『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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更新です。無人機と一夏たちの戦いにハイドが乱入するまでの話!
乱入後のバトルは出来てません。


『我が征くはIS学園成り!』第7章

 鈴と俺の間で一悶着あってから数週間後。

 つまりは、鈴とハイドで一悶着みたいなのがあってから数週間がたった今日、俺たちは対抗戦当日を迎えていた。

 

「このアタシを前にして、よく逃げずに来たわね一夏。褒めて上げる。その無謀さに免じて今すぐ土下座して謝るなら半殺しぐらいに痛めつけるレベルを下げてあげるわよ?」

「お前はフリー○様か? 謝っても半殺しならいらねぇよ、そんな雀の涙以下の慈悲。全力で倒した方が助かる確率高いじゃねぇか」

 

 薄い胸の前で腕組みした鈴が、上から目線で見上げてきながら魔王みたいな台詞を吐いてきた。

 再会した幼馴染みが、先に転校してきたドイツの代表候補に影響されすぎてると思われる件。

 

 それから俺は周囲を見渡し、溜息を吐きながらこう言った。

 

「・・・と言うか、わざわざアリーナ前で俺が来るのを待ち構えてまで言わなくても良かったんじゃねぇのか・・・? 試合を見に来た他のお客さんからスゲー邪魔そうに見られてるのだが・・・」

 

 現在地、組み合わせ表で俺と鈴が戦うことになった第一試合の会場、第二アリーナ前の入り口。

 扉の前で仁王立ちして待ち構えてたセカンド幼馴染みが通行を物スゲー邪魔になっていた。

 

「しょうがないじゃない! アンタだけに言いたかった訳じゃないんだから、ここ以外で待ってれば会える場所が思い付かなかったのよ!」

 

 そう言って赤い頬して喚く幼馴染み。久しぶりに日本へ戻ってきたばかりで転校してから数週間しか経ってない上に、相変わらず友達でき難いキツい性格の女の子である。

 

「アンタ! 今日こそ決着を付けてやるから覚悟しておきなさいよね! 後でギャフンと言わせてやるんだからクビを洗って待ってなさい! 私がこの日のために編み出した技で――」

「断るぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!!!」

「なんでよ!?」

 

 鈴が指さした先にいる、俺の隣で付いてきていた青味がかった黒髪の美少女シュトロハイド・フォン・ローゼンバッハが元気よく鈴の言葉を遮り、拒絶した。

 

 ・・・コイツには元気が出ない日というのが無いのだろうか? なんか年がら年中真夏の熱帯雨林みたいなテンションで生きてる気がするぞ。

 叫びっぱなし、走りっぱなしであろうとも問題なく長生きできそうなハイドのことを、俺は羨ましくもあり「でも、こんなバケモノになるのはちょっとなー」という気分も在りで半々な評価になっていた。

 

「アンタ、私との勝負から逃げる気なの!? この逃げ出した臆病者の逃亡兵が!

 あと、台詞ぐらい最後まで言わせなさいよー!!」

「逃げるのではない。そうではないのだよ、凰鈴音君・・・・・・」

 

 落ち着いた静かな声音で諭すように言ってくるハイド。気圧されたのか気恥ずかしくなったのか、鈴も割とすんなり引いて「じゃ、じゃあなんでよ・・・?」と若干頬を赤らめつつ目前に立つ相手に向かって質問し

 

 

「いや、私はクラス代表ではないのでな? 織斑君に勝ったときに面倒だったから押し付けてしまった。故にクラス代表だけが参加を許される争覇戦に参戦する資格を私は有しておらん。

 資格なき者がリングに上がるのは、その競技に関わる者全てに対する侮辱である。弁えたまえ」

「ちぃぃぃぃくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!!」

 

 どどどどどどどっ!!!!

