この素晴らしい世界にアンサンブルを!   作:青年T

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 さんざん時間をかけておいてこの程度の文しか書けなかった非力な私を許して欲しい・・・
 今回はDDD開催までは書かないでおこうと思ったけど、そしたら文章量が伸びず、気が付けば月末・・・本当に申し訳ない


天光聖のDDD

「聖戦の時だ・・・・!」

 ―――聖戦だな・・・・・!

「・・・あんた達、教室の入り口で何話してるのよ・・・聖戦って何?」

 

 2-Aの教室入り口で腕を合わせる俺とすず(ねえ)を見て、クラス委員長の堀田(ほった)さあやを含むクラスメイト達が困惑している。

 もしかしたらなつみから話が行ってるかもと思ってたけど、そうでもないらしい。

 俺は姉さんからスマホに送られたメールを表示して見せる。

 

『今度、夢ノ咲学院で大規模なライブがあるんだけど、私がマネジメントしてるユニットは敵勢力の卑劣な策でメンバーが集まれないという事態になってて裏工作の一つもしないと革命が起こせない。人数を集めて票を入れに来て欲しい。日程は――――』

 

「・・・革命?」

 ―――革命。

「・・・・・この日は別に予定とかはないけど、何か妙な事しようとしてるんじゃないでしょうね?」

 

 妙な事、か・・・・・・

 確かに俺達がするのは夢ノ咲学院の在り方をひっくり返す、言い逃れのできない革命そのものだ。だが、あのディストピアは許してはならない。俺はそう確信している。

 一部の勝利者だけが勝ち続ける出来レースに、下々の者は卑屈に天を見上げるしかない・・・それを(くつがえ)すのは在籍当時の俺にはできない事だったが、それが成される一助に俺がなれるというのなら、俺は喜んで力を貸す。

 

 さて、俺はこうして真剣なんだけれど、堀田さんは手伝ってくれるだろうか。

 実際のところ、法律とかに触れる事をする訳ではない。ライブバトルを見に行って、その票を姉さんが支援している方に入れるだけだ。

 とはいえ、俺は君咲学院に転校してきてから日が浅い。『生徒会長再任選挙』や『暗黒文化祭』を乗り越えてきたが、日数で言えば一月も経っているかどうか・・・・うん。

 

「・・・・来る?」

「・・・まあ、あんたが悪意で何かやらかすようなやつじゃないのは分かってるし、この『DDD』だっけ?これも興味がまったく無い訳じゃないし、一緒に行ってもいいわよ」

 

 おお!これで人数が一人増えた!この調子で一緒に来れる人を探しに行くか!

 

 

 

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「君もあんずさんから連絡が来てたの?その日は大丈夫だし、一緒に行く?二人だけ、って訳にはいかなそうだけど」

 

「こ、これは下僕くんからの『でえと』のお誘いというやつでは・・・え、違う?むしろ集団で行く?・・・一応聞くが、危険な事をやる訳じゃないんだな?・・・それならいいか。せっかくだし私も一緒に・・・」「会長?確かその日は補習があるのではなかったですか?」「げえっ!そうだった!それじゃあその日は下僕くん達と一緒には行けないな・・・・すまない」

 

「『らいぶ』?興味はあるけれど、大勢で票を入れるのって卑怯な感じで、嫌だな」

 ―――(´・ω・`)

 

「ごめんなさい・・・私は、うるさいのが苦手だから、ライブには行けない」

 ―――そうだよな・・・一応聞いておいてなんだが、悪かった。

「・・・でも、お弁当を作るくらいならできる」

「嬉しい」

 

「あいにく、私はそういうのに興味ないのよ・・・・今度の休みにボクちゃんを好きにできるって言うなら考えても・・・・・・え!?いいの!?そうと決まれば色々用意しなくちゃね・・・・☆」

 

「そう、あんずさんが・・・・・・私もお供してよろしいかしら?今更何を、って言われるかもしれないけれど、ダメ・・・かしら?」

 ―――そんな事は無いさ。

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

「何人来る?」

「こっちは・・・四、五人くらいか。四人は話がついたんだがあと一人・・・ルカが悩んでいてな・・・・」

 ルカ・・・月永(つきなが)るかちゃんか。確かあの子は・・・

「兄が相手にいた・・・りいなかったり」

「・・・どっちなんだそれは?」

 

 言っていいのだろうか。流石にここで黙るのは無理があるか・・・?

 

「俺が転校する前は不登校に・・・」

「・・・それは」

 ―――あんまり言いふらさないでくれよ?

「ああ、それは分かってる」

 

 まあすず姉は信頼できる人だし、こう言って(言ってない)おけば大丈夫だろう。

 ちなみに俺が誘えたのはええと・・・十二人くらいだ。これだけいれば流石に即刻敗退とはならないだろう・・・ならないといいな。

 

 決戦の日は近い。

 

 

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。ライブの日って、お昼ご飯は食堂とかあるの?・・・え?他の人にお弁当を作ってもらう予定?・・・そう、なんだ」

 

(よ、夜霧(よぎり)しゃんが、軽音部の黒森先輩と密談を!?日付はかろうじて聞き取れたけど・・・スクープではあるんですけど、それ以上に夜霧しゃんが心配ですぅ・・・こうなったらもう尾行しか・・・!)

 

(お兄ちゃん、最近は部屋にこもってばかりで作曲もできてないよね。僕の前では元気に振るまってるけど、それくらいは分かるよ)

 

(あんずさん・・・あなたはあの頃と変わってないのですね。あの自堕落ながらも一緒にいられる友達のいたあの頃と・・・・私も行くべきでしょうか・・・)

 

 

 少年達の叛逆の傍ら、様々な想いが交錯する。

 彼女達のみならず、『あんず』と『Trickstar』の想いを知らずに多くの人々が彼らを見に行く。外部からの来客は、夢ノ咲学院の実情など知る由も無い。知っていたとしても、大抵は他人事として、あるいは出来る事などなく、何も為さないまま帰路に着くのだろう。かつての(さとし)もそうだった。

 しかし今、現状を変える機会を掴んだ者達がいる。

 あの『紅月(あかつき)』を打ち破り、しかし今、卑劣な盤外戦術によって『Trickstar』は散り散りにされ、連絡を取る事すら出来なくなっていると聖は聞く。この苦難を乗り越えられれば、彼らは『fine』と互角に戦う目もあるだろう。聖はそう確信していた。

 

 

 天光聖。

 三波なつみ。

 堀田さあや。

 春風なな。

 星海こよい。

 黒森すず。

 藤瀬しずく。

 月永るか。

 曽根セイラ。

 久坂あやめ。

 八壁ひかる。

 円城寺れいか。

 伊藤さくら。

 八雲ちづる。

 夜霧はやて。

 笹目ひよの。

 小鳩あずさ。

 

 多くの友達が聖とすずを通したあんずの呼びかけに応えた。

 彼女達には、出来れば票を『Trickstar』に入れて欲しいとは言ったが、それは決して投票先を強制するようなものではなかった。

 どう見ても相手の方が圧倒的に優れているのに票を入れられたのでは、『Trickstar』も喜ばない、とはあんずの弁だ。そこまで手段を選ばずに勝って、それを勝利と額面通りに喜べるほど彼らは図々しい性格ではない、とのことだ。

 

 そして彼女達はそれを理解し、戦いの舞台――――『DDD』へと赴くのだった。




 本編も書かなきゃ・・・

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