『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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「ひねくれ少女」最新話更新です。薔薇の騎士の方も考えてあるのですが、ひとまずはコチラを優先しました。早くお子様ラウラが書きたかったからです♪


IS学園のひねくれ少女 第7話

「では、今日はこの辺りで終わるとしましょうか」

「お、おう・・・」

 

 ぜえぜえと息を切らしながら返事をする俺と違って、セシリアはけろりとしたまま訓練終了を告げる言葉を口にする。

 さすがは代表候補生。これが経験の差というやつか。

 

「ふん。鍛えていないからそうなるのだ」

 

 箒も多少は疲れているようだが、俺のように疲労困憊と言うことはない。これも一応は経験の差というやつなんだろうか? でもコイツの場合、俺のことボコってただけだからなぁ。

 

「それに、無駄な動きが多すぎる。だから疲れもする。もっと自然体で制御できるようになれ」

 

 ピットに戻るなり、そう言って俺から離れてシャワーに向かっていく幼なじみの優しさに涙が出そうだぜ。

 

 

「あーあー・・・、セレニアだったらここでタオルの一枚でも渡してくれただろうし、疲労回復のためにレモンで味付けされた経口補水液とかを用意してくれるときもあったし、運がいいときには疲れた胃に優しい甘い食べ物を持ってきてくれたりする時もあるんだけどなぁ・・・」

 

 

「お前はどれだけクラスメイトに甘やかされた中学校生活を送ってたのだ!?」

「・・・え?」

 

 思わずといった調子でシャワー室から飛び出してきた箒にツッコミを入れられ、少しだけ虚を突かれた俺は上を向いて考え込んでから。

 

「・・・はっ!? 言われてみたらそうだ! 俺、セレニアと出会ってからメチャクチャ安楽な学校生活送れてるじゃん! あんまりにも自然な気遣いすぎて気付かなかったぜ! こりゃウッカリ!」

「ウッカリで済むか愚か者―――――――っ!!!!!!」

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁっっ!?」

 

 ドゴォォォッン!と、いつもの竹刀がない箒必殺の右ストレートをもろに食らってピットの外の廊下まで吹っ飛ばされてしまう俺。

 くそぅ・・・、今日は厄日だぜ。疲れ過ぎたから、いっそこのまま床に転がって休憩してやる。冷たい金属製の床は疲れた体を冷やすのに丁度いいことだし。

 

 自分でやらなくても人が勝手にやってくれてるという状況に自分が順応してしまってたことに俺が気付いて、床を転がりまくるのは今日の夜になってからであって、現時点での俺は気付いていない。

 

「一夏っ!」

 

 だからこうして、ピットのスライドドアを開いて入ろうとしていた鈴の前で醜態さらす羽目になる。

 

「おつかれ。はい、タオルと飲み物。スポーツドリンクでいいわよね・・・って、なに両手で顔隠して床に転がりながらうずくまってんのよ。乙女みたいで気持ち悪いわね。男らしくシャキッとしなさいよ、シャキッとさ」

「・・・うるせぇよ・・・。――でも差し入れは素直にサンキューな・・・」

 

 ノロノロとした動作で精神的ショックから立ち直って立ち上がった俺は、もう一人の幼なじみから微妙なレベルの優しさを受け取り心と体を少しだけ癒やされる。ダメージ負わせたのもコイツだとは、今は言うまい。

 

 ちなみにだが、鈴の持ってきてくれたスポーツドリンクは冷えてない飲み物だ。運動後の熱を持った体に冷たい液体を流し込むのは気分爽快だが自殺行為に等しい。その一時の気分のために体にダメージを与えるのは正直どうかと思う。

 

「ほんと変わってないわね、一夏は。若いくせして体のことばっかり気にしてるとこ」

「あのなあ、若いうちから不摂生してたらいかんのだぞ。クセになるからな。あとで泣くのは自分と自分の家族だ」

「そう言う割に、アンタしょっちゅう怪我して体痛めてるじゃないの。よく他校の悪名高い不良連中に喧嘩とかふっかけに行ってたし」

「ぐ・・・そ、それはだな・・・」

「スポーツマンは体が資本。商売道具の体を故障させることこそ、自分の体調管理が行き届いてない何よりの証拠にしてスポーツマン失格の証明。常識よ? もう少し他人よりも自分の体を大事にすること覚えなさいな一夏」

「ぐ。ぐぬぬぬ・・・・・・」

 

