『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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セシリア戦です。セシリア戦オンリーの回です。
複数パターン書いてみたセシリア戦の中で一番ギャグ色の強いのを選んで出してみました。笑って頂けると嬉しく思います。

・・・しかし思っていたほどには子供時代のように書けませんね・・・。大人になるとは窮屈になるものなんだなと実感させられた回でした。


ボツ落ち『我が征くはIS学園成り!』第3章

『ーーこれより、セシリア・オルコット選手とシュトロハイド・ローゼンバッハ選手による第二試合を開始したいと思います。両選手とも、ピットから出撃してください』

 

 IS学園第3アリーナにアナウンスによる説明が流され、いったんは静まりを見せていた会場の熱気は再び加熱する。

 

 ーーー先の試合、織斑一夏とセシリア・オルコットとの戦いは一夏が思わぬ頑張りを見せたことで一方的なワンサイドゲームになると踏んでいた観客たちの度肝を抜いた。

 勝敗は順当通りに経験者にして熟練者でもあるセシリアの勝ちではあったが、ド素人の新人が期待の大型ルーキーとして注目されるのには十分すぎる活躍ぶりであり、今後が楽しみな選手の登場に観客たちは大いに盛り上がりを見せていた。

 

 ・・・因みにだが、ハイドとセシリアの試合を一夏の後に持ってきたのはIS学園が政治権力から距離を置いているが故の配慮によるものである。

 いくら一夏が元世界チャンプの弟で世界初の男性IS操縦者でもあるといえど、国家代表二人が戦った試合の後に行わせるのは外聞が悪すぎるし、勝ち方はどうあれ一夏が敗れたセシリアにハイドも負ければ二連勝でセシリアの勝利は確定する。

 逆にハイドが勝った場合には、敗れたセシリアに負けている一夏とわざわざ戦わせる必要がないと強弁することは可能である。

 

 本当だったら三人それぞれが一人ずつ総当たり戦を行わせるのが筋の試合であるのだが、予定外だった上に全校生徒を一カ所に集めた上で全カリキュラム中止しての私的な決闘とあっては時間的制限は掛けざるを得なったのである。

 

 

☆そんな訳なので、ハイド対セシリアの試合前に行われていたはずの一夏VSセシリア戦は全カットでいかせてもらいます。ご了承ください。☆

 

 

 

「シュトロハイド・フォン・ローゼンバッハ、《ゴールデンバウム》出るぞ!」

 

 

 が、そんなお上の配慮など一顧だにしないバカは倉庫の奥に眠っていた第一世代IS用カタパルトをわざわざ引っ張り出してきて、ガンダム大好きシャアも大好きジオン軍はもっと好き!な日本人的オタク精神むき出しにしてノリノリになりながら出撃セリフをコール。

 意味もなく脚部バーニアを噴射しながら、カタパルトにも後押ししてもらってアリーナ中央の指定位置まで飛び立ってくる。

 

 

 

「・・・来たようですわね。どうやら逃げたりはしなかったようで安心しましたわ」

 

 腰に手を当てたまま、イギリス代表セシリア・オルコットは思慮ありげな表情でつぶやく。

 その顔には隠しきれないほどの悔恨の念と、そして本気を出して戦いたいと願う戦士としての本能が再熱したことを意味する滾らんばかりの熱意が見て取れる。

 

「あなたにも、最後のチャンスを与えましょうーーーとは申しません。あなたには悪いと思いますけれど、全力を持って叩きのめさせていただきます。

 ・・・もう二度と、わたくしは慢心することなく全身全霊でISバトルに挑むと誓ったのですから・・・」

 

 先の試合内容に対する反省と後悔が彼女の心理に大きな変化をもたらしていた。

 結果自体に異論はない。驕り高ぶっていたことに気づかされた時点で、自分の敗北である。

 とはいえ、当初から舐めきって掛かっていた生で全力を出し切れないまま終わってしまったことによる不完全燃焼感は遺憾ともしがたい。できるなら比較的近い実力の持ち主を相手に、反省して生まれ変わったセシリア・オルコットの全力を叩きつけて不死鳥にように華麗に復活を遂げたい。そういう思いがセシリアを動かしており、心臓を暑く燃えたぎらせている感情の元にもなっていたのだ。

 

「先に申し上げておきますけど、わたくしの実力を先の試合内容からあなどり、油断だの慢心だのしてアッサリと倒されないでくださいましね? わたくしは驕り高ぶっていた慢心を捨てた、本当の自分の限界を確かめたいのですから」

「委細承知。案ずるな、問題ない。

 ーーぶっちゃけ先ほどの試合中、出撃コールをどれにするかで悩んでいたのでな。携帯端末でガンダムの出撃名場面集を見つづけていたから試合内容はあまり詳しくないのだよ。

 で? 結局どっちが勝ったのだ?」

「そこから!? いえ、むしろそこから先は勝ち負けしか存在しないのですし、知る意味ないのでは!?」

 

