『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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「試作品集」と同じでPomeraに内蔵されてたデータの中に色々とたまってたので放出しておきまーす。

まずは(たぶん)「俺ガイル」と「IS」のコラボ作品から。


IS世界に輪廻転生した、ひねくれぼっち

 気が付いたとき、俺は青い宇宙を漂っていた。

 何もない、何も見えない分からない。此処が何処で、今が何時で、なぜ自分が此処にいるのかも。

 

 いや・・・そもそも俺って、誰だったっけ? なんだか一秒ごとに記憶が曖昧になってってる気がするんだがーー?

 

『はーい、そーのとーりー! それが所謂『死ぬ』って奴ですよ少年!』

 

(・・・?)

 

『今あなたは、間違いなく死にかかってます。て言うか、ぶっちゃけ死にました。完全に鉄壁に異論の余地無く跡形もなく。いや、死体は残ってるからこの表現は正しくないな。うん、ごめんなさい間違えました。

 正しくは『存在の消滅が確定してしまった後』なんです。私の言ってる意味、わかります~?』

 

(・・・肉体が死んで魂になった俺も消え掛かっている・・・。消滅が『確定』した後だから誰にもどうすることも出来やしない。大方そんなところじゃないのか?)

 

『ビンゴ! すごいすごい、大正解です! まさか下等な人間ごときが答えにあっさり辿りつくなんて! とても人間業とは思えませんよ! さすがです!

 やっぱり一人の時間が長くて試行錯誤ばっかりやってると、そう言うことに関してだけ頭が良くなるって言うのはホントだったんですねー。いやー、お見事お見事。

 さすがに『理性の化け物』と呼ばれるはずだっただけのことはあるなー』

 

(・・・褒めるか貶すかどっちかにしろよ。あと、最後のなに? 厨二バトルに出てくる二つ名みたいなの。滅茶苦茶ダサいから、やめてくれません?

 俺、最近厨二を卒業したばっかなんすけど・・・)

 

『え? ・・・・・・あ、あーあーあー、そっかそっかそうだったそうでした! あなたは本来の時間軸より前に死んだ偽物でしたね! ウッカリしちゃってましたごめんなさい! 間違えました! 幸せに終わった本物のあなたと、負け犬で終わった今のあなたは全くの別人でしたよね! しっつれいしました! 女神ちゃんウッカリ! テヘペロ☆』

 

(・・・うぜー・・・。あと、キモい。歳考えろよババー」

 

『おや~? 負け惜しみは良くないですなー。どうして私が老婆だなんてあなたに分かるんですかー?

 顔も名前も姿さえ見せない私に、存在が消え掛かってるせいで記憶まで朦朧とし始めてる今のあなたが、初対面の私になにがどうやって分かると言われるのですかね~?』

 

(・・・・・・)

 

『いやー、これだから人間は下等で困るんだよなー。自分の知ってることだけが世界の全てと思い込みたがる。独りよがりで独善的で不愉快きわまりない。こういう奴らが世の中多すぎるから人間社会はドンドン腐ってくんですよねー。あー、もう本当に人間って糞野郎たちは本当に全くどうしようもーー』

 

(いや、わかるだろ普通。そんだけ証拠提示され続けたら、誰だってお前の正体ぐらいなら)

 

『ーーな、い・・・って、え? それって、どういう・・・』

 

(お前は当初から説明の労を惜しんでない。そのうえに過剰な表現法を使っているだけで内容だけを抽出したら、俺に対する絶賛の言葉しか吐いてない。罵倒の対象全てが『下等な人間』に向けられていて、俺に対する否定と侮蔑の言葉が存在していなかった。

 止めとして『理性の化け物』だ。

 化け物は本来、恐れの対象であると同時に畏敬の対象に対して捧げられるべき言葉だ。お前の言うところの『下等な人間』、そのなかでもとくに下等な屑どもならいざ知らず仮にも女神を名乗っているくらいなら、その程度の辞書的意味合い程度なら知ってるだろうが)

 

『・・・・・・』

 

(最初は俺個人を含めた人類全てを『下等生物』として蔑んでいるのかと勘ぐってみたんだが、どうにもニュアンス的におかしく感じてきたんでな。鎌掛けてみた。『ババー』って。そしたら案の定だ。ベラベラと予定になったんだろう言葉の羅列を並べてくれて、ありがとさん。

