この素晴らしい世界にアンサンブルを!   作:青年T

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 エイプリルフールなので初投稿です。時系列?考えるな、感じろ。


もしもこのすば世界にあんな子こんな子が召喚されたら

「なあ聖、ふと思った事があるんだが・・・・」

 

 ある日、仲間である佐藤和真は不意に俺に問いかけた。

 

 ―――何だ?

「お前のいた学校の知り合いの事とか、お前たまに話してるだろ?もしそいつらがこの世界に召喚されてたら、どんな感じになってたと思う?」

 

 何てことはない。ただの休日の暇つぶし程度の話題だったか。

 しかし君咲学院の生徒はまあ、ピンからキリまでというか、ううん・・・・・・

 

「色んな人がいるから・・・・・・とりあえず、今のパーティーに追加する感じで、濃いのを何人か」

「そんな濃いのが何人も!?」

 

 まずはそうだな・・・

 

 

 ~~~~山條(さんじょう)ぎん~~~~

 

 あの人は剣道をやってて、本物の日本刀も持ってる・・・詳しい数は知らないけど、後輩にちょっとあげても問題ないくらいにはあるんじゃないか?

 

 運動能力も高いから、多分職業はソードマスター辺りになると思う。あの人実戦もできる方だし・・・

 

 まあ、美人だし、胸ぇ・・・・とかもけっこうある。見た目は美人なんだが・・・・・・その・・・・あの人も少々マゾというか・・・・

 ああ、ダクネスみたいな感じとは微妙に違う。普段は飄々(ひょうひょう)とした感じだ。ただ・・・自分に匹敵するような強者が相手だと言動がマゾになるというか・・・・うん、たまに強敵相手に抜刀したりする以外には問題ないな。

 問題ないわさ!

 

 ~~~~~~~~~~~~

 

 

「いやいやいや!抜刀するのはどう考えても問題だろ!」

 ―――・・・・・・ハッ!

「さては感覚麻痺してたなお前!」

 

 不覚だった・・・・まあ、次行こう次。さっきは山條先輩だったから、剣道部繋がりで・・・

 

 

 ~~~~神樹(こだま)いちか~~~

 

 剣道部の常識人だな。

 君咲学院の剣道部は、さっき言った山條先輩が部長だったんだが、その教えを受けた副部長もわりと一般的な剣道部を逸脱してるというか・・・・・まあ、そのいちかちゃんがツッコミ担当と考えてくれれば問題ないな。うん。

 

 あいつの事を語るなら、まずはそのシスコンぶりから話すべきか?

 あいつの姉、はじめさん、って言う人が同じ学校にいたんだが、はじめさんは美人で弓道が上手く、占いも得意と、校内でも有数の有名人でな・・・正直お姉ちゃん大好きになる気持ちもわかる。

 そんなお姉ちゃんが文化祭で猫耳メイドをさせられた時は・・・・うん、あいつに気をとられて俺はリアクションとれなかった。

 

 でも・・・・あいつ、どうも悪霊の(たぐい)に憑かれやすいんだよな。俺が知ってる限りでは二回・・・いや、三回か?普段は明るい良い子だけど、そういうものに取り憑かれたら急激に危険になる。俺達がこの世界に来たばかりの頃は共同墓地の浄化もされてなかったし、わりと本気で危ないな・・・・

 

 あいつゲームとか好きだから、ひょっとしたら和真とも話が合うんじゃないかとも思ったけど・・・・・やっぱ来なくて良かった、かな?あの辺りは何やら霊的に危険な場所っぽいし、こっちと比べてどれくらい危険かはよく分からないけど・・・

 

 ~~~~~~~~~~~~

 

 

「属性盛りすぎかよ・・・・せめて霊媒体質を無くしてくれれば歓迎したいくらいだが」

 

 あいつもあいつでけっこう可愛いからな。でも幽霊云々は専門外・・・・・・あ、アクアがいるじゃん。

 

「それじゃあさ、いっそこっちに来たら一番困るようなのって誰だ?やっぱ前に言ってた・・・クロシェットさん?」

 

 すず姉は困るというか、むしろ名誉紅魔族にでもなりそうだが、こっちで困るようなのはやっぱり時国先輩・・・いや、あの人がいたか。

 

