「なあ。聞きたいんだがスキルの習得ってどうやるんだ?」
カエル討伐の翌日。
遅めの昼食を一心不乱に食べるめぐみんを横目に、和真はそんな事を聞いてきた。
「スキルの習得ですか?そんなもの、カードに出ている、現在習得可能なスキルってところから・・・ああ、カズマの職業は冒険者でしたね。初期職業と言われている冒険者は、誰かにスキルを教えてもらうのです。まずは目で見て、そしてスキルの使用方法を教えてもらうのです。すると、カードに習得可能スキルという項目が現れるので、ポイントを使ってそれを選べば習得完了なのです」
「・・・高位のモンスターのみが持つことのあるレアスキルも習得可能・・・かもしれない・・・らしい・・・」
「へえ・・・もしかして冒険者って意外と凄い?」
めぐみんの説明に俺が付けた補足に、和真はどうやら興味を持ったようだ。
「でもそんな高位モンスターにスキルを教わるなんてまず無理よ。言葉を喋るくらいならあり得るけど、そういうのは大体人間を見下してるわ。それで何とかスキルを教わっても、本当に習得可能になる保証は無いし、どれだけスキルポイントが必要なのかも分からないわ」
「ああー・・・でも爆裂魔法なら使えるのか?」
「その通りです!」
和真の何気ない一言に、めぐみんは即座に反応する。
「その通りですよカズマ!まあ、習得に必要なポイントはバカみたいに食いますが、冒険者は、アークウィザード以外で唯一爆裂魔法が使える職業です。爆裂魔法を覚えたいならいくらでも教えてあげましょう。というか、それ以外に覚える価値のあるスキルなんてありますか?いいえ、ありませんとも!さあ、私と一緒に爆裂道を歩もうじゃないですか!」
「ちゃ、落ち、落ち着けロリっ子!つーか、スキルポイントってのは今2ポイントしかないんだが、これで習得できるものなのか?」
「ロ、ロリっ子・・・⁉」
ショックを受けているめぐみんをよそに、和真に尋ねられたアクアが答える。
「冒険者が爆裂魔法を習得しようと思うなら、スキルポイントの10や20じゃきかないわよ。十年くらいかけてレベルを上げ続けて一切ポイントを使わず貯めれば、もしかしたら習得できるかもね」
「待てるかそんなもん」
・・・参考までに、めぐみんはどれだけのスキルポイントを使ったのだろうか?
「ふ・・・この
どうやら子供扱いされたのがもの凄くショックだったらしい。ちなみに後日改めて聞いたところ、彼女は50ポイントものスキルポイントを使って爆裂魔法を習得したそうだ。どうやら彼女は故郷の魔法学校(なんとも『幸運の双子』が喜びそうな施設だ)を首席で卒業する程の天才らしく、それでこの数値なら、知力が若干高い程度の和真では三桁くらい使いそうだ。
「なあアクア。お前なら便利なスキルたくさん持ってるんじゃないか?何か、お手軽なスキルを教えてくれよ。習得にあまりポイントを使わないで、それでいてお得な感じの」
今度はアクアに頼り始めた。まあ、アークプリーストは神聖属性を中心に多彩な方向性のスキルを習得可能だ。スキルを教わる相手には十分過ぎるくらいだろう。
「・・・しょうがないわねー。言っとくけど、私のスキルは半端ないわよ?本来なら、誰にでもホイホイ教えるようなスキルじゃないんだからね?
じゃあ、まずはこのコップを見ててね。この水の入ったコップを自分の頭の上に落ちない様に載せる。ほら、やってみて?
さあ、この種を指で弾いてコップに一発で入れるのよ。すると、あら不思議!このコップの水を吸い上げた種はにょきにょきと・・・」「誰が宴会芸スキル教えろっつったこの駄女神!」
「ええーーーーーーー⁉」
なんでアクアはこの流れで宴会芸を教えようと思ったのか。
「じゃあ聖、お前たしか昨日の夜に中級魔法って習得してたよな?それ頼む」
とうとう俺か。確かに昨夜、俺は初期ポイントの余りも使って『中級魔法』スキルを習得した。
見習いが魔法の練習に使う『初級魔法』も考えたが、現状では安定した火力が少ないためにこちらを選ぶことにした。
ひょっとしたら初級魔法からの方がいいのかもしれないが、まあ教えない理由も無いだろう。俺はギルドの裏手にある空き地で披露することにした。
「まず、体内の魔力を認識する。
使う魔法に合わせて、それを纏める。
そして、放つ。
・・・詠唱も覚えないといけない」
そして俺は、習得した魔法を発動して見せる。
人間の頭ほどの火球を放つ『ファイアーボール』、小さな鉄砲水で敵を押し流す『ウォータービーム』、風のバリアを発生させる『ウィンドカーテン』、石の手で敵を押さえこむ『ストーンバインド』。これ以上の魔法となると、中級魔法の熟練度や専門性の高い魔法スキルの習得が必要になってくる。まあ中級魔法の習得だけならこれでいいだろう。
「これだよこれだよ。何に使うのかも分からない奴とか使い勝手の悪すぎる奴じゃなくて、こういう普通にかっこいい奴を・・・」
意気揚々とスキルを習得しようとする和真の手が止まる。
「・・・ポイントが足りねぇ」
和真のなけなしのポイントでは中級魔法には足りなかったようだ。しかし俺が使えるスキルで直接戦闘に関われるのは、低い練度ではまともな戦闘に不向きなゴーレム関係と『罠作成』くらいだ。どちらも一通り見せておいたが、本来なら攻撃に使う類のスキルではない事を言い含めておいた。防衛とかなら普通に使えるのだが・・・
そうしていると酒場の方から二人の女性が歩いて来た。
一人は頬に小さな十字傷を持つ、銀髪のボーイッシュな風貌で軽装の少女。もう一人はTheが付きそうな程に騎士らしい出で立ちの金髪の女性。金髪の方は王族の警護とかにいても違和感の無い立派な装備だが、有名な冒険者が里帰りにでも来たのだろうか?