 取って付けたように幼稚な単語の羅列は、当初立てた作戦の失敗を覆い隠すため。マシンガンみたいに相手からの言葉を差し挟ませない言葉の連射は、これ以上余計なことを聞かれてボロを出すのを防ぐため。挙げ句の果てには『人間って糞野郎たちは』だ。

 いくら何でも最後の一文だけ感情モロに出すぎでしょ? あり得ないってマジで。あんた、どんだけ人間嫌いで、俺のことは大好き過ぎるんだよ。ハッキリ言って引くわ。こっわ、キッモ、マジ引くわー)

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒドい・・・・・・・・・・・・・・・』

 

(なんだ? 傷ついたのか? だったらそりゃ、あんたが悪い。こんな禄でなしの屑に情けを掛けようなんて考えたのが、そもそも間違えだったのさ。

 屑の手向けには、『二度と生き返ってくるんじゃねー糞野郎』の一言だけで十分だったんだよ。余計なお手数、ご苦労さん)

 

『・・・・・・・・・・・・・・・』

 

(だいたいアンタが好きだったのは、今の死んじまってる偽物の俺じゃなくて、幸せになったって言う本物の俺なんだろう? 代償行為なんかで暇潰ししてるんじゃねぇよ。ホントに置いていかれても、俺は責任とれないからな)

 

『・・・・・・え?』

 

(俺のことはいいから、さっさと行けって言ってんだよ。どーせ、アレだろ?

 大好きな本物の俺は結構不幸せな人生送ってて、その果てに頑張って幸せになれた系の人間で、でもお前は今んところ選んでもらえてなくて、何処とも知れない世界で無数の俺が不幸に終わってるのを知って何人かでも助けてやろうとインチキしたんだろ?

 お約束過ぎるから嫌いなんだよそういうの。だからさっさと行け。二度と俺の前には面見せるな。本物の俺に告白して振られて失恋してから来い。そしたら相手してやらなくもない)

 

『何様ですか!? ・・・あー、もう。調子狂っちゃうなーもう。これだから先輩は本当にまったく先輩はぁ~・・・』

 

 いや、知らんし。つーか俺、アンタ個人のデータは何も分かっていないのは隠したんだけど、気づかなかったん? 以外と抜けているのか、あるいは善良な人間が小賢しい知恵を身につけただけで元の良さが抜けきっていないだけなのか・・・おそらく後者だと思うけど確証ないんだよなぁ~。まぁ、証明する必要もないんだけどさ。

 

『ーーあー! やめやめやめです! 人間観察でエリートぼっちの先輩に半端なぼっちの私が勝てる見込みなんて端からないし! 期待してないですし! だから時間の無駄! 無駄は止めます! もったいないでからね!』

 

 いやだから、知らんし。あと、エリートぼっち言うなし。高校入学でやり直せると思ったばっかだし。あんま思い出せなくなってるけど、たぶんそうだと思いますたぶん。

 

『先輩のおっしゃるとおり、私は偽先輩を助けにきました。そのために頑張ったんですけど、やっぱり元が人間だと限界あって転生させられるまでは漕ぎ着けられなかったんですマジごめんなさい!

 これでも結構頑張ったんですけど、どうしても運命の糸を紡ぐ程度のことしか出来るようにならなくて・・・』

 

(・・・いや、それ十分すぎるほどスゴくね? 運命の糸を手繰る女神ってギリシャ神話のモイライ三姉妹じゃん。神々の王ゼウスの娘じゃん。つか、女神本人たちはどこ行った?)

 

『ラケシス・モイライとクロートー・モイライとアトロポス・モイライさんたちですか? 普通に支配下においちゃっいますけど? まぁ、オリュンポスだと珍しくない事なので、あまり気にしなくてもいいと思います』

 

 マジか・・・。

 

『マジですよ当然。先輩を救えるならこれくらい、なんて事ないですから』

 

 なに、この子怖い! 超怖い! もしかしなくてもヤンデレてる御方ですか!? 愛されちゃってるっぽい本物の俺さん頑張って! せめてナイスボートにはされないようにね!

