思いついたばかりのネタなせいで練られておらず、人選もしっかり行われておりませんので『試作品』だとでも思っといてください。
IS学園の嫌われ者たち
『白騎士事件』から十年と少し。人類史に燦然と輝く大事件がおきた。
世界で初めてISを起動させた少年『織斑一夏』の登場を皮切りに、三つの国から一人ずつ、天才的才能を持った男性IS操縦者が発見されたのである。
・・・後の歴史書にはそう記されることになる事件について記録者と当事者たちの間には、太平洋を越えてもまだ足りない長さの認識の差異が存在していたようである。あるいは故意によるものかもしれない。
彼らないし彼女らが歴史の記録に正確を期するのであれば、この一言を付け足さなくてはならなかった。
『三つの国から一人ずつ、天才的才能と《性格の悪さを併せ持った》男性IS操縦者が発見されたのである』ーーーと。
「彼の転入手続きを入学式前までに滑り込ませられたのは幸いでした。日本の織斑一夏に世間の注目が集まりすぎるのを阻止することが叶いましたから」
ーーイギリスから日本行きの航空機を離発着させている空港のロビーに、官僚的な雰囲気を持つ女性の前で並ばされている二人の少年少女の姿があった。
少女の名は、セシリア・オルコット。イギリスの代表候補生であり、歴とした英国貴族の一員であもる才女だ。
「《ジャスティン・アッテンボロー》。あなたには期待しています。卑しくもイギリス初の男性IS操縦者が、極東の雄ザルごときに遅れを取ることなど決してないと」
そしてセシリアの隣に立つ、もつれた毛糸のような鉄灰色の髪をもつ少年は、イギリス王室が見つけだした世界第二の男性IS操縦者ジャスティン・アッテンボロー。
日本政府が秘匿している世界初の男性IS操縦者織斑一夏についての情報を、諜報機関をつかって世界に先んじて入手していた英国は、秘密裏のうちに自国領内でIS適正を持つ一夏以外の男性を捜し出すことに成功していたのである。
「お任せください、ミセス・ウィンザー。必ず期待に応えて見せますよ」
アッテンボローは相手が差し出してきた手を笑顔で握り返し、眉をしかめながらも黙り込んでいる隣の少女を一瞥してからこう告げた。
「オルコットお嬢様の引き立て役になるよう期待されてるのが俺なんでしょう? 安心してください、給料分以上の成果は出すとお約束させてもらいます。
なにしろ俺は他人から敗北を期待されると、期待を裏切りたくなる性分の持ち主なんでね」
ーーほぼ同じ頃。
ドイツ軍の本部ビルにあるオフィスの一室にも、二人の少年少女が到着していた。
「クリストフ・ロイエンタール少尉。今より君を大尉に昇格させ、ボーデヴィッヒ少佐貴下のシュワルツ・ハーゼへの編入を命じる。
日本のIS学園に赴くのは六月初頭頃になるだろうが、それまで少佐の指導のもと存分に腕を磨いてくれたまえ」
軍人とは思えないような細身でシャープな秀才形の参謀軍人である女性大佐から直々に二つ上の階級章を与えてもらいながらショーンコップ元少尉にして現大尉は口端を歪ませながら思った。ーー茶番だな、と。
優れた諜報機関で織斑一夏の情報を得られはしても、ISを動かせる可能性を持った男に心当たりがなかった為に自国領内で総当たりするしかなかった元敵国イギリスとは違って、ドイツ軍には『動かせるとしたら彼しかいない』とする候補が存在していた。
予想違わずIS適正が発見された少年は、右目が赤く、左は青い、貴公子然としたヘテロクロミアの美少年で、隣で並ぶ上官になったばかりの少女ラウラ・ボーデヴィッヒと似通った身体的特徴を持っていた。
それは偶然ではなく当然のことだった。なにしろ彼は、日本から技術供与を受けて作り出された遺伝子強化試験体Cー〇〇三七、個体識別名称ラウラ・ボーデヴィッヒの兄弟機に当たる少年で、ドイツの開発した独自技術を組み込んで造られた男性型ラウラとも呼ぶべき存在だからだ。
「男にISは動かせるはずがない」とする固定概念から試験を受けさせてこなかったものの、戦闘要員としての実力はラウラに勝るとも劣らないことは実績が証明してくれていた。
それ故ドイツは拙速を尊ぶを良しとせず、必勝を期して転入時期を遅らせた上で男女双方のドイツ軍機が日本の世界初を打倒するシーンを全世界に向けて見せつけることを目論んでいたのである。
「義務と献身こそが我らの誉れだ。両人とも国家の威信と名誉に掛けて訓練に励め。以上である。下がりたまえ」
「「ハッ。失礼いたします」」
敬礼して退る二人。そして男の方がつぶやく。独白にしては声が大きかった。
さながら、自分の元を去った旧師以外の人間二には興味を示さなかったラウラが愕然としてしまうほど過激なつぶやきを。
「たかが機械に陽性反応を出されただけで一喜一憂し、生者に二階級特進させる国家の威信と名誉か・・・さぞや軍需産業から受け取るリベートによって金ぴかに飾りたてられているのでしょうな」
ーーフランス最大のIS企業『デュノア社』の社長室では、一人の少年と一人の男装“させられた少女”が社長の眼前に並ばされていた。
「いいか、シャル・・・ル。お前に施す訓練はIS学園に転入した際に、織斑一夏に接近して彼の情報を可能な限り集めてこられるようになっておくことを目標にしたもの。
そして、アリアバート。秀才として名高い君は、豊富な学識を生かして織斑一夏に与えられるであろう専用機の分析と解析を出来るようISについて隅々まで学んでおけ。操縦訓練は入学の口実に使える程度までで構わない」
厳然としたデュノア社長の言葉に「はい・・・」とだけ答えて俯くしかない男装少女。
だが、隣にたたずむ学者然とした眼鏡をかけた少年は、平然と社長に向かって反論して見せた。「落第点ですな」ーーと。
「・・・なに?」
「数え出したら切りがないほど穴だらけなのが、今回の計画です。開始する前にやめてしまうのが最も賢明な策なのでは?
どれほど愚劣で穴だらけであろうとも、実行に移すまでは絶対に失敗できないし成功確実なのが作戦と言うものですからな」
ーーこうして三人は、異なる土地から異なる理由で日本へと向かい、IS学園の地で出会うことになる。
後世、『最強の三人』と絶賛されることになる『最悪の三人』の物語は、このようにして始まった・・・・・・。