『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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目が覚めてしまったので次話書いて更新です。この後、二度寝してきますね。


『我が征くはIS学園成り!』第6章

「ああ・・・美味い・・・。明るいお日様の下で食える白米がこんなにも美味しいものだったなんて・・・。死なずにメシが食えるのって、本当に素晴らしいことだったんだなぁ・・・」

 

 昼休み、開口一番文句を言いに来た箒とセシリアたち他数名を連れて食堂までやってきた俺は、生きて食うメシのうまさに感涙して思わずホロリ。

 スーパー地球人類の限界超えちゃってる大戦に割り込まざるを得なかった俺としては、ただただ生き延びれただけで心底から喜ばしい。そして生きてることを何より実感させてくれるのが食事だ。やっぱり食事は生活の基本だからな、うん。昔の人はいいこと言った。

 

「なによ、一夏。久しぶりの再会だってのに爺臭いわね。もっと若者らしくハキハキしなさいよ、溌剌気味に」

「お前はいいよなぁ・・・・・・2組だから」

 

 食堂で待ち構えていた転校生の鈴に愚痴をこぼす。知らないとは恐ろしくも有り、羨ましすぎることでもあるのだなーと言うことが解らせられた一瞬である。

 

「あー、ゴホンゴホン! 一夏? そろそろどういう関係か説明して欲しいのだが?」

「ンンンッ! そうですわ一夏さん! まさかこの方と付き合ってらっしゃいますの!?」

「うむ! 今日もサシミのツマは美味であるな!」

 

 疎外感を感じてたらしい箒とセシリアが多少棘のある声で訊いてきて、隣の席からはハイドによる料理の味に対しての感想が聞こえてくる。

 ・・・コイツの辞書に「気まずいから距離を取る」って言葉は載っていないのか・・・? 

 

「あー、えっとだな。コイツは小五の頭ごろに転校してきた鈴で、中二の終わりに国に帰っていったから―――」

 

 二人に対して鈴のプロフィールを簡単に紹介。一方で鈴に対しても二人について説明しておく。

 

「で、こっちが箒。前に話したことがある小学校からの幼馴染みな」

「ふうん、そうなんだ。――初めまして、これからよろしくね」

「ああ、こちらこそ」

「ンンンッ! わたくしの存在を忘れてもらっては困りますわね、中国代表候補生の凰鈴音さん?」

「・・・・・・誰?」

「なっ!? わ、わたくしはイギリス代表候補生のセシリア・オルコットでしてよ!? まさかご存じないの?」

「うん。あたし他の国とか興味ないし」

「な、な、なっ・・・・・・!?」

 

 怒りの余り顔を赤くし、ゆでだこみたいになってくセシリアが言葉に詰まって黙り込んでる間に横から割り込んでくるのは今日も今日とてこの女の子、ドイツの代表候補生シュトロハイド・フォン・ローゼンバッハ。

 

「仲良きことは美しきかなだな! ――それでキミはいったい何者なのかね?

 中国の代表候補生にして、名も知らぬ異境の戦士よ! 名を・・・名を名乗りたまえぇぇっ!!」

「さっき言ったでしょうが!? 名乗っておいたでしょうが!? 逃げるなって言って去って行ったあたしのこと、まさかアンタ覚えてない訳じゃないでしょうね!?」

「知らん! そのように些末なこと、覚えていられるはずも無し!」

「なぁっ!?」

 

 ハイドの忘れっぽさと記憶力の悪さを知らない鈴、絶句。やっぱり知らないのも都合良くいいことだけではないみたいだ。やっぱ世の中、上手くはいかんものなんだな。

 

「こ、このあたしを知らないですって!? ・・・いい度胸じゃない、教えて上げるわよ。もう一度だけ名乗って上げるから、耳かっぽじって聞いて今度こそ覚えときなさい。あたしはねぇ―――」

「否! 人に名を問うときは己から名乗るのが礼儀であったな! よし、私から名乗ろう! 一度しか言わぬ故、しっかりと覚えておくように!」

 

 そして今日も今日とて人の話は聞かず聞こえず、マイペースに自分の赴くままにしか行動しないし発言もしないハイドが勝手に話を進めていくのを、慣れてる俺は聞き流してメシを食う。うん、やっぱり知ってる方が得みたいだわ。回数的に。

 

「東西南北中央不敗! ドイツIS対戦界の覇者! 泣く子も黙るIS学園1年1組所属!

