12/19 内容に無理があったため修正
勘違いの方ばかり考えてました。すみません。
そもそもこの小説はTS物だからね……その辺きっちりやらないといかんよね。指摘ありがとうございました。
……今日から一週間、ストリエ王国国王が長男、アルフリードの家庭教師として働くことになる。正直に言うと物凄くやりたくない。王様は多分もう枯れてるくらいの年だからいいけど、長男のアルフリードは俺と同い年。気の迷いから襲われる可能性も十分ありえる。が、それはそれ。仕事だし、王命とあらば断わるわけにもいかない。
……え? 国王陛下と話していた時? なんのことか分からないな。
「いいですかオフィーリア! 絶対に、絶対に、ぜっっっったいに、二人きりになることは避けるのですよ!? 特に貴女は平民出身なのですから、もし子供が出来たりなんかしたら大変なことに……最悪殺されるかもしれないのですからね! ちょっと、分かっていますの!?」
「アゼリア様、全く聞いてません……」
「オフィーリアぁぁぁぁ!!」
「ですがアゼリア。専属メイドであれば二人きりというのは仕方のないことではないでしょうか。そしていくら男性が時に衝動的に女性を襲うこともあるとはいえ、私のような者を襲いはしないでしょう。ふふ、心配性ですね」
「うがぁぁぁぁ!!!!」
「おっ、落ち着いてくださいアゼリア様! 正直今のは殴っても許されると思いますけど堪えてください!」
アゼリアちゃんは心配性に過ぎる。そもそもこんな出来の良すぎる人形みたいな容姿だ。なんかこう、不気味の谷現象が起きているまである。これでは興奮するような材料がない。
……あ、確かにこの胸は人によっては非常に好むかもしれないが。しかし普通の人はもう少し小さい方が好ましく思うところだろう。
些かバランスの悪い体型に思えるくらい大きなこの胸のせいで、何かと苦労してきた。男からはエロい目で見られて不快な気持ちになり、女からは牛のようだとか言われてこれまた不快な気持ちになる。大きくて良かったことなど一つもない。夏場は蒸れて大変だし。
「殿下は大きい方が好みなのでしょうか?」
「は……? 何故今そんな話が出てくるのですか?」
「いえ、私の胸は少々育ちすぎていますから。これだけ大きいと、男性から見ても好みが分かれるところですし、殿下がそうでないなら心配いらないのではと思いまして」
「オフィーリア……貴女……」
アゼリアちゃんが我が子を慈しむような表情で私の頭を撫でてくる。ここのメイドたちは皆いい子なので、誰一人として牛女とか、肥え太った豚のようとか言ってこない。優しい。……ま、こんな胸の女なんてやっぱり好かれないたたたた
「アゼリア、痛いです。私は頑丈なのでいいですが、子供にやるときはもっと優しくしないといけませ、何故強く!?」
「お黙り! 最近ちょっと表情が暗いと思ったらそんなアホなことを考えていたなんて……! これじゃ心配したわたくしが馬鹿みたいじゃありませんか! あと度し難いほどのアホですわね貴女!?」
何故だ。おにーさんは真剣に同僚の未来を心配しただけだというのに。何が問題だったというのか。一向に皆教えてくれないし、もしかしておにーさんいじめられてる?
アゼリアちゃんがようやく手を放してくれる。……危うく頭が割れて、おにーさんのおにーさんたる部分が出てきてしまうところだった。
「はぁ……とにかく! 二人きりにならない、身体に触れない、これはきっちり守りなさい!」
「ええ。肝に銘じておきます。私もむやみに男性を刺激するつもりはありませんし……では後のことは頼みます、アゼリア
「臨時、が付きますけどね。貴女はちょっと、いえ、かなり……いえ、もはや警戒心がないので気を付けるように」
失礼だな、アゼリアちゃん。おにーさんは今でも男のつもりだし、男が女に対してどういった時にムラッとしてドプッとしたくなるかくらいは当然分かっている。とはいえそれも可愛い女の子に限るわけで。今のおにーさんの容姿は美しいとか、見事だ、という言葉は出てくるけど、それは人に対する思いではなく。ただの――芸術品を見た時の感想だ。早い話がもう人以下の被造物レベルでしかないと、そういうことだ。
もうこれだけでほぼ心配はないというもの。むしろ心配なのは他のメイドたち。おにーさんよりも断然可愛くて綺麗(自分の顔を見ると吐く人の感想です)だというのに……
と、いうことを考えつつ控室を後にし、王太子殿下のお部屋に向かう。全く我ながら見上げた社畜根性である。前世はこうじゃなかったっていうのに。……皆が言う通り警戒した方がいいんだろうか。でも、相手は王族なんだぞ? こんな人形みたいなやつ相手にするか?
