――世界には二種類の人間がいる。
一つは
もう一つは
生まれた時からずっと聖志朗と一緒にいた俺は、自分がどうしようもない脇役であることを自覚していた。
イケメンじゃないし、頭だって平均だし、運動だってむしろ苦手だ。事件に巻き込まれても解決のために動けるほど剛の者ではない。可愛い女の子を前にしても動揺しないほど精神力は高くない。一歩間違えれば死ぬっていう状況で命を懸けて誰かを助けたりなんかできない。
まあ俺は、主人公に憧れなんてないのだが。
物語は物語だからこそ面白くて楽しいのであって、実際に自分がその身になったら嫌で嫌で堪らなくなるだろう。自分以外女子しかいないクラスに放り込まれたら気の置けない男友達が恋しくなるだろうと思う。……そういえばあの作品はそろそろワンパターン展開をやめたのだろうか。四巻くらいまでは読んでいたんだけど。流石に飽きてやめたんだよな……
違う、そんな話がしたいわけじゃない。つまりだ、俺が言いたいのは――異世界に来たって凡人は凡人のままだし、天才は天才なのだということ。
俺はどうしようもなく凡人で、聖志朗はどうしようもないほどに天才だ。
これからきっと、これまでと同じようにあいつの周りには美少女や美女が集まって、事件の類いはあいつ一人で解決して、まるでネット小説の主人公みたいに活躍するのだ。俺はそれを傍で見ているだけの脇役として生涯を終える。その点は、自分がするよりも他人の恋路を眺めている方が楽しいからいいけど。……別に負け惜しみじゃない。
まあ、だからさ。
これはきっと、
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召喚された部屋から連れ出し、オフィーリアさんは俺たち二人に向かって頭を下げた。召喚した理由と、それから地球に戻る手段が無いことを説明した上で、そのことについて謝ってきたのだ。
ただ、こっちとしては死んだはずが異世界に来ていたという認識のため、(確かに帰りたい気持ちはあるけど)帰れなくても仕方ないと思っていることを伝えて、そういう点で言うのならむしろ感謝しているとも。
……俺としては巻き込んでしまった聖志朗だけでも地球に帰してやりたいと思っているのだが、それは置いておこう。
それから、とりあえず俺たちの合意が無ければ戦闘には出さないこと、普通の生活を約束してくれた上で、彼女はもう一度だけ謝った。……彼女が頭を下げる度にいい匂いがふわりと漂ってきて落ち着かなくなる。俺の言語能力ではうまく表せないが、例えるならある晴れた日の花畑のような……何を言っているんだ俺は。
『では、お二人の部屋へとご案内いたします』
「あ、お願いします」
変なことを考えている場合じゃない。なるべくこの世界のことを知って、どう動くべきかを考えなければ。
すでに用意されているらしい俺たちの部屋へと案内してもらいながら、この世界のことを軽く教えてもらう。
まず、この国はストリエ王国という国で、俺たちを呼び出したのは魔王と呼ばれる存在を倒すためだという。基本的な常識とか考え方みたいなのは地球とそう変わらないということも確認できた。それから魔法とか魔物とか、そういった異世界のお約束ともいうべきものも当然のようにあって、それらは俺の知るものともそう大差ないことが分かった。ただ、奴隷制はないみたいだが。まさにネット小説のような異世界転移……いや、最期の瞬間を確かに迎えたのだから、この場合は異世界転生なのか?
……結局、聖志朗を巻き込んじまった。俺一人が格好つけて飛び出して、それで死ぬのはいいけど。あいつまで巻き込んで死んだのは格好つけるとか、主人公がどうとか以前に人として駄目だろう。いや、そもそも。あいつの親友として恥ずかしく思う。
いつかあいつに、あのことを謝らなくちゃな……ああくそ。つい暗くなっちまった。このことを考えるのはやめよう。
とにかく。この世界各国の強い人たちを集めて戦いに行って、なんとか倒した……と思ったら生きていたらしい。そこでこの世界の最大宗教のアルメガ教とやらが出した結論として、この世界の人間では倒せないのではないかという説。どこからそんな話が出てきたのかは疑問だが、とにかくそういう事になったらしい。
で、呼び出されたのが俺たちなのだが……この国も色々とあるらしく、先の一件からも分かる通りどうやら内部でも対立があるようだ。一体誰が正しいのかなんて分からないのだが、オフィーリアさんは誰が正しいとかは言ってはくれない。
曰く、『誰が正義か悪か……それを決めるのはお二人ですから。本当は私たちが悪で、魔王は正義なのかもしれませんし』とのことらしい。
ただ、流石に何にも教えないということではなくて、何か知りたいことがあれば何でも教えると言ってくれた。まず間違いなく、この人は俺たちの味方だと思う。
もしも本当に魔王を倒すのに何か特別な力が必要なのだとしたら、まず間違いなくそれを持っているのは俺ではなく聖志朗の方だろう。……あれ? とすると、事故に巻き込んでしまったのは俺だが、聖志朗の召喚に俺の方が巻き込まれたのかもしれない。もしあそこで聖志朗が飛び込んでこなければ、俺は奇怪なオブジェに変わり、聖志朗は一人こちらに来ていた可能性もある。
意識が一瞬戻ってきたところで、聖志朗とオフィーリアさんの会話が耳に入ってきた。
「でも、それだとこの世界の人たちが大変なことになるんじゃ……?」
『そうなるかもしれませんね。ですが、元はといえば私たちの問題ですから。勝手に引き込んでおいて後は任せた、と全部丸投げするような者は滅びて当然です』
「……俺は、俺に出来ることがあるのなら、それで誰かが喜んでくれるなら、何だってやるけど」
『お優しいのですね』
多分、向こうの方から戦いたくなかったら戦わなくていいとか言ったんだろうな、これ。で、心優しい我が幼馴染はこの世界の人が困るのではないかと心配しているとか。
毎回思うけどお前のその謎の正義感は何なんだ。水族館で謎の失踪者が出たりとかした時もそうだったけど、明らかにやばいって分かっていることにまで首を突っ込もうとするなよ。正義の味方にでもなりたいのか。やめておけ、その先は地獄だぞ。
聖志朗を諫めるために、俺も口を開く。
「そもそも俺たちは普通の高校生だ。ほんの少し人と違う体験をしたことがあったからって、それは変わらねえだろ。向こうじゃ……向こうでもかなり危なかったっていうのに、こっちだとマジに死ぬ可能性があるんだぞ?」
「でもさ悠二。……俺は、オフィーリアさんに傷ついたりしてほしくない」
……お? なんだ?