 驚愕するセシリア。

 このドイツ人、よりにもよって原作主人公の試合を見てないどころか、試合結果すら目にしていないらしい。マイペースも、ここに極まりすぎている。

 あと一応、ISバトルは実践の殺し合いではなくスポーツなので、同じ相手と何度も巡り会って戦いあうことも少なくない。

 そのため、相手の必殺技を何度も見ておいて返し技を複数考えついてから本番に臨むのは基本中の基本である。

 

「相手の持つワン・オフ・アビリティーが何かも知らないまま、よく国家代表候補を相手にする気になりましたわね・・・」

「大丈夫! 心配無用! 私は昔から第6感が鋭くてーーー」

「戦いはじめるより前から、いきなり勘頼りですのッ!?」

 

 もう、ここまで来ると言葉もない。ぶっつけ本番という言葉を使うと「ぶっつけ本番で初陣に挑む主人公たち」に失礼な気がして、できれば使いたいと思わない。

 自分の力を信じるというよりかは、なんだかよく分からないナニカを信じると言った方が正しい気がしてくる程いい加減な生き方の極地であった。

 

 

 ビーーーーーーーーーッ!!!!!

 

 ・・・そうこうしている間にブザーが鳴って、試合が開始されたことを二人に知らせる。

 

 

「先ほどと同じ下手は打ちませんわよ!」

 

 自分の愛機と同じ第三世代だった白式と違ってゴールデンバウムは第二世代。オートガードを制御しているOSも旧式なのだ。セシリアの演算能力をフルに使えば左肩アーマーひとつでは済まされない。必ず直撃させてみせる。

 

「はじまったばかりですけれど、お別れですわね!」

 

 

 ーー警告! 敵IS射撃体勢に移行。トリガー確認。初弾エネルギー装填。

 

 発射!

 

 

 キュインッ! 耳をつんざくような独特の音がフィールド内に響き、続けて連続発射される光の弾丸が音階を紡いで協奏曲を奏でゆく!

 

「中距離射撃型のわたくしに、本来であれば近距離格闘装備で挑もうだなんて・・・笑止であるべきなのですわ!」

 

 思ってたより気にしてたらしい先の試合結果。

 一夏には惚れたが、悔しいものは悔しいのである。銃が刀に負けるなんてあり得なさすぎて悔しすぎるに決まっている。ガンナー舐めんじゃねぇ、日本刀マニアの依怙贔屓ヤロウ。

 

 射撃、射撃射撃射撃。まさに弾雨のごとき攻撃が降り注ぎ、ハイドは開始直前から防戦一方に追い込まれるが、そこはそれ。地獄を征服した覇王の感覚は一般人のそれと、良くも悪くも大きく異なっていた。

 

 

 

「ぬぅぅぅぅおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!

 英雄の纏し甲冑を身につけた私に、そのような小細工など通用せん!!!!!

 必・脱!! アーマーズ・パージ!!!(分離する甲冑)」

 

 

『え、ええええええええええええええええええええええええっっ!!!!!!!!!

 自分から僅かに残っていた追加装甲をパージしたぁぁっ!?

 なんで!? どうして!? なんの目的で!?

 あと、身につけたじゃなくて脱いじゃってるけど!?』

 

 

 観客全員、総ツッコミ。

 訳わからなすぎる行動に、アリーナにあるピット内でも意見は様々、討論開始。

 

 

「ちょ、千冬姉! あれってなんの意味があるんだよ!? わざわざ脱いだぞ! 敵からの攻撃が続いている最中に自分から!」

「わ、わからない・・・たしかに装甲を取り外した分だけ重量は低下し、スピードはアップするのは分かるが、元が紙装甲の射撃型で第二世代機が追加装甲はずしてスピード上げることになんの意味があると言うのだ・・・!?」

「むぅ・・・・・・(言えない。流石にこれは言うわけにはいかない。かつて我が篠ノ之流には防御を無視して攻撃に特化させた背水の構え《下帯だけの陣》が存在していたなどと言う黒歴史は絶対に、人に知られるわけにはいかんのだからな!)」

 

 

 様々な憶測が飛び交う中でもバカは止まらない。

 

「ISは操縦者の意志を組んで望み通りの形を取る・・・ならば我がゴールデンバウムは私自身の姿を模してあるのが正しき姿と言うもの!

 あるがままの私自身、それ即ち生まれたままの姿をした私である!」

「ただの全裸ですわよねそれ!? 装甲を追加していた意味はどこいったんですの!?」

「真の英雄は細かい些事など気にしない!」

 

*補足説明:ゴールデンバイムの追加装甲は『見た目を良くするため「だけ」に追加されている装備』である。脱いだ状態が理想型ならば、着てる物増やすのはおかしくね? と普通ならそう思うところだけどハイドは普通じゃないからそう思わなかった。それだけである。

 

 

「行くぞ! ゴールデンバウム! 我らの力を世界に示し、蹂躙せよ!!

