『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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結果論的に久しぶりになってしまった気がする、【捻くれ少女】の最新話です。
そのせいでの焦り故か、実際の文字数より多く感じてしまって途中で締める内容となってしまい反省しております。

尚、今作はギャグで最後まで行く版の言霊目指してますので、今話もギャグばっかです。初心を忘れず原点回帰したかった今日この頃。


IS学園のひねくれ少女 第24話

 ――前略、織斑一夏です。

 俺の級友が、夏の臨海学校先で見慣れない格好して真っ赤に頬染めながら、無言で横に立ってる状況が続いてて居づらいです。

 中学時代から一部男子の間でも話題になっていた体の一部パーツが強調される服装なせいで、通報されないかも心配です。・・・・・・誰か、助けてくれ・・・・・・そう思っていたところ。

 

「あ、一夏。それにセレニアも、ここにいたんだ」

「おおシャル! いいところに来てくれたな! 助かったぜっ!!」

「え? あ、うん。えっとぉ・・・どういたしまし、て・・・?」

 

 声に呼ばれて振り向いたそこにシャルの姿が!

 さすがはシャルロット、相変わらず俺にとっての女神になれるタイミングで出てきてくれるヤツだわ本当に!

 

「・・・って、ん? なんだそのバスタオルお化けは?」

「あ~・・・まぁ、うん。ちょっと、ね・・・」

 

 ただ彼女の隣に、なんだか奇天烈な格好した存在がいたので聞いてみたら、少し困った風に苦笑しながらホッペタをかいて言葉を濁すシャルロット。

 バスタオル数枚で全身を頭の上から膝下まで覆い隠して、目の所だけ上から眼帯みたいなのを付けてるけど、この格好で意味あるんだろうかコレって。

 見えねぇだろ、眼帯付けなくたってバスタオルで隠れてるから――って、あれ? コイツの眼帯ってもしかしなくても・・・・・・。

 

「ほら、出てきなってば。せっかく水着に着替えたんだし、見てもらうためだったんでしょ? 一応は僕も手伝ったんだし、一緒に見ていいみたいだしね」

「ハイです! ラウラ準備はばんたん星人さんです!」

 

 あ、今の声はやっぱラウラか。

 いつも通り、子供っぽさに満ちあふれてるラウラらしい声での返答ではあるんだが、どういう状況なのかはサッパリ分からん。

 とりあえずシャルに説明を求めようと試みてみるか――そう思っていた次の瞬間。

 

 ――ばばばっ!!

 

 っと、バスタオル数枚を纏めてかなぐり捨てて、勢いよくラウラも水着姿を現して、

 

 

「ジャ~~ンです♪ ラウラもお母様とおそろいです! セットです!

 お母様とラウラで、一緒になかよしぺあるっくですぅ~ッ♪♪」

 

 

『『ぶっ!?』』

 

 

 元気よく陽光の下に現れてきたラウラの姿を見せつけられて、俺もセレニアも思わず吹き出さざるを得ない光景が!!

 

 黒の水着――それはいい!

 だが一見するだけでそれはセクシー・ランジェリーのようには見えようのない、レースのような飾りを一切あしらうことなくシンプル・イズ・ザ・ベストを貫き通したような純粋すぎる、その姿は所謂あの名を持つ例の衣装!!

 

「お、お前それ・・・その水着って旧が――コホン。が、学園指定の水着すが・・・・・・」

「ヤーです♪ きゅー型スクール水着っていうお名前です! お母様が着てらっしゃるのと同じ水着です! ぺあるっくです☆」

「ぐふぅッ!?」

 

 ああっ!? セレニアが間接的に大ダメージ受けさせられて吐血寸前に!

 もう止めてやってくれラウラ! いくらセレニアでも残りHPは流石に多くなさそうだから!

 

 IS学園の生徒として、学園指定の水着着てるだけではあるんだけれども!

 コイツ等の場合だと、普通に着てるだけが一番マズく見られかねない水着なんだよ! IS学園指定の正式な水着姿はさぁー!

 

 さっきよりも更に通報されそうな気配が強まった気がするだけな今の状況で、俺は本当に大丈夫なんだろうな!? IS学園でただ一人の男子生徒である俺だけは!?