 ニヤニヤしながら勝ち誇ってくる鈴は見透かしたような目で俺を見てくる。

 悔しいが、正しい。言い返せない。セレニアと出会ったからのコイツは妙に理屈っぽいって言うか正論っぽいところが時々顔を覗かせるようになり、こういう場合の俺にとっては鬼門になるヤツになってしまっていた。

 

 ただ、人には主義とか主張とか生き方とかって呼ばれるものがある。それを曲げちまったら自分が自分でなくなる類いの大事な信念だ。どれだけ相手の言葉が正しいと感じても、こればっかりは変えられない。

 そういう点をセレニアや、セレニアに影響けた鈴はわかってくれてるからなのか、言いたいこと言ってくるだけで、言うだけで終わらせてくれる。言う以上のことは何もしてくることはない。

 これも鈴やセレニアが俺を甘やかしてるって事になるかもしれないけど、俺はそういうコイツらのことが嫌いじゃないし、むしろ友達としていいヤツらだと思ってる。

 

 あるいはこれが、俺がコイツらに甘えてるってヤツなのかもしれないけどな。

 

 

「ま、それはひとまず置いておくとして・・・」

 

 あらたまったようにアッサリと話題を切り替えて、いつになく上機嫌で話を続けてくる鈴。

 

「一夏。アンタ、この前おこなわれた試合で負けたけどクラス代表になったんだって?」

「お、おう。・・・なんか表現にトゲがあるけど、一応形としてはそうだな。成り行きでだけど」

 

 ほんとにセレニアと出会ってからのコイツはナチュラルに棘のある発言をしてくるときが多くなったからな。口調には棘がなくて、言ってる内容だけに棘が混じってるから俺が気にしすぎてるだけなのは分かっているんだけれども。

 

「てゆーか、それ昼食のときに聞いてなかったか?」

「まぁ、そうなんだけど。あの時はセレニアに強くなったあたしアピールするのに忙しくて、ぶっちゃけ口実に使っただけだったからあんまり覚えてなくて。だから確認」

「本当にぶっちゃけたな!」

 

 こういう所だよ! こういう悪意のない言葉で俺は傷つけられてきたんだよ! 傷つける気ないのは分かっているんだけれども! セレニアのことしか頭にないのは分かっているんだけれども!

 

「んで、五月にやる予定のクラス対抗戦にも代表として出場すると・・・ここまでは合ってるわよね? どこか間違ってなかった?」

「・・・合ってるよ・・・ったく、相変わらずお前は頭の中セレニア一色のヤツだよな、まったく・・・」

 

 ブツブツと愚痴ってしまう俺だけど、カラリとしていて細かい事にこだわらない点では鈴ほどではないにしても一応以上の自信を持ってるのも俺なんだ。

 

「そういうお前も中国の代表候補生になって専用機持ちになったって話だったよな?」

「まぁね。で? それがどうかしたの?」

「負けないぜ」

 

 俺はにやりと笑って、鈴に対して宣戦布告した。

 

「確かに俺はIS学園に入りたくて入ったわけじゃない、少し前までISのことなんて何も知らないド素人だったけど、それでもやると決めたからには全力を尽くすし勝ちに行く。相手が誰だろうと勝つつもりで行かなきゃ男じゃない。絶対にだ」

「・・・・・・本っ当に変わってないわね、アンタって・・・」

 

 俺なりに格好付けて言ってみたつもりのセリフだったんだけど、なぜだか鈴には呆れたような目をして半眼で睨まれた。なんでだよ。

 

「そこらでたむろしてる普通の男どもだったら、やりたくて始めたわけでもない勝負事に本気で勝ちに行こうなんて思わないでしょーが。

 しかも、そういうヤツに限って戦う前は『素人でも勝ちに行く』とか言ってたクセして負けた途端に『まぁ素人だし、勉強になったよありがとう』とか、お涙ちょうだいの青春群像っぽい演出して負けを認めようとしないで無様に足掻きまくるのが普通でしょ?

 今時やりたくもなくて無理矢理やらされただけのスポーツ勝負に、そこまで本気で真剣に挑んでこれるのはアンタとか一部の連中だけだって言ってんのよ」

 

 俺はそれを聞いた瞬間、反射的に叫んでいた。

 

「そんなやつぁ人間のクズだ!」

「そうね。あたしもそう思うわよ」

「そんなヤツに剣を取る資格も、男を名乗る資格もない!」

「そう言うこと。だからアンタはそうじゃないんだなって思ったわけよ。アンタのそういう所はあたし好きよ? セレニアとそっくり同じ部分だから」

 