 

『でも、それが今の時点では限界でした。

 本当なら記憶は持ち越し肉体もそのまんま異世界にチート転生させてあげて、第二の人生では盛大にモテ期を迎えさせてあげるはずだったのに・・・これって所謂アレなんでしょうか? えっと確か・・・広告詐欺?でしたっけ?』

 

 知らん。そもそも俺、その広告見てないし見れないし、二度と見ること叶わなくなっちゃってる状態だし。知らんことに関しては、知らないとしか言いようがない。

 

『むぅ・・・それはまぁ、そうなんですけどぉ~・・・

 ーーでもまぁ、今の私でも定まった糸を切断して新たな糸を継ぎ足したり、雁字搦めになってる糸を一刀両断することくらいなら問題なくできますので、それをやって先輩を神の呪いから解放しようと思ったわけでして。なので何とか間に合ったこの世界の先輩を、最初の一人目に選んだわけです』

 

 壮大な規模でショボい人数すくってんなぁ~・・・いや、正直助かるんだけどね?

 それで? 新たな糸とやらは、何処のどう行った場所につながってるんだ?

 

『《インフィニット・ストラトス》って言うタイトルのラノベ世界です。本来の世界線とは異なっていて、元々神様が作り出した世界じゃないから介入しやすいんですよ。謂わば作者様が神様です、みたいな世界ですので』

 

 あ~、そう言う所は二次創作ガイドラインでも結構曖昧だったりするもんだしなぁ~。

 

『ただ、私はあくまでモイライ三姉妹の権能で本来の糸を別の在り方に変えることまでしかできません。0から糸を編むーーつまりは命を生み出して運命をも作り出せるのは神様だけなんです。なので私が先輩に対して行うのは、転生ほど奇跡じみた権能じゃありません。

 輪廻転生ーー人は生まれて死んで土へと帰り、やがて新たな別の命となって蘇る。この自然のサイクルに糸を継ぎ足すことで、本来であるなら生まれて数ヶ月で終わるはずだった弱い命を生き延びさせて成長過程で先輩のソックリさんになっていく。そういう術式です。

 ですので前世の記憶は継続しませんし、今している会話の記憶も綺麗サッパリなくなった上での生まれ変わり・・・そういう形になりますね』

 

 人格が生まれる前に死ぬ運命にある命だから、その先につながる予定の『自我を持った人間としての運命』を持ち合わせていない。ないのであれば継ぎ足すことが可能だが、最初から途中で途切れる運命の糸がなければ継ぎ足せない。

 無い物は生み出せないから、有る物に別の物を補填して補強することで望んだ形になるよう促す。

 

 ・・・そういう解釈で合ってるか?

 

『はい。一言一句まちがいなしに。

 でも、注意しないといけないのは《インフィニット・ストラトス》通称《IS》の世界に特別な男の人は、一人しか存在できません。そういう大前提の元に成り立っている世界ですから、それを崩すには神様の奇跡が必要になるんです。

 糸を変えた人物によって少しずつ変わっていくだけなら随所随所で臨機応変に対処できますが、生まれた時点で大前提から覆すともなれば大きすぎる矛盾が生じて辻褄合わせで奇跡の力を使う以外に対処できなくなってしまうからです。

 なので申し訳ありませんが、先輩の来世は女の子になってもらうしかありません。その点に関しましてはご理解を』

 

 あ~、それはまぁ・・・仕方ないんじゃね? 出来ないことは出来ないんだしこれで十分・・・とまでは言わんけど、貰ってる側で無い物ねだりまでする気はねぇよ。

 

 つか、どーせ失われる記憶なんだし、今ここで話さなくてもよくね? 進んでいく過程で分かってくるだろうし、分からないなら分かる必要がないって事なんだし。

 

『ダメです! それじゃ先輩が幸せになれません! この世界で人並み異常の幸せを手にするにはIS操縦者として高い素質と能力を持ってることが絶対条件なんです! これだけは絶対譲れません!』

 

 別に俺は標準レベルの幸せでいいーー

 

『いやです』

 

(・・・・・・)

 

『いやです。そんなの・・・絶対にいやです。先輩は幸せにならなくちゃいけないんです。そうなる資格を誰よりも持ってるのに、人並みで満足するなんて許してあげません。他の誰が許しても、たとえ神様が許可を出したって私が許してあげません。

 仮にも女神様を敵に回す選択なんですから、よく考えて選んで下さいね? 先輩♪』

 

(やっぱ怖いよ、お前・・・)

 

 

(ーーだが、分かった。戦うってのはつまり、働くって事だろ? 働きたくないニート志望は、他人の敷いたレールの上を押して貰って進んでいくのが大好きなんだ。

 だから、お前のわがままで敷かれたレールの上を歩んでいってやる。それでいいか?)