 政府が無理やり入れっつったから来てる身なんだし、頼むぞ日本国刑法! 法の裁きだけじゃなく世間様からも守ってくれよ本当に!? 

 

「――あ。忘れてましたです。コレも上から着なきゃフカンゼンだからダメって言われてたんでした。んしょっ、と」

 

 おお! その姿を上から隠すために何か着る必要があるのを誰か教えてたんだな! よく言っといてくれたグッジョブだ!

 どこの誰かは知らないが、ファインプレーに感謝を・・・って、ん? なんかその上から着込んでる途中のそれって昔見たことがあるような無いようなって――、ぶっふぅぅぅぅぅぅぅッ!?

 

 

「セーラー服スクール戦士ラウラですぅ~☆

 ヘンタイさんに呼ばれて飛び出てジャ~~ンⅡですぅ♪」

 

 

「いや呼んでねぇよ!? 出てこなくてもいいから服着ろ服! 隠せ隠せ早く~~ッ!?」

 

 

 更に危なくなった格好に進化しただけだった! 上から着ると下から着てんのかどうかさえ一見するだけなら分かりづらくなるから余計あぶねぇ!

 誰だ!? コイツにこんなキチガイファッション教えやがった大馬鹿野郎は! 子供みたいな女子高生に変なこと教えて洗脳してんじゃねぇ!!

 

 

「ふぇ? だってヘンタイさん言ってたですよ?

 “セーラー服をシロスクの上から着るだけだとフカンゼン。セーラー服ブルマー戦士にも見えるのがナンバンじゃすてぃす”って」

 

「俺かよ!? また俺だったのかよ! いや俺じゃねぇけど! 絶対に俺じゃねぇけどパラレルワールドの赤の他人な俺でしかねぇけれども! それでもやっぱり俺かい!?」

 

「あと、お母様にも“着てくれ”って言ってましたし、お母様もお顔まっ赤になって着てましたです。だからラウラもお母様といっしょにヘンタイさんの前でぺあるっくデス♪」

 

「・・・・・・私まで巻き添えですかっ!?」

 

 

 そして最後にはセレニアまで巻き込む純粋ピュアなラウラによる、子供故の残酷な発言!!

 更に赤くなって、見るわけにはいかない姿になってきてる俺の級友! なんか見てると変な気分になってきそうだから! なんか!

 

『あ、織斑君だ! 織斑君が・・・スクール水着姿の異住さんを顔真っ赤にさせて波打ち際に!?』

『え!うそ!? ほ、本当だわ・・・しかも、なんか変な水着姿のラウラちゃんまで一緒に!?』

『しかも今、織斑君から異住さんにも着ろって言われたって聞こえた気がするけど・・・』

 

『え? あの水着って、そんなに変かしら? 欧米ではあれぐらい普通だと思うけど』

『『『あんたの母国何人ッ!?』』』

 

 

 そして早速、風評被害が! またしても俺の失言問題扱いになる展開に!

 違う誤解だ! 事実無根の冤罪だ!

 パラレルワールドの俺が言ってたってだけであって、俺は言ってない! 今の俺はそんなこと一言も言ってないからな!?

 また変なのが女子の中に混じってたような気がするし、どうなってんだIS学園の一般女子生徒たちにマトモな人はいないのか!?

 

「おー、セレりん可愛い水着だね~。のほほんさんもお揃いのにしたかったなぁー。ぽっにゅんぷっにゅん♪」

「おや、素敵な水着姿ですね異住さん。とても金になりそうで素敵です。

 思わず私も欲望の赴くまま飛びついて引ん剥いて、あられもない格好になったところでダブルピースしてる姿を写真に収めて売りたくなってしまった程ですよ。一枚5000円からのスタートで。

 なので、売っていいですか? バイト代は弾みますが」

「・・・・・・のほほんさんに会計さん、相変わらず友情に満ちあふれたお言葉をありがとうございました。私も素敵な友達を得られて嬉しいかぎりですよ、“のほほんさん”」

 

 そしてセレニアの方にも俺とは違うクラスメイトたちに群がられて羞恥刑状態に・・・。

 数こそ少ないが、アッチはアッチで大変そうだなオイ・・・。

 セレニアと仲のいい会計さんって人も、俺とは久しぶりに会ったけども相変わらずその・・・濃いな。この人は本当に。

 

