――ノルマンディーを奪還するため集結を終えた連合軍艦隊の頭上に、突如として隕石が落下して艦艇の九割方以上が海の藻屑と化す。
これにより連合軍はドイツへの侵攻を諦めざるを得ず、ドイツ軍も敗戦をまぬがれたとはいえ再び海を越えて再侵攻する余力は残されておらず、ソ連軍は連合軍が戦うことなく撤退してダス・ライヒなどのドイツ軍精鋭部隊に痛撃されたこともあり進軍を続けることができなくなる。
日本軍は隕石落下による環境被害と異常気象によって大飢饉が発生し、戦い続ける闘志は残されていても勝つための物が尽きていたため渋々講和を受け入れざるを得なくなってしまった。
こうして誰もが望んでいた戦争の平和的終結と平和が訪れた世界・・・。
――だが、『悪魔のような敵国を滅ぼすためならば』と我慢に我慢を強いられ続けてきた各国の国民たちの間には突然の講和による平和到来を受け入れられる者は多くなく、戦争継続を求める民衆と政府との間で内乱が勃発し、それによる混乱収束が東西冷戦の代わりとなって起きていたという、架空史を設定に持つ物語。
現在は長い混乱期を終えて再統合に成功した国家も多いが、一部では分裂したまま二つの国として現在に至ってしまっている国々も存在している。
IS:
戦後世界の各国平和共存をアピールするため落下した隕石の各国合同の調査隊が組まれたときに、隕石の中から発見された外宇宙のモノとおぼしき未知の技術を基に日本の天才科学者・篠ノ之束が開発した機械の鎧。
表向きは宇宙開発用スペース・スーツとなっているが、実際にはオリジナルの技術を開発した未知の敵と戦うために束が開発しておいた決戦兵器。
要するに、スパロボで『DC』を創設したビアン・ゾルダーク博士のヴァルシオンみたいなもの。
隕石から発見されたデータの中に『敵』に関する何かが記されていたともいわれているが、束が持ち去ってしまったため実在非実在も含めて詳細は不明。
後に初期型ISが(当時は送られた国ごとに呼び名が違っていた)各国へと送られて、IS適性を持つ者が兵士としては徴兵されない女性であることと生まれた家や身分を選ばないことなどから民主主義革命の原動力となり、戦後世界に『女尊男卑』を確立させていくことになっていく。
開発は不可能だが、現時点で存在しているコアの数は原作より多い。
日本:
戦後に南北に分裂して二つの政府が存在している国。ただし、ソ連とアメリカの分割支配ではなく、貧困の苦しさに耐えかねた民衆が大日本帝国相手に民主革命を起こして力尽くで建国した南の民主主義側と、大日本帝国制を維持している北側に別れている状態。
領土の内訳は、本土のほぼすべてを民主主義側が手中に収めており、大日本帝国側の領土は北海道だけという状態。
要するに、明治政府と蝦夷共和国みたいなもの。
民主主義側は表向き平和と平等が尊ばれているが、実際には革命の原動力となったISを基調とした女尊男卑思想が蔓延しており、法律で制度化されていないだけで事実上の性差別制度が敷かれてしまっている国。
IS学園:
原作とほぼ同じ存在で、民主革命の原動力になったISの操縦者を育成することを目的とした国立機関で、女尊男卑エリートの育成を目的としている学校。
『民主主義=ISによって確立された女尊男卑』という図式が成立してしまっている世界観であるため、IS条約で結ばれた国々は民主革命で成立した国か、国家存続のためにISと女尊男卑制へと移行した国々で成立されており、IS委員会も同様である。
ファントム・タスク(亡国機業):
原作とほぼ同じ存在だが、実はトップとして君臨しているのは篠ノ之束。
その事実は組織の大幹部クラスでさえ誰も知らされていない。
束が何らかの目的を果たすために設立させた組織であり、表向きは『世界中で戦争を起こす』とか、『各国で極秘開発されているISを盗み出せばIS企業が儲かる』などといったお題目で頭数を集めさせて活動している。
真の目的が奈辺にあるのかは束以外は誰も知らない・・・・・・。
篠ノ之束:
原作と同じく表向きは箒の姉で篠ノ之家の長女だが、実は太平洋戦争時代から生き続けている箒の祖母の姉に当たる人物。
