『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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久しぶりの更新です。
今話の話に敢えてサブタイトルを付けるなら「織斑先生大暴走の段!」でしょうかね?
まぁ、そんな感じで相も変わらず残念きわまるバカ話ですがよろしければ久しぶりに楽しんで笑っていただけたら嬉しく思います♪


『我が征くはIS学園成り!』第5章

『おはよー。ねえ、聞いた? 転校生の噂』

『転校生? 今の時期に?』

『そう、なんでも中国の代表候補生なんだってさ』

『ふーん』

 

 IS学園1年1組の朝。今日も今日とてクラスの女子たちは教室中で噂話に花を咲かせている。話題は毎日変わったり、繰り返したりしている時もあるみたいなんだけど、一体どういう基準で選ばれてるんだろうな? 少しだけ聞いて確かめたくなってくる。

 

『そう言えば来月は、クラス対抗戦があるんだったよね?』

『だねー。やる気を出させる為に1位のクラスには優勝賞品として学食デザート半年フリーパスが配られるだもんねー。楽しみ~♪』

「まぁ、学費を国に持ってもらっておきながら、更にそれ以上を出してもらわないとやる気が出せないと言ってる時点で、その方の将来性には期待できそうにありませんが」

『・・・いやまぁ、そうなんだけどさ。アンタそれ言ったら色々終わり――って、今の誰!? どこからか銀髪少女の無表情な常識ツッコミが聞こえてきた気がするんだけど!?』

 

 どうやら今日のメイン話題は「転校生」と「クラス対抗戦」の二つみたいだ。どっちかと言えば対抗戦の方が直接俺に関係してきそうだし意識を向けて情報集めといた方がいいかもしれないな。

 ・・・幽霊っぽいのが出てきたような気がするのは流しておこう。ここはIS学園。世界最先端のIS技術が結集されてる現代社会の牙城で・・・要するに何でもありな場所だから何かいたとしても不思議じゃないんだろう、きっと。

 

『ま、まぁ、それはそれとして。どこのクラスが優勝するんだろうね-?』

『バカね。今のところ専用機を持ってるクラス代表って1組と4組だけなんだから、余裕でうちのクラスが楽勝よ』

 

 

 

 

「―――その情報、古いよ」

 

 

 

 

『え?』

 

 ・・・ん? 今教室の入り口当たりから、すっげぇ聞き覚えのある声が聞こえたような気がしたんだけど・・・・・・。

 

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

 顔を向けて、入り口の方を見た先にいたのは、腕を組んで片膝を立てた姿勢でドアにもたれかかっている、長い髪を両サイドに垂らしたツインテールにしている洗濯板っぽい胸元の元同級生で・・・・・・

 

 

「・・・鈴? お前もしかして、凰鈴音か?」

「そうよ! 2組に転校してきた中国の専用機持ちにしてクラス代表凰鈴音とは、あたしの事よっ!!」

 

 びしぃっ!と、効果音を発しそうなポーズを決めて登場してきたのは、俺の中学時代の連れで二年の終わりに帰国していったセカンド幼なじみの少女、凰鈴音。

 

 

 そして―――――

 

 

「・・・何やってんだ、ハイド? すげえ似合わないぞ・・・」

「いや、格好のいいポーズを見せつけられたのでな。負けてなるものかとパクってみた」

「自分からパクり言うなやドイツ人」

 

 鈴がもたれかかってる扉の反対側にもたれかかり同じポーズと同じ表情で自分自身を指さして見せてるドイツの代表候補にして第二世代の専用機持ちという異色の経歴の持ち主シュトロハイド・フォン・ローゼンバッハ。

 相変わらず、言ってることもやってることも意味分からん。

 

「なっ!? だ、誰よアンタ!? いきなり横から割り込んできて人のポーズ盗まないでよね! 昨日一晩かけて考え出した最高にかっこいい再会のポーズなんだから!」

「甘いな凰君とやら! 古来より日本にはこういう諺が存在する・・・・・・『技とギャグと名台詞と名シーンには著作権無し』と言うのが其れだ!

 格好のいい台詞とはパロられるものであり、格好いいポーズは大量生産されて真似されまくるものである! これ即ち人の性であり業と呼ぶべきものであろう!

 むしろパクられるのは自分が今、流行の最先端を征く開拓者である証だと誇りたまえ!!」

 

『せ、正論だ! すさまじいレベルの大正論だわ!!』

 

 

 クラスの女子たち大賛成。・・・そうなのかなーと、疑問に思う俺。テレビあんま見ないからよく分からん。

 

「くっ・・・! 小賢しいだけの、あたしよりチビがなんてこと言うのよ!」

「おい」

「なによ!? ――って、あ痛っ!?」

 

 バシンッ! 怒鳴り返して聞き返しちゃった鈴に強烈な出席簿による厳重注意。鬼教官千冬姉の登場である。

 

「もうSHLの時間だ。教室に戻れ」

「ち、千冬さん・・・・・・」

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ」

「す、すみません・・・・・・」

 

