ひとまずは途中まで出来てた分を投稿しておきますので、清書版の一人称視点バージョン『織斑四季ちゃんIS』宣伝広告用に使い潰したいと思います。
ぐつぐつぐつ。
織斑家の厨房では今、鍋が煮られている。今が旬の幸はないが、八百屋でよく見定めてから購入を決めた良質の物のみを厳選して使っている。
灰汁抜きには手を抜かない。それを信条とする織斑家の板前(姉が命名。兄は不満顔だった)は、今日も調理が始まってより台所からは離れようとしない。
包丁を手に取り、具材に刃を向けた刹那の刻に料理(死合い)は始まっているのである。
素材の良さを活かし切れるか。
あるいは自己満足のために、使える部分を切り落とす現代風の潮流に流されるのか。
どちらの道を選ぼうと必ず何かは切り捨てねばならず(茎とか)、全てを残し、全てを活かす道など存在しいない(全ての部位を同じ料理に使うのは無理)。
だからこそ彼女は厨房を、己の敵と一対一で向き合う殺し合いの場なのだと考えていた。試されるのは己の腕と修練のみ。毎日の積み重ねは嘘をつかず、努力の効果は結果によって如実に顕される。
結果が全てなのだ。結果が良いよく終わらなければ意味がない(不味い料理を作ってもね~)。
それ故に彼女は、一度厨房にたつと余程のことがない限り離れようとは決して思わない。たとえ恐怖の大王が時間差で降臨してきたとしても、彼女は手首のスナップを利かせた投擲により恐怖の大王を包丁で殺す覚悟で厨房へと入室していた。
伊達ではないのだ、料理番という名誉職は。恋だの愛だの友情だのでは生み出せない真に尊き命の糧、食料による料理!
織斑家の食卓を預かる誇りを胸に生きる少女には、俗世で起きる様々な雑事など気にもとめないし耳にも入らない! 心を無にして、純粋な気持ちで相手と向き合い己の中にある心と対話を果たすのだ!
明鏡止水の心構え、今この場に人の形を取って顕現せり!
『ーー臨時ニュースをお送りします。先ほど総理官邸で緊急記者会見が開かれ、その場において世界初の男性IS操縦者『織斑一夏』君の存在が公表されました。
織斑君は明日にでもIS学園・・・日本にある世界で唯一のIS操縦者育成機関に入学することが閣議において決定されるとの事でした。では次にーー』
ブツン。
テレビを消したリモコンを適当にどこかしらへ放り投げると、彼女は普段通りの歩き方で歩幅と速度にも変化を見せることなく、落ち着いた所作で受話器を取ると電話機の番号を押していき目当ての人物を呼びだした。
「おい、馬鹿姉貴。今さっき流れてた臨時ニュースは当然観てたよな? ・・・なに? 仕事中で勤務時間中だったから観ていなかっただと?
ふざけるな。おまえは学園警備主任だろうが。教室で椅子に座って真面目に座学ができない狼みたいなヤンチャ坊主だったから今のお前があるんだろうが。
どうせ授業でも叩くか脅すか睨みつけるかの三つしか教え方が選べない無能教育者風情が一端の教師を気取るな反吐がでる。
・・・で? さっきした俺の質問に対する答えは? ーーああ? またしても馬鹿ウサギにしてやれただぁ? 『家にいると一夏の身の安全が保証できないから自分の手元に置いておく』って、お前・・・一ヶ月以上年頃の弟妹を自宅に放置したまま連絡一つ寄越さなかった癖によく言えたなその台詞・・・ある意味で感心するわ本当に・・・」
「・・・はぁ? 俺を一夏の護衛役としてIS学園に入学させる準備はできてるだって? 適正がDランクしか観測されなかった、この俺がか?
お前・・・少しぐらい隠せよサボる気をさぁ・・・」
「ーーふ~ん、専用機は与えられないが量産機でよければできる限り融通するよう努力はしてみる・・・か。ま、いいさ別に。
ISには興味がないし、期待もしてない。機械も刀も所詮は道具だ。使えりゃいい。使えないなら専用機だろうと名刀だろうとナマクラだからな。ありがたく受け取っておいてやる。感謝しておけ。明日までには準備をすませておく。じゃ、明日な。急げよ」
がちゃん。
「ええと・・・昨日入学式を終えたばかりな上に自己紹介してもらった直後で大変申し訳なく思いますが、今日もまた新たにもう一人の新入生さんを紹介したいと思います。
どうぞ、入ってきてください」
ガララ。
「・・・失礼しまーす」
「彼女は織斑一夏君の妹さんで、織斑四季さんと言います。
織斑君が世界で初めてISを動かした男性であることは皆さんよくご存じのことと思いますが、彼が学園生徒に招かれた理由の一つに保安関連がありまして、でもその結果として家に妹さん一人だけ残していたのでは本末転倒すぎるからと国の意向も踏まえての入学となりました。
ああ、でもでもちゃんとIS適正はありますからね。安心してください。ぶっちゃけますと私、形ばかりの入学許可試験で彼女に負けました。完敗です。手も足も出ませんでしたので腕は確かです。
ですので皆さんも彼女を差別することなく対等なお友達として接するよう気をつけてくださーー」
がたんっ。
・・・そこまで来たときに、椅子を蹴って立ち上がった一人の生徒がいた。
IS学園1年1組副担任の山田真耶は、不思議そうな表情を浮かべながらその生徒の顔を見、声を出して呼びかける。
「どうされました、オルコットさん? どこかお加減でも?」
「・・・いいえ、別に。なんでもありませんわ。お続けください山田先生」
「??? は、はぁ・・・。えっと~、オルコットさんがそれで宜しいんでしたら別に良いんですけども・・・」
「・・・・・・・・・」
「え、えっと・・・紹介の続きって言ってもさっきので先生の言えることは全部言っちゃいましたからね。後は若い子達同士、仲良くおしゃべりトークしてみましょうか!
それでは織斑さん! 張り切ってどーぞーっ!」
「織斑四季ですよろしくおねがいしまーす(超棒読み口調)」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』