『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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最初の一作目です。作者の著作「IS学園の言霊少女」から派生している物語です。
悪意的な表現が目立ちますのでお気を付けて。

注:今作に出て来る神様のモデルは特にはいません。こんな奴実在していて欲しくないと作者も心底思ってますので誤解なさいませんように。


《インフィニット・ストラトス》に至るまでのIF物語
プロローグ「マイナスから始めさせられる過去への再転生」


 ・・・・・・・・・ここは、どこなのでしょう? 知らない天井じゃなくて、知らない場所です。

 全てが白一色で出来ていて、空に天はなく、地に大地はない。ただ、その場に“立っている”と言う実感だけが伴わされている。

 そんな空間に、私は一人で存在していました。

 

 ーーおかしいですね。確か私は学園の寮で食事をとった後、来るべき最終決戦に備えて英気を養うため、いつも通り夜9時過ぎには布団に入っていたはずなのですが。

 決して、夜になると眠くなるお子さま体質だからではないですのであしからず。

 

「いや~、君は面白い人だねー。わざわざ私がここまで足を運ばせた甲斐があるってもんだよね、うんうん」

 

 ふと気づいてみたら、目の前に誰かが座ってらっしゃいました。

 玉座にしてはチープで戯画的なデザインの豪奢なイスにふんぞり返って座しているのは、女神と見紛うほどに神々しくて美しい女の人。

 クラシカルと言うよりかは、古代ギリシャ悲劇にでも出てきそうなトーガを纏った彼女はニヤニヤと下品な笑いを浮かべながらも私を見下す姿には品があって自然体。

 まるで人を見下すことを当たり前の日常としているかのような、常識レベルで染み着いた傲慢さが滲み出る厭な感じの美女。

 

 こういう空気をまとった女の人で、時代錯誤きわまりない格好をしたがる方の最有力候補と言えば只お一人だけ。

 

 

「どうも、はじまして。あなたは、神様と呼ばれている方であっていますよね?」

 

 私が尋ねた確認のための質問に対して神様は腹を掲げて笑い出し、ようやくそれが収まった後で質問の答えと彼女自身の自己紹介も行ってくれました。

 曰く、自分は神は神でも転生を司ってる神様で、かつて私を《インフィニット・ストラトス》の世界に転生させたのも自分に手によるものだとご丁寧にも語ってくれたのでした。

 

「いや~、最初はちょっとした気まぐれだったんだけどね? まさかあれほど面白おかしく世界を改変してくれるなんて想像もしていなかったよー。も、さいっこう!

 路傍でうずくまり震えながら惨めに死んでくだけの老人も、神の名を唱えながら来世の幸福を信じて脳味噌ぶちまけながら死んでく神父さんも、神は我らを見捨てたもうたのか!? この世に神の裁きなんてない!あいつはただ見下ろしながら俺たちを玩弄するだけなんだ! とか叫んでたら敵兵に発見されて爆弾でズガーンな若者たちも、なみーんなサイッコーに愉しいエンターティンメントだったよ。

 登場人物五〇億の人間たちが自分勝手に悲喜劇を演じまくってる戦争物語を楽しませてくれて本当にありがとう! 感謝してる! 神様から満点の◎をあげちゃおう!」

 

 ーー・・・・・・・・・。

 

「あっはっは! そんな怖い目で睨まなくたっていいじゃな~い。 私はこれでも君の理想とする神様像そのもののつもりなんだよ?

 だってほら、私はただ見ているだけで何もしようとはしない。時々、私が聞いて悦しんでる別の誰かの叫びや悲鳴が聞こえたらしい田舎娘とかが『神の嘆きを癒さなければ』とか決意して戦争に赴くのを見てゲラ笑いしているだけのクソッタレ女神様。

 ほらね? ちゃ~んと君の考えている神様の姿を実現してるでしょ? 神様の実像を言い当てるなんて、君はやっぱり魔王ちゃーん! ひゃははははははっ!!!」

 

 けたたましく哄笑をあげる転生の神様とやらの声を聞き流しながら、私は彼女が笑い終えるのを辛抱強く待って上げます。

 やがて飽きたのか満足したのか定かではありませんが、とにかく彼女は嗤うのを止めて私を見つめてきましたので確認の為の質問をしたいと思います。

 

 ーーならば何故、今更になって私をここに呼び戻したんです? 今の時点で十分に楽しめているのであれば、私を覚えてもいない場所まで呼び戻す必要性もなかったでしょうに。

 

「やだな~、分かってるくせに~。

 そ・れ・と・も~♪ クズの思惑に気づかない善人のフリしたいお年頃って奴なのかしら~ん?」

 

 ーー・・・・・・・・・。

 

「私みたいな外道はね、面白そうな事をしてくれそうな子を見つけると、もっともっともーっと面白そうな事して欲しくなっちゃうんだよ。

 どうせだったら舞台を変えて、時代を変えて、元のおもしろ世界で不幸になったバカたちが更に不幸になってくシーンを見てみたい。

 あるいは、別の世界に作り替えられていく過程でバカが大バカになってく展開を見てみたい。

 人の美しさも醜さも浅ましさもバカっぷりも余すところ無く見て悦しみたい。それが神という名の超越者が、人を生み出した理由。

 無数の人形たちが踊り狂う劇場を見物したい。只それだけのために神は人と世界を創り出した。平行世界もパラレルワールドも鏡面世界もすべて。

 ただただ私が楽しむためだけに、そのためだけに私はあなたをここに喚んだ。あなたの影を創り出して、ここに喚び寄せた。

 貴女だったらこの験の言葉の意味、説明しなくても分かりますよね~?」

 

