普段から考えてばかりいる主人公書いてるせいか、バカを書くのが無駄に楽しい♪
「くっ・・・・・・! また躱されたか!!」
合計すると四度目になるバリアー無効化攻撃を回避され、俺は焦りとともに呟き捨てた。
山田先生との交信を切り、謎のIS二機と戦うことを選んだ俺と鈴だったが戦況は芳しくない。いや、ハッキリ言ってかなり悪い。
「一夏っ、馬鹿っ! ちゃんと狙いなさいよ!」
「狙ってるつーの! 敵の動きが既存のISを超えすぎてるだけなんだよ!」
普通ならかわせるはずのない速度で攻撃してるのに、敵ISは全身に付けたスラスターの出力が尋常ではなく、零距離から離脱するのに一秒とかからない。
おまけに、鈴がどれほど注意を引いても俺の突撃には必ず反応して回避行動を優先してくるのだ。
「――まるで“人が乗ってない機械みたいな”奴だぜ・・・っ!」
俺は、自分でも自覚していないつぶやきの一つとして、そういう“願望込み”で吐き捨てていた。もし“人が乗ってないなら容赦なく全力で攻撃しても大丈夫”だったのにな・・・と。
「・・・試してみるか。
鈴、俺が合図したらアイツに向かって衝撃砲を撃ってくれ。最大威力で」
「? いいけど、当たらないわよ?」
「いいんだよ、当たらなくても」
――考えがあるんだからな。
もし敵が無人機のフリしてるだけだった場合に備えて、小声で伝えようとしていたまさにその時。
アリーナのスピーカーから、「キーン・・・」というハウリングを伴って、聞き覚えのある大声が轟いた。
『一夏ぁっ!!』
「な!? 箒っ! なにしてるんだアイツ!?」
大音量に驚いて発生源を探すと、みんなが避難したと思っていたアリーナの中継室で審判とナレーターがのびていて、その横には俺のファースト幼馴染み篠ノ之箒の姿が・・・。
――って、えぇぇ!? おまえ本気でなにやっちゃってんの!? 敵が襲ってきている中で自分だけじゃ逃げられない気絶者作ってどうすんだよ! 死なせたいのか!?
『眠ってる内に死ねた方が少しはマシだろ』って台詞をなんかの映画で言ってたけど、本気で実行したバカを見るのはお前が初めてだよ!?
『男なら・・・男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』
また大声。キーンと鳴るハウリングで耳が痛い。
ハイパーセンサーで数十倍に拡大して箒を見ると、はぁはぁと肩で息をしている。その表情は怒っているような焦っているような不思議な様相。
・・・いやまぁ、『中継室にいた非武装二人を奇襲して叫ぶだけで疲れ切ってるお前に言われたくない』って気持ちもなくはないんだけども。
すぐ隣のセカンド幼馴染みが、『そのくらいの敵に勝てない女』呼ばわりされて、量産機乗りのCランクさんにメチャクチャ怒り顔向けてらっしゃるんですけども。
それにも気づかず自分の思いを貫き通すことしか頭にないファースト幼馴染みの潔い生き様は、俺の中にナニカをもたらし、覚醒させるに十分すぎるほどだった。
が。
「――っ!! まずい!」
その“ナニカ”が何なのか考える暇を与えてくれる義理は、敵にはないようだった。
放送された大声に興味を持ったらしい敵の片割れが、センサーレンズをそらして箒を見上げ、じっと見つめてから腕に付いた砲口を箒のほうに向けようと、ゆっくるゆっくり動かし始めている姿が目に入った。
「ああ、くそ! 鈴! やれ!」
「わ、わかったわよ!」
箒に狙いが向いてる今が好機、なんて考えてしまう自分の頭が心底イヤになりながら俺は鈴に指示を出す。
そして、甲龍が両腕を下げて肩を押し出すような格好で衝撃砲を放とうとしている斜線上に、俺は白式を駆って躍り出す。
「ちょ、ちょっと馬鹿! 何してんのよ!? どきなさいよ!」
「いいから撃て!」
「ああもうっ・・・! どうなっても知らないわよ!」
高エネルギー反応を背中に受け、俺はイグニッション・ブーストを発動させる。
瞬時加速の原理を応用して加速するのだ! 上手くいけば箒に向けて発砲するより先に、敵が斬れる!
「ウオオオオオオッ! 間に合え―――――――――っ!!!!!!」
想いを込めて俺は叫び、ただ疾駆する!
守りたいと願った幼馴染みの元へと全力で!
(俺は・・・千冬姉を、箒を、鈴を、関わる人すべてを――守る!!)
想いを込めた必殺の一撃が今、弾より速く誰かを傷つけようとする敵を切り裂く――っ!
「ふははははははっっ!!! 遅い! 遅いぞ織斑君!
