軽い少女   作:ふーじん

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エピローグ

 □■???

 

【虚心騎影 ベレロープ】

 最終到達レベル:65

 討伐MVP:【獣神(ザ・ビースト)】マグロ Lv101(合計レベル:601)

 <エンブリオ>:【狂神獣姫 テスカトリポカ】

 MVP特典:古代伝説級【神心騎英 ベレロープ】

 

【大怪遊星 グランドバァン】

 最終到達レベル:127

 討伐MVP:【撃神】ステラ・ザ・デストラクト Lv508(合計レベル:1008)

 <エンブリオ>:【星震撃 テュポーン】

 MVP特典:神話級【破界星甲 グランドバァン】

 

「ふむ……」

 

 事の一部始終を見終わった後、ジャバウォックは流れるログを視界に移しながら唸った。

 

「この場で討伐してしまうとは、な。勝算は低いと思っていたのだが、思わぬ結果になった」

 

 期せずして表舞台に復活した太古の<イレギュラー>。

 その力量そのものはともかくとして、ソレの生息域の悪辣さから総合力では<SUBM>に勝るとも劣らなかったはずの【グランドバァン】。

 <超級エンブリオ>の保有者も現れ始めた昨今ではいずれどこかで討伐されただろうにしても、まさか初戦で討ち果たされようとはジャバウォックの想定外だった。

 

「大都市の一つや二つ壊滅してからでも遅くはないと考えていたのだがな。我々の想像以上に<マスター>の質が高かったのか、はたまた単なる偶然か……」

 

 寧ろ可能性としては自分が秘密裏に出向く確率の方が高いと踏んでいただけに、この結果は彼としても些か思うところがある。

 最善は襲撃で幾人かに超級進化シークエンスを促した後、【グランドバァン】を回収し<SUBM>とするべく調整することだったが……特典武具と化してしまった今では最早終わった話だ。

 

「……元より完全なる偶然によって発生した事態だ。それが偶々その場に居合わせた<超級>三名によって討伐されたとして、何の不思議も無い……か。此処は彼らの健闘を祝うとしよう」

 

 ジャバウォックはモニターを取り消し居直った。

 ウィンドウの光だけが彼の顔を照らす一室で、休止していた作業を再開させながらジャバウォックは呟く。

 

「――その調子でよく戦い、よく<エンブリオ>を育むといい。君達が信じる自由の先にこそ、我々の目的はあるのだから」

 

 意味深な言葉で締め括って、ジャバウォックは己の職務に没頭した。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 □中央部外縁・廃墟

 

 未だ復旧作業の最中にある区画では、道着姿をした人間達が額に汗を浮かべて作業に従事していた。

 平均Lv三〇〇を超える腕利き集団――<竜心館>の門下生達は、一般人とは比較にならないステータスを以て見る間に瓦礫を片付けていく。

 

「師範! 第一班、第一区画の瓦礫撤去完了しました!」

「同じく第二班、第二区画の撤去作業間もなく完了します」

「第三区画は被害甚大のため、第二班の作業完了後に合同で取り掛かります」

「うむ、お疲れ様! きちんと休憩を挟んでから作業を再開するようにね」

 

 その彼らの報告を受けながら、自らも同様に労働へ従事しているのは金髪碧眼の偉丈夫、GA.LVERだった。

 対【グランドバァン】戦で唯一最後まで五体満足で戦い抜いた彼は、地上への帰還後すぐに復旧作業に乗り出し、ログインしている間はほとんど休まずに働き続けていた。

 ……そんな彼に休めと言われて素直に休めるかは微妙だったが、GA.LVERのタフネスは余人の知るところでもあるので、彼らは微妙そうな顔をして、

 

「こら、ガルさん! アンタが休まずに誰が休めるってんだい! しっかり休んでしっかり食べて、それからしっかり働かないと身体に毒だよ」

「HAHAHA! いやぁ申し訳ない、まだまだ終わりが見えないものだからつい夢中になってしまったよ!」

「ほら、アンタの分だよ。山盛りにしといたからね!」

 

