軽い少女   作:ふーじん

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主人公のエンブリオ公開は焦らすスタイル。
お友達のエンブリオ公開も焦らすスタイル。
それ以前に名前すらちゃんと出てないですが、どっかで出します。


これがあたしの<エンブリオ>じゃんよ

 □???

 

 ほいほい次の日じゃんよ。三倍速のせいで学校いってる間にもどんどん向こうは日数過ぎていくから気になって仕方なかったじゃんね。

 いつもはあちこち寄り道して帰るのも、今ばかりは一直線じゃんよ。あっちゃんもお迎えの車に乗って……ってなになに、あたしも行くの? ならちょっと家寄ってほしいじゃんよ、ハード持ってかないとだし、ママにも晩飯いらないって伝えとかなきゃ。でるんでしょ? おゆはん。

 んひひ、ラッキーじゃんね。あっちゃんとこのご飯ちょーおいしいもんね、おかわりしまくり確定じゃん。

 じいやさんもお世話になるじゃんよ。あ、ちゃんと宿題終わらせてからでしょ? わかってるわかってる。

 ほいじゃま車出してちょーよ。

 

 ◇

 

 てわけでログイーン。

 たった一日足らずなのに寝てた時間と合わせてもう何日か経ってるじゃんね。

 三倍速って遊んでる間は便利だけど、ログアウトしてるときは気が気でなくてちょーっと不便じゃん。

 てゆかあたし無断で数日一座を欠勤? これって社会人ならそっこークビじゃんね、ごめんなさいして許してもらえっかな?

 

 ……あ、オッケーだったみたい。てかこうなることは織り込み済みだってだんちょーは分かってたみたいじゃんよ。

 そんだけ<マスター>の神出鬼没はティアンの間で有名らしーね。ていうか常識ってやつ? まぁあたしが怒られないで済むなら万事オッケーじゃんね。

 そんかわり遅れた分を取り戻すように練習はキツイぞってね、まぁよゆーよゆー。あたしにかかればお茶の子さいさいじゃんよ。

 ……ところでお茶の子さいさいの「子」と「さいさい」ってどういう意味なんかね。まぁどうでもいっかー。

 

 ◇

 

 玉乗って、ジャグリングして、傘回しして、踊って、柔軟して、あれこれけっこー忙しない練習内容。

 怪我はそうそうしないけどだんちょーは厳しいから、不慣れな子はかなーり怒鳴られてんね。つっても理不尽なおしかりじゃなくて、きちんとした指導に則った怒鳴り声だから、泣きべそかいてリタイアするようなやつはいないケド。

 どうもこの一座、最近は新しい風ってのに乏しくて、指導に熱が入らざるを得ないみたいじゃんね。少しでも多くの子に覚えてもらいたいっていうだんちょーの焦りが垣間見えるじゃんよ。

 ……なんでわかるのかって? あたしの目はごまかせねーってことさ。

 

 そんなドラマが裏で展開されてる一方であたしのレベルは上がる上がる。

 《平衡感覚強化》やら《柔軟》やら《アクロバット》やらのスキルがガンガン上がるせいで、他の皆と同じ練習内容じゃ物足りなくなってきたじゃんよ。

 つってもあたしは空気の読めるいい子だから、文句は言わずに黙々とジャグジャグしていきますよ。ジャグジャグってジャグリングのことね、byあたし語。

 まぁ飽きるまでは従うじゃんよ。つってもただジャグジャグするだけなのはつまんないから、適当に身体曲げたり踊ったりしながらやってみる。片足でつま先立ちも余裕じゃんね、足の裏が背中にくっつく柔らかさはあたしの自慢だぜ。

 この調子ならもう二、三日もすれば【軽業師】はカンスト見えそうじゃんよ。確か下級職の上限って五〇だし、今でもう三六だからけっこーちょろいじゃんね。

 あーでもスキルレベルは対応する動きしなきゃ上がんないんだっけ? なら一週間は掛かるかなー。スキルレベルってジョブレベルよりも若干上がりにくい感じするし、こればかりは反復練習あるのみじゃんね。