 

 涙と叫びと共に、アリーナの中へと走り去っていくセカンド幼馴染み凰鈴音。

 さよなら鈴、新たにハイドの犠牲者に加わったお前のことを俺は決して忘れはしない・・・。

 

「覚えてなさいよアンタ達! この借りは試合で倍返ししてやるんだからねーっ!!!」

 

 ・・・そして、なぜ俺を巻き込むんだ犠牲者の皆・・・。もっと当事者にして真犯人でもあるハイドを責めてくれよ。

 たった一つの真実はいつも側にあるのに、誰も指摘しないでスルーされてる状況をコナン君ならどう推理してくれるのだろう・・・。

 

 

「うむ。素晴らしき走りっぷり・・・目指せ国立競技場とはこのことだな」

「うん、ハイド。お前の推理が真実から一番遠いことだけは分かってるから言わなくていいぞ?」

 

 見た目は子供、身体は女子高生、頭脳は地球外生命体のハイドは今日も平常運転だ。

 

 

 

 

 

 ――この後、クラスリーグマッチは開会式が終わり第一試合がはじまって、両者いい勝負を繰り広げながら観客たちを沸かせながら、大過なく進行していった。

 

 ・・・が、しかし。

 いつも災厄は突然、空からやってくる・・・。

 

 

「鈴」

「なによ?」

「本気で行くからな」

 

 真剣に鈴の目を見つめながら放った俺の言葉に気圧されたのか、なんだか曖昧な表情を浮かべた鈴は

 

「な、なによ・・・そんなこと、当たり前じゃない! とっ、とにかくっ、格の違いってのを見せてあげるんだから!」

 

 そう言って、二本の両刃青竜刀を一回転させて構え直す。

 

 ――余談だが、俺たちの様子をモニターで見ていたピット内でハイドが、

 

 

「うむ! 青春であるな! 青春ラブコメであるな!! 青い春とは良いものである!!」

「・・・言うな、ローゼンバッハ。身内同士の試合でこれは、むしろ私が恥ずかしいのだから・・・」

 

 

 というやり取りを千冬姉と交わしていたことを、後で聞かされた俺は床をのたうち回って悶えることになるだが、所詮は余談であり今の試合内容には関係ない。

 

 

「うおおおっ!!」

 

 この一週間で身につけた技能『イグニッション・ブースト』を使った、一回きりの奇襲で勝負に打って出る! もともと白式は欠陥機らしいし、エネルギー効率では鈴の甲龍にかなう訳がないのだから《雪片弐型》も全力全開だ! 出し惜しみ無しで一発勝負!

 これが俺の戦い方だ、ぜ―――ん?

 

 ズドオオオオンッ!

 

「!? なんだ!?」

 

 鈴に刃が届きそうになった瞬間、突然大きな衝撃がアリーナを揺らして、ステージ中央からモクモクと煙が上がっているのを確認した。

 どうやらさっきの揺れは『それ』がアリーナの遮断シールドを貫通して侵入してきた時に生じた衝撃波だったらしい。

 

『一夏、試合は中止よ! すぐにピットに戻って!』

「な、何をいきなり言いだしてんだよ鈴・・・・・・」

 

 訳が分からないまま返事を返してたら、ISのハイパーセンサーが緊急通告を行ってきた。

 

 ――ステージ中央に熱源。所属不明のISと断定。ロックされています。

 

 

「なっ―――敵だって言うのかよ!?」

 

 突然、空から飛来してきて現れた謎のIS。

 一つだけ確かなのは、ISバリアーと同じ防御力を持つアリーナの遮断シールドを貫通できる攻撃力を持った機体が乱入してきて、こちらをロックオンしてきていると言うことだけ・・・・・・。

 

 つまり、ピンチってことだ!!!

 

 

 

 

「織斑くん! 凰さん! 今すぐアリーナから脱出してください! すぐに先生たちがISで制圧に向かいますから!」

『――いや、先生たちが来るまで俺たちで食い止めます。遮断シールドを突破してきたあのISを今ここで止めないと、観客席にいる人たちに犠牲が出るかも知れませんから』

「えぇ!? ちょ、ダメですよ織斑くん! 生徒さんにもしものことがあったら――ああ、敵の攻撃が始まったせいでノイズが!