 

『ーー!!! はいっ! がんばって私の敷いたレールの上で苦労しながらハッピーエンドを目指して下さい! なんならハーレムエンドでも私はぜんっぜん気にしませんので!』

 

(なんか今、願望入ってなかったか・・・?

 ーーで? 肉体の説明で他に足りないところは? たとえばスペックとかで)

 

『あっと、そうでした忘れてました。嬉しさのあまりこのまま送り出しちゃうところでしたよ。危なかった~』

 

 おい? 頼むぞマジで・・・第二の人生で命掛かってんの俺なんだからさ・・・。

 

 

『先輩の肉体は前世と同じく父母妹一人に先輩で、四人家族。名字と名前は同じにしておきました。

 これだけなら多少変えても他への影響はほとんどでない人が大半なんで変えやすいんですよ。大規模な修正が必要な人も偶にはいますけど、今回の身体は終わってしまう予定の人だったんで問題なしでした。

 能力的にはISを操作する才能、正確には起動させる際に能力限界まで数値を引き出せるかどうかの上限値に過ぎませんが、とりあえずはその世界において強さの基準となっている数値『IS適正』をランクA-と言うのにしてあります。これは本来存在しない数値です』

 

『先ほど話しましたとおり、この世界において特別な男の子は一人だけです。ですが、彼が特別なのは体質的な理由故であって数値そのものは平均よりやや上程度に止まっています。

 なので先輩には真逆の性質、体質的には普通で平凡だけれども、数値が異常で特別と言う風にしてみた次第です』

 

『この数値はきわめて特殊で、ランクBよりかなり高くて、ランクAと比べたらずいぶんと目減りする、工夫しだいなランクとして作りました。戦い方次第ではAランクにも勝てますが、カタログズペックではBランクよりも尚劣るでしょうね』

 

(・・・世界の有りように反する数値だから誰も所持していない。所持する人間次第では世界を変えられるが、大半の人間が持っていたところで凡人と大して変わらないから無茶な仕様も可能になった。・・・そんな感じか?)

 

『相変わらず説明の手間が省けて助かります。

 特殊な性質を持っている操縦者であれば特殊な機体を与えやすくなり、ご都合主義な運命も簡単な糸紡ぎで可能となってくれますからね。立場上、いろいろ制限が掛かる私としても、都合が良かったんですよ』

 

『ただし、気をつけて下さい。この適正と相性の良い機体は癖が強く、かなり扱いづらく出来てますから。

 具体的には、その世界では余り見られない二丁拳銃を主部装としている接近射撃戦を想定している機体です。変則的でトリッキーな戦い方ができる先輩向けの機体ではありますが、火力不足で決定打には成り得ません。単騎で単騎とぶつかり合って勝てるのは格下相手か、さもなくば初見時のように自分の手の内を知られていない相手のみだと言うことを自覚しておいて下さい。

 ーー先輩、私が今言ってる事の本当の意味。ちゃんと伝わっていますよね・・・?』

 

 最後の最期にトーンを落として不安そうな想いをモロに出してくる辺り、あざとさが染み着いていて気持ちが悪い。反吐がでる。リア充など全世界から滅び去れ。

 

 ・・・そう思っていたはずなのに、そう思っているはずなのに。何故かどうしても俺はこの声の主に悪感情が抱けない。合ったことはない、しゃべったこともない、今が始めての顔さえ見えない初対面な相手のはずなのに、どうしてだか俺はコイツの言葉がひどく愛おしい。温もりとか安らぎとか、いろいろな物が混ざり合って複雑にな感情の込められた言葉の数々が愛しくて愛おしくて仕方がない。

 

 

 

 ーーぱきり。

 

 

 響割れたような音響が、空間のどこかから響いてきた。

 

 