 ぱしんとGA.LVERの背中を叩いてそう咎めた炊き出しの女手にほっと安堵した。

 激闘の後、年寄りや子供は中央部に集め、その他の男手は撤去作業に駆り出し、女達は総出で被災者や労働者の炊き出しに従事していた。

 GA.LVERを咎めたのもその一人で、かつて彼が数々のジョブを渡り歩いていたときに付き合いを深くしていた、大衆食堂店主の奥方である。

 さしものGA.LVERもかつて大いに世話になったおばちゃんの言うことには逆らえず、他の労働者達と一緒に大椀を掻き込んだ。

 

「おばちゃんのメシ、美味いですよね。作業疲れの空きっ腹に染み渡るっていうか」

「まだまだ先は長いけど、これがあるから頑張れるって感じですよね~」

「だからこそ僕達が頑張らないとね! 大丈夫、皆が協力してくれているから、いつか必ず終わるとも!」

 

 集めた瓦礫に並んで腰掛け、飯を食らいながら眺める景色は果のない瓦礫の荒野。

 あの一戦で斯様に破壊されながらも、生き残った人々の表情は明るい。

 ……例え心の奥底で喪ったものへの悲しみに涙していたとしても、生き残ったからこそ努めて笑みを浮かべ、あるべき日常を取り戻すために励んでいた。

 

(……僕もまだまだだな。もっと強くならないと。そのためには――)

 

 その光景を、その光景を織り成す人々を知るからこそ、GA.LVERも諦めない。

 たとえ爪痕は深くとも、彼らが挫けないからこそGA.LVERもまた決して諦めず陣頭に立てている。

 そしてそんな彼の背中と、遥か天上の破壊遊星をすら殴りかかってみせたその"超拳"に、人々もまた信頼を寄せ腐らずに希望を持てていた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 □【雑技王】黒猫

 

 丸一日のログイン制限を経て、あたしは再びデンドロにログインしていた。

 長いこと味わってなかったデスペナ上がりの感覚はなんとも言い難く、自壊によってまだ復活していない<エンブリオ>がそれに拍車をかける。

 ヒダルガミが使えないんじゃあ雑技のお供の黒子も使えないせいで、とてもじゃないけどベストコンディションとは言えないお寒い状況だった。

 

 つっても、街がこんな状況じゃそもそも興行どころじゃないけれど。

 まるで空襲でも受けたのかってくらい荒れに荒らされた大都市だったもの。

 お祭り騒ぎであちこち飾る付けられていた街並みは見る影も無く、崩れた建物の瓦礫はそのまま放置されゴーストタウンのよう。

 

 それでも空からは隕石どころか雨粒ひとつすら落っこちてこないことから、あのクソ隕石……【グランドバァン】は無事に討伐されたのだろう。

 もう空に怯えることもないのは嬉しい報せだったけど、それでも刻まれた爪痕があまりに大きい街を前にしては、無邪気に勝利を喜ぶことなんて出来やしなかった。

 

「浮かない顔ですね、ヘイさん」

 

 そう物思いに耽っていると、空からステラが降ってきた。

 ……と思ったけど、普段と比べるとどうにも動きがぎこちない。

 見れば右腕が失くなっていて、<エンブリオ>の一部が欠損してるようで調整が上手く利かないようだった。

 

「わざわざお出迎えかよ、暇だねーおまえも」

「見ての通りの状態でして、加減も上手くいかず復興作業からは外されています。まぁわたくし達三人は今や英雄扱いですので、その手の労働は免除されている節もありますが……GA.LVERさんは率先して陣頭に立っていますね」

「ガル兄らしいっちゃらしいじゃんね。それよりも、そっか……復興すんのか。……できんのかな、これ」

 

 見渡す限りの瓦礫の山。

 復興作業に取り掛かってるという割にここは寂れているけど、それはここが外縁部だからかね。

 被害規模が規模なだけにどれだけ時間が掛かるのかわかったもんじゃないけど、そっか。

 