 アッサリとした口調で言われて俺は目を丸くして相手を見つめ、次いで吹き出した。

 なんだ、やっぱりコイツも中身は俺と同じで昔と全然変わってないじゃないかと分かったからだ。

 

「しかし、あくまでセレニアが基準で、俺はオマケで褒めてもらえてる感じなのな」

「当然でしょ? あたしにとってセレニアが一番、他はみんな二番かそれ以下。むしろ一番大事な人と並べて高評価してあげてるんだから感謝して欲しいわね」

 

 そう言って拳を突き出してくる鈴。

 

「素人相手には過剰すぎる言葉だけど、一応言っといてあげるわ。――負けないわよ一夏。あたしにも無様な負け姿を見せたくない相手がいるんだから」

「ああ、当然だ。お互い正々堂々久しぶりに再会するまで鍛え合った腕を見せ合おうぜ」

 

 そう言って俺も拳を突き出して、コツンと拳と拳をぶつけ合わせて宣戦布告した。

 

 ――こうして俺たちは久方ぶりの再会を本当の意味で果たしたのだった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 そして、クラス対抗戦当日。

 試合会場のひとつ、第二アリーナ第一試合の会場入り口にて。

 

 

 

 

 噂の新入生同士の対決を見るために全席満員のアリーナを見渡しながら、私は不快感で胃が痛くなるのを押さえ込むのに苦労しながら溜息を吐いて気を紛らわせるのでした。

 そして、つぶやきます。

 

「・・・イヤな状況になったものですね・・・」

「なに・・・?」

 

 モニターに映し出された会場の風景を一望できるピットの中で、篠ノ之さんが私の漏らした囁きを聞きとがめて視線を向けてきたのを感じ取った私は、体ごと相手に向き直るとなるべく簡明に状況のマズさを説明する言葉は何かと吟味してから口の端に乗せます。

 

「今年のクラス対抗戦は、世界初の男性IS操縦者が専用機に乗って初めて参加する公式戦。しかも相手は学園中の噂の的な中国代表候補生にして専用機乗りと来ている。そのうえ二人の試合を見物するため、いつにも増してアリーナ内に人が溢れてます。

 騒ぎを起こすに絶好、これを防ぐのは至難・・・・・・攻めやすく、守りにくい戦場というのはどうにも私は落ち着きません。不安とストレスでさっきから胃が押し潰されそうですよ」

「・・・・・・っ」

 

 悲観的過ぎると承知の上で言った私の言葉に、篠ノ之さんは「ビクッ!」と体を震わせて、顔をこわばらせながら心配そうな瞳でモニターに映し出されている織斑さんの姿をジッと凝視されるのでした。

 

「でも、異住さん。アリーナはISバリアと同じ遮断シールドで覆われています。防御力に関しては他のどこより安心できる状態になってますし、外部から誰かが介入してくるのは不可能なんじゃないですか?」

 

 機器操作をするためモニター前の椅子に座っている山田先生が、私に対してそう言いました。

 「杞憂ではないのか?」と言う彼女の意見は尤もでしたし、別にそれを否定する材料も意思も私は持ち合わせておりません。

 ただ、根本的な話として。

 

「何かあったときの備えとは、何も起きてないときに準備しておくものですからね。何も起きないと油断していたせいで、何か起きたときに何も出来ずに見ているだけだった、なんて言うのはイヤすぎますので一応警戒しているだけのことです」

 

 答えながら私は肩をすくめ、自分の心配性な部分を心の中で笑い飛ばします。・・・顔は微塵も動きませんでしたけどね。相変わらず表情筋が堅すぎる転生後の肉体です。

 

「杞憂で終わるなら、それが一番いいのですよ。いざという時の備えなんて、無駄になるに超したことはありませんからね。いざという時なんて一生来ないでくれるのが一番有り難いのは当然なのですから。

 ただ今さら私が、他の人たちも警戒している危険性について考えても意味ないと思ったので、他の人たちが警戒してない危険性について考えておこうと思っただけです。

 私なんかでも誰一人考えてない状況よりかはマシに出来るかもしれない・・・そう思っただけですよ。心配性は私の百八以上ある欠点のひとつなので、あまりお気になさらずに」

「・・・言いたいことはわかりましたけど・・・」

 

 山田先生が、彼女特有の困ったような苦笑しているような曖昧な表情を浮かべられると、私に向かってこう言われたのでした。

 

「・・・疲れませんか? その生き方するのって・・・。

 もしかしなくても異住さんの胃が弱い理由ってそれなんじゃないかと、私は今の聞いて思っちゃいましたよ・・・?」

「うぐ・・・」

 

