『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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投稿するのを、ずっと忘れていた【ひねくれ少女】の最新話。
あまり良い出来じゃなかったので、直すか否かで迷って忘れてましたが、この際出してから考えることになりました。


IS学園のひねくれ少女 第27話

 ・・・織斑さんたちが暴走したシルバリオナンチャラさん撃退のため出撃してから数時間が経過していました。

 今の時刻はもう、午後3時半。

 午前11時半に出撃してった頃には晴れ渡っていた7月海の、アッタマ悪そうな底抜け青空だった陽光も陰りを見せ始めて、陽が落ちるのが最も早い時期に相応しい色へと急速に黄昏を広げつつある時間帯。

 

『『『・・・・・・・・・・・・』』』

 

 旅館内の一室である私に与えられている客室に集まっていた、オルコットさんと凰さんとデュノアさんは、重苦しい沈黙に包まれたまま、ただ時だけを無駄に浪費し続けておりましたとさ・・・・・・。

 

 束さんから与えられた最新鋭の第四世代機《紅椿》をまとった篠ノ之さんと織斑さんの白式という、高速移動中での射撃戦闘が可能なオルコットさんの《ブルー・ディアーズ》を追加武装なしの状態で上回れる接近戦向けコンビ――しょうじき、飛天御剣流型ISとでも呼んだ方が良いんじゃないのかって思わされた2機だけで出撃した彼らでしたが――紆余曲折あって敗北。

 

 迎撃作戦は失敗して、1機が未帰還で一人が重傷を負って回収という結末に。 

 重傷を負った織斑さんは危篤状態のまま意識が戻っておらず、自身を庇って負傷させてしまったことから篠ノ之さんは病室に籠もって座り込んだまま動こうとしない。

 

 

 ・・・・・・惨憺たる結果に終わってしまった後の私たちIS学園1年生臨海学校組には、敗北感こそあれ勝利の感慨など微塵もある訳なく、ただ無言で顔を付き合わせたまま時が過ぎるのを待っているという状況に今ではなってる次第でして。

 

 一応は織斑先生から『状況に変化があって招集するまで待機』という方針が示されたとは言え、言い方を変えれば『何も起きない限りは何もしない』という日本人らしい事なかれ主義に基づく当たり障りのない方針モドキを語っただけなのが側面的事実。

 

 要するに先生方も、どーすりゃいいのか分からず、何も決められないまま時間だけ無駄に過ぎるに任せてるっていう、よくある状況になっちまってるのが今の私たちIS学園臨海学校に来てる組の実情なんですよなぁ・・・・・・。

 

 そして、そんな重苦しい沈黙が臨時の司令室となってた大部屋を支配して、まるで親友を自分のミスで失ったばかりの覇王を立ち直らせる手段で悩む帝国軍の若き提督たち状態に陥っていた、まさにその時のこと。

 

 

「やぁやぁ、分かりやすく暗い顔して集まってるだけで、相変わらず何の解決策も出せてないみたいだねぇ~☆ 変な金髪ア~ンド中国の胸無しちゃんたち♪」

「・・・・・・束さんですか」

 

 

 バーン!!と襖を壊れるぐらいの大きな音を立てながらも実際には無傷で開けて入室してきたのは、冷徹非常な義眼の参謀長ならぬ天災科学者の篠ノ之束さん。篠ノ之箒さんの実姉に当たると“自称”している三十路前の巨乳な女の人です(嫌味言われたので心の中で反撃する私)

 

「ふふふ~♪ ナンバー1もナンバー2もいて、まとめ役になれそうな子だっているのに、たった一人の戦力が欠けただけで機能停止しちゃうなんて、国家代表候補が頭数だけ集まってるIS学園もずいぶんとダメダメだよねぇ~」

「「・・・・・・ムカ」」

「――仰られる通りの惨状でしてね。良ければIS関係全般の専門家として、天才的なアドバイスを拝聴できればありがたいのですが」

 

 あからさまな挑発によって、オルコットさんと凰さんの額に青筋を浮かべるのが見受けられたので私が仲裁し、デュノアさんが「ホッ」と小さく息吐いてる姿を等分に楽しそうに見物し終えた後。

 

「ってゆーか、解決策もなにもセレちゃんだったら、こういう時なにやれるかなんて考えるまでもなく、とっくの昔に分かり切っちゃってるはずでしょ?