 

 ていうかあたし以外だーれも<マスター>いないじゃんよ。まぁ普通は【戦士】やら【魔術師】やら、オーソドックスなジョブになりたがるらしいし、【軽業師】なんてマイナージョブを最初に選ぶなんてやつそうそういないじゃんかね。そうなるとあたしって異端? 異端異端ってそれ言いたいだけじゃんねって言ってるやつ見るたびにあたし思うわー。

 ていうかこれマジであたしの<エンブリオ>が軽業向けにならないよね? さすがのあたしもそれはノーサンキューじゃんよ。大多数と同じように戦闘職に就くつもりはないけど、戦うつもりは無いなんて一言も言ってねーし。せめてなにかしら戦う手段はほしいじゃんね、あっちゃんの<エンブリオ>はあんなだったし。

 せめてあれなー、当面【軽業師】のままでも敵倒せるような<エンブリオ>がいいじゃんね。それもどんなスタイルでも腐らないような。とりあえずそんな感じになるよう心の中で祈っとこ。便利なやつ便利なやつ便利なやつ――。

 

 っとやべ、もうリアルじゃ何時間か経ってたみたい。

 アナウンスが来てるじゃんね。ちょうどこっちも休憩時間だしちょっくらログアウトしてくるじゃんよ。

 あっちゃんとこの晩飯に突撃隣の晩御飯ーって、晩飯と晩御飯て被ってんじゃんね。

 

 ◇

 

 まさかセレブなお家のおゆはんでギョーザ出てくるとは思わなかったじゃんよ。

 まぁすんげー美味いからいいけど。いい肉使ってんじゃんよ。いい肉ってどういう肉なのかあたし知んねーケド。

 

 ◇

 

 ほいもどり。練習再開じゃんよ。

 って思ってたらだんちょーに呼び出された。前座をやってみないかって提案じゃんね。

 なんでもあたしの軽業は見習い卒業には十分らしいから、ここは一発本番やってみっかっていうだんちょーの憎い心遣いってワケ。

 つってもメインキャストが出張るような大舞台じゃなくて、席料も安い中堅以下の小規模舞台の前座らしいけど。それでも入門一週間も経ってないあたしにすれば大抜擢じゃんね。

 もちろん即OKよ。やることは今までの練習でやった内容ばっかだし、万が一にも失敗するなんてあり得ないじゃんね。

 そんなこんなで了承したらそれがクエスト開始の合図になったみたいで、この一座を含む【芸能】ギルドのクエストとして正式に受理された。

 成程、これを達成すれば経験値とお金が報酬として手に入るわけか。こりゃますます受けるっきゃないじゃんね。

 

 本番は三日後。それまでに出来るだけジョブとスキルのレベルを上げるために、より一層の猛練習を課されることになった。

 でも三日かー。そこまで練習漬けってのはさすがに腐りそうじゃんよ。ぼちぼちあたしもバトルしたーい!

 そうごねたら「……こいつなら大丈夫か」って感じにOK貰えたぜ、いぇい。まー投げナイフがいくつかあれば戦えないことはないじゃんね、ステもAGIとDEXは伸びてるから当たらなきゃどうってこたぁないっしょ。

 だんちょーの厚意で戦闘用投げナイフを何セットか貰えた。あと初期装備よりはマシって程度の軽装防具一式も。

 マジで至れり尽くせりじゃんね。いいの?って訊いたら「お前には期待してる」なんて言われて、「これは先行投資だからな、しっかり鍛えてじゃんじゃん稼いでくれよ」とまで言われた。

 とんだツンデレじゃんね、こうも貸しを作られたらあたしとしても返さざるを得ないじゃんよ。こうなったらだんちょーが満足いくまで付き合ってあげるから、こっから先もどんどんあたしに貢ぐじゃんよっつったら、調子に乗んなってゲンコツ食らっちった。

 こっちのだんちょーはなかなか容赦無いじゃんよ、嫌いじゃないけどね。

 そんなわけでデンドロ時間数日目にしてようやく初戦闘じゃんよ。長かったなーマジで。

 

 ◇

 

 だんちょーに教えてもらった初心者向け狩場に到着じゃんよ。

 つっても龍都のすぐ外だけど。あちことで他の<マスター>がザコ敵相手に戦ってるのが見えんね?