 セレニアよ、もう少し友達づきあいするヤツは選んだ方がいいと思うぞ? いやマジで。

 五反田に対して俺も、周囲から似たようなこと言われる時あるけど、この人よりは五反田の方が少しはマシだと俺は友として信じている。ほんの少しだけだけども友として。

 

 

 そんなことを思って頭を抱えていたところ急激に―――本当に頭が物理的に重くなって圧迫感を感じさせられ、聞こえてきた声が、

 

「い、ち、か~~~~~っ!!」

「って、のわ!? お前、鈴か!?

 後ろから飛びついてきて、頭の上に乗っかってんのは鈴かよ!?」

「そうよ! あたしは中国代表候補の凰鈴音! かつて中国から来た美周瑜と呼ばれた女!」

 

 いきなり後ろから飛び乗ってきて、俺の体をしゅるりと駆け上がってから肩車の体勢をとってきてたのは鈴だった! 

 そして今度は周瑜かよ! どう見ても船戦強そうには見えねぇぞコイツ! せいぜい赤壁でも歩兵中心だった曹操軍の夏候惇の方が似合ってるタイプだ絶対に!

 

「まぁ、そういう議論は置いておくとして泳ぐわよ一夏。海に来たからには泳がなければいけないわ。さっさと準備体操でもなんでも終わらせて海に潜りにいくのよ」

「あのなぁ・・・・・・お前も準備運動してからじゃないと溺れてもしらねぇぞ? まっ、速く泳ごうってのには賛成だが」

「あたしは溺れたことなんかないから平気よ。きっと前世は人魚だったのね、たぶん」

 

 突如として割り込んできた鈴の誘いに乗る形で、俺はクラスメイトたちの輪の中から抜け出して砂浜へと歩んでいく。

 「あー逃げたー!」とか叫びが聞こえてこなくもない気がするけど、冤罪である。事実じゃない。

 そんな話を信じ込んで、不当な言いがかりを付けてくる奴ら相手に言い返しても意味はないし男らしくもない。

 だから俺は無意味な反論をすることなく、鈴の誘いに応えるため海に行くのだ。決して逃げてない、断言する。だから大丈夫だと。

 

「ところでさー、一夏ぁ」

「おう? なんだ鈴。そういえばお前、人魚のイラストって最初は男だったんだぜ? 知ってたk――」

 

 

「人魚って昔は、魔法の歌声で船乗りたちを海に誘い込んで、溺れ死にさせてたセイレーンが元ネタだって説があるの知ってた?」

 

 

 ――ババッ! ダッ!!(俺が上に乗ってる鈴を放り出してから全力脱出し始めた音)

 ――スタチ! ダダッ!(逃げ出した獲物を海に引きずり込むため追ってくる鈴の足音)

 

 

「テメェ!? やっぱり俺を事故に見せかけて抹殺する気だっただけじゃねぇか! それでも中学時代の友人でもあるセカンド幼馴染みか!?」

「違うわ! 誤解なのよ一夏! あんたを溺れさせようとしたのは、あんたのせいなの! 仕方がなかったのよ!

 あたしのセレニア相手に、そんな羨ましい要求かなえてもらえる関係になってた一夏が全部悪い! だから、あんたが死んで、あたしがセレニアとイチャコラ関係横取りするのは仕方がない!!」

「逆恨みで罪を正当化したがる崖っぷちの殺人犯理論を、堂々と語るんじゃねー!? 少しは誤魔化す努力ぐらいしろよ! せめてサスペンス殺人犯並のレベルには!」

 

 完全に殺意を隠す気がなく、逆恨みの私怨を正当なる権利と信じて疑わないキチガイ系殺人未遂犯に追いかけ回されながら砂浜を逃げ回る俺!

 普通これ配役逆の立場じゃねーのか!? あんまテレビ見ない俺でも分かるほど、ジャンル違うのがサスペンス世界に混じってくると、こうなっちまうのかイヤすぎる!!