 人呼んでドイツの暴風シュトロハイド・フォン・ローゼンバッハ! 十六歳であーる!」

「・・・・・・・・・(お目々ぱちぱち、口はあんぐり鈴ちゃんです)」

 

 ハイドのペースに耐性が付いてない鈴が、あまりの勢いに飲まれまくって間抜け面を晒して黙り込んでる横で箒とセシリアが、

 

「篠ノ之さん、そのショーユと言う名の調味料を取っていただけませんこと? 目玉焼きに掛けてみますわ」

「ん。代わりにお前の横の唐辛子を貸してもらってもいいか? きつねうどんにはこれが美味いのだ」

 

 平和に平素のやり取りをしている。改めて客観視してみると、慣れてるってチト怖い。

 

「・・・・・・と、言う設定をプロデビューした暁には名乗ろうと思っているのだが、どうだろうか?」

「知らないわよ! そんな脳内妄想!!」

 

 予想通りの続く言葉に俺達三人、心の中で「やっぱ妄想かー」と同じ感想を共有。言葉を介さずとも人と人が通じ合えた瞬間である。俺達今この時だけ新しい環境に適応した新人類。

 

「い、い、言っとくけど、あたしとアンタが戦ったらあたしの方が強いし勝つんだからね! ハッキリ言って! だって悪いけどあたしの方が強いんだもの!」

「それは重畳! 己より強い敵に挑まずして何が栄誉か! 戦いか!

 強さに奢って下を見下ろすだけでは心も剣も腐り落ちて錆に塗れるというもの! 上を見上げて挑み続けぬ戦士に価値はなし!

 君が真の強者であり、私が全力を出しても勝てぬほどの難敵であることを心より願うものである!」

「くっ! いつまでも減らず口をぉぉ・・・っ!!!」

「・・・ところで君、名はなんと言うのかね? さっき聞きそびれてしまったので、いい加減名乗ってもらいたいのだが・・・」

「だ~、か~、ら~・・・・・・聞きなさいって言ってんでしょうが! 最初っからずーっと休むことなく延々と!」

 

 ギャースカぎゃーすか、無駄な徒労を繰り返してる鈴。

 日本人の悪いところは休み方を知らないところだとフランス人社長が前に言ってるのをテレビで見たことあるけど、中国人もそうなのかもしれないな。同じ東洋人だし。高校はじまったばかりでこれだと鈴の奴、IS学園卒業する頃には絶対に死んでるなぁ―。ハイドとのやり取りは常に全力投球じゃダメなんだからな? スタミナじゃ絶対勝てない相手なんだから。

 

 

 そんなこんなで今日一日は無駄に終わり、疲れさせられた俺は怒り狂う鈴に寮の自室まで押しかけられてきて、思い出話を振られながら朦朧とする意識の中やっとこさ探し出した酢豚の話について行けたと思ったら引っぱたかれて、訳が分からないままその日は終わる。

 

 翌日、生徒玄関前廊下に大きく張り出された紙を見つけた。

 表題は『クラス対抗戦日程表』。

 

 一回戦の相手は2組―――鈴だった。

 

 

 

 ・・・・・・ちなみにだが、鈴から振ってきた思い出話の「毎日酢豚をおごってくれる」について、後日ハイドからも意見を聞いてみたところ眉をつり上げての返答があった。

 

 

「それは確かに理不尽であるな」

「だろう?」

「うむ。流石の私も毎日同じ料理ばかりをおごってもらう環境では、素直に感謝することはできぬと思う。まして、酢豚だけとくれば尚更だ。喉が渇きそうではないかね」

「・・・・・・」

「そも、中国には明と呼ばれていた時代より「薬食同源」の思想があって、薬とは生薬のことを指し、ネギや山芋などの食物性のものは当然のこと肉や鹿の角など動物性のものさえ含み、貝殻などの鉱物性のものまで全ての食べ物は薬となり得るという事実を意味している。

 が、薬食同源だろうとなんだろうと最も重要なのは基礎。「食べ過ぎは毒」であり、食事は楽しんで美味しく食べることこそ最高の薬である真理だけは時が移ろい時代が変わろうとも変化することはない。

 飽きることなく作ってくれた側に感謝し続けられるよう、作る側にも最低限度の工夫によるレパートリーの変化は大事なことなのだぞ?」

 

 

 ・・・なぜだかドイツ人に現代中国人のことで相談をして古代中国の思想について語られてしまった。

 意外と勉強になったし、知らないことも含まれてたので後でメモっておこうと思う。近いうちに千冬姉にも教えてもらった知識を使って何か作って上げたい。

 やはり食べてくれた人が「おいしかった」と笑顔で言ってくれることが人にとって一番良いことなんだと感じた、IS学園で過ごすある日の出来事だった。

 

 

つづく

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