 ーー本当の私は今もIS学園寮にいて、ここにいる私はオリジナルのコピーにすぎない。

 オリジナルがいる世界も、コピーが送られる世界も貴女が楽しむためだけに作った大量生産品のひとつに過ぎず、送られた先で私が何をしようとも誰を救おうとも誰を変えたとしても、オリジナルの世界には何の影響も与えることは出来ない。

 私たち平行世界に転生させられた住人たちの人生そのものが喜劇であり悲劇であり、単なるあなた方が楽しむための暇つぶしでしかない。

 

「ピンポーン♪ だーいせいかーい! 正解した人には豪華賞品が送られまーす♪

 それは、なんと! 何の意味もない、自分で意味を見いだすことで自己満足を得るしかない、第三の人生を送るための転生権でーす♪

 第三の人生も、張り切ってどーぞー! きゃっははははははははははっ!!!!」

 

 

 

 けたたましくて喧しくて耳障りな嗤い声が遠ざかっていき、私はたぶん久しぶりに味わっているのであろう世界線移動の気持ち悪さに振り回されながら、グニャングニャンと歪む世界を過去へ過去へと舞い戻ります。

 

 

 時戻りの旅路って、やる事ないですし身体もないですし暇ですね。風景見てても自分の人生を追体験していると言うほど出来が良くなくて記憶に残っている印象深い重要イベントだけが猛スピードで流れていくだけ。

 

 

 

 赤ん坊の頃までさかのぼってくると、私の記憶にない景色が増え始めてきて、終いには私が母の子宮にいた頃と思しき、今より若い織斑先生とか篠ノ之博士とかも出てきて、何故か水着で廊下を歩いてる変な美人さんも・・・・・・って、誰ですかこの人は。ついでに言うなら、どこまで戻す気なんですか転生の性悪女神様よ。

 

「ああ、言い忘れてたけど、君がいく世界は実在しないIF世界だよ?

 《インフィニット・ストラトス》は、主人公の織斑一夏君視点で描かれてる物語だから彼の居ない時代はあんまり描写されてない。

 作者が作ってない世界は存在してない世界だから、改変も創世も楽で良いよね~♪ 

 人間を登場させて楽しむための箱庭が欲しいだけの私たち神様にはピッタシだよ!」

 

 ーーさいですか。

 

「ああ、言うまでもないけど今回の人生で君に期待してるのは天災バカな恋愛処女と、世界最強のポン侍を攻略することだから、そこん所よろしくね?

 ついでとして、ヘタレで巨乳なメガネの後輩と、同級生へのコンプレックスを水着で隠して道化を気取るバカ女なんかも攻略してくれると嬉しいんだけどな~?」

 

 ーー善処はしてみますよ。善処だけですけどね。

 現実には意味を及ぼせない架空世界の箱庭ワールドで何をしようと、どうにもならない。

 ならば、私のやることに一切変わりなどなく、今まで通りにこれからも続けて今の私を継続していく所存です。

 

「べっつにそれでい~よ~? 私みたいな野次馬の意向なんか無視してよーし。

 神様は箱庭作って人間生んで、娯楽として余所から人間コピペして踊り狂っているのを見て楽しむだーけ。

 見れればいいの、楽しめさえすればいいの、超越者にとって人間世界は劇場でアニメでドラマでYouTubeなの。

 中の人たちの叫びも願いも届いているけど、ただ聞いて論評して悦しむだけで終わっちゃう。せいぜい好き勝手に踊り狂って、私の目と心を楽しませてね♪」

 

「と、言うわけでー。次は、母親の腕の中~、母親の腕の中~。お忘れ物は死ぬまで取りに戻ってこれませんので、お気をつけて~♪

 とうちゃ~く♪ 第二の人生駅に到着しました~♪ 

 いってらっしゃいませ、神の愛玩動物さま☆」

 

 

 

 ニヤニヤ、ニタニタ。厭な感じに嗤う転生の女神様の笑顔を最後に、私の意識は地上に引き吊り降ろされ、縛り付けられました。もう二度と天には戻ってこれそうにありませんねー、これは。

 いずれ意識も記憶もオリジナルとは懸け離れた代物に作り替えられてしまうのでしょうけれど、とりあえず今の私はまだ前世での自我を保てていみたいです。

 

 目を開けると、本気で見たことない知らない天井が視界に入りました。白いです。真っ白です。分娩室・・・かな?

 

 動かない頭(座ってないんですよ、生まれたばかりだから)では自由に風景を観察できませんし、動けないなら出来ることもない。ただただ上にある天井を見上げていると、第三の人生における母親らしき女性が私の視界に映ってきました。

 

「はじめまして、私たちのかわいいセレニア。貴女と出会えたことが私は今、すごく嬉しくて楽しいの。

 あなたを幸せに出来るよう精一杯がんばるから、あなたは誰よりも幸せを求めてね」

 

 ーーおい、誰だこの聖女様は。本当に私の母親ですか? 前世のが劣化版に感じかねないので止めて下さいよ。大好きなんですからね? 一応は、ですけども。

 迷惑かけるときに躊躇いかねないので別人にチェンジすることは可能ですか? クーリングオフは効きますか? 効きませんよね、当然ですねご免なさい。

 

 ・・・・・・はじめた途端にプレイ方針が歪んでいると言う理由から、罪悪感でゲームオーバーを望んでしまう幸せ一杯なスタート地点の自宅。

 なんだ、この微妙すぎるクソゲーは・・・。辞めたい・・・。

 

 

 

 こうして私は、第三の人生を再スタートさせられたのでした。

 めでたくなしめでたくなし。全くもって、めでたくなし。

 

つづく

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