『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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束さんヒロイン作品として本気で書き始めてみた最初の回です。
本格的に彼女と向き合うのは文字数的に次話からにせざるを得ませんでした。やはり慣れてない恋愛話は難しいです。

次話で色々あって束さんはセレニアに惚れます。誰得かとも思いましたが、セレニアと束さんのイチャラブストーリーが始まる・・・かな?


第3話「分岐の始まりは会話の後の戦争で」

 ーー謹慎生活二日目。

 

「ひははな~・・・」

 

 私はストローを口にくわえながら回転イスに座ってクルクル回りつつ紙パックジュースを飲んでいました。不自然すぎる姿勢とポーズが言葉をおかしくしています。

 ちなみに言いたかった内容は「暇だな~」です。

 

 行儀が悪いことは重々承知していますのでご安心を。暇すぎてしまい、何か思いつかないかと色々やってたら変な事しちゃってただけです。気づいてから赤面してベッドに座り直してチューチュー吸い直しましたし、どうかご容赦の程を・・・。マジで恥い・・・。

 

「よく考えてみると・・・《インフィニット・ストラトス》の世界って、ISが生まれなかったら普通に私の生きた時代をなぞるだけなんですよねー・・・」

 

 天災科学者篠ノ之束が作り出したIS。それが世を変えたのは原作開始より十年ちょっと前に起きた「白騎士事件」。

 そこから分岐した世界観が《インフィニット・ストラトス》であり、白騎士事件が別の形で起きていたらと言う想定の二次創作とかも多そうです。

 

 ・・・・・・が。

 

「つまりそれって、白騎士事件が起きるまでは最初に生きた小学生の時間を追体験するようなモノなんですよね。高校生としての記憶と心を維持したままで・・・」

 

 しかも私に至っては、ほぼ同じ時代を都合三度目。そりゃ飽きますし、退屈もしますよ。だってやる事なす事ぜんぶやり尽くした後なんですもん。悔いもなければやり残しも残っていません。インターバルが短すぎるにも程ありすぎでしょうに・・・。

 

 古本屋のラインナップは8年間くらいで一変しますが、高校一年生までの期間は約16年間。8年間を二回です。読んでない名作や、読みたかった名作なんかは読み尽くしちゃいましたし、隠れた名作にも三度目の人生9年目までには手を出した後です。

 

 要するに・・・。

 

「やることが・・・・・・ない!」

 

 前世も含めて久しぶりに出した大声が「ない!」な私は、転生者からコピペされた疑似転生者の異住セレニア9歳児ですが、それが何か?

 

 え? 学生の本分は勉強なんだから勉強しろって?

 あのですねー、高校生の記憶と思考力を有したままで小学校時代を無事(?)過ごせているって事は、普通に考えてあり得ないんです。不可能なんですよ。それぐらいに何もかもが異なっているのが世代間の違いによる認識の差なんです。

 

 にも関わらず上手くやれてるのは、転生の神様による調整の賜物であると、日々実感させられながら生きてる私は断言させていただきますね。ええ、絶対にです。

 

 ーーなにしろ、思い出せる記憶の内容に制限がかかっていて、季節が進むごとに開示されてくと言うシステムを隠す気のない性悪な神様に転生させられた身なのでね・・・。イヤでも気づかざるを得ませんて。

 

 思い出せる内容によって行動を制限し、選択範囲を狭めてしまおうとは・・・おのれ神様ぐぬぬぬ、と呪うのが一般的な反応ですよね。勿論私もそうしましたよ。生まれ変わってから今になって初めてね! 今まで思ってこなかったことについては忘れてくださいお願いします! 自分が凄く変人に思えて仕方なくなるから!

 

 

「・・・とにかく暇だ。仕方ないので六法全書でも借りてきて読みましょう。アレが一番暇つぶしになーー」

 

「そんな子供らしくない行動を、私は拒絶する!!」

 

 うわっ、ビックリした。窓の外からニョキっと頭が生えてきたと思ったら大声出されました。

 ・・・って、あれ? このキリリとしてるのにバカっぽい印象しか持てない黒髪美少女の顔はどこかで・・・。

 

「窓の外からやってきた光の使者、織斑千冬ここに参上!

