「なあ、聖って日本ではどんな感じだったんだ?」
酒場でめぐみん、ダクネスを待っていると、唐突に和真がそんな事を聞いてきた。
「ほら、俺達って、曲がりなりにも同郷って事になるだろ?せっかくだしお互いに理解を深めようかと思ってな・・・」
成程、そういう事か。しかしどこから話すべきか・・・
「・・・両親の都合で、引っ越しが多かった。転校も多かったな・・・後、姉さんがいる」
「へぇ・・・もしかしてその姉さんもお前みたいな・・・無口な感じだったりするのか?」
「そうだな。たまに何を考えてるか分からなくなる事もあるが・・・今は楽しそうだ」
そうなるのも直近ではもう一年も前になるが・・・
~~~~~回想~~~~~
ドンドンドン!~♪~♪
聖「・・・・」コンコン
・・・ガチャ
男性アイドルの服に覆面を被ったあんず「・・・♪」クルッ・・・ターン☆
「・・・・」「・・・・」
・・・バタン
バァン!ガシッ、ブンブンブン!
あんず「・・・!」
聖「・・・⁉」
~~~~~~~~~~~~
結局あれが何なのかは『DDD』当日まで分からなかったが、これで無口を改善しない辺りが俺達か。
「俺は一人っ子だったから、妹とか欲しかったなぁ・・・可愛くて、俺のことを尊敬してくれて、面倒見の良い妹」
「贅沢な・・・それと、姉さんとは血が繋がってない」
「血の繋がってない義理の姉とかどこのギャルゲーだよ・・・一応聞いとくけどあくまで普通の姉弟と同じような関係なんだよな?」
ふむ。俺達の関係は普通の姉弟とは違うものだろう。
『皆が笑顔でいられる場所』を理想とした姉さんと、それに賛同し同じ理想を持った俺。強いていうなら俺達の関係は・・・
「・・・同志?」
「同志⁉」
案の定困惑させてしまった。
和真が案じたのであろう恋愛感情は俺達には無い。『行き遅れるようなら貰ってやらんでもない』という親愛の情はあるし姉さんも同じなようだが、夢ノ咲学院の生徒が時折顔を見せる彼女のプライベートを見るに問題無いだろう。
「・・・・・・で、もうひとつ・・・いや、むしろこっちが本命なんだが、お前なんであんな高いステータス持ってんの?後、スキルも妙に沢山あったし。あれか?お前のいた日本はメ*テン的な世界の事だったりする?」
メ*テンはよく知らないが悪魔を召喚して共に戦う奴だったか。俺の地元はそんな恐ろしい世界では・・・
・・・あっ。
「オイオイ、何か思い当たる事でもあったのかよ。俺達の世界は魔界とでも繋がってたのか?」
と、その時、今まで会話に入れなかったアクアが突然表情を変えた。大事な事を忘れていたのを今になって思い出した、といった顔だ。
「あー・・・うん、サトシの故郷は確か、アレよ、ちょっと霊的にヤバいというか、普通じゃないというか・・・まあアレよ。今はそこまで危険なわけじゃないはずだから、うん。大丈夫・・・よね?」
俺に聞かれても困る・・・そして唐突に下った曖昧な神託にどんな反応をすればいいのかも分からない。あっちは本当に大丈夫なのか?