 それをやればいいのに、なんでやらないでボンヤリしてるのか束さんの方がミスディレクションだよ?」

「・・・・・・まっ、そーなんですけどね・・・・・・。私にも一応は色々ありまして・・・」

 

 最後に幼馴染みのお姉さんでもある束さんから、私に向かってハッキリと言いながら見下ろされてしまって、返す言葉もなく苦笑するしかない、自分でもらしくない反応しか返せなくなってるのが現在の私という訳で・・・・・・。

 

 実際、彼女の言うとおり現在の私たちが成すべき事、それ自体は最初から決まっているのです。と言うより最初の時と特になにも変わってないと言う方が正しいのかも知れません。

 

 なにしろ、【試験飛行中に暴走して日本近くに向かってきた軍用ISに対処せよ】っていうのが、IS学園の上層部から私たちに与えられた指示の内容です。

 上に「やれ」って命じられたからやってただけの現場にとって、上が「辞める」って決めない限りは続けるだけでしょ? 普通に考えて。

 

 その為には目下のところ最優先でやるべきなのは、篠ノ之さんの戦意回復と、戦線離脱を阻止することです。

 正確には彼女が与えられた第四世代IS《紅椿》の戦線復帰させるですけど、あの機体は既に彼女専用機になってて今となっては他人が即座に動かせる代物じゃありませんし、何より武装がピーキーすぎる。

 スペックは高くとも、あんな接近戦向けに偏りまくったトリッキー武装ばかりの高性能機の使い手なんて、そう簡単に見つかってたら各国は代表候補生捜しに苦労しちゃいません。

 

 一方で、彼女の性格から見て『自分を庇って織斑さんを負傷させた今回の件』に対して責任感と罪悪感に苛まれて塞ぎ込んでるのは明らかで、そのうち『責任取って辞める。自分にISを使う資格はない』とか言い出しそうなタイプの超典型でもある、間違った昭和ノリを実践しそうな厄介すぎるタイプでもある。

 

 言うまでもなく、彼女が専用機を捨ててIS操縦者を辞めたところで、喜ぶのも得するのも『織斑さんを負傷させた敵だけ』であり、なんの責任を取ったことにも特にはならず、むしろ利敵行為とすら言える状態に陥るだけ。何の意味もありゃしません。

 

 ですが、彼女のタイプは往々にしてそれを『自分なりの責任の取り方だ』と思い込んでるきらいがあるのは周知の事実。

 

「・・・そんなタイプの人に発破かけて戦線復帰させるだけなら出来なくもないんですが・・・・・・私がやると、やり過ぎちゃって再起不能になるか、逆に過激化しちゃって怨みで動く人になって織斑先生から怒られるだけの可能性が高過ぎる気がしまくりましてね・・・。

 仮に戦線復帰させるのには成功できた場合でも、変な方向に変わってしまってドン引きさせられたこともない事はなかったですし・・・・・・」

「あ~、なーる程ねぇ。それだったら少しあり得るかもだもんねぇ。

 箒ちゃん昔っから、ああ見えてメンタル豆腐なガラスの乙女心的女の子だったし、思い込みも超激しいタイプだし、オマケに妄想癖まである面倒くさいところ持ちな女の子だったもんねぇ~。

 セレちゃんだと加減間違えたときには再起不能か、最悪の場合は首つり飛び降りリストカット、あるいは切腹とかの時代錯誤な死に方する可能性だって無きにしも非ずんば否や?かな?かな?」

「怖いこと言わんで下さい・・・・・・」

 

 相手からの言葉に私は首を振り、思い出しかけたイヤな記憶に蓋をして、トラウマものだった過去の出来事が復活するのを心の中だけでも封じ込めるよう賢明に努力しつつ。

 