 いろんな武器を使って戦ったり、オトモっぽいモンスターに任せて戦ったり、見た目よくわかんないナニかで戦ったり、あれが<エンブリオ>ってやつなんかね? 見ててけっこー飽きないじゃんよ。

 個人的におもしろいなーって思ったのは、マジックハンドっぽいのと竹馬っぽいのを使って戦ってたあたしと同じくらいのチビっ子じゃんね。見てて危なっかしいくらいふらふらしてたけど、あれでも一応武器なのかみょいーんって伸びてモンスター倒してた。

 あんなんも<エンブリオ>なんだねーとか思いながら、狩場の外れに移動。あんま人集まってるとこで戦っても、投げナイフが誤射ったらトラブルの素じゃんね。そんくらいあたしだって気ぃ使うってのさ。

 そういうわけで獲物はっけーん、そのまま戦闘開始じゃんよ。

 

 ◇

 

 で、終了。所感はというと、まぁザコ敵だよねって感じ。

 練習で事前にAGIとDEXは上げてきたし、いきなり戦闘突入してったプレイヤーとは違ってかなり余裕を持って対処できたってとこかなー。

 投げナイフも割りと百発百中だったしね。いや百発も無いし全部急所狙いとかは無理だったけどさ、とりあえず当たればセーフの判定だけど。

 まーでも投擲武器ってちょい不便ね。遠距離攻撃できるのはいいけど投げたら拾いにいかないといけないし。連戦になると手持ちが無くなってちょこっと危なかったりしたしね。

 それに投げたのを見失ったりして必ずしも拾えるわけじゃないし、やっぱ消耗品使うのはめんどいなーって思ってたら、ついに来ましたよ孵化の時が。

 あたしの左手に埋まった卵型の宝石が消えて、代わりに"枯れた亡者"っぽい紋章が現れて――それだけ?

 武器とかモンスターがぶわーって出るんじゃなくて、紋章が刻まれて終わりじゃんよ。こういうときはステータスだぁね。

 

 えーと、なになに? ……あー、なーるーほーどーねー。こりゃ確かに腐らないけど、ある意味腐ってるっていうか、我ながら変な<エンブリオ>じゃんね。

 あたしの物臭っぽい性格がちょこっと出てる感じがするじゃんよ。まぁでも確かにこりゃ便利だわ、これなら武器も要らないし戦闘用ジョブにわざわざ切り替える必要も無いじゃんね。

 つってもあれか、MPは食うからペース配分はちょいちょい考えないとか。特性的にそうそう息切れはしないだろうけど、あとはどれくらいの効果なのかを見てみないといけないじゃんね。

 とりあえず今は消耗無いし、もうちょい雑魚狩り続けてみっかー。

 

 ◇

 

 結論。まーそこそこ時間掛ければいけんじゃね? つってもこれ性質的にタイマンじゃ効率悪いじゃんね、もっと湧きが多いとこじゃないと勿体無い気がする。

 んー……いけっかな? 当たらなきゃどうってことないし、この辺の敵見た感じ、相当油断してなきゃ当たんないっしょ。

 つーわけでもうちょい離れたとこまで移動だ移動ー。

 

 ◇

 

 結論二度目。ま、あたしならいけんね。包囲されたときはちょい焦ったけど、避けまくってたらどーとでもなったわ。

 一回だけ格段に強い中ボスっぽいのが出てきたけど、運良くそいつは鈍足だったからダッシュで逃げきれたわ。

 何十匹か倒したおかげでレベルも一気に上がったし、これならジョブレベルのカンストはすぐじゃんね。スキルレベルは上がんなかったから練習しなきゃだけど。

 んー……スキルレベルとジョブレベルは同じタイミングでカンストさせるほうが効率良いじゃんね。

 練習と狩りを上手いことペース配分して、本番までに仕上げときたいところかなー。本番終わったら転職して他のジョブ上げれたらいいじゃんね。

 どういうジョブがあんのか掲示板覗いてみっかー。

 