 イグニッション・ブースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・キーーーーーーーック!!!!!!」

「格闘装備だからって、ホンモノの格闘技をISバトルに持ち込むなーーーっ!!!」

 

 まさかのIS特有機能、パワーアシストシステムを使った全速力ジャンプ飛び膝蹴り攻撃である。しかもイグニッション・ブーストまで使ってきている。

 音速以上の速度で飛び出すビームを撃てても、射手であるセシリアはマトモな思考を持った健常者である。異常者ではない以上、正常な精神と価値観でもって高速で飛来してくる少女が体当たり飛び膝蹴りなんか放ってきたら怖くて逃げ出したくなるし、少なくとも撃つ気になれない。

 

 ひとまず一時撤退するセシリア・オルコット。

 真っ直ぐ高速で飛んでくだけのイグニッション・ブーストは、守るという概念が頭にないハイドには確かに相性よかった。良すぎていた。

 捨て身という認識すらなく、「敵がいるなら只進んで、只戦って、只倒して、只勝てばいい」としか思っていないバカ英雄には「只早く進めるだけ」の能力ほど有り難いものは存在しない。前に進むのが早くなれば其れでいい奴なのである。

 

「くっ・・・! 出し惜しみしていられる相手ではありませんでしたわね・・・《ブルー・ティアーズ》!」

 

 ヴンッーー。

 

 ヒュン、ヒュンヒュンヒュン!!!

 

 いきなりの六機すべてを投入した、セシリアの現在至れる最終決戦仕様での全力オールレンジ攻撃!

 

 まだ全てのビットを操りきれるほどにはなっていないため、逃げ道を閉ざしての完全なるオールレンジ攻撃には程遠くとも前にしか進んでこないイノシシ武者が相手であるならやりようはある。

 

 

「ビット二機が一組となって左右に展開! 突撃してくる敵を迎え撃つように動かないまま浮遊砲台としてのみ機能しなさい! 最後はビットミサイル二機を備えた一組で特攻させて差し上げますわ!」

 

 わざわざ口に出して教えてやることでハイドに選択を強いるセシリア。

 こちらの策に乗るか乗らぬか、乗った上で食い破ることを望むのか。

 狙撃手であり観察力の優れたスナイパーのセシリアにとって、ハイドの出す答えなど一つだけしかあり得ない。

 

「被害を恐れて勝てる戦はなく、無傷で得られる勝利もなし!

 英雄が尊ぶ信念とは、前進!力戦!敢闘!奮戦!

 英雄に必要なきものとは、卑怯!臆病!消極!逡巡である!

 敵が罠を張って待ちかまえている拠点に攻め入り蹂躙するは、征服者最高最大の誉れ成り! ありがたく頂戴させてもらうぞ、その御首ぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!」

「あげませんわよ、そんなものは!? いったいこの学園はどこの蛮族国家から代表候補をつれて来やがりましたのですかしらーーーーーーーーっ!!!!!!!!」

 

 一杯一杯になってきたのか、セシリアのお嬢様口調が滅茶苦茶になってしまっている。

 なんとなくお下品な単語を口にしまくるお嬢様キャラたちを連想してしまうのは、間違っているだろうか?

 

 

 

 

「英雄らしく! ヒーローらしく! 最後の必殺技はふつうの突撃ーーーーっ!!!」

「決着シーンでの定番はこれなのでしょうね! 絶対死守せよ!!!!!」

 

 

 ドイツが攻め、イギリスが守る。

 どっかの世界大戦を彷彿とさせる戦いは、双方ともに互いの額と額がくっつけあう距離まで近づいた時に決着した!

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!!!!」

「はああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!!!!!」

「おおおおおおお‼‼―――――――――――――――――――――――ふんっ!!!(ゴチンッ!!!)」

「(ごつん)・・・・・・・・・・・・・・・あ、ふぅん・・・・・・」

 

 

 ーーーー互いの額と額がくっつきあう距離まで近づいたので、身長低い方であるハイドが珍しく使える機会が来たため喜び勇んで使用した攻撃方法《頭突き》によってセシリアは気絶し、エネルギー残量とか関係なしにISは解除されて落下してゆき、地上に落ちる前に保護機能により落下速度が落ちて不時着する。

 

 

 

 

 世界初の男性IS操縦者が将来性の豊かさを証明した戦いのあと行われた、せいぜいが二年生でも珍しい専用機持ちの代表候補同士が勝敗を競い合う、勉強になるし参考にもなる試合鑑賞。その程度の気持ちで見に来ていた生徒たちをして重すぎる沈黙に支配されざるを得なくしてしまう決着方法。

 

 世界初の男性IS操縦者織斑一夏のIS物語がはじまった記念すべき今日と言う日には、後世において但し書きにこう記されることになる。

 

 

『現代におけるISバトルマンガの鉄板的勝利の仕方《頭突き》がはじめて使われたのと同じ日に、英雄織斑一夏は同じ会場内で戦っていたと歴史書には記載されているが真相は定かではない。

 なぜなら歴史に伝説異説IF話は付き物なのだから・・・・・・』

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