「どんな場所なんだよ!というか、そんなフラグ立てて本当に危なくなったらどうすりゃいいんだ・・・」
「だ、大丈夫よ!少なくとも私達は大丈夫!なはず!女神の力と第六感を使えば、万一の事があってもサトシについては早期に沈静化できるから!」
「沈静化⁉それって何か?暴走でもするのか⁉」
自分に心当たりは全く無いが、どうやら俺の中に眠る何かが災厄をもたらしかねないらしい。突拍子も無さすぎて現実感が湧いてこないが、翼の折れた
そんな事を考えていると、少し離れた所から話し声が聞こえてきた。それだけなら別に何を気にするでもないのだが、
「おい、聞いたか?街の近くにある古城、あそこが今ヤバいらしいぜ・・・」
こういった情報は重要だ。俺達は今や命懸けで日々を生きる冒険者だ。危険なモンスターの情報やその避け方等、様々な情報を持っておく事は生存率に直結するのだ。
・・・まあ、和真からの受け売りだが。
「ん、カズマにお仲間さんか・・・この街からちょっと登った丘の辺りに古い城があるのは知ってるか?実はな、そこを魔王軍の幹部が乗っ取ったらしいぜ」
「マジかよ・・・おっかねぇ話だな」
魔王の元には8人の幹部がいて、人間には到底破れないほどの強固な結界をもって魔王城を守っているというのは、少し調べればすぐに分かる事だ。魔王がその結界を出たという様な話は無く、単体でも凶悪な魔王軍幹部を全て倒すのは必須事項といっても過言ではないだろう。
・・・だが、
「魔王の幹部ねぇ。物騒な話だけど、俺達には縁の無い話だよな」
「
ここは駆け出し冒険者の街。俺達と話す彼らはそんな強敵と十分に戦えるほど力も装備もないし、俺達も同様だ。
転生して来た日本人はそれを補うための超強力な装備や能力、和真の言う『チート』を持ってこの世界に来るのだが、和真が連れてきたアクアはあの始末。俺の能力も未だ全容を掴みきれているとは思えない。
能力を選んだ場合はその使い方も分かるらしいのだが、先ほどアクアが漏らした不吉な話を考えると物凄く不安だ・・・
「ま、何にせよ。街の北の外れにある廃城には近づかない方がいい。王国の首都でもないこんな所に、何で魔王の幹部がやって来たのかは知らないがね。幹部ってからには、オーガロードやヴァンパイア。はたまた、アークデーモンかドラゴンか。いずれにしても、俺達があったら瞬殺される様な化け物が住んでるのは間違いない。廃城近くでのクエストは、しばらく避けた方が無難だな」
「そうだな・・・いい話が聞けたよ。ありがとうな」
男に礼を言い、ネロイドのシャワシャワなる謎の飲み物を一杯彼らに奢って席を離れる。
アクアのいた所を見ると、待っていた二人は立ち話の間にギルドに来ていたらしい。アクアも入れた三人で野菜スティックをかじっていたが、彼女達の表情は何処となく不安そうだ。
「・・・どうした?俺達を、そんな目で見て」
「別にー?カズマが、他のパーティーに入ったりしないか心配なんてしてないし」
「・・・?いや、情報収集は冒険の基本だろうが」
和真は取られまいと身をかわす野菜スティックに気をとられているが、アクア達三人はどうやら和真のパーティー脱退を危惧しているらしい。
露骨に不満げなアクア。浮気した亭主でも見るかの様な目で睨むめぐみん。勝手に興奮しているダクネス。思い思いに怯まされつままれる野菜スティック。
「・・・・・・・・だあああああらっしゃああああああああ!」
・・・まあ和真の怒りもやむなしだろう。
俺は和真が壁に叩きつけようとしているコップから高速で野菜スティックを二本抜き取り、一本を和真に手渡す。野菜スティックはそれでも尚逃げようとしていたが、流石に握られた状態から和真の手を避けるのは無理だったらしく、彼(仮称)は和真の口の中に消えていった。
「お、おう・・・スマン・・・というか今更突っ込むのもなんだが、何で野菜が逃げるんだよ。ちゃんと仕留めたやつを出せよ」
「なに言ってんの。お魚も野菜も、何だって新鮮な方が美味しいでしょ?活き作りって知らないの?」
