『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

7 / 114
久しぶりにだいぶ前に書いてみた作品の続きを執筆してみた次第です。長すぎるスパンをおいたせいで色々と矛盾をきたしてたり忘れてる部分が多すぎることを自覚しましたので今回は途中までで区切って終わらせておりますので、ご承知おきくださいませ。


第2話「幼女たちの最強・平和好き・革新的技術の三重奏」

 ――私の名前は織斑千冬。日本政府によって作られた、最強の人造人間である。

 力は制御されなければいけない。力に溺れ、力に振り回されるようになってしまった最強の力は凶刃にしかならないものだからだ。

 私はそう教えられ、そう信じて今まで生きて生きた。

 だが今、それを教えてくれた日本政府が揺れている。

 私ではなく、だが私と同等の力を持った天然の最強人類が自然発生したらしいという未確認情報を内閣官房長が察知したからだ。

 

 全く予想していなかった未知の事態を前に、日本政府は対応を決めかねている。それどころか、いくつかの派閥に分かれて醜い権力争いをおこない始める始末だ。このままでは世界平和どころか日本の未来さえ危ういだろう。

 

 

「――今回の篠ノ之束の自然発生を見るまでもなく、我々の世界は絶えずさまざまな危機に晒されている。地球! そして世界平和!

 人命よりも重い価値を持つ唯一のものを守るためにも、兵器をファッションかなにかと勘違いしている一部の楽観論者たちに最強人類の少女を委ねてしまわないためにも我々オリムラ・プロジェクト・チームは立たなければならない時が来たのだ! そして、その役目を担えるのは君しかいない・・・。

 辛い任務になるだろうが――行ってくれるな? 織斑千冬くん。いや、コードネーム《最強ブリュンヒルデ》よ!!」

「ハッ! 勿論であります一佐殿! 私の命にかけて必ずや自然発生した最強人類・篠ノ之束を我々の一員に参加させるか、もしくは降伏させてご覧に入れてみせます!

 ・・・最悪の場合、哀れな少女を殺す汚れ役の任は私めにお与えくださいますようお願いいたします・・・ッ!!」

「ウムッ! 君の自己犠牲精神に満ち溢れた正義感こそ、我々オリムラ・プロジェクト・チームの誇りである! 選ばれし者・最強人類として相応しい在り方である!

 いずれ誰もが君のように生きられる時代を到来させるため、先兵として征けいッ! ブリュンヒルデよ! 勝利の栄光を君とともに!! 日本国万歳!! 世界人類と地球に永遠の平和と繁栄があらんことを!!!」

「・・・・・・世界人類と平和のために!!」

 

 

 ・・・こうして私は一人、任を帯びて目的地に到着した。目標が通うことになった幼稚園という一般人の子供たちのための教育施設から帰宅するバスの中にである。

 目標である天然の最強人類コードネーム《サイクロン》は、普通人の目から見れば、少々奇抜なだけで普通の人間に見えるためか大人たちは一般の子供たちと同じ幼稚園に通わせることにしたらしいのである。

 一般論としては理解できるが、愚かな判断だと言わざるを得ない愚行でもあるだろう。

 力を持つ者にはいるべき場所と、果たすべき役割というものがあるからだ。選ばれた人間が、普通の子供たちと同じ学校で学び時間を浪費するなどあってはならない。

 

 だが、一方で私にとっては好都合な判断でもあった。相手がスペックに自惚れ一人で帰宅してくれるとすなら、私は一対一で彼女と対面することができるだろう。場合によっては全力で彼女と戦わなければならなくなるかもしれないのだから、人気が少ない場所に向かってくれることは私にとって望むところではある。

 

 ――が、しかし。途中から妙な方向に事態が転び始めるのを目にして、私は今首を捻らざるを得なくなっていた。

 何の取り柄もない、普通の一般人とおぼしき銀髪少女とサイクロンが馴れ馴れしいほど仲良く肩を並べて、少女の家に寄り道する運びとなったようなのである・・・。

 事前に官房長から提出されていた資料によると、サイクロンは人間嫌いという話だったのだが・・・まさか入園式で会ったばかりの初対面の子供に懐くとは・・・予想外すぎるあまり私としたことが対応を決められずに、ここまで尾行するだけにとどめてしまった。

 