「ただでさえ、イジメで登校拒否になった人を説得したら“前世の記憶を取り戻した”とか言い出して、イジメ生徒たちに『我を崇めィ・・・』とか言って恐怖支配して軍門に下しちゃった時には、どうしようとか思った黒歴史が・・・・・・」

「うん、それもう過激化ってレベルじゃないよね確実に。明らかに別の世界への扉開いちゃってるよね、その人って。

 って言うかセレちゃん、その子に何言っちゃったのかな本当に・・・? 説得されて影響受ける域を超え過ぎちゃってる気が・・・」

「普通のことしか言った記憶ないはずなんですけどね・・・あくまで私的にはの話になっちゃうのは認めざるをえない訳ですが・・・。

 ちなみに前世思い出したクラスメイト女子の人は、その後クラス内の問題児達を率いて全国の不良中学生たちを統一して頂点に君臨して『天下布武』を叫んで、今は母国で代表候補になってるとかなってないとか」

「・・・・・・・・・束さん、ちーちゃんといっ君と箒ちゃんとセレちゃん以外の人間には基本的に興味0以下の天災的な人だけど、ちょっとだけ会いたくなってきちゃったなぁ、その子だけには・・・・・・。ホントに何言われたんだろ? そして何があったんだろ? その子の中で・・・」

「さぁ?」

 

 肩をすくめて、そう応えるしかない真っ赤な他人事でしかない当時のクラスメイト事情。

 無論そこまで面倒見る気もないのなら、最初から距離置いて無視してやる方がまだ親切というのが一理あることぐらい知ってますし、私もそのつもりで声をかけていた程度の気遣いではあったのです。

 

 ・・・・・・その結果がソレでしたからねぇ・・・・・・私の言ったことが原因だったか否かは別問題として、二度も同じイベント発生するフラグは立てたくないと思った正直な私の当時の気持ち。

 だからこそ今、しょうじき困ってはいる。どーしようかなと。

 

「まっ、そーゆー過去事件の事情があるって言うんだったら少しは分かるし、束さんも箒ちゃんがダークサイドに落ちて闇落ちして『シュコ~』とか息吐き出す人に変わっちゃったらイヤすぎるし、セレちゃん怨むだろうし。その点ではまだ妥協できる部分はあるとして。

 ――セレちゃん以外に、箒ちゃんを言葉で殴って奮起させれそーな性格してるっぽい、一応は同格の専用機持ち仲間のお二人ちゃんは何もしないのかn」

 

「「ササッ!!(奥義:天翔龍目逸らし)」」

 

「・・・・・・何もする気がないから使えないみたいだね~。って言うより、何かやってもいいけど責任問題にならないことしかしたくない本心丸見えすぎで何よりで」

「ですねぇ~」

 

 相変わらず見事な観察眼をおもちな篠ノ之さんの姉である天災科学者様に敬意を表して、心ない拍手をパチパチと送ってあげながら、私も人のことは言えない白ーい目付きで専用機持ち仲間のお二人さんを眺めるばかり。

 

「・・・・・・ぴゅ~♪ぴゅ~♪」

「・・・・・・・・・あら、こんなところに枝毛が。わたくしったら、おほほほ」

 

 目をそらしてジト汗を流しながら、わざとらしく口笛を吹く凰さんと。

 コンパクト鏡を取り出して、先程から化粧直しをしたまま復帰してくれないオルコットさん。

 

 まっ、最初から篠ノ之さんの仇討ちに協力してまで代表候補の地位を失うリスクを冒したいと思える理由は何もないのが彼女たちの立場でしたからなぁ。特に驚くべき部分も怒る部分も何もないと言えば何もなし。

 

 オルコットさんは、実家の件があるため自分事だけで済む話ではなく、一族が保有している会社や工場などの従業員および家族も含めた大勢の他人たちに責任負ってる英国貴族の家柄であり、安易に私情だけで動いていい立場では端からなく。

 

 凰さんの方に至っては、専用機与えてくれてる国と政府が、件の共産主義大国さん。逆らっても役立ってる間はマシとして、地位と力を没収した後の使い終わった道具人間にたいして、どんな未来を与えられてしまうものなのやら。