「できるかどうかは別として、案外逞しいじゃんね。てっきり放棄もあるかなと思ってたケド」

「これほどの都市は早々放棄などできませんよ。それに黄河は魔法技術が発達していますから、中央部は住むに不足しない程度にはもう復旧してます。そうでなくとも住民もタフですから、皆復興作業に勤しんでおりますよ」

 

 リアルではたった一日、こっちでも三日しか経ってないのにめげないもんだ。

 ……この様子だと一座もそっちに専念してそーだね。

 生臭い話で言えば売名にもちょうどいいし、そーでなくともだんちょーの性格なら見過ごしてもいないだろうしね。

 

「ま、いいや。出迎えにきたんならあたしに用があるんだろ? 連れてけよ」

「ええ、皆さんお待ちかねです。ご案内しましょう」

 

 ◇

 

「戻ったか、黒猫!」

 

 ステラの案内に従って中央部に向かえば、一座の天幕を仮設住居に大勢の住民が集まって復興作業に従事していた。

 その中心には率先して作業に取り組む<竜心館>の人間と一緒に、陣頭指揮を取る見慣れた人間が集まっているのが見える。

 案の定その一人となっていただんちょーがあたしに気づいて声をかけたのを皮切りに、周囲の視線が一斉にこちらを向いた。

 

「おお、"妖拳"のお戻りだ」

「"黄河三奇拳"の揃い踏みだな、英雄の帰還だ!」

「なんかはずかしー名前で呼ばれてるけど、ナニコレ?」

「ははは、そう言ってやるな。絶体絶命の窮地だったからな、それを解決したお前達は英雄なんだ」

 

 まぁ、わからないでもない。

 デンドロはちょっと称号主義みたいなとこがあるから、名が売れたらそれっぽい二つ名が周囲から付けられることはよくあるしな。

 あたしの"遊天娘々"も軽業師としての看板だし、あれだけ派手に<UBM>を討伐したなら、新しく名付けられてもおかしくはない。

 ……あっちにいた間は結局、デスペナしたあとのことを調べるだけの気力も無くてそのままぼけっとしてたんだけど、またあとで詳細確認しとくか。

 

「それよりも……ほら。大人もお前に会いたがっていたぞ」

「……うん」

 

 あれこれ言いたいことも聞きたいことも尽きないけれど、それよりもまず真っ先にだんちょーが示したのは奥……仮設された個人用天幕のベッドの上に横たわるワンじーちゃんだった。

 恐る恐る近づいて顔色を伺ってみれば……じーちゃんは閉じていた目を開いて視線を動かすと、あたしを認めて緩やかに微笑んだ。

 

「おお……よくぞ戻ったの、ヘイや。また会えて嬉しいぞい」

「じーちゃん……! よかった、無事で……」

 

 いつもより血の気も失せて顔色が悪かったからヒヤっとしたけれど、身を起こして頭を撫でてくれる温かさは間違いなくじーちゃんのものだった。

 見たところ大怪我はもう大分塞がっていて、万全にはまだ遠いけれど多少動く程度には問題も無いようで安心する。

 

「儂は無事そのものぢゃて。怪我は多少派手だったようぢゃがの、皆のおかげで見ての通りピンピンしとるわい。それよりも儂は、お主が一度死んだと聞いたときのほうがずっと生きた心地がせんかったぞい!」

「あたしは<マスター>だから全然平気じゃんよ。それよりもじーちゃんの方が……」

「孫が死に戻ったと聞いて平静でおられる爺はおらん!」

 

 ぴしゃりと言ったじーちゃんに目を丸くしてると、じーちゃんはそっとあたしを抱き締めた。

 全身を包む温もりに、思わず安心を覚える。

 

「……悪かったじゃんよ。でも、あたしなりにベストを尽くした結果だぜ」

「うむ……うむ……! よく頑張ったのう……ほんに、ようやってくれた。皆、お主らのおかげじゃ」

 

 何度も頭を撫でる手の優しさが心地良い。

 全身を抱き締める力強さと温かさが、全てが終わったことをこれ以上無く伝えてくれる。

 ……この世界での、あたしにとって大事なものがこうして無事なことが、確かな感触として実感できた。

 

「……でもいい加減ちょっと恥ずかしいから、ここまでね」

「ほほほ、珍しくしおらしい様子ぢゃったのにの」

 

 そうは言うけどあたしだってもう十歳だぜ?