 元気にしてたか、悪い子セレニア!? ちなみに私は今日も元気一杯カレーパンマンだ!」

「・・・色々ツッコみ入れたいのですが・・・とりあえずはひとつだけ。なぜにアンパンマンじゃなくてカレーパンマン・・・?」

「私は、あんパンよりもカレーパンの方が好きだからだが?」

「ああ、うん。ハイ分かりましたのでもういいです」

 

 アンパンマンとカレーパンマンを比べたんじゃなくて、あんパンとカレーパンを比べてたのね。確かに、お腹減ってるときに食べさせてもらえる訳ですから味の好みは重要ですよね分かります。分かりますので、もういいです。頭痛くなってきちゃいましたから・・・。

 

「では、窓から失礼。とうっ!」

 

 叫んでから不法侵入してくる織斑先生ならぬ千冬さん。弟が同じ事されて苦しんでるのを黙って見過ごしてたのは、こういう事情があったからですか・・・。深くないな~。

 

「ほら、束。おまえも早く来い。セレニアに言いたいことがあるんだったろ?」

「え・・・? 篠ノ之は・・・束さんも来てるんですか?」

 

 驚いて聞き返すと千冬さんは「うむ」と大きく頷いてから窓のサッシを指さして「十分ほど前から、そこにぶら下がっている」と教えていただきました。気づかなかったぁ・・・。

 

「と言うか、アイツが来てみたいかもと言いながら一人じゃイヤだと言うものだから、仕方なく私が拳を振るって力づくで連行してきたのだがな」

「ただの拉致じゃないですか・・・下手すりゃ犯罪なのですが・・・」

「なに、心配ない。アイツは弱いが、無駄に頑丈だからな。気絶した程度なら直ぐに復活して立ち上がってくる。私の体当たり教育の賜物だろう。苦労した甲斐があったと言うものだ。ふははははははっ!」

 

 なんとなく未来の弟さんが、本来であれば味わってそうな苦労の数々をこなさせられてる束さんに私は声をかけてみます。

 

 家の軒下にしがみついてプルプル震えながらも懸命に踏ん張りを利かせようと努力している、未来では世界を変えてしまっている天災科学者さんに。

 

「・・・し、知らない・・・束さんは天才だから、そんな脳味噌筋肉みたいな女の思想は理解できないもん・・・!!」

 

 ーーおや?

 

「昨日は仲良さそうに見えたのですが・・・お二人はお友達ではないので?」

 

 意外すぎる展開に確認のため尋ねてみると、更なる意外な返答でお答えされました。

 

「いいや、違う。私とこいつは元々は相当に仲が悪い関係だったし、今でも必ずしも良いとは言い切れない関係だ」

「はぁ」

「だが、これでも多少はマシになった方ではあるのだ。

 一年生の時からこいつの傍若無人ぶりには頭に来ていたから一発殴ってやる機会をうかがっていたところ、丁度良い具合に家が近所だと聞いて行ってみたら国の宝である御老人に暴言を吐いているこいつを見つけて殴って気絶させた。それがこいつと私の馴れ初めの始まりだ」

「それは・・・」

 

 昨日、束さん自身の口から聞かされてた内容と照らし合わせれば・・・なるほど、合点が行く関係です。

 束さん自身のプライドの高さと負けず嫌いな性格から見て、家族のことは偶然知ってしまった千冬さん以外には話してはいないでしょうし、孤独な中でであった最初の一人が自分と並ぶハイスペック少女だと知れば頼りたくなるのは道理と言うもの。

 

「それで今まで関係が継続していると?」

「うむ。本来であれば束が機械をいじくって今年から私とクラスを同じくするはずだったのだが、何らかの手違いにより離ればなれになってしまってな。

 多少心配してはいたのだが、お前という理解者が現れてくれたことは不幸中の幸いだった。そう言う意味でだけは感謝しているぞ異住セレニア!ダンケシェーン!」

 

 ああ、感謝の言葉は無用ですよ千冬さん。

 ーーその不具合を起こしたのは、うちの神様で間違いありませんからね。むしろ、私を割り込ませるために余計な真似をさせてしまってごめんなさいでした。

 

「まぁ、つまりは腐れ縁みたいなものだな。いずれは納豆のように糸を引く関係にまで続いていければなと、私などは期待している」

「え・・・。糸を引く関係って・・・それ、まさか・・・」

「ん? 何か私はおかしな事を言ってしまっていたか?」

「・・・・・・・・・いえ、別に。聞き間違いでしょう。お気になさらずに・・・」

 