遺伝子レベルで肉体を改造して通常の四倍近くまで寿命を先延ばししたことにより現在も若々しい姿を保っている。
本当の妹だった箒の祖母は箒と瓜二つの容姿をしていたためか、彼女にだけは幼い頃から家族として親身になって接してくれていた。
他の家族は戸籍上は実の家族となっているが、実際には妹の家族たちであって自分との関係性は薄く、催眠術と偽造戸籍で繋げられた縁を持つ疑似家族としか思っていない。
何かの目的でISを発明し、しばらく後に失踪。数年ぶりに箒たちの前へと舞い戻ってきたばかりの人物。
ほとんど全てが謎に包まれている人物だが、一部の人間にのみ向ける親愛の情だけは嘘偽りがない。
主要国家:
正当日本・蝦夷真帝国:
北海道に逃げ込んだ大日本帝国が独立を宣言して五〇年前に樹立させた国家。日本の正当な支配権を主張している。
束から送られたISと、戦時から続けられている戦時特例法、そして地の利を生かした犠牲を問わない非人道的な戦い方による防衛戦に徹することで国防を成し遂げてきた国。
かつての軍都・旭川に遷都して、新たな帝都に認定している。
北海道しか領土を持たない小国家でありながら未だに“帝国”と名乗り続けている辺りが彼らの中身のないプライドの高さを物語っている。
一方で、東京から逃げ出す際に天皇を誘拐してきており、形式的には帝を頂点とする天皇中心の国家体制であるという建前を利用するところも変わっておらず、体のいい人質として民間人共々使われてしまっている。
また、天皇誘拐に伴い帝都に残されていた幼い息女殿下(女に帝位継承権はなかったため利用価値がないと判断された)が臨時の女天皇に即位して、そのまま女性天皇制へと推移させようとしている女尊男卑内閣との間に意図しない利害の一致が成立したことから、人質の安全を口実に奪還作戦決行をおこなわせぬため時代錯誤な厄介者どもを一纏めにして島流しにしているという側面も存在している。
IS条約(女尊男卑の民主主義側同盟)には加盟していないが、恭順の意思は示しており逆侵攻の意思は捨てないまでも実際に戦火を交えたことは五〇年前の『敗走戦争』以来一度もなく、小さな領土で物資を食い潰しながら細々と生き延びているだけの老衰国家でしかないため日本本土からもIS条約加盟国からも『無害である』と認識されたことで生き延びることが出来ているだけの存在。
その一方で、明治政府が改名した北海道から旧地名の蝦夷に戻したのは、『古くから蝦夷地に住まう者たちと新しく本土から訪れた自分たちとの新旧共存』と建前をアピールすると共に、『自分たちが本来いるべき場所は蝦夷地などではない』とする本土の支配者へと返り咲く執念が込められており、彼らが権力の座を諦める気がないことをも物語っている。
なお、『IS』のことを対外的には他国と同じでISと呼んでいるが、内向けの名称として『愛國』という自分たち独自の呼び名と、独自開発した特殊装備型の開発を続けている一種独特な文化体系をも併せ持つ国でもある。
日本共和国:
現在の日本。IS条約加盟国にして、ISの生みの親である篠ノ之束の出身国であるためIS学園や、IS委員会関連施設などが多く設置されている。(委員会の本部自体はジュネーブにある)
形ばかりの民主主義に基づく建前国家だが、逆に言えば建前だけは建前として遵守されており、責任回避と責任分散の気が非常に濃い官僚主義国家という面も併せ持っている。
『自主・自立・自尊』の民主主義三原則を歌いながら内実は他国の顔色を見るのと、ご機嫌伺いによって国家主権と独立を守り続けているだけの存在。
一方で、国民たちの間では身勝手で愚かな旧軍指導者たちを力尽くで追い出したことへの誇りと自尊心の高さが未だに残り続けており、それが全国民の1パーセントにも満たないIS操縦者たちの功績でしかなかった事実はとうの昔に忘れ去られて久しい状態にある。
男女平等の建前を守るのに利用するため、時代劇などの男尊女卑的フィクション作品の放送は認められており、むしろ積極的に娯楽作品としての戯画化が推し進められているが、ブシドー等への現代日本にはびこる史実とフィクションをごっちゃにした勘違いを蔓延させる下地ともなっている。