 それに皆気ぃ利かして離れてるけど、天幕の向こうで聞き耳立ててんの丸わかりだし。

 ついさっきまでは柄にもなくセンチメンタルな気分だったからいいけど、じーちゃんが無事とわかったならこれ以上衆人環視の中で情けない様を見せるつもりはないじゃんよ。

 

「ま、元気が出たならそれでええ。ほれ、他の者もお主を待ち侘びておろうて。元気な顔を見せておやり。儂はもう少しここで寝るでな」

「あいよ。じーちゃんも養生しなよ、歳取ってから動けなくなると急激に老け込むって言うしね」

「何を言う、儂ぁあと五〇年は生きるつもりぢゃい!」

 

 そういやじーちゃんの年齢って聞いたことないなと思いながら、あたしは仮設部屋を後にした。

 

 ◇

 

 天幕を出れば、そこには大勢の人間が勢揃いしてあたしを待ち構えていた。

 何事かと思って見渡していると、彼らが一斉に頭を下げて……だんちょーが口を開いた。

 

「王大人も仰っていたが、本当によくやってくれた。お前と……お前の友のおかげで、随分と多くの人間が助かった。黄河の民の一員として礼を言う。……本当に、ありがとう」

「……なに、それ。今更なんか、水臭いじゃんね。いーよ別に、やれることやっただけなんだから」

 

 改めて真正面から礼を言われると……その、やっぱ照れる。

 それにこっちの世界での身内にそう言われたんじゃ、誇らしいより先に困惑する。

 あたしは自分で言った通り、あたしにやれることをやっただけだ。

 そしてその動機も、じーちゃんを始めとしたあたしの身内が巻き込まれていたからで、世のため人のためってわけじゃない。

 大体戦ってる間は興行を邪魔された腹いせやあたしの客に手ェ出した苛立ちで殺意MAXだったから、そんな風に言われてもね、反応に困るじゃんよ。

 

「やれることをやっただけ、か……。ふっ、あの窮地でそれが出来る人間がどれほどいたか。あの時お前達と……その他大勢の<マスター>がいなければ、今頃俺達は此処にいなかったんだ。返しきれぬ程の大恩だ、礼も言えないんじゃあ始末に困る」

「なら、その礼はしっかり受け取ったってことでよろしく頼むじゃんよ」

 

 それで礼だの恩だのはおしまい。

 どうせ降って湧いたような災いだから、偶々その場に居合わせた幸運を喜ぶことはあっても、幸運そのものに感謝することはないじゃんね。

 陳腐な物言いだけど、終わりよければ全てよしってことで。

 

「それよりもさ、あたしが来れなかった間のこと教えてよ。なんせあたしだけ三日間も置いてけぼりだったからね!」

「……そうだな。なら、どこから話そうか……長い話になるぞ?」

「いいよ、聞かせて。なんせ時間はたっぷりあるかんね」

 

 ◇◇◇

 

 それから一週間、あたしは街をぶらつきながら過ごした。

 生憎こちらはガル兄と違ってMPとAGI(とおまけでDEX)以外のステは貧弱で、ガル兄みたいに気軽にジョブを入れ替え育て直すことなんてできないから、復旧作業には加わらなかった。

 代わりに住む家を失って路上生活を強いられた住民の慰安として大道芸を披露したり、ちょっとしたクエストなんかをこなしたりした。

 幸いにしてこの街が最後の興行開催地だったから、一座の予定にも余裕があり、街がある程度立ち直るまでは滞在して復興を手伝うことになっていた。

 

 そしてその間あたしも街に滞在し続けたのは、単に一座が残留を決めたからだけではなくて……ある約束のためだ。

 

「お互いに<エンブリオ>も復活しましたね」

「まーね。自壊なんて初めてだからどんくらい掛かるのかは知らなかったけど……ま、そこそこ待ったかな」

 

