアトリートだよ、司令官と秘書艦さん」
「ほら、響。第六駆に分けてやれ」
執務室に菓子をねだりに来た響に、ジャック・オ・ランタンをあしらった容器に入れた菓子を渡してやる。
「…提督、正解だったな」
「何がさ、若葉?」
僅かに嬉しそうな後ろ姿で部屋を出る響を見送った俺を、バインダーにメモを取っている若葉が感心したようなーーとはいえ、あまり表情は変わっていないがーー顔でこちらを見る。
「一つ、慰安としてハロウィンをした事」
「まぁ、息抜きは必要だからな。哨戒班の分は多く菓子をやるって言ったら、立候補も多かったし」
背後に設けられた窓をちらと見ても、その海には小粒程度にさえ哨戒の艦隊は映らない。
「二つ、隊ごと1人ずつ来させるようにしたこと」
「それは、純粋に人手が足りないからだ。明石も大淀も、偶には休んでもらいたかったしな」
本当はお前も姉妹といて良かったのだぞ、と言えばお前と一緒に1日過ごしたかったのだ、と返される。
「それに、だ。提督、タダでさえ仕事を投げ出しがちなお前が完遂する前に応援を呼びそうな事は分かっているぞ」
「…うん、否定出来ないのがとても悲しい」
僅かに鋭くなった視線が痛い。
まあとにかく、と若葉が話題を変える。
「駆逐艦は今ので最後だ。海防艦と潜水艦はもう終わっている。軽巡洋艦は…川内型がまだだな」
「川内型かぁ…那珂か神通が来ると思っていたが、その辺は聞いてる?」
いや、何も。と首を振る秘書艦を見れば、ううむと首を捻る。
「まあ、じきに来るかぁ。そこまで考えんでも」
「そうだな、いつ来ても渡せるようにしながら片付けよう」
結局、神通に昼寝から起こされた川内が夕方に執務室に顔を出して、渡された菓子をその場で食べようとしたのを那珂が引っ張り出した以外は何事も無かった。
「くあぁ…今何時だ?」
「フタサンフタハチだ、提督」
哨戒以外の出撃は全て無しにしたとはいえ、本来の書類仕事まで休みにしたら業務が滞るわけで。
ハロウィンのイベントをやると決めた先週から今日の仕事をある程度割り振った秘書官に頭は上がらないが、それ以上に一日の疲れが身体に重く響く。
「今日一日お疲れ様、だ。提督」
「おー…」
書類を退かした机に突っ伏せば、若葉の労いに重い右手を挙げて答える。
「そうだ、提督」
「んぁ、何だ?」
呼ばれて振り向けば、油性ペンを持った秘書艦さんが立っていた。
「トリックオア、トリート。だぞ」
参ったな、こいつは今日を丸一日楽しみたかったか。
だが、残念だったな。
「ほらよ、若葉」
机の引き出しに置いていた飴を一個渡せば、変化の少ない顔を不満げにさせながらも受け取る。
「いつものではないか、悪戯がしたかったぞ」
「じゃあ、そのいつもの間宮さんとこの飴はいらないな?」
「それとこれとは別だ」
包みを開けて口に頬り込んだ若葉は、一舐めしてキラキラと嬉しそうな表情を浮かべる。
「悪くない」
「また、買い足しといてやるからな」
ああ、と尻尾があればぶんぶんと振っていそうな彼女の頭を撫でてやったところで、気が付く。
「…そういえば若葉、風呂と飯は?」
「大丈夫だ。」
「はぁ…風呂は俺の部屋のを使って来い」
「了解した」
そう頷いて秘書艦は執務室を出る
さて、と書類を片づければ俺も追って自分と若葉の生活空間に戻るのだった。
「ふたさんごーろく、風呂はどうだった?若葉」
「柚子の香りの入浴剤か?悪くなかった」
そうかそうか、と濡れた髪を乾いたタオルで撫でてやる。
嬉しそうに目を細めたときにだけ、口角が上がる自然な笑顔を見せるのは、俺と初春型の秘密だろうな。
「なあ、若葉?」
「なんだ、提督?」
髪を拭くのを一度止めれば、きょとんとした顔でこちらを向く。
「トリックオア、トリート。だな」
「え、えっと…だな」
一瞬狼狽する若葉だが、次にはがっしりと俺の両頬を抑える。
そして、有無を言わさぬままに額へのキス。
「…トリート、だぞ」
僅かに頬を赤らめる若葉が、たまらなく愛おしかった。
久里浜です。
若葉ちゃんがかわいい。
ハロウィンコスをさせたかったけど若葉ちゃんは…いや、しそうだな。書いてから後悔。
あとはろいんは資本主義者とリア充のための悪い文明。でも若葉ちゃんとリアル充実させてちゅっちゅしたい。絶対可愛い。オレンジ色似合いそう。というかはろいんコスしてほしい。して。
とりあえずこの提督は前耳掃除されてた提督とおんなじです。ベースは自分()
だってほら、若葉ちゃんといちゃいちゃしたいし…
若葉ちゃんの魅力を書くにはこの余白じゃ少なすぎるんで()
ってわけでまた今度!