 ぱきり、ぱきり。

 ぱきりぱきりぱきり。

 ぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきりぱきり

 

 

 それは徐々に数を増していき、今ではそこいら中から響いてきて空間全体を急速に削り取りながら崩壊を促進させていた。長くは保たないだろう、素人の俺でさえ分かる自明の現象を前にして声の主は、ひときわ明るい声で別れの言葉を置いていく。

 

『・・・それじゃあ、私はそろそろ行きますね。機体の存在は先輩の存在が明るみになるとい同時に届けられるよう手配しておきますから。

 まぁ、その世界では特殊すぎる設計思想なんで造れる人も限られてますし、当の開発者ご自身の前で先輩が言ってあげた方が確実でしょうしね。家は近所にしておいてあげますよ。

 せいぜい、おっぱいの大きな年上美人なお姉さんとイチャイチャできる女子小学生時代をお楽しみ下さい。

 ではーー』

 

(おい、こら待て)

 

『ーーえ? まだ何か・・・』

 

(どうせすぐに忘れるからって、俺だけ知られてて、俺は知らないなんてのはフェアじゃないだろう。名前ぐらいは名乗って行けよ。意識が消え去るまでの短い間だけ覚えておいてやるからさ)

 

 俺はこのとき生まれて始めて知ることが出来た。

 声だけしか聞こえない相手でも、ポカーンと口を開けて間抜け面を晒しているのが手に取るように分かる瞬間っていうのは実在するんだと。

 

 

 やがて声の主はクスクス笑いだして、俺の耳元に唇を寄せる空気を醸し出しながら、

 

『そうですね、仰るとおりです。それじゃあ私の名前を教えてあげますね』

 

 甘酸っぱさで脳がトロかされてしまいそうになるほど強烈な色気を感じるセクシーボイスに俺の頭がクラクラしていると『私の名前はーー今はまだ教えてあげません!』そう言って俺の側から離れ距離を置かれたことを、感覚で理解することができた。

 

 

 彼女はくるりと振り返るような雰囲気で明るく楽しげに、心底から嬉しそうな声色で、

 

『もしも私の名前が知りたいのでしたら、そうですね~・・・第二の人生で幸福な終わり方を迎えられたら、その時にでも改めて考えて差しあげます。

 ですから、頑張って下さい先輩♪ 女の子のメルアドをゲットするのがどれだけ難しいか、肌身で実感してみるのも悪い経験にはなりませんからね。私の氏名年齢電話番号に住所。それからスリーサイズまで全部全部ぜ~んぶが詰まったデータベースを手に入れるためにも精一杯生きて、人一倍幸せになってください。そうしないとこれ以上はなにも教えてあげませんよーだ』

 

 ふん、可愛気のない女神だな。

 まぁ、どのみち空間の崩壊にあわせて俺の精神も崩壊寸前なんで、正直覚えておける確信なんかありはしなかった訳ではあるが。

 

 

 

 ああーーダメだ。眠い。眠すぎる。このまま眠れば永眠してしまうと分かってはいても、寝てしまう自分を止められそうにない。よく考えたら、寝るのも死ぬのも大差ないじゃないかと言い訳しつつ自己正当化も忘れずに。

 

 

 

 

 

 ーーだからこれは女神の言った言葉かどうか分からない。俺が幻聴を聞いただけかもしれないし、腹話術の天才でも居たのかもしれない。

 

 

 朦朧としながらも自分が消えていくと言う状況を味わいながら、実感しながら消え去りながら。俺は最期に聞いたその言葉を、永遠に思い出すことが出来なくなる。

 

 聞いた直後に俺は消滅し、別の場所で目覚めたときには俺は俺でなくなっていた。

 一人の少女として生きる、前世の記憶を保たない輪廻転生者の女の子だ。そんなごく普通の人間が、こんな異常空間での出会いや交わされた会話など覚えているはずがない。

 

 

 

 だからこれは俺の願望だ。こう言うときにはこう言ってほしいと言う、現実感のない詰まらなくて面白くもなんともない平凡な願望が台詞という形を得てしまっただけ。

 

 ただそれだけだと分かってはいるが、それでもどうせ忘れてしまうのだから書き記しておくのも悪くない。もう一度来たときに続きを書き記すためにでも。

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