 顔を伏せながら蚊の鳴くような声で返事をする私に「そうか? ならば良し!是非もなし! 世はすべて太平なり!」と、呵々大笑する千冬さんに見えないところで赤面している私です。

 

 か、仮にも女の子に生まれ変わった身で、私はなんて事を考えて・・・はうぅぅ・・・・・・。

 

「ーーくっくっく・・・。束さんを謀った罰だよ。存分にちーちゃ・・・織斑の天然に羞恥心を刺激されて恥ずかしさに身悶えするが良いーーって、ちょっとやめてよ!

 なんで束さんの指を一本一本サッシから外そうとしてるのさ! 落ちちゃうじゃん! 天才の束さんが二階から落ちて怪我しちゃうかもしれないじゃないの!

 この歴史に記録されて然るべき頭脳が世を変える前に闇へと葬られるのは、人類にとって大いなる損失なんだからね!? キミ、責任取れるの!? 取れないでしょう!?

 だーかーらー、やーめーてーよーーーっ!!!」

 

 恥ずかしさから事故死に見せかけて束さんを謀殺しようとしている私は、どうやら相当にIS学園と原作ヒロインたちに影響受けた後みたいですね。くわばらくわばら。

 

「おお、束えらいぞ。ようやく自分から運動に取り組む気になったのだな。

 うむ。お前はやれば出来る子だからな。いずれは私にさえ追いつく逸材になるのではと期待していたのだ。

 普段からお前を運動に誘っていたのはそれが故だったのだが・・・こうして自分の相手を想う気持ちが伝わるというのは、やはり良いものだな、うん。何かをやり遂げたようで、清々しい気分だよ・・・」

「勘違い! 勘違いの思い過ごしで自己満足の極みだよ! 武士道ってそんなもんだけど、さすがに自分の意志を押しつけすぎてるからね!?

 いくら爺に無理矢理運動させられて凡人より遙かに強くなってる束さんだからって、理系で頭脳派の私に妖怪ブシドーの真似させようなんて期待はするなー!」

「大丈夫だ! お前なら出来る! 私はお前を信じている!」

 

 う~ん・・・変なところで変な既視感。少なくとも織斑姉弟に流れるDNAは弟さんへと確かに受け継がれてはいるようです。

 

「それにだ。貴様も私も先年に下の家族ができた身の上。いつまでも孤高を気取っている年頃ではいられんのだ。

 姉たるもの、妹弟に行くべき道、進むべき道の標たらずしてなんとする!」

 

 ・・・ごめんなさい、前世の私も禄なお姉さんできてなかったです。たぶん、裸で迫られて拒絶した以外のことは何もできてません。

 そう言えば、この時空の私は妹とかできるのかなー? ちょっとだけ気になる疑問ですな、元姉としてね。

 

 まぁ、一先ずは束さんを部屋の中へと引き摺り入れて上げましょう。いい加減、本気で落ち掛けてきましたし。

 

 どうやら現時点での彼女の身体能力は、そこまでではないようですね。さっきも千冬さんから運動に誘って断られる内容の事を言われてましたから。

 

「・・・別に束さんは妹欲しいなんて一言も言ってないし、猿よりもバカな愚民なんか要らないし。世界中で束さんと対等なのはちーちゃ・・・織斑だけだしーー」

「くぉのバカ幼馴染みがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

「再び、ぐへはらほへはぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 再び吹っ飛び、窓の外へと放り出されて空中コンボを決められまくる束さん。

 おそらくは自宅ではない、私の家だからこその配慮なのでしょうが・・・その結果として束さんが人類の限界超えた大技でツッコまれてしまいました。

 

 ・・・これって、私のせいなの? それとも千冬さんか束さん自身の自業自得なの? どっち?

 

「下の弟妹を愛せぬ姉など、姉に非ず! 人以下である!

 人類みな弟妹大好き愛してる!