 

「あらあら、一夏さん。丁度いいところにいらっしゃいましたわ」

 

 と、穏やかそうな声でやってきたのはセシリアだった。

 正直こんな状況下では、この際誰でもいいから助けて欲しい窮状ではあるのだが――コイツはコイツで殊セレニアに関する話題では鈴と同じぐらい信用しきれない理由持ちなクラスメイトでもあるわけで。

 

「わたくし、一夏さんにサンオイルを塗っていただきたいと思って探してましたの。

 ですので殿方として女性に恥をかかせないための礼儀として、お願いしますわね?」

「い、いや悪いんだがセシリア。見ての通り今、忙しいんで俺以外の他のヤツに頼んで塗ってもらってくれないk――」

「まぁまぁ、そう仰らずに。い、一夏さんがされたいのでしたら、前も塗ってもらって結構ですのよ・・・?

 ――って、イヤァン♡ 何を言ってるのかしら、わたくしったらはしたない・・・♡」

 

 そしてパレオをしゅるりと脱いでから、イヤイヤと顔赤らめながら体くねらせ出すセシリア・オルコット。

 コイツは一体なにをしたいんだ・・・? そう俺が疑問を抱いたのは一瞬のこと。

 

 次の瞬間には、答えが俺の後ろから一瞬だけ超加速して前に出て、目的のブツを奪い取ったときには・・・・・・俺はもう、この時セシリアが隠そうとした真意に気づいていた。

 

「イグニッション・ダッシュ!! はいはいあたしがやったげるわよセシリアぺたぺた、おーっと! 手が滑っちゃったわぁっ!!」

「きゃああっ!? 乙女の柔肌を隠していた一枚だけの水着シールドが落ちてしまって、貴族令嬢の素肌を一夏さんに事故とはいえ見られてしまって―――これは口封じせざるを得ませんわね!

 オルコットの家と名誉を守るためです! 仕方がありません! とゆー訳で有罪! KILL!!

 女尊男卑社会で女の裸を見た男に、公平な人権はない!!」

 

「お前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!?」

 

 

 もはや俺を殺すことしか頭になくなった、セレニアの恥態で理性が蒸発しちまったっぽい二人に追いかけ回されながら、千冬姉に助けられるまで逃げ出し続け走り続けることしか出来ない境遇に陥らされる臨海学校初日の俺!

 

 くそぅ! これも海か! 海のせいなのか!? 夏の海の魔力に当てられて皆おかしくなってしまったのが原因なのかっ!?

 だとしたら、そうであって欲しいから早く魔力消してくれ夏の海―――っ!!

 周囲の皆だけおかしくなって、自分一人だけ正気のままだと逆にキツいんだよコンチクショ―――ッ!?

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・こうして、俺とセレニアがそれぞれの事情と仲間たちから酷い目に遭わされる羽目になっていた頃の事。

 この状況を、セレニアに『スクール水着を着るよう要求した』只それだけで造り出させてしまった天災は、一人。

 

 岩場の上から状況を俯瞰視点で眺め下ろし、笑顔と共に介入の時が訪れたのを確信していたのを、この時の俺は気づいていなかったんだ。

 

 そう。あの人と久しぶりの再会を、俺は――いや。

 “俺たち”は果たすことになる明日を、今日この時の俺たちはまだ知ることが出来ていない―――

 

 

 

「・・・ふ~・・・、ふ~・・・お、お腹苦しっ・・・。

 こ、この天災束さんともあろう者が思わず、笑い死ぬかと思っちゃったよ・・・っ。

 ぷっ、くく・・・わ、脇お腹いた・・・っ、苦しい・・・っ。

 さ、流石はセレちゃんだね。正直ここまでの光景が見れるとは、ぷはっ! そ、想像していなかったけど・・・ぷぷぅっ、そ、そろそろ真打ちになる女優登場の時期が来たみたいだねぇ・・・っ!

 ――邪魔なバカ駄後輩もいないみたいだし、箒ちゃんも仕掛けに気づいたみたいだし、イッツ・ショータイムを始めるよ! パーティーだよ!

 束さん脚本演出助演による、夏のザ・ラストド派手なパーティーを始めにいくぜェいッ! 

 待っててねセレちゃん♡ 夏オンザ天国ゥ~ッ♪」

 

 

 

つづく


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