……するかもな。逆に物珍しさとかで手を出してくるかもしれない。そして最後は虫を踏み潰すように捨てる、と。うん、ありえそうな気がしてきた。マジで警戒しよう。
しかし辞めるわけにはいかないのが仕事というもの。とりあえず仕事はする。するけど、決して油断しないように。
……よし。王城はあまりにも広大なため、【ディメンションワープ】で移動する。移動が短く済むので便利な、そしてローコストという素晴らしい魔法だ。
……ん、いない? 仕方ない、先にここの掃除だけ終わらせてしまおう。
――おや、これは。
「やはりこの世界にもあるのですね……
しかし隠し場所として辞書を使用するのは如何なものかと。おにーさんはベッドの下に隠す派だった。いや、ベッドの下に隠されても困るか。掃除の際に邪魔だ。
内容は……お尻か。結構ハードだ。しかも金髪巨乳モノ。あ、このページくっついていて剥がれない。もちろん、ナニが起きてそうなったのかは分かる。間に合わなかったのね。おにーさんもよくあったよ、うん。
一瞬、母親のように机の上に纏めて置いておくという考えが浮かんだが、あまりにもえげつない行為に過ぎる。やめよう。……とりあえずこれは見なかったことにしておいてあげよう。ああ、殿下の名誉のためにこの秘密は墓まで持っていくとも。
……ただ、殿下のイメージが変わるのは否めない。アゼリアちゃんが正しかったみたいだ。王族といえども普通に男なんだな。
ゴミ箱の中には、おや、意外にもないな。……おにーさんなんて悲しいことに、この身体を持て余して夜な夜な発散させているというのに。やはりそこは思春期といえど王族ということなのか。もうおにーさんの授業もいらないのではないか。いる? あっ、そうですか。
……こんなところか。後は時の流れを戻せば、よし。
それにしてもどこにいるんだ? 授業をしなかったとなると怒られそうだからおにーさんとしてはすぐにでも戻ってきて欲しいのだが。むぅ、探しに行きますか。
ああ、折角なのでこの前習得した【カレイドスコープ】を使ってみよう。
『あっ、あっ、あっ……お情けを、お情けをくださいませ!』
『ああ、くれてやるっ! 存分に受け止めるといい!』
わお。いきなり衝撃の光景だ。次に行こう。
『……でだ、貴様らにはバーモンド家の当主を……』
おや、悪だくみか。一応近衛か誰かに踏み込ませてみよう。次だ。
『ぶっ、ぶひぃぃぃぃ!! ボクはアリシア様の下僕でしゅ!』
『貴方のような豚なんていらないわ。けど、そうね。もっと可愛く鳴けたら考えてあげてもいいわ』
一体この城はどうなっているのか。次だ。
『まずうちさぁ……屋上あんだけど、焼いてかない?』
次。
『ああん!? じゃあお前『師匠』とやらに告白できんのかよ!』
『ぶっ! なんでそんな話になるんですか! あんたが告白するのと俺が告白するのとは別の話でしょう!』
あ、ここか。さらさらとした赤髪と、紫紺の瞳。間違いなく長男のアルフリード本人に相違ない。その隣にいるのは、黒髪に青い瞳、それから――顔の右半分が火傷で覆われた青年。……ロイか。そういえば彼も王城に来ていたか。会うことも無かったし、忙しくて全然考えたこともなかったが。こうして実際に見てみると、うん。イケメンで大変腹が立つ。
ああ全く、ここを見つけるまでに城の汚いところをいくつも見てしまった。この国、大丈夫なのか? ……とりあえず移動しよう。
「はっ、どうせ出来ないだろ。お前が告白したら俺だって告白してやる!」
「子供ですかあんた!」
「うっせ、ほっとけ!」
ほう、ロイが告白。……無理だな。そいつにそんな甲斐性はない。というか駄目駄目だ。剣を振っているのではなく棒きれを振り回しているだけだぞ、それ。もう一度ヒノキの棒を振るところからやり直せ。
「はぁ、はぁ……ロイ。今日はもう終わりだ。こんなんじゃもう出来ないだろ」
「誰のせいだと……しかし、そうですね。これ以上はやっても意味が無さそうだ」
おや、もう終わりか。もう少しやっていてもいいんだぞ?