 ブラザー&シスターとは即ち、愛が世界を平和にするの意味。これが地球人類が共有している一般常識と言うものだ。辞書に載ってるから引いて見ろ」

「・・・・・・ホントに?」

「無論」

「いや、嘘ですから。ただのヤンデレな姉ですから、それ。むしろ近親相かーー」

「その単語を口にしてはいけない! 組織に消されかねないぞ!」

 

 どこの運命の扉ですかね、それは・・・。つか、時代あってねぇですし。

 ・・・ああ、だから「機関」じゃなくて「組織」なのか・・・。くっだらねぇー変化だなぁおい。

 

「・・・一先ず妹の箒ちゃんのことは置いておくとして、だ。束、お前もそろそろ私以外の人とも関わり合いをもっていい頃合いだと、私は思っているのだがな?」

「・・・・・・・・・」

「お爺さんとの事情は把握している。私なりにだがな。

 それでも彼以外のすべての人たちまで巻き込んで呪いを吐き散らすような真似をこれ以上して欲しくないし、お前にも人並みの幸せを享受して欲しいと出会った日からずっと思い続けてもいる。

 友達としてもだが・・・私は最近、いささか心配になる時があるのだ。

 お前の才能と、現在抱えている歪み。それらを解決しないまま、向き合おうとさえしないまま生きていけば最終的に多くの人が不幸になって、お前を心底から憎むようになってしまうのではないか、と。

 理由はないし、根拠もない。だが、どうしようもなく無性に怖くて怖くて仕方がなくなる。そう言うときが希にではあるが、確実に増えてきているのだ」

「・・・・・・・・・」

「私はお前と二度と会えなくなるような事だけはイヤだし、再会したときのお前が別のお前になっているのは余計にイヤだ。

 私はお前と共に歩んでいきたいし、今のままのお前がより良い方に向かって欲しいと願ってもいる。その為ならば幾らでも力になる覚悟と決意はできてるし、何発だろうと殴る準備は完了してもいる。

 力を貸して欲しいときには遠慮なく言えよ? 私はいつでもお前の力になる気満々なのだからな!」

「・・・・・・そのセリフ、シャドーボクシングしながら言わなければ感動できたかも・・・」

「なにを言う。これは陰拳闘だ。古来より伝わる由緒正しい日本の古武術なのだぞ?

 いずれ私が編み出す予定の流派『戦乙女活人剣流』の修練に取り入れることを想定している」

 

 陰拳闘=シャドーボクシング。

 戦乙女=ブリュンヒルデ。

 

 ・・・・・・・・・何度も思いましたけど・・・・・・なんだかなぁ・・・。

 

「・・・・・・・・・」

「ふむ、相も変わらず部屋の隅で黙りを続けるか・・・致し方あるまい。

 セレニア。突然ですまなく思うが、私はトイレに行きたくなった。案内しろ」

「本当に突然ですね・・・。まぁ、別に良いですけど・・・それじゃ束さん、直ぐ戻ってきますので失礼を」

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 最後まで黙ったまま、私たちの顔を見もしないままだった束さんをおいて、私と千冬さんの二人は廊下へ出ると。

 

 

 

「さて、どうするべきと思うか? 意見を言ってみろ」

「・・・さっき以上に唐突すぎると思うんですが・・・」

 

 話があるから誘われたのは分かっていても、さすがに単刀直入すぎて段階をすっ飛ばしすぎです。もう少し手順を踏まんかい、未来の国立学校教員で世界大会トップ選手。

 

「あいにくと私にはこういうやり方しか出来ん。思いつくことは出来るのだが、実行する事はどうしても出来ない体質らしいのでな」

「・・・・・・」

「私は、考えるのは他人の役割と割り切って生きていくつもりだ。

 自分の役割は、考える者と行動する者、双方を守るための刀であろうと努力していく覚悟を決めたばかりなのだ。

 いきなり決意を反故にしたのでは、後に続く者たちから尻軽の誹りを受けても反論する資格すらあるまい。それでは私の夢から遠ざかるばかりではないか・・・」

「夢・・・?」

 

 世界最強ブリュンヒルデから初めて聞いた単語が意識野を刺激して、私は彼女の生真面目そうな顔を凝視してしまいました。

 

 そこには私の見慣れた織斑先生の表情をした千冬さんが立っていて、私のことを真剣な瞳で見つめ返して、真摯な言葉で語りかけてくださいます。

 