 その約束とは、事が片付いたあとにステラに付き合うという約束だ。

 あたしの目の前には元通りの右腕を取り戻したステラが佇み、あたしの方にも復活したヒダルガミの気配が確かにある。

 そして場所は街から数十キロは離れた人気のない荒野で……つまるところステラの望みとは、あたしとの()()だった。

 

「この一週間は一日千秋の思いでいましたよ。一刻も早くヘイさんと仕合たくて死合たくて……、――ようやく念願が叶います」

「成程ね。そうじゃないかとは思ってたけど……()()()()、やっぱおまえが持ってったんだ?」

 

 ステラの両腕には今までの無手とは違い……二の腕までを覆う巨大な()()が装備されていた。

 ステータスに依らない運動エネルギーを攻撃に用いるステラの戦闘スタイルでは通常の武器は強度が不足し、その超加速に耐え得る強度を持つ武装が他ならぬ自分の<エンブリオ>(手足)だけだったことから徒手格闘を選ばざるを得なかったステラには珍しい、明らかな()()()()

 《鑑定》によって【破界星甲 グランドバァン】という銘だけが明らかになったそれは、見るからに尋常ならざる気配を漂わせていた。

 つーかまるでロボアニメみたいな名前じゃんね。

 

「かつてグランバロアに現れたという<SUBM>からは複数の特典武具が授与されたと聞きますが、どうやら【グランドバァン】はそうした手合ではなかったようで。他の御二人には申し訳ありませんが、わたくしがMVPに選ばれました」

「いーよ、別に。ガル兄は住民が無事ならそのへん気にしないだろうし、あの活躍ならおまえがMVPだろうってあたしも思ってたしな。つーかあたしはそもそも戦闘メインじゃねーし、【シェイドプリンター】だけでジューブンだっつの」

 

 言っとくけど負け惜しみじゃねーかんね。

 そのへんわかってんのかどうか知んないけど、ステラは珍しく自慢気に特典武具を見せびらかして……ちょっとだけイラッときたけど、断じて負け惜しみじゃない。

 

「ま、世にも珍しい神話級特典武具ってのは新鮮で楽しみだけど。……で? それでもう勝ったつもりかよ?」

「ええ、まぁ……二度目はともかくとして、初戦ならわたくしの()()()()()()()()かと。不戦勝でもよろしいですよ?」

「ジョーダン。今まで拒否したことはあるけど、いざ戦うとなって逃げたことが一度でもあったかよ?」

「……ふふ、それでこそヘイさんです。それでこそ、わたくしの最大の好敵手。ならば問うべきは最早、一つだけですね」

 

 ――再びデスペナルティになる覚悟は済ませましたか?

 

 その挑発にあたしは、笑みを浮かべて親指を下に向けた。

 それと同時にバフを全起動した最大速度で、《心魂奪命拳》と《心魂奪命拳・鬼ノ手》――対個人最大出力のドレイン戦術で肉薄する。

 

 【撃神】に就いたことで魔法系超級職の<マスター>にも劣らないMP量を誇るステラ。

 ……だけど()()()()()M()P()()()()、あたしの()は秒と掛からず根刮ぎ奪える。

 

 これまで幾度となく重ねたステラとの決闘で、勝率八割超をキープし続けたあたしの勝ち筋。

 MP枯渇によって固有スキルに起因する戦術はほぼ封じられ、SPを用いた格闘系スキルはあたしのAGIと体捌きなら掠りもしない。

 よしんば新しい特典武具にそれを覆す一手が秘められていたとしても、あたしなら致命傷を避けることはできるはず。

 

「殺ァ――!!」

 

 そう考えてあたしはステラに必殺スキル宣言の余裕すら与えず、狙い通りに接触して間違いなくMPを根刮ぎ奪って、

 

「――《天地崩壊(グランドバァン)》」

 

 その直後、ステラが唱えた()()()()()の宣言で――ステラ諸共木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

(――いや、それは流石に予想外じゃんよ)

 

 ……まさかの相打ち狙いは読めんわ。

 

 

 Episode End

 




(・3・)<対<イレギュラー>エピソード
(・3・)<完!!!
(・3・)<大体一ヶ月かな!
(・3・)<ここまでご覧いただき、本当にありがとうございました!

