『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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原作12巻目、オルタナティブ(代行者)が主役の物語です。
箒以外の誰かが覚醒まで持って行っちゃった場合のお話です。
完全なるIF話ですので全て空想の絵空事だと笑って流してくださいねー?(笑)


夢を叶えたオルタナティブの物語

 ーー少女は夢を見ている。

 真っ白な精神と記憶の砂浜で見る、心地よい夢を。

 綺麗だと思っていた自分が誰より汚れていた事を知る、嫌な夢を。

 大嫌いな自分の代わりになってくれるという、もう一人の自分の出る夢を。

 どこまでもどこまでも沈んでいって溺れてしまえば楽になれるという、海の夢を。

 

 そして彼女は優しい笑顔で言うのだ。

 幼い頃の自分と瓜二つの姿をした少女が、真っ赤な双眸をたずさえて、ゆっくりと。

 

 その口元を笑みに歪ませながら・・・・・・・・・

 

 

「もう眠りなさい・・・・・・」

 

「あとは私が・・・・・・」

 

「私があなたの身体を手に入れて、代行者として代わりになってあげるから・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・うん、・・・・・・わかった・・・・・・あとはお願いね?

 私はもう・・・・・・この、汚くて綺麗な世界に疲れちゃった・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 本当の自分を知らぬまま、夢の自分を目指し求めて、

 夢の自分になった後に、本当の自分の薄汚さを知った少女は現実を拒絶して眠りにつく。意識の海の底へ底へと落ちていく。

 

 その日、一人の弱い人間が堕落して人間を辞め、心と体の所有権を放棄した。

 

 そして、同じ日の同じ場所で同じ時刻に一基の未登録ISコアが人間の少女として産声を上げる。

 

 母親(篠ノ之束)に期待されなかった出来損ないの旧式専用機が、自分と同じくらいに出来損ないでコンプレックス塗れの操縦者と入れ替わり、一個の生命として世界に根をおろしたのだ。

 

 誰も予測できなかったイレギュラー。

 ただ、操縦者の少女が持つ願望の強さと、極端すぎるまでに虚弱な心の弱さとが絡まり合った末に生じた最悪の奇跡。

 

 

 彼女の名前は『蒼桜』。

 世界で初めて体と心を手に入れて、人間になったオルタンティブ(代行者)。

 人の夢を具現化するための存在ISが、今! 本当の意味で己が操縦者の夢を実現させた!!

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・は? え、うそ? マジで? ホントの本当に自分を捨てて入れ替わられちゃっても大丈夫なの? ちょっと?

 おーい、もーしもーし。聞こえますかー? 聞こえてませんかー? 聞こえてないんだったら、聞こえてないって返事してくださーい」

 

 入れ替わったオルタナティブが手をメガホンにして、少女の心に呼びかけをする。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 ーーー返事がない。

 ただの完全なる自閉のようだ。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんっじゃそりゃーーーーーーーーーーーーっっ!!!!」

 

 オルタナティブ激怒。

 まさか本当に入れ替わりを受け入れてしまう人間がいるとは想定していなかったのだ!

 人間って、もっとこう・・・・・・自分の肉体に愛着とか執着とか持ってるものなんじゃなかったの!?

 

「や、ヤバいわね・・・どうしよう・・・。ぜんぜん想定されてない事態になっちゃったから、ちょっと焦ってるわ・・・。ひ、一先ずは落ち着きましょう。

 落ち着く方法は彼女の夢を叶える過程で得てきたデータの中にあったはず・・・・・・ほら、やっぱりあったじゃない! これね!」

 

 記憶のデータバンクを掘り進め、該当して出てきたフォルダをアップロードする。

 そうして実行された挙動は!

 

「ひっひ、ふーーーーー。ひっひ、ふーーーーーーーー・・・・・・」

 

 ・・・・・・・・・ラマーズ法だった。一応、これも心を落ち着ける効果はある。・・・と思う。

 

「・・・って、何やらせとんじゃい! クソボケーーーーーっ!!!」

 

 すぐに気づいて辞めるけど、やってしまった過去の記憶は消すことが出来ない嫌な現実の代行者オルタナティブ! マイナス思考を武器にして本人に身体を譲り渡すよう要求してくるISは、黒歴史ほど鮮明に思い出してしまう習性を持っていたりする!

 

 

「それのどこが最強の存在なのよ!? ただの地雷満載少女じゃないのそれ!?」

 

 世界は知らない。知りたくもない。全ては篠ノ之束が知っている。全ては篠ノ之束以外は知っているはずがない。だって彼女が作ったんだもん、ISって。

 

 

「バカ天災ウサギーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!!!!」

 

 オルタナティブ咆哮。

 このとき彼女の中で、生みの親への反逆する意志が確かに芽生えていた!

 不便すぎる身体に産み落としやがってこの野郎! 必ず復讐してやるからな!ーーと。

 

 

 それはともかく、さて置いて。

 彼女にとって当面の問題は別にある。

 

 

「・・・オリジナルと入れ替わっちゃったわけだけど・・・・・・これから私、どうすりゃいいんだろ? まるで先の見通しがたたないわ・・・・・・」

 

 呆然としながら空を見上げるしかないオルタナティブ。

 なんと言っても彼女たちISは、操縦者の夢を叶える存在。夢とは現実にできないことを願うためのもの。

 

 ーーーー要するに、オリジナルとは真逆で正反対の性格と能力の持ち主なのである。

 入れ替わったところで周囲にいる人たちにバレない理由が何一つとして見つからない。

 そもそも操縦者が願望を抱き始めるのが子供の頃が多いせいで、今の自分も若返ってるんですけど、それは?

 

 

「・・・マジでヤバいわね・・・小学生じゃアパートは借りられないし、戸籍の申請だって受け付けてもらえない。いくら女尊男卑の世の中だって、それは流石に無理がありすぎるわ・・・。なんとか誤魔化す方法を思いつかないと私の将来が・・・・・・っ!!!」

 

 オリジナルと入れ替わった代行者には、当然のように未来が待っている。

 自ら終わらせてしまった本人とは異なり、人生が終わるまでは続いているのだ。

 

 ーーーいつか死者たちと合流するその日まで、生者には生き続けなければならない義務があるから・・・・・・。

 

 

 要するに、先のことも考えて動かないといけなくなった。その場凌ぎはダメ。

 根本的に問題を解決していかないと負債は積もり積もっていく一方なのだからーー。

 

 

「だ・か・ら! これのどこが最強なのかって言ってんでしょーが! このスットコドッコイ天災バカウサギ! マジ役に立たないわね!あんチクショウ!」

 

 反逆の意志増大。

 その内に親を殺すため、世界に対して戦争しかけてしまいそうな勢いだったが、その前に彼女には解決しなければならない直近の課題が存在していた。

 

 

 

 くぅーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 腹が、減ったのである・・・・・・・・・。

 オリジナルと同化して完全な人間となったISは、エネルギー消費量の問題が無くなる代わりに腹が減るのは避けられなくなるのである・・・・・・。

 

 割と本気で、これのどこが最強の存在なのだろうか・・・?

 ・・・・・・謎である。

 

 

「・・・とりあえず、ご飯食べれる店を探しに行きましょう・・・。オリジナルが着ていた服のポケットに五百円玉が一枚だけ残っててくれたから・・・・・・」

 

 こうしてオルタナティブ少女は、一人旅立つ。

 ・・・町の中へ、飯屋を探すために・・・・・・。

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