「ねえ、キミがダクネスが入りたがってるパーティーの人?有用なスキルが欲しいんだろ?盗賊スキルなんてどうかな?」
銀髪の少女か口を開く。たしか昨日、俺達が先に帰っている間に『性格とかに問題のあるパーティー加入希望者』が来たので帰らせたそうだが、その人の知り合いだろうか?
彼女が言うには、盗賊スキルには使えるものが多く、必要なポイントも少なめらしい。
彼女にクリムゾンビアを一杯奢るのと引き換えに、和真は彼女から盗賊スキルを教わる事になった。
そしてその間、俺達は暇になる。
中級魔法の練習でもしようか、と思ったところ、アクアの元に何人かやって来ていた。
「オイオイあんた・・・さっきあの冒険者の奴に教えようとしてたのって、宴会芸スキルか?」
「そうだけど・・・あなた達も教えてほしいの?」
なんでさ。
「バカ言っちゃいけねえ!ここは駆け出し冒険者の街だぜ?お前たしか冒険者登録したのが二週間前くらいだったか?それでよく宴会芸なんて取ろうと思えるな!」「冒険者を舐めてんのか?」「というか宴会芸スキルなんてあったのかよ・・・」
ごろつき達の正論が耳に痛い。
「宴会芸スキルをバカにするのね?いいわ・・・私の芸であなた達をギャフンと言わせて見せるわよ!」
そういうつもりじゃないと思う。
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これが――――Amazingか――――
感嘆にふけっていると、後ろから肩を叩かれる。振り返って見ると、涙目になったさっきの銀髪の女性を連れた和真がいた。
和真に事情を聞くも、彼より先に金髪の女性が答えた。
「うむ、クリスは、カズマにぱんつを剥がれた上に有り金毟られて落ち込んでいるだけだ」
何?お前はヒキニートと偽り、実は愉快なアホのせえとかいちょおだったのかZOY⁉いや、あり金毟るとは柊さんもやらなかった蛮行・・・ゲスマだったか・・・
「おいあんた何口走ってんだ!待てよ、おい待て。間違っていないけど、ほんと待て」
和真曰く、《敵感知》と《窃盗》を習得した自分がクリス(銀髪)と勝負をする事になり、自分は財布をスティールされ、クリスからスティールした物とその財布を交換する事になった。その結果、自分はクリスのぱんつをスティールし、それをクリス自身の物も含めて二つの財布と交換した、という事らしい。
・・・やはりアホのせえとかいちょおだった!
「公の場でいきなりぱんつ脱がされたからといって、いつまでもめそめそしててもしょうがないね!よし、ダクネス。あたし、悪いけど臨時で稼ぎのいいダンジョン探索に参加してくるよ!下着を人質にされてあり金失っちゃったしね!」
「おい、待てよ。なんかすでに、アクアとめぐみん以外の女性冒険者達の目まで冷たい物になってるからほんとに待って」
これは自業自得・・・なのだろうか?最初に勝負を仕掛けてきたのはクリスだし、和真はそのルールに則って勝負を受けた・・・でも意図した事ではないとはいえクリスはぱんつを奪われた・・・うーん?
「このくらいの逆襲はさせてね?それじゃあ、ちょっと稼いでくるから適当に遊んでいてねダクネス!じゃあ、いってみようかな!」
言いながら、クリスは冒険仲間募集の掲示板に行ってしまった。
・・・結局、誰も得していない様な気がする。いや、和真はスキルを覚えたし、クリスはお酒を奢ってもらった。しかし二人とももっと大事なものを失ってしまったのではないだろうか。そもそも何故二人は争わなければならなかったのか。悲しいねバ*ージ・・・
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君咲学院3-B所属。黒髪姫カットのちびっ子。文芸部の部長であり、君咲学院の生徒会長である。
前生徒会長から唐突に生徒会長の役職を任された経緯があり、最初は彼女に対する不安が多く、メインストーリーの『生徒会長再任選挙』という騒動が発生した。彼女なりに生徒会長たらんと努力した。
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君咲学院2-B所属。グレーのショートカットに『しゅうくん』という名前のほっかむりを被っている。ラクロス部所属。
自称『世紀の大悪党』。同じくラクロス部のクー・カロア、