 

 両者共に、あまりにもリスクとデメリットが高すぎる立場の人たちっすスからなぁ~。

 無理じゃね? 正常な判断力を残してる状態で同じ状況になったときに、この二人のどっちかにその手の役目を期待するの。

 

 尤も・・・彼女たちが織斑さんに惚れてた場合は別かも知れませんけどね。

 『恋は盲目』って言いますし、殺された愛する人の仇討ちで相手国全てを滅ぼそうなんて希有壮大な復讐者さんも中にはいる。

 

 その点では今現在、この場にいるメンバーで織斑さんの仇討ちのため篠ノ之さんに発破かけにいく人間がいないまま無為に時を過ごしてる原因は―――私という事になってしまう訳ですかい・・・・・・。

 ううぅ・・・なんか久々に胃が痛くなってきた気がしましたね・・・・・・子供のときに良くなって以来、回復に向かってたんですけど何故か急に原因不明の病復活、が・・・・・・

 

 

「フンッ! 専用機を与えられているとは言え、奴らは所詮、民間人。代表候補の肩書きを与えられただけで、弛まぬ訓練と日々の苦楽を共にしてきた我がドイツ軍が誇る『黒ウサギ隊』のような血の結束で結ばれた絆など、夢のまた夢。

 所詮、戦いの素人は素人でしかなかったと言うことさ。期待するだけ無駄だな。やめておけ」

「「・・・・・・・・・ムカッ」」

 

 そして室内の角辺りに立ってて、背中を預けるポーズで見下してきながら冷徹そうに酷評してくるのは、ラウラ・ボーデヴッヒさんによる軍人精神バージョンからの論評する声。

 久々に元の状態に戻ってる時と出会すことになった私たちでしたけど・・・・・・正直あんまし嬉しくない変化だなぁーと、彼女自身には申し訳なさを感じつつも素直に思わざるを得ない相性の悪い状況。

 

 何しろ、この状態の時点でのボーデヴィッヒさんって、織斑さんとは怨恨こそあれ、仇討ちしてやるような義理だの友情だの恋情だのは一切持ち合わせていない頃合いの、ぶっちゃけ『敵』でしかなかった関係性だった精神性。

 

 当然ながら、彼にも凰さんにもオルコットさんにも好意的であるべき理由は何もなく、篠ノ之さんに至ってはほぼ赤の他人状態な関係性。名前すら知ってるかどうかって間柄です。

 何か言いに行く役目を引き受けたとして、何が言えるんでしょ? この状態でのボーデヴィッヒさんて篠ノ之さんに。

 

 オルコットさんや凰さんの話でも引き合いに出して挑発するぐらいかな?

 シンジくんが傷心中のアスカに『僕たち付き合うことになりました♡』とか書いた綾波レイとのツーショット写真でも送りつけるのと同レベルの効果しか得られんと正直思うけど。

 

「・・・・・・って言うか、え? あの子なんかさっきと雰囲気違いすぎるんだけど・・・なにかあったの?」

「病気です。気にしないでください」

「そ、そーなんだ・・・ふぅ~ん・・・・・・」

 

 間髪入れずに「病気」と答えられたせいなのか、彼女にしては多少珍しいことに余り悪口も言わずに身を引いて、長い髪を「パサッ」とかき上げながら「やれやれだぜ」と奇妙な物語っぽいセリフを気障ったらしい仕草で吐いた後。

 

 

「仕方ない。今回だけは束さんが直々に、傷ついて悲しみに沈んでいる愛しき妹ちゃんを慰めてあげるため、妹思いな心優しきシスター的愛の指導で導いてあげるしかないか~。

 ま~ったく。ちーちゃんが出撃しちゃってパパッと倒しちゃえば済む話なのに、メンドーくさい事だよね~♪ クスス♡」

 

 

 そう言って部屋から立ち去って行かれたのでありましたとさ。

 背を向ける寸前に―――ものごっつい邪悪な笑顔を浮かべ直しながら。

 

 

 

つづく

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