 もしもし!? 織斑くん聞いてます!? 凰さんも! 聞いてますー!?」

 

 山田先生が慌てふためきながらISのプライベート・チャネルに向かって必死の呼びかけを続けている。

 ISは待機形態であってもプライベート通話が可能で、今彼女が呼びかけている物品も通信機とは到底思えない形状をしており事情を知らぬ者から見れば危ない人と思われるのかも知れない。

 

 ――だが、しかし! 私は断言しよう! 戦場における命をかけた救助活動において、他者の目には滑稽なものに写るものほど真の人道的救助であると!

 

 戦場で勝利を得るために行う真の努力とは、地味なのだ。

 命のやり取りをする場所で命を拾う作業は、ドブの中から捨てられてしまった命を漁って救う回収作業と洗浄業務に他ならない。

 

 故に私は彼女の行いを賞賛することはあっても、笑うことは決して無いと明言しておこう!

 彼女は勇者である! 突如現れた敵に未熟な教え子たちが果敢に向かっていくのを心配して声をかける、聖女の如き慈愛に満ちた真の教師であることを私が保障する! 戦場で敵兵を草でも刈るように薙ぎ払う兵士たちだけが猛者であると思い込む卑劣漢は英霊に恥じるがよい!

 

「落ち着け、山田先生。本人たちがやると言っているのだから、やらせてみてもいいだろう」

「お、お、織斑先生! 何をのんきなことを言ってるんですか!?」

「落ち着けと言っているだろう? コーヒーでも飲め、糖分が足りないからこそイライラしてしまうのだからな」

「・・・・・・あの、先生。それ塩なんですけども・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 織斑教諭が口元に運ぼうとしていたコーヒーカップをぴたりと止めて、白い容器の受け皿にゆっくりと戻す。

 

 

「うむ! 愛する弟を信じて任せたい気持ちと、万が一怪我でもしたらどうしようという不安が相半ばしている微妙な乙女心という奴であるな! 青春だな! 青い春だな!

 人はいくつになっても愛する心を忘れない限り恋ができる生き物なのである!!!」

 

 

「ずらっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!!」

「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!!」

 

 

 ガキィィィィィィィィッン!!!!!

 

 

「この緊急時にピット内で生徒と先生が味方同士ぶつかり合うのは本気でやめてもらえませんか!?」

 

 織斑教諭による《照れ隠し全力回し蹴り》を、私は迎撃用の《回し蹴り参式》をぶつけて相殺する。威力は――――互角!!

 この勝負・・・先に力を抜いた方が負ける!!!!

 

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!!!」

 

「やめてくださいって言ってるでしょうが貴女たち!?」

「先生!」

 

 私と織斑教諭による意味は無いが価値のある無益な戦いを止めさせたのは、横合いから掛けられたオルコット君の悲痛な叫びであった。

 

「わたくしにIS使用許可を! すぐに出撃できますわ!」

「・・・そうしたいところだが、――これを見ろ」

 

 お互いに気を削がれた隙を突いて距離を取り、相手に再度攻撃してくる意思がないことを確認してから織斑教諭はブック型端末の画面を数回叩いて表示されている情報を切り替える。

 どうやらその数値は第二アリーナのステータスチェックを表したものであるらしい。

 

「遮断シールドがレベル4に設定・・・? しかも、扉がすべてロックされて――あのISの仕業ですの!?」

「そのようだ。これでは非難することも救援に向かうこともできない」

 

 実に落ち着いた口調で、現在の自分たちが無力な状態にあることを解説してくれる織斑教諭だったが・・・はて? それのドコに問題があると言うのだろうか? 皆目見当が付かんのであるが。

 

「で、でしたら! 緊急事態として政府に助成を――」

「やっている。現在も三年の精鋭がシステムクラックを実行中だ。遮断シールドを解除できれば、すぐにも部隊を突入させられる――――」

「壊せば良かろう? ISで壁ごと邪魔な物すべてを」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 私は至極当たり前の提案をしたところ、なぜだか室内が静まりかえってしまった。