 ――だが、それも限界だな。この位置から100メートルも歩けば民家に出てしまう。可能な限り被害を押さえるためにも最悪の場合を想定して、今ここで目標と相対する以外に道はない。

 隣にいる少女を巻き込んでしまう恐れがあるが・・・そのときにはやむを得まい。全力で彼女を守り抜きながらサイクロンと戦って勝利するまでのことだ。

 最強たる私の力はそのために与えられている。勝利のために誰かを犠牲にしなければならないのでは最強の力を与えられた意味がない。私は誰かを守るために作られた最強の存在なのだから・・・・・・。

 

 ――とはいえ、その前に一佐殿には報告しておかなければならないのは、与えられた任務をこなす者として当然の勤めであり義務というものだろう。規則は守るものだし、自分のわがままで破っていいものでは決してないのだから。

 

「・・・本部、本部。聞こえますか? こちらコードネーム《ブリュンヒルデ》。これより目標の《サイクロン》と接触いたします。本部、聞こえますか?」

 

 ・・・おかしいな。何故かは知らねど、この辺りに近づいてからというもの携帯用通信機の調子がよくないのだが・・・。こんな時にまさか故障でもしたのか?

 首を捻りながら私が腕時計に偽装した通信機を叩いたり、叩いたり、叩いたりしながら機能を回復させようと直すための努力をしていたところ、ふいに視界の隅に光が走り、反射的にそれを見上げると弓道で使う弓矢の矢が飛んでいく光景が目に入った。

 

「・・・こんな町中で弓道の練習をし、あまつさえ的外れな方向に飛んでいかせるとは、どこの愚か者の仕業だ? どうやらこの町にはサイクロンとの話し合いが終わった後に、私自身が出向いて仕置いてやらなければならん輩がいたらしいな」

 

 あるいは、サイクロンが我々の仲間となってくれた場合には彼女の力を片鱗だけでも見せてもらう丁度よい機会になるかもしれない。そう思い、頭の中で皮算用しながら私は視線を腕時計に戻そうと下を向こうとしたその瞬間に。

 

 私の頭上に差し掛かって、通り過ぎようとしていた弓道の矢は―――直角に曲がって真下に立つ私の手元を正確無比に撃ち抜いて、腕時計型通信機を完膚なきまでに使用不可能なほどブチ壊しにしてくれやがったのである―――。

 

 

「なんでだよ!? 訳がわからんわ!?」

 

 

 航空力学も重力の理も、何もかもを無視して発生した非科学的な現象を前に私は立ちすくみ、ただ天に向かって吠えることしかできない。

 ああ、天よ! このような不条理が現実世界で許されてもいいのですか!? ――と。

 

 ・・・答えは未だ、返してもらえない・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ねぇ、セレちゃんや」

「・・・なんですかね、束さんや・・・」

 

 私と束さんは二人そろって同じ光景を見上げるため、同じ方向の同じ場所から発射された“とある魔術を使ったようにしか見えない奇妙な軌道で飛ぶナニカ”を目撃した後、袂を分かち。

 今は満面の笑顔を浮かべて目が笑っていない瞳で私を真っ直ぐ見つめてくる束さんと、全力で彼女の方から目をそらすため体ごと別方向に向き直っている私の二人が、それぞれ別々の方向を向いて並び立っています。

 

 始まりは同じ。歩んできた道も同じ。しかし小さな光が飛んでいく光景を目にした瞬間から二人の進む道は別れて、事情を知る者と知らぬ者とで異なる方向へ歩み始める。

 

 ・・・う~ん、王道ですねぇ。王道です。――つまり王道展開なので無視しましょう。王道展開に現実的突っ込みとかダメ、情緒に欠ける。雰囲気重視。ご都合主義の現実の科学理論ガン無視展開万歳。

 

「と、言うわけで先を急ぎましょう。目指すべき我が家、エルドラドは直ぐそこまで迫ってきていま―――」

 

 

 ガシッ。

 

 

「あ・れ・は・な・ん・だ・っ・た・の・か・な?

 オ・シ・エ・ロ♪♪♪(グッと拳を握りながらニッコリ笑顔)」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 残念ながら、逃げ道を塞ぐため肩をつかまれ回り込まれてしまった私は、力による脅迫に屈してやむを得ずに降伏宣言。すべて自分を守る力すら持たない私の弱さが悪いのですよ、私は悪くないですお母さん・・・・・・。

 

 ――チィッ!! もう少し誤魔化しのきく撃ち方してくれれば良かったですのにトリスタンさんめ! 相変わらず魅せ技ばかりにこだわってくれちゃって全くもう!!