 ◇

 

 一座に戻ってだんちょーに報告したらすんげー驚かれた。

 んで狩場から外れんなってまたゲンコツもらっちった。どうやら心配かけちゃったみたいじゃんね、ここは素直に謝るが吉ってことでごめんねっつっといたよ。

 「これだから不死身の<マスター>は……」って呆れてたけど、いやー悪いね。命が一つしかないティアンと違って何度でもリトライできる<マスター>って、やっぱめっちゃ理不尽じゃんね。チートだチート。公式仕様だから違うケド。

 なんだかんだ言いながらまだ面倒見てくれてるだんちょーって、実は相当お人好しじゃんね。ぶっちゃけ都合良すぎて逆に心配なるわ、詐欺られとかしないでよ?

 とりま今日のところはログアウトログアウト、風呂入ってもう寝なきゃ。

 

 ◇◇◇

 

「ふぃーお風呂ごちそーさん。やっぱあっちゃんとこちょー広くてきもちーね」

「ひとりだと広すぎてさみしいから、よかった」

「ベッドもふかふかでさいこーじゃんね。で、どうだった?」

「ん、順調……()()()()も増えた。けど、パーティ枠がもういっぱい」

「あー、六人までなんだっけ? どーすんの?」

「もーまんたい。【カタログ】ゲットしたから……」

「モーマンタイとかあっちゃんネタ古すぎんじゃんね。【カタログ】って?」

「【適職診断カタログ】……音声質問で上級職までなら就職条件がわかる」

「うっわめっちゃアドバンテージじゃん。けっこーレアなんじゃね? それ」

「たぶん。周りで持ってる人いなかったし。……ちょっと難しめのクエストの報酬」

「どうやってクリアしたんだかねー。で、何にすんの?」

「【死霊騎士】。【大死霊】と迷ったけど、こっち。《部隊指揮》あるし。でも他の下級職就いて穴埋めもしとくべきかな……」

「もうスタイル決まってんのね、やるねーあっちゃん。あたしはどうしよっかなー……あ、あたしも【カタログ】でなにかわかんないかな?」

「音声案内だから……実際に使わないと難しい、かも? ねこちゃん、言うこところころ変わるから代わりに訊くのむずかしい……」

「まーじかー。しゃーね、おとなしく【軽業師】上げとくかにゃー」

「でも派生職でもなければ、大体のジョブはストレートに上級になれるみたいだから。そのまま上げてけばなれるかも? ていうか、ねこちゃんとこの一座に上級職の人いないの?」

「……あ、そっか。メインの人とかふつーに考えてもっと上手いじゃんね。そっかそっか、つーかだんちょーが絶対知ってんじゃんよ。とーだいでもくらしーだわー」

「灯台下暗し……」

「どっちでもいいじゃんね。ところで明日創立記念日だけど、どうすんの?」

「もち、デンドロ漬け……今日は泊まってく? 一緒にやろ」

「お風呂もご飯もいただいてこちとら寝泊まりしていく気満々じゃんね。今更家返されても困るっつーの。まま、おっけおっけ。宿題もバッチ終わらせたし、向こうで遊びまくるじゃんよ」

「んふ、たのしみ」

「つっても向こうじゃ国別だし、リアルだと並んで寝てるだけどさー。よく考えれば国決める前に聞いときゃよかったね」

「ねこちゃんそそっかしいから」

「あっちゃんはのんびりしすぎじゃんね。とりまおやすみー」

「おやすみ……」

 

 やっぱここのベッドは最高じゃんね。

 うちのせんべーぶとんとは段違いじゃんよ。

 




文体も作風も違うけど、不思議と書いてて楽しいです。
まぁ違いすぎて別作をご覧頂いてる読者の皆さん置いてけぼりな気もしますが。

あっちゃんは狩ゲーとかでレア素材に苦労しないタイプ。
リアル筆頭ルーキー体質。そしてゲーマー。

主人公はじゃんじゃん言い過ぎじゃんよ。
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