 不思議に思って首をかしげてみていたところ、織斑教諭が油の切れたクルミ割り人形のような鈍い動作で首を動かしながらこちらを向き、

 

「お、お前はこの学園が最新ハイテク設備の塊であることを承知の上で言っているのか・・・? 一つ破損しただけでン千万の修理費が掛かる代物ばかりなのだぞ・・・?」

「緊急事態である。人命と金銭と、己がより大事だと思う方を選びたまえ織斑教諭」

 

 私は断言して、彼女に決断を迫り「う」と唸らせる。

 厳しいことを言ってしまったが、王とはそう言う存在である。万人の上に立つが故に、決断を常に迫られてしまう。

 

 金銭か? 人命か? 簡単なようでいて地位が伴うと非情に難しい高度な判断力が求められる由々しき選択肢である。安易に選んではいけない。一円と百万円でもお金はお金。

 『金銭』の一言に含まれる金額の重さが一律であるなど有り得ない事態なのである。

 

「織斑先生! お金のことなど後でどうとでもなりますわ! 一夏さんが死んでしまったら元も子もないことぐらいお分かりでしょう!?」

「う、うーん・・・。しかし幾らなんでもその決断は・・・。私にも一夏の将来を守る義務がある訳だし、今この時だけ助かれば良いというものではないのだし・・・」

「生き延びた後のことなど、死ぬかも知れない状況下で気にしていられる場合ですか!? どうか目の前の現実を見据えて、より良い判断をお願いしますわ織斑先生!」

「う、う~~~ん・・・・・・」

 

 引き攣った表情を浮かべて苦悩に沈む織斑教諭と、切羽詰まった表情で説き伏せようとするオルコット君。

 

 どちらの言い分にも理があり、利もあるだろう。

 ならばここは私の出番だな。

 

 

「なるほど。つまり織斑教諭の責任問題になることなく、ISを使って壁をぶち壊せれば良いのだな?」

「そうだが・・・そんなこと一体どうやって―――」

「来たまえ、《ゴールデン・バウム》」

 

 ぴかーーっん。(ISの専用機を展開させた音)

 

「えいっ」

 

 ズバシャァァっ!!!(IS武装のデカい剣で、適当に高価そうな機材を切った音)

 

 

「さ、これで条約違反を犯した私の責任と言うことになるな。では、征こう」

『・・・・・・・・・』

「ん? どうした諸君。早く救援に赴こうではないかね。織斑くんたちが待っているぞ?」

「い、いやその・・・なんと言いましょうか・・・」

「ええ、その、う~ん・・・・・・ありがたいと言えばありがたいんですけども・・・・・・」

 

 オルコット君と山田教諭が、揃って困ったような表情を浮かべている。

 不思議そうに見やっていると代表して織斑教諭が私に対して説明してくれた。

 

「いや、確かにこれで助けには行けるようになって助かったのだが・・・こんな事してお前は本当に無事で済むのだろうかと心配でな・・・?」

「はっはっはっ、なんだそんなことを心配していたのかね君たちは」

 

 私は杞憂杞憂と莞爾に笑い、それでも心配そうな色が顔から消えない三人に向かってウィンクしてやりながら、専用機持ちにとっての大前提である常識について教えてやることを決意する。

 

 

「良いかね、諸君。IS操縦者にとって忘れてはならないこと。

 それは――――『許可無く無断使用せずして、なにが専用機持ちか!!』

 ・・・・・・と言うことだよ」

 

「ああっ! なるほどですわ! 納得ですわ! 言われてみたらわたくしたち日常的に許可など求めることなくISを無断使用して怒られるだけで済んできましたものね! 問題なんて最初からドコにもありませんでしたわ!」

 

「「・・・・・・(物凄ーく納得いかないけど納得せざるを得ない日頃の行いな教師二人組)」」

 

 

「では、征くぞ!

 人助けのために敵と戦い倒し合う防衛戦争の場へ!! いざ出陣!!!!」

 

 

つづく

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