―――ここは異世界。さまざまな時空から次元のはざまを通って迷い込んできた迷い子たちが辿り着く、最果ての地。時間の流れの中にポッカリと浮かんだ孤独な漂流空間。
今また、この世界に永遠の漂流者たちが流れ付いて途方に暮れ合う。
今まで幾度となく繰り返されてきた光景。その焼き回し。
二度と己の世界に帰ることの出来なくなった者たち同士が助け合い、仲違いし、やがて殺し合って絶滅し合う。
飽きることなく繰り返される人類の業の歴史を、異世界においてさえ続けてしまう浅ましき所業……。
が、しかし。
そんな一般論は彼ら彼女らにとって、どうでも良いことに過ぎなかった。
彼ら彼女らにとって、やるべきことは何時だろうと何処だろうと“それぞれに”たった一つのみ。
それは――――
人斬り一夏『巨・即・揉み! それが巨乳殺人流の極意成り! 日ノ本の男子は寝ても覚めても巨乳のことで頭がオッパイだぜ!』
ジャンヌ『猪突猛進! 力戦奮闘! 全速突撃こそ私の本領よ! 迂回だとか後退だとか、まどろっこしい言葉を私の辞書に載せる気はないわ! 突撃するのよ! 道は私が通った跡にできればそれでいい!!』
ラウラ『お母様! ラウラ、お母様のために頑張って敵さん倒してきますですので見ていてください! お母様ァァッ♪♪♪』
マシンガンラバー『マッシンガ~~~~~~~ッッン♪♪♪♪』
セレニア『……スゴイですね。ここまで異世界に飛ばされた直後から普段通りの人たちって、あんま見たことない気がします。――って言うか、実際に初対面な人も混じってるような気もしますけど、異世界転移したんですから今更なんでしょうねきっと。…むしろ、このメンバーだと異世界の方が迷惑しそうな気がするのは私だけなんでしょうかね…?』
――いつもと変わらない人々による、いつもと違った世界で活躍する物語。
別タイトルとして、『異世界でもキチガイたちは平然と平常運行しております』でも可なお話し(笑)
ここからが以前書こうとして失敗して放置した作品を付け足した文章です。
コンセプトは、『ヤンではなく、ラインハルトを始めとする銀河帝国軍の提督たちの方に憧れていたセレニアを主人公にした話』でした。
口の悪い方向に持っていこうとして、ただの悪口少女になってしまったので破棄した次第です。
タイトル『IS学園の暴論少女』
私はふと、以前に父がこう言っていたことを思い出しました。
『お前が産まれてきたせいで、俺たち夫婦は不幸になった』
それから、昔に母がこう言っていたのを思い出します。
『アンタを産んだりしなければ私たち夫婦は・・・・・・っ!!』
・・・これらを個別に聞かされたのはたしか、お二人が離婚する一週間ほど前だったですかね? ハッキリ言って“失笑もの”だったので覚えていられてよかったですよ。退屈なときに思い出して笑う、笑い話の種になりますから。
確かに私の性格は最低です。彼らの言うとおり、私が産まれてこなけりゃ二人の関係は末永く幸せなものとして続いたのかも知れません。私が疫病神というなら『その通りです』と素直に認めて差し上げたことでしょう。
――で? だから“どうして欲しかったのですか? あなた達は”。
私が自分たちにとって疫病神だから、だからどうしろと言いたかったのです? 出て行って欲しかったのですか? 死んで欲しかったのですか? 泣いて土下座して罪を詫びて更生を誓い、以後はあなた方の仰られるまま生きる奴隷になる血判書でも書いてもらいたかったのでしょうか?
だったら、そう言えば良かったのですよ。文句ばかりで具体的な要求がなかったから、私としては今まで通りを続けるより他になかった。
無論、言われたところで応じるはずもない要求内容ですけどね。言わないでいたのでは議論する余地すら生まれないので、少しはマシになった可能性もあったのかも知れませんが?
意訳? 相手の断片的な言葉尻から勝手に相手の心を推し量り、分かった気になって決めつけるとか言うアレのことですか? それとも自分の置かれた状況がどうあろうと卑下することなく今できる最善を目指せとか言うアレの方でしょうか?