 

 ~~~~御影(みかげ)かすみ~~~

 

 一番困るのは御影先輩だな。

 

 あの人は料理研究部の部長で、料理の腕はいっそ凄まじいくらいなんだが・・・あいつ、異様に味にうるさいんだ。

 どのくらいか?そうだな・・・あの人が認めるくらいに美味しい料理じゃないと飲み込む事もできないくらい。駄目だったら『ぺっ!』って吐き捨てられるぞ・・・・文字通り。

 そんな訳で、昔は骨と皮しかないレベルでガリガリだったらしい。食べられるものがほとんど無くてな。満足できる料理を自分で作れるようになるまでは苦労したらしいが・・・詳しくは聞いてない。

 俺の姉さんも面識があったらしいんだが、わりとグラマラスな感じになってた先輩が名前を名乗ったらものすごく驚いてたな。

 

 で、多く摂取できないカロリーを温存しながら生きるようにしてたら、一挙一動がスローペースな感じになってしまってな・・・弁当を学校の中庭で食べようとしたら小鳥に食べられてた、なんて事もあったな。

 戦闘なんてできそうにない。攻撃を受けそうな時ならひょっとしたら避けられるかもしれないけど、動かないで倒せる敵なんてどれだけいるのか・・・

 

 ・・・・・・でもあの人、謎の技術を持ってるというか、幽霊に干渉してるっぽいんだよな・・・前に峰山先輩・・・ああ、同じ学校の、文学好きの変人、というか・・・・まあ、その人との会話をつい盗み聞きしちゃった事があるんだが、どうもあの人、地の底にあった怨念に何かして、問題がないようにしたみたいな事を匂わせてたんだ。

 意味が分からない?安心しろ。俺も分からない。

 何にせよ、俺の学院生活はその後も保たれた。少なくとも俺の知る限りでは、ジャンルが日常ものからホラーに完全移行するような事態は起こってない。能力バトルなんて期待するだけ無駄だ。

 全て世に事も無し。その平穏がどういうものに守られているのか、なんて知る由も無いけど、こっちで御影先輩がステータスカードを作ったら未知のスキルとかが表示されるんじゃないか、とかは思う。

 

 ・・・・・・そっちも困るな。やっぱり御影先輩が一番困る。

 

 ~~~~~~~~~~~~

 

 

「何その・・・・・・何?本当に日本の事なのか?実はよく似た異世界って可能性は本当にない?」

「・・・違う世界だったらセットで転生はしないと思う」

「あ、そっか・・・・どうせなら俺も特殊な力とか欲しいけどな・・・」

 

 和真は今のままでも十分活躍できてると思うが、やっぱり力は欲しいものか。

 

「何というかさ、今の俺達の境遇って主人公みたいな部分があるだろ?せっかくだからもっと特別感とか出してちやほやされたい。後ぐうたらしたい。分かるか?」

 ―――まあ、分かるな。

 

「他に何かしらありそうなのは・・・・」

 

 

 ~~~~~色々~~~~~

 

 夢路まりあさん。あの運動神経だと冒険者とかできる気がしない。

 遠見ちかさん、冴木ももさん、etc・・・。一芸特化の天才肌タイプ。これも冒険者になれなそう。

 氷野くるみ。料理以外は癒し系が過ぎる。和真より流血に耐性ないかもしれん。料理は・・・うん、上手く言いくるめできれば投擲武器にはなるか?

 八朔つゆり。精神面はわりと強い方だと思うけど、いかんせん病弱だから不安。こっちの医学があの子にどれだけ通用するか・・・

 瀬川かえで先輩。ゲスい言動は仲間の頭を悩ませるだろうけど・・・和真なら気が合う可能性も・・・?

 北川ゆきちゃん。和真とポジションが被る。運動苦手ゲーム好き・・・あ、コミュ力の差は大きいか。

 双葉姉妹。アホの姉の方はすごいテンションになりそう。妹の方も何だかんだで楽しみそうだな。

 

 色々いるけど・・・まあ、ぱっと思いつくのはそのくらいか・・・・・

 

 ~~~~~~~~~~~~

 

 

「何でさっきから出てくる知り合いが女の子ばっかりなんだよ!?あれか?最近まで女子高だったのが共学になったところに入学したとかか!?」

 

 和真が不意に声を荒げる。

 

 ―――おお、流石和真、その通りだ。

「マジで当たってたよ・・・やっぱハーレムなのか?それともキャッキャウフフな感じで自分は傍観者に徹する感じか?」

「転校初日から下僕(げぼく)くんになった」

「下僕!?元女子高怖いな・・・・・・」

 

 そんな風にぼやいた和真だったが、ふとある事に気づく。

 

「そういやお前、わりと初期からアクアみたいな色物美少女に寛大な感じだったけど・・・」

「まあ、慣れてた」

「そっか・・・・・・そっかぁ・・・・・・」

 

 その日以降、和真が俺を見る目つきは若干優しくなった。


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