食べるのに苦労するほどの活きの良さって食べ物としてどうなのだろうか。
「まあ、野菜については今はいい。それよりお前らに聞きたい事があるんだよ。レベルが上がったら、次はどんなスキルを覚えようかと思ってな。ハッキリ言ってバランスが悪すぎるからなこのパーティーは。自由の利く俺が穴を埋める感じで行きたいんだが・・・そういや、お前らのスキルってどんな感じなんだ?」
そういえば皆が具体的にどんなスキルを持っているかはまだ聞いたことが無かったな。
「私は《物理耐性》と《魔法耐性》、各種《状態異常耐性》で占めてるな。後はデコイという、囮になるスキルくらいだ」
とダクネス。《両手剣》の様な武器スキルを覚える気はないらしい。彼女の高いステータスでの攻撃がまともに当たるようになると、彼女の性癖が満たせないからだそうだ。
君咲学院にいた
「私はもちろん爆裂系スキルです。爆裂魔法に爆発系魔法威力上昇、高速詠唱など。最高の爆裂魔法を放つためのスキル振りです。これまでも。もちろん、これからも」
「・・・どう間違っても、中級魔法スキルとかは取る気はないのか?」
「無いです」
控え目に言って彼女は馬鹿だろう。だがその馬鹿さ加減が俺の琴線を刺激する。常識や一般論に中指を立てるような生き方だが、俺はそれが好きなのだ。
―――それはそうと、《最大魔力上昇》などのスキルがあれば爆裂魔法の反動も軽減できると思うのだが、めぐみんとしてはそれはどうなのだろうか。
「《最大魔力上昇》ですか。確かにそれなら爆裂魔法につぎ込む魔力を多くできるでしょう。しかし私は思うのです。『レベルが上がれば魔力量も増える。だからそのスキルは取らなくてもいいのではないか』と」
「大馬鹿かっ!」
「えっと、私は・・・」「お前はいい」
「ええっ!!」
アクアのスキルは省略されてしまった。でも宴会芸しか見せない気はするが。
「・・・《クリエイト・ゴーレム》系列と《クリエイト・メタル》に、裁縫とかの各種生産スキル。後は《格闘》、《筋力強化》に・・・色々」
「・・・登録の時も思ったけど多くね?確かお前のレベルって俺より下だったと思うんだが」
高い水準で得た技能がスキルとして登録されることはある。俺の場合は日本(というか君咲学院)で色々と実践しまくっていたのがあるのだろう。
とりあえず、冒険者カードを差し出して色々を確認してもらうことにする。まあ、冒険には活用できないようなスキルだから省略したのだが。
「なんというか・・・ダクネスより前衛できそうな感じになってるな」「⁉」
「強敵相手なら、ダクネスの方が丈夫」
ダクネスが今までにないレベルで怯えているが、強力な力を持つ一体の敵を相手にするなら彼女の力はぜひとも欲しいところだ。捨てる気にはなれない。
「そうは言ってもここは駆け出し冒険者の街だぞ?どんな強力モンスターがこんなところに・・・」
「・・・魔王軍の幹部」
「ああー・・・でも普通に考えて相当な強敵だろ。俺達全員レベル2桁もない程度の駆け出しだぞ?そんな俺達じゃあそれこそ瞬殺される」
―――とりあえず受付に行こう。そろそろキャベツ収穫の報酬がある筈だし、何か聞けるかもしれない。
強敵の予感にそれぞれに思いを馳せる俺達は、例によって行列のできているルナさんのところに並ぶことにした。
オリ設定ぶっこみました。まだ全体を説明した訳ではないのですが。暴走とかは一応しない予定。
・
君咲学院3-B所属。腰まで届く茶色のロングヘアを団子にしている。
風紀委員長でゲス。弱者を踏みにじるのが好きで、風紀委員として校則違反者をねちねち
妾の子だとかママを馬鹿にした奴らを這いつくばらせてやるとか何とか複雑な家庭環境。一緒に
・DDD
『あんさんぶるスターズ!』におけるメインストーリーで行われるイベント。今後の事業展開に向け、夢ノ咲学院の代表となるユニットを決めるためにそれぞれ競い合う。
回想シーンの頃は、生徒会長の