そしてそれが、却って女尊男卑右翼主義者を生み出す結果にも繋がってしまったため、政府は対応に苦慮しているという公には出来ない内実が存在していたりもする国。
アメリカ合衆国:
現在のアメリカ。IS条約加盟国。戦後の平和で最もダメージが大きかった国のひとつ。
『悪魔のような独裁国家を攻め滅ぼし、殺された同胞たちの恨みを晴らす』という大義名分を経済危機から手の平返しで放棄せざるを得なくなったことから民衆の怒りを買い、政府と国民との間で大規模な内乱に発生してしまった過去を持つ国。
この戦いは政府軍側もISを投入して、民間人相手にも躊躇うことなく軍隊に銃を発砲させたことから政府軍側の勝利に終わり、形式的には領土も制度も今のアメリカと変わることなく存続し続けている。
――が、戦いによって生まれた両者の心理的軋轢は今なお大きく残されており、特に反乱軍の大半を占めていた戦争による経済被害が大きかった貧困層の若者たちの子孫たちは激しい怒りと憎しみを今も政府と国家に向け続けていることから、一時はテロが日常的に起きる『世界で最も治安の悪い国』になってしまっていた暗黒時代も存在していた。
その際に政府は、貧困層が多く居住するアメリカ東部に彼ら『一部の危険因子たち』を強制的に疎開させてバリケードを築いて物理的に隔離することでアメリカ国民の命と平和と支配体制を守り抜き、現在に至る。
各州首都周辺などは名実ともに現在のアメリカと同じ繁栄を謳歌しているものの、軍の監視が行き届かない首都から遠く離れた辺境部などは無法地帯に近い状態とかしてしまっており、一部には大昔に放棄された都市をテロ組織が再建して拠点に利用しているという噂まで存在しているほど。
実際『亡国機業』の本部は、放棄され忘れ去られた都市の一つを束の科学力で復活させたものが使用されている。
中華人民共和国:
現在の中国。IS条約加盟国。戦後の平和ではアメリカに次ぐ被害を受ける“はずだった”国。
戦時中は日本への復讐心と恨み辛みを国民に説き続けていたが、戦後は経済復興によるISの恩恵を最大限うけるためIS条約の調印と女尊男卑への体制移行に真っ先に賛同し、IS発祥の国である日本との平和共存を唱え国民たちの不平不満を『棄民政策』という強引な手法により解消してしまった国でもある。
『IS経済の恩恵を受け入れる者と、そうでない者と』に人民を自主的に別けさせることにより、『変われない者たちを切り捨てる政策』を実行している。
「平和な時代には新しい生き方と価値基準が必要である。古くさい原理主義に拘泥して国家と人民に要らぬ犠牲を敷き続けるべきではない」・・・という当時に唱えた建前を“建前として”今も尊重しており、『変わることが出来なかった原理主義者たち』との間で今なお不正規戦と弾圧が続けられている。
『戦争に使用できないIS』を『市街に被害を与えることなく人間だけを殺すことが出来る小回りが利く大量破壊兵器』として『民間人弾圧用』に使用している、蝦夷帝国と並んで数少ない国でもある。
ドイツ帝国:
戦後の混乱をヒトラーお得意の内政復興でなんとか乗り切り、その際に強権発動が可能なように帝国制へと正式に移行した国。IS条約非加盟国。
建国者自身が男だったことから、現代では数少ない女尊男卑を正式に採用していない国として知られている。
男の軍人の命令を、女の部下が聞くなどという部分もあるが、国家自体が精密機械じみた統率力と規律によって維持されているため問題は意外に多くない。
要するに、ドイツ帝国みたいなもの。
ヒトラーが本気出して内政に取り組み、死ぬまで二度と外征を行わず、だが準備だけはしておいてから死んでしまったせいでこうなってしまった国。
――民主主義の美名のもとで平然とおこなわれている自由と権利への抑圧が制度化された社会が今作の舞台であるIS世界。
子供たち一人一人が支配と自由とについてどう向き合っていくかがメインテーマの作品です。