誰も私より速く走ることなど出来ない!!!!!!!」
―――よりも先に、横合いから『徒歩で走って』駆け抜けてきたハイドに追い抜かれて、敵ISを蹴っ飛ばして壁にめり込ませて攻撃止めさせてしまった・・・・・・。
「・・・・・・あれ?」
えっ・・・とぉ・・・ISって、世界最高の戦力で、男じゃ勝てないし女でも生身では勝てない、新機軸のスーパー兵器・・・だったよね確か? 大空をハイスピードで飛び回りながら戦い合うのが、ISバトルの真骨頂だったよね・・・?
・・・・・・あれぇ~~~~~????
「ふはははははっ! 当たらない! 君の攻撃は当たらないなぁ、謎のIS君!!
どれほど速く動き、威力の高い攻撃を放とうと、当たらなければノーダメージ! これ世界の常識!!
世の有り様は変えられても、世界の絶対法則を覆せない程度の強さでは私を倒すことはできんぞ!! 謎のIS、略して【謎っス君】!!」
謎っス君て。世界最高戦力もアイツの前では形無しすぎるだろ。
アイツは、正真正銘の嘘偽りなき化け物かナニカなのかな?
「あり得ない・・・あり得ないわ・・・こんなの、こんなの絶対、私の知ってるISの常識に反しまくってるし・・・・・・」
横では発砲寸前で横やり受けて、衝撃映像見せつけられたことが原因でくずおれちまった鈴が両手を地面について精神的衝撃に耐えようと努力している。
こいつはこいつでプライド高い上に自信家なせいなのか、自分が絶対だと信じてたものが否定される状況に意外と弱いんだよなぁ。まぁ、ちょっと前までの俺も似たようなものだったけど。
・・・・・・この光景が日常化しちまった後だと、あんまり気にしすぎてもなぁ~~・・・・・・。
「ふははははっ!! 機械で予測したように正確な射撃だな! 故に! 勘で避けやすい!
既存の理論を当てにしたら命取りに成るというなら、経験で鍛えた勘だけを頼りにすれば良いだけのこと! テレビゲームのような物と捉えておけば無問題!!!」
笑いながら鞘付きの刀を振り回し(ただし生身)
「さて、右に避けるか・・・・・・いや! 左斜め上45度だ!!!」
とか叫んで、既存の理論を超えた動きで避けようとした敵を、既存の理論を超えまくって無視してるとしか思えない攻撃で先読みして(先読み?)正拳突きをぶち込んで壁まで吹っ飛ばす。
ISバリアで通常攻撃無効化できても、アリーナを包んでる障壁はIS武装と同じ扱いだから、吹っ飛ばされてぶつけられると普通にダメージ食らってエネルギーが減らされる。
アホらしい話だが・・・・・・ハイドは生身のまま、刃すら抜かずに敵IS二機を相手に追い込みまくっているのだった。
――――心の底から楽しそうに高笑いしまくりながら、満面の笑顔を湛えまくって。
「機械の鎧が光とともに呼べば顕れる世にあって、常識に囚われるなど愚の骨頂!!
己を信じて想いを貫き、世の真理を上書きすることのみを考えるのだ! 既存世界の常識と法則を否定してぶち壊してこその乱世ぞ!
ISを相手に勝ちたいと願うなら、ISの常識ぐらい超越して見せろ――――ッッ!!!!」
・・・やがて、戦いは終わった。
言うまでもなくハイド一人の圧勝という形で・・・・・・。
「さぁ、皆の者! 鬨を上げよ! 我らの勝ちだ! 勝利だ!!
勝利の宴であ―――――――――っっる!!!!!!!!!!」
「おー(棒読み)」
「お、おぉぉぅぅ・・・・・・うっ、うっ、うっ・・・・・・(嗚咽)」
「・・・おーい。私の存在価値は・・・?」
「いいじゃありませんの?
・・・・・・一言の台詞すらなく戦闘終了したわたくしよりはマシなのですし・・・・・・」
「あの、織斑先生? 私たちって来る必要あったんでしょうか・・・?」
「言うな、山田先生。―――もはや、私には何も見えないな・・・・・・」
「・・・っと、いかんいかん。忘れるところであった。
【ゴールデンバウム】!! 展・開!!!
ジャキ――――――――――――ッッン!!!!!!!!
(ISに勝ってからISを展開して格好いい勝利ポーズを取る、IS二次創作の主人公)」
つづく
おまけ1「ハイドの常識」
「英雄たる者、ISの一機や二機ぐらい生身で倒せずしてなんとする!?(ハヤテのごとく感)」
おまけ2「ハイドのIS世界観」
*既存世界の常識を白騎士事件が「IS最強無敵」に力尽くで塗り替えた世界という解釈。
「つまりISは織田信長公! 征服王として第六天魔王と矛を交えられるとは武人の本懐! いざ尋常に勝負だ魔王君!!」
*ハイドの奇癖:
1、どこの誰だろうと『君付け』で呼びたがる。
2、フルネームを略して変なあだ名をつけたがる。