生憎と、そんな奴隷の倫理観は生まれてこの方、持ち合わせたことないもんでしてね。そんなもん持ってることを前提として語っていたとするならば、それはその人自身に『人を見る目がなかった』と言うことでしょうよ。自分の能力不足が原因です。自分でなんとかしてください。私には私のこと以外でしてやれることなど何一つない凡人の身なのですから。
――とまぁ、こんなしょうもない内容の思い出話を回想しているのも、現在至って暇しているのが原因でして。
まったく、もう少し面白い会話でも聞こえてきてくれているなら、くだらない過去の笑い話なんて思い出す必要なかったんですけどね-。
とは言え今現在、私がいる場所IS学園1年1組の教室内で交わされている会話が“こんなの”しかない以上は暇するしかありません。
「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐えがたい苦痛で!」
「・・・イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
「なっ・・・・・・っ!? あ、あなた、わたくしの祖国を侮辱しましたわねぇ!?」
はぁー、まったく・・・・・・
「もう許せません! 決闘ですわ! わたくしはあなたに決闘を申し込みます!」
「おう。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい。ハンデはどのくらいつける?」
・・・・・・・・・本っ当に・・・・・・。
「・・・・・・ウザい・・・・・・」
『『――はぁっ!?』』
思わず我慢できずにつぶやいた言葉が皆に聞こえたらしく、織斑なんちゃらとか、セシリアなんちゃらとか言うイギリス人令嬢を含むクラスメイト全員が大声を上げた。
まっ、聞こえても別にいいや程度の気持ちしか自制しなかったですからね。当然の結果かも知れません。今目の前で繰り広げられていた自体は本当にその程度の価値しかない――あまりにも醜くてくだらないやり取りに過ぎなかったのですから。
「ちょっ・・・あ、あなた今なんと仰いましたの!? わたくしの誇りを掛けた決闘宣言に“ウザい”とかの下品なスラングで泥を付けようとなさいませんでしたか!?」
「していません。勝手な憶測で決めつけて罪をなすりつけないでください。不愉快です」
「――っ!! 嘘おっしゃい! だって、さっきあなた自分の口から・・・っ」
「私は、感情論で口汚く相手を罵るプライドだけで誇りを持たない自称貴族の妄言を罵倒しただけです。誇りのかかった決闘宣言とやらに泥を付けた経験など生まれてこの方一度もありませんよ」
「なっ!? あ、や、あ・・・あなたねぇっ!?」
「なに怒ってるんです? 否定している相手への非難内容がブーメランになっていることにも気づけない阿呆は罵倒されて当然でしょう? 責めるべきはご自分の足りない頭であって私の口の悪さについては別件でどうぞ」
「~~~~っ!!!!」
なにやらキー、キーわめき始めた白い猿の鳴きマネを無視して視線を移し、私はその先にいた織斑少年の状況が飲み込めていないらしい間抜け面を眺めながら思わず「ハッ・・・」と冷笑してしまいました。それが気にくわれなかったようです。
「・・・なんだよ。何か俺に言いたいことでもあるのかよ?」
怖い目つきで凄まれてしまいました。
笑いたくなっただけで言いたいことはなにもなかったので、少し困りますね実際のところ本当に。
「別に。あなたには特に何も。論評に値するほどのことは何も仰っていなかったので、何も思っちゃおりませんよ」
「嘘つきやがれ。どう見たって他人を見下しきった目で人を見つめてきておいて、今更取って付けたようなこと言ってんじゃねぇよ」
「本当ですよ? 感情論で叫ぶしか能のないヒステリー少年に、一々言葉で言って聞かせる趣味を私は持っていませんからね。そう言うのはあそこで踏ん反り返って教室銃を見下しきった目で眺めてる担任教師殿にでも言ってあげてください。少しは反省して態度を改めるかも知れませんが?」
「!!!! テメェ! 千冬姉をバカにするなら許さねぇぞ!」
「織斑! 落ち着け!」
いきり立った相手が席を蹴ってこちらへ駆け寄ろうとしたところで、ようやく重い腰を上げられる役立たずの傍観者、担任教師のブリュンなんとか先生。固有名詞覚える手間が面倒くさい程度には覚えたい気持ちをそそられなくて困ってしまう人たちですよね。