 

《私の美技に酔いしれなさいませ、お嬢様・・・》

 

 って、やかましいですわ!? んなしょうもない小ネタを言うためだけに風に声のせて届けさせてこないでくださいよ! どんだけ神業の無駄遣いすれば気が済むんですかあなた方は!? たまには世のため人のために力を使いに町へ出なさい! いい歳した引きこもりニートはお客さんたちだけで十分ですのでね!!

 

 はぁ・・・、とりあえず今最初にやるべきこととして・・・。

 

「・・・とりあえず、あそこで騒いでる人も呼んじゃっていいですかね? 説明するの二度手間になるの面倒くさいので・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・どうやら私が遠見役として放った矢は、純粋無垢なる幼き乙女たちの心まで射貫いてしまうようですね・・・。この呪われた弓矢の腕もイゾルデの愛に応えきれなかった私が背負うべき罪の印・・・。ああ、なんという悲劇的な運命の出会い・・・」

「・・・ついには一人で弓矢を放っただけでも悲劇的恋愛譚に浸れるようになりましたね、この御仁・・・。門を守る見張り役として一人たたずみ続ける日々がそれほどまでに辛かったのでしょうか・・・。

 それはそれで哀れだと同情しないでもありませんが、まずは我が主から与えられた任務を全うしてからにしていただきましょう、トリスタン卿。貴公は見張りの役目を果たし終えていません。

 貴公が弓を放った後で、お嬢様方はどうなさっておられるのですか? 曲がり角を曲がったところで射放ってくれたおかげで私には見ることができない位置におられるのですが・・・」

「ああ、悲しむべきは忠勇無双の誠実なる騎士にして、最強の勇者たる忠誠心篤きガウェイン卿にさえ、私のように少女たちの心まで見通す鷹の目が与えられなかったことが悲劇へとつながる原因になっていたというわけですね・・・。悲しむべきことです。

 せめて私の人生が如き愛の詩を唄ったかのようなハーブの音色に乗せて報告して差し上げましょう。そうすれば貴方の情緒にも役立つはず・・・。

 当世での年齢的に見ても、情操教育が必要な年代だと判断しました故に」

「・・・・・・貴公、まだ根に持ってたのですか・・・。仕方がないではありませんか、この国の若者たちに貴方の見た目は実年齢よりも老けて見えすぎるのです。そういう国であり時代です。割り切ってさっさと報告していただきたい。我が主が先ほどから首を長くして報告をお待ちなのですから」

 

 

「・・・・・・ラララ~♪ 選ばれし伝説の王の血を引く娘は友を得る♪ その友情は褪せることなく、永久の絆を紡ぐであろう♪

 一人は剣士、流れるような黒き髪を靡かせたその姿、まるで戦場を疾駆する白銀の騎士であったと人は呼ぶ♪

 一人は賢者、千の知識と万の知恵を持ち、その心は空を行く雲のごとく掴むことは誰にも叶わず。

 終生の友を得た少女は、王の下へと帰ってくるだろう。己が宿命を授かるために・・・・・・♪

 その刻まで、あと10メートル~~~♪」

 

「なぁぁぁっ!? ちょっ、何故そんな至近距離にまで近づいていたことを私に教えなかったのですか貴公は!? 大体貴方は・・・ッて、いつの間にか門の前に到着しかかっておられる!?

 こうしてはいれない! 主に尽くすことこそ騎士の本分! そして、主の血を受け継ぎ後世に王家の血を残す姫君に礼を尽くすことこそ騎士の忠義! 一分一秒でも早く! そして長く! 我が主と姫君に忠義をつくしに参らねば!

 うぉぉぉぉぉぉッ!!! セレニア姫様! 今すぐ参りますので、今しばらくお待ちいただきたぁぁぁぁぁぁッい!!!!!」

 

「あと、10センチ~♪ 到着まで残り5秒~~~~♪♪♪」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!!!!」

 

 

 

 ダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!

 

 

 

「・・・・・・ふっ・・・(ニヤリ)」

 

 

つづく

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。