「今の私には夢がある。教師になるのだ。学校の先生になって先頃生まれたばかりの弟を、自分好みに成長していく手助けをしたい。

 弟の一夏の人生を支えていきたいし、守ってもやりたいのだ。

 なにしろ、親が全く宛にならない状況なのでな・・・」

「・・・・・・・・・」

「逆にお前は私にはないナニカを持っていると思っている。最初は半信半疑だったが、今では確信すら抱かせられる程に信じられるレベルでのナニカをな。

 国語力も語彙力も大河ドラマと時代劇で見聞きした以上のモノを持たない私には上手く表現する言葉が思いつかないのだが・・・お前は私と真逆の視点と価値観を有しているような気がしている。出会い方次第では終生許せぬ怨敵と成り得たかも知れない、それ程までに私とは異質なナニカを基準にした視点をな」

「・・・・・・・・・」

「私は誰とでも一対一で真っ向から向かい合う。それ以外の生き方を知らないし、それ以外のやり方も分からない。

 知っていたとしても、分かっていたとしても、どのみち選ばないだろうから気にはしておらんがな。

 だが、それでは見えないモノが必ずあるのだ。見過ごしてしまうモノ、見落としてしまうモノ、忘れても気づかないモノが必ず出る。そして今の私たちでは、忘れたことにすら気づくまい。

 そういう性質の持ち主が私であり束であり、おそらくは一夏と箒ちゃんも同じように育つことだろう。理屈はない、根拠もない。だが、確信だけはある。こう言うときに感じた勘で間違えたことが私には一度もないのだよ」

「・・・・・・・・・」

「おそらく私では、束の間違いを正せない。アイツは友達で大事で大切だから、壊してしまうかも知れない可能性を選ぶことが決して出来ない。そう言う体質であり性質であると自覚して生きていくと決めた以上、責任は果たすつもりではいる。

 だが、何かの手違いが原因でお前が私たちの前に現れた。これはチャンスだと私は思った。

 お前なら、人でなしな手段であろうと最低最悪な手段であろうと選び取れるはずだ。恐れずに進んで壁をぶち壊す以外の手段で通り抜けられるはずだ。

 私たちでは選べない道、私たちだけでは進めないはずの道、もしもお前が先導して通してくれるというなら、私はお前に付いて行くし力も貸そう。

 だから、頼む! 一生のお願いだ!

 束を・・・私では救えない私の友達を救ってやってくれ・・・」

 

 

 

 長い長い沈黙を置き・・・・・・私は重々しい声で答えを返しました。

 

 

 

 

 ーーな~んてのは大嘘で、私の答えは即答でした。

 考えるまでもありません。取れる手段があって、取るべき理由があって、取れるだけの戦力が手には入って、そして取っても良いだけの正当性を持つ『大義名分』という名の言い訳までもを入手して動かないのでは戦術家の名折れというモノ。ヤン提督の弟子を自称する資格すらなくすのは私もイヤです。

 

 だから私は行動する。思考は終えてあるのですから、次は行動に移す番だ。

 どの様な机上の空論も、実践で試すまでは失敗するなど有り得ない。

 頭の中だけで良いなら、人は神にでも王様にでもヒーローにでも魔王にだって何にでも成れる。

 

 その事実を思い知らせよう、人類を見下す天災様に。

 自分を正しいと信じて疑わないバカに、自分は世間から弾かれた負け犬であることを思い出させてあげましょう。

 この狭苦しい日本国内でさえ、何でも知ってると思い込みたいだけの彼女には、思い出したくもない現実が山ほどあるのだと言う事実を記憶の奥底から引き摺りだしてやる。

 

 

 さぁ、はじめよう。戦争を。私と彼女、二人だけの戦争を。

 出し物の見物客は一人だけ。三流喜劇には似合いの動員数だ。

 

 さぁ、終わらせよう。天災の不敗神話を現実で。

 負けてないと思っていたいだけの、か弱いか弱いウサギさんには巣穴から無理矢理にでも出てこざるを得なくして差し上げましょう。

 

 神話(フィクション)は終わる。終わらせる。物語には必ずエンディングが来るという事実を知らしめましょう。

 

 篠ノ之束さん。私は貴女に一方的に約束します。

 貴女を必ず、懐かしの戦場(現実)へと連れて帰って差し上げますとねーーーー。

 

 

 

 

 

 

「もしかしなくても私の人を見る目って・・・・・・節穴だったか?」

「当店はキャンセルも返品も承っておりません。

 自分の行動の結果は、すべて自己責任でお願いいたします」

「Oh・・・my・・・ガッツ!」

 

つづく

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