なんていうのかな。今までのこいつとはちょっと違うような……どう形容するべきか。アス〇レイレッドフレームからア〇トレイゴールドフレームに変わったような。そんな変わらないか。
俺がそんな感じでもやもやしていると、前を歩いていたオフィーリアさんが立ち止まり、俺たちの方へと振り返る。そしてすぐ横の白い扉に付けられた金のドアノブを回して開ける。
『こちらのお部屋になります。何か必要なものや分からないことがあれば机の上に置いてあるハンドベルを鳴らしていただければすぐに駆け付けますので』
「あ、ありがとうございます」
僅かに表情を緩めたオフィーリアさんに対して、聖志朗が顔を真っ赤に染め上げる。
ああ……これはもしかして、聖志朗の方が恋に落ちたとか、そういう……。
道理で違和感があるわけだ。今までは女性の方が一方的に聖志朗に惚れるだけだったのが、今回はまるきり逆なわけだし。
へえ、ふーん、ほお、なるほどね……。
――これはこれで面白いな!
一日は48時間だから……!
遅刻してないから……!
主人公:それは理不尽の権化。彼らと敵対すれば負けることはほぼ確定し、彼らと仲良くなれば彼らのいいように扱われる。難聴とか鈍感系主人公ほんと嫌い。優柔不断系も嫌い。もっとこう、キ〇コ・キュービィーやヒ〇ロ・ユイ、相良〇介のような主人公を増やしてほしい所ですね。
脇役:物語によっては重要な役割を果たすことも多い。パニックホラー系だと主人公の親友などは死んだと思わせて最後にひょっこり出てくる。お前どこにいたんだよ。恋愛ゲームではやたらと女の子の好感度を教えてくれたりする。友田ァァァァ!!!
あの作品:名前を言ってはいけない。二次創作のための原作とかイズルタヒねとか色々言われている。設定は嫌いじゃない。キャラも嫌いじゃない。ただしストーリーてめーは駄目だ。……実は俺、オルコッ党なんだ。
ネット小説の主人公:みんなハーレム作る。もっと貞操を大事にしよう。あとお前らもっと純愛を貫けよ!! 軍曹とか見習えよ!
晴れた日の花畑:いい匂いがする。きっと蜂もいる。蜂がいなかったら沈黙の春。
異世界のお約束:魔王とか、魔法とか、奴隷とか。そして俺TUEEEEEEEとハーレム。異世界行ったらみんな奴隷買う。俺も多分そうする。
異世界転移:肉体をそのままに、場合によっては所持品などすらもそのまま持ち込んで異世界に行く形式。物系チートが多い感。
異世界転生:オフィーリアが該当。神の手違い()で死んだ人間が記憶をそのままに異世界で新しい命として生まれる形式。知識系チートが多い感。
正義か悪か:古代より議論されてきた問の一つ。何が正義で悪なのかは、人によっても変わってくる。最近は魔王サイドに正義があることも多い。個人的には数こそ正義。でもそれよりも強いのは可愛いは正義。
巻き込まれ:どんな理屈で巻き込んでいるのか謎。範囲指定で飛ばしているのならトラックだったりが一緒にやってくる。生物のみを指定しているのなら全裸で現れる。そろそろ召喚魔法の解析が求められる。
水族館:魚人のようなものを見たという噂のある水族館。稀に人が失踪するとかなんとか。
正義の味方:「僕はね、正義の味方になりたかったんだ」
その先は~:とある弓兵の台詞。文字通り地獄を見てきた人が言うと説得力しゅごい……。
ア〇トレイRF:誰がなんと言おうとレッドフレームを押す。
アス〇レイGF:ゴールドフレームかっこいい……
GA文庫さんに応募する作品の方が全然進まなくてやばいですね。書いては消しを繰り返してて嫌になってきます。そのまま本になっても大丈夫なものを、と思って書いているとこんなんじゃ全然駄目だ……って思っちゃうんですよね。
あとなんか言うことは……あ、なのはさんじゅっさいとイチャイチャする話が読みたいなって!