 □余談
【虚心騎影 ベレロープ】
(・3・)<実はこの頃に取ってたことが確定した別作主人公の特典武具
(・3・)<元は騎兵のアンデッドで、いろんな生物をアンデッド化しては騎乗する<UMB>でした
(・3・)<生前は三強時代に滅ぼされた都市国家で名を馳せた【超騎兵】のティアン
(・3・)<仇(【覇王】)への恨みから彷徨い続けたかつての強者の成れの果て

【破界星甲 グランドバァン】
(・3・)<まるでロボアニメのタイトルな拳甲の特典武具
(・3・)<見た目はFF14に登場する「ミダース・メタルナックル」みたいな感じ
(・3・)<攻撃力は五〇〇〇程度で、強度はステラの全力にも余裕で耐える程
(・3・)<……が、その真骨頂は装備スキルであり、唯一の装備スキルが《天地崩壊》
(・3・)<その効果は事前に拳甲に溜め込んでいた全運動エネルギーの一斉解放
(・3・)<小出し? 加減? そんなもんねぇよ、全ブッパだ!!
(・3・)<そして恐るべきことにエネルギーの蓄積許容量に限界は無い
(・3・)<リソースの大半をそちらに傾けた模様
(・3・)<もしかして:衝撃貝
(・3・)<……いや、どっちかっていうと排撃貝のほうか

 ・実は黒猫より少し早く<エンブリオ>が復活していたステラ、装備スキルの効果を見て必殺スキルを使いながらせこせこエネルギー蓄積
 ・ところがどっこい、あまりの蓄積量に自分も必殺スキルを防御に回さないと自滅不可避なことにあとから気づく
 ・対黒猫戦の内容を振り返り、まず間違いなく必殺スキル使用のためのMP奪われるよなと考える
 ・なんとか回避できるかな? → 彼我のスペック的に無理じゃん
 ・しゃーない、勝ちは諦めるか。負けもしないけど

 ステラ「わたくしの敗北はありえない(相打ちになるから)」
 ステラ「再びデスペナルティになる覚悟は済ませましたか?(わたくしは済ませました)」

(・3・)<…………
(・3・)<実はセリフの裏に(震え声)がついてたステラ嬢
(・3・)<そして半径十キロメートルを吹き飛ばしながら諸共にデスペナしましたとさ

(・3・)<更に余談ですが、仮に他の二人がMVPだった場合
(・3・)<GA.LVERは【飛天星装 グランドバァン】という重力操作とそれによる自由飛行が可能な外套枠の特典武具が
(・3・)<黒猫は【巨怪星兵 グランドバァン】という、周囲のオブジェクトをコストにハイスペックな単体ゴーレムを使役する特殊装備枠の特典武具が手に入っていました。
(・3・)<それぞれ重力操作、ゴーレム使役の方向性に特化してアジャストした結果と言えます
(・3・)<ステラの場合は土属性や一部の地属性強化魔法に特化してアジャストした感じですね

 改めまして、ここまでご覧いただきありがとうございました。
 こちらの作品で書きたいことの大半を書き終えた感もありまして、気分的にはほとんど完結と言えなくもないのですが、アリス編の結末の方も書けていませんので、まだもう少しだけ続きます。
 そちらの決着も既にある程度構想にあり、それを書き終えたときに本作完結とさせていただこうと思っております。
 ……まぁまだまだネタは尽きませんので、別作や新作を書くことになると思いますが。自作間でのクロスはもうデフォルトですしね、全くの完結とは言い難いかもです。

 ですが本エピソードは後書き冒頭でも言いました通り、これで完結となります。
 約一ヶ月間お付き合いいただき、誠にありがとうございました!
 また次なるエピソードを気長にお待ち下さいませ。


 やっぱ……書いてて楽しい上に……感想を……最高やな!!(語彙無)
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