……まあ、それでは怒られてしまうし、ちゃんと務めを果たそう。あ、タオルを用意しとくか。ちょっと時間をくれ。
はい。
「それでは、こちらをお使いください。湯浴みの準備は出来ておりますが、道中で風邪をひかれてしまわれては大変ですから」
「ああ、ありがとよ」
「すまない、助かる」
お、どうやらおにーさんのことには最初から気付ていた様子。やはり王族ともなると凄いな。おにーさんの使える魔法程度は全て覚えていそうだ。流石王太子殿下、略してさすでん。使い道がないか。
ロイのやつも、あの頃と違って成長した様子が見受けられる。まさかおにーさんの気配を察知するとは。これなら甲斐性も期待出来るかもしれない。殿下の告白も近いぞ。
……いや、やっぱり気付いていなかったらしい。しかも二人とも。ロイなら分かるが殿下は分かってなきゃいけないだろ。
しかも驚いたとはいえ声が裏返るほどか。ロイも、驚いてボロが出そうになってるし。はっはっは。まだまだあの可愛らしい少年時代から抜け切れていないようだな。
まあそんな話はどうでもいいので、殿下にどういう経緯でここに来るまでに至ったのかを説明すると、やたらと専属メイドという単語に反応した。まるでエロいことを覚えたての頃の中学生のように。……それは言い過ぎか。でもこんな過剰反応されるとちょっと、こう、気持ち悪いな、と思ってしまう。
そう、専属メイドだ。この響きだけでもなんだかエッチな専属メイドだ。おにーさんじゃなくてアゼリアちゃんなんかが専属メイドの方が嬉しいとは思うが、我慢してくれ。アゼリアちゃんが専属になったら絶対襲うだろうしな。チェリーエンペラーめ。ま、おにーさんも金髪巨乳だし。我慢しろ。
……あれ? もしかして殿下のストライクゾーンだったりする? いやいやまさか。ははは。
さり気なく殿下から距離を取る。
ああ、そうだ。おはようからおやすみまでついていなきゃいけないから、当然風呂だって一緒に入るんだ。……絶対襲われる。二人で風呂なんか入ったら絶対、もう秒で襲われる。
まあ、やることはそんなにないし。お風呂で一緒にいる、とか危ないし。……前尻尾は自分で洗ってくれ。誰かの前尻尾を触るとか、考えただけで吐きそうだ。
……でも、この身体のままでいれば絶対にいつかは避けて通れない道だ。まさかこんな世界で女の子同士、なんてことが許されるはずもないし。このままいけばいつかは結婚しなきゃいけなくなって、そしたら子供を作るのは自然な流れだ。それもそう遠い未来ではない。はぁ、憂鬱だ。
「……いや、それでは貴女の負担が大きすぎるだろう。国王陛下も酷なことをする。特に貴女は嫁入り前の若い娘なのだし、いくら殿下が世の男たちと違うとはいえ、一日中側に控えさせるなど襲わせようとしているとしか思えない」
「おいちょっと待て! この俺がオフィーリアを襲うとでも思っているのか!?」
「そうは言っていませんが、殿下だって男です。何かの間違いが起こるかもしれない」
――あのロイが、こんなに立派に。驚きだ。感動だ。おにーさん、泣いてしまいそうだ。まあ表情筋は全く動かないのだが。この人形めいた姿が一層熱を感じさせないのは、表情筋が動きにくいせいもあると思う。そのせいで精巧に作られた人形感が増すのだ。
それはそれとして、おにーさんが殿下風情に襲われるとでも? これは一度おにーさんの実力を思い知らせる必要があるかな。
殿下がなんかアホなことを宣言しているが、その宣言に意味なんてなかろうに。守らなくたって殿下の名誉が少し傷つくくらいだし、そもそもこんな平民たちがそういう宣言をした、と言ったところで信じてもらえるほど甘い世界じゃない。
……んん、アゼリアちゃんが言っていた通りに接触と二人きりになることを避けるのは必要だろうけど、どうすればいいだろうか。あまり他の人に迷惑はかけたくない。
まあ、おにーさんだってまだ心は男だし、危険なときくらい分かるし、撃退できる力もある。なんとか出来るだろう、きっと。
本当はちゃんとクトゥルフが設定的に絡んできます。でも今はまだ出てこない。
身体のバランス:黄金比。彼女がそれを知るのは鏡を手に入れた時。
おにーさんのおにーさんたる部分:つまり脳みそである。彼としての記憶などが残る脳は重要。感覚的には人形を動かしてるくらいの気持ちなのでなおさら。
ムラッ:あれだよ、あの……授業中にいきなり起こるあれ
ドプッ:で、出ますよ
ディメンションワープ:どんなところでも移動できる究極の移動魔法。しかも回数、一回の人数などに制限がないため、これ一つで世界の覇権を握れたりする。我らがメイド長にかかればただの便利道具扱い。しかもただのワープの方がよほどローコスト。お金だけでなく魔力の管理も駄目駄目
オタカラ:パレスの奥にある。……違う。男なら大体一度は手にしたことがあるもの。ところによっては交換が起きたりする。
母親:いともたやすくえげつない行為をしてくるスタンド使い。隠してあったはずのエロ本がいつの間にか机の上に置かれているというスタンド攻撃をしてくる。精神的にリタイアする。
カレイドスコープ:どこでも見れる。並行世界も見える。おじいちゃん。あと四枚くらい凸したい。
お情け:ナンノコトデショウネ
バーモンド:カレー作りそう
ぶひぃ:飛べねえ豚は……
アリシア様:実は割と重要人物である
屋上:焼いてかない?
火傷:色々と過去があるようです
ヒノキの棒:どんな勇者も大体この武器から始まる。男子高校生も一度は握る聖剣
さすでん:使い道がない
ストライクゾーン:王太子も、まさか本人に確認されているとは思わないのであった。
前尻尾:男ならついている。でも尻尾です。前についていても尻尾です(真顔)
表情筋:彼は自分が結構人間味のある顔をすることを知らない。鏡で見たことがないからだ。
なんとか出来る:そういっている人は大抵出来ない。