 すごすごとドアから退いて引き下がっていく鈴。その態度は100パーセント千冬姉にビビってる。

 

「またあとで来るからね! 逃げるんじゃないわよドイツ人! それと、一夏も!」

「え。俺も?」

 

 なんでか知らんが絡まれた。いつもの事っちゃいつもの事なんだけど、本当にコイツは唐突なところがあるよな昔から。

 

「さっさと戻れ。――それからお前もだ、ローゼンバッハ」

 

 猛ダッシュで2組の教室へ戻っていく鈴を見送ってから、千冬姉は今度はハイドにも懲罰の出席簿打撃を加えてやろうと振り上げてから振り下ろし

 

 

「甘い!」

「むぅっ!?」

 

 

 ・・・受け止められてしまった。両掌を合わせて左右から拝むように振り下ろされてくる出席簿を掴み取る技―――“真剣”白刃取りの要領で“鉄製の板”を迎え撃ちって、それちょっと表現がおかしくないか!?

 つか、千冬姉の打ち込みを真っ正面から受け止めるとか地味にすげぇなシュトロハイド! ISバトルが専門の国家代表候補には何の役に立たなそうな技術だけれども!

 

 

「フッ! 得物を敵に掴まれるとはな・・・・・・世界最強ブリュンヒルデ敗れたり!」

「むむっ!! むぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!!!」

 

 しかも、なんか意味不明な出席簿白刃取りで鍔迫り合いをはじめちゃってるーつ!? 意外と負けず嫌いなところのある千冬姉の悪癖がこんなところで衆目監視の中露見しまくっちゃってるんだけどもーっ!?

 

「ちょ、千冬ね・・・織斑先生落ち着いて下さい! ホームルーム! ショートホームルームが始まる時間ですから落ち着いて剣じゃなくて出席簿を引きましょう! ねっ!?」

「止めるな一夏! 女には負けてはならぬ勝負というものがある!

 一歩でも退いてしまえば今まで交わした全ての誓いも約束も何もかもがヘシ折れて、二度とこの場所へは帰って来れなくなる敗北がある! 其れが今この戦いなのだ!!」

「いや、絶対に違いますよねソレ!? こんなしょうもない勝負で退いたぐらいで帰ってこれなくなるなら、その程度のものですよね絶対に!?」

 

 なんか無駄に熱い展開になってきたなオイ!? 平和な朝のSHL前だったはずの時間はどこ行った!?

 

「敵に背を向け傷を負うは恥と見なすか! 良い覚悟だ! 良い信念と心意気だ! それでこそ私も全力を出して競い合えるというものよ・・・・・・。

 さぁ、存分に競い合おうぞブリュンヒルデ! 男と男、一対一の一騎打ち! 受けて立つ! いざ勝負なり!!!」

「お前も煽るなハイドーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

 ああ! 二人が発する桁違いのパワーと気迫で壁に亀裂が! 床にヒビ割れが! 間近にあった教室のドアが跡形もなく消し飛ばされてしまった!? 入り口を塞がれて邪魔どころの被害じゃねーっ!?

 

『キャーーーッ☆ 千冬お姉様カッコイイーーーーーーッ♪♪♪ もっと私たちに圧倒的力強さを見せつけてーーーーーーっ!!!」

「お前らも余計な声援で煽ろうとするな女子ーーーーっ!! このままどとマジでヤバいって状況ホントに理解してんのかお前らはーーーーーっ!?」

『勝つ姿が見たいの! 負ける姿なんて見せられたくないの! お願いだから私たちにとって永遠の最強ヒーローでいてくださいませ千冬お姉様ーーーーーっン♡♡♡♡」

「やめろーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!!」

「ぬおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」

 

 

 

 

「そっちはそっちで止めろ! お願いですからマジ止めてください!! IS学園が! 世界で唯一のIS操縦者育成機関が生身の人間同士による意地の張り合いでバラバラに砕け散りそうになってますからね織斑千冬姉ーーーーーーっ!!!!!!!」

 

 

 こうして、セカンド幼馴染み凰鈴音との再会から始まった今日一日の波乱に満ちた俺のIS学園生活。

 

 知り合いとばったり再会したり、家族の知られたくない秘密が本人の行動により暴露されたり、人生っていうのは不思議なもんなんだなー。

 

 

「あの・・・一夏さん? 現実逃避してらっしゃるところ申し訳ないのですけれど、そろそろ本気で止めに入っていただけません? 先ほど先生方が止めに入ろうとしたら、近づいただけで吹き飛ばされてしまいましたので、わたくしたちに残された最後の希望はもう一夏さんしか・・・・・・」

「一夏・・・骨は残ってたら必ず拾ってやるからな。私たちの未来を守る為に死んでこい。IS学園最終防衛決戦に参加した唯一の戦死者に対して敬礼!」

「・・・・・・・・・」

 

 

 ・・・なぜだか最近、面倒事があると必ず俺に解決役が押しつけられるようになったと感じているのは俺だけなのかな・・・?

 

つづく


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