 い、痛いところを意外な人物に突かれてしまいましたね・・・。微妙に痛かったです、胃じゃなくて心がね。

 

「・・・でもまぁ実際問題、奇襲というのは相手が『絶対襲われるはずない』と油断している場所にこそ仕掛ける意味がある戦法なのは事実なんですよねぇ~・・・・・・」

 

 

 そんな言葉を私が言ってしまったことが伏線になっていたのか、いなかったのか。

 まぁ、真実は未来にしかいないと言われる全知全能の神様以外は知る由もないこととして、とりあえず私の自説は現時点でだけは正しさを証明でいたみたいでしてねぇ。

 

 

《――ステージ中央に所属不明のISが出現! 非常事態を発令!

 対抗戦の全試合は中止! 状況レベルCと断定、鎮圧のために教師部隊を送り込む準備を開始しろ! 生徒は直ぐに避難するように! 繰り返す!》

 

 

 ・・・とまぁ、このように望まざる結果と言う名の物的証拠によって十分すぎるほどにね・・・。

 

「織斑くん! 凰さん! 今すぐアリーナから脱出してください! すぐに先生たちがISで制圧に行きますから!」

『――いや、先生たちが来るまで俺たちが食い止めます。いいな、鈴』

『はあ? 誰に言ってんのよ。そんなの聞くまでもないでしょうに』

「ちょっ! 織斑くん!? だ、ダメですよ! 生徒さんにもしものことがあったら――ああもう! 向こうから回線が切られました!」

 

 生徒思いの山田先生がヒステリックに避難を呼びかけてるのを無視しながら、薄情で友達甲斐のない私は彼女に歩み寄りながらモニターのひとつを指さして問いを発するだけなのでした。

 

「・・・すいません、先生。その画面、巻き戻せますか?」

「――は? え、ええ、出来ますけども・・・」

 

 そう言って、ボタンひとつで巻き戻してくれた映像をジッと見つめてから。

 

「なるほど」

 

 納得してひとつ頷くと、私は山田先生の側を離れてオルコットさんの元に歩み寄ると声をかけます。

 

「オルコットさん、ISコアネットワークで織斑さんに今から言うことを伝えてください。

 ――伝言の内容は・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・は? 今なんて言ったんだセシリア?」

 

 俺は耳を疑う気持ちで聞き返した。

 セシリアはセシリアで半信半疑なのか、「わたくしも言われた内容を伝えているだけなので自信はないのですけど・・・」と前置きしてから、今さっき言った内容を繰り返して答えてくれた。

 

『そのISは無人機だそうです。人は乗っていません。ですので遠慮せずにぶった切ってしまっても機械が壊れるだけで何の問題もないとのことでしたわ』

「・・・本当なのか? その話・・・」

『ですからわたくしはセレニアさんから言われた内容を伝えているだけですので、答えようがないのです・・・。

 ただ補足として聞かれたときに答えておくよう言われていたのは、【敵機の反射神経が人間の限界を超えている】、との事でしたわ』

「反射神経? そんなの誰だって持ってるし、千冬姉は鍛える事も可能だって教えてもらった事あるけども・・・」

『ですから、【普通の人間では不可能な速度で反応している】とセレニアさんは分析されたようなのです。

 人間にとっての反射速度とは【知覚して、理解して、対応する】この三つの行動過程の速度のことを言うそうでして、普通の人間がこれをやるのにかかる時間は平均で0・3秒。一流のスプリンターで0・15秒と言われていると言っておられました。この伝達信号の速度は通常、どれだけ鍛えても0・1秒を超える事は出来ないのが常識だとも。

 ですが、その敵たちの動きを分析したところ0・07秒を割っていたそうですわ』

 

 0・07って・・・微妙すぎる数字だな。落ち着いて研究するならまだしも、戦闘中にそこまで分析したがるヤツなんてアイツぐらいなもんだ。

 しかも、人間の限界よりわずかに速い“だけ”。それだと千冬姉の動きを見慣れた俺の目には不自然に映りづらいか・・・。コイツら、俺をピンポイントで狙ってきたみたいに解ってやがるな。

 

「でもそれ、おかしくない? ISは人が乗らないと絶対に動かない。そういうものでしょ? ISって」

 

 鈴が俺に代わって疑問を呈すると、セシリアは『えーと・・・』と言いづらそうに前置きしてから。

 

『え~・・・その質問に対してもセレニアさんから回答を承っているので伝えます。

 【昨日まで使えたカレンダーを今日も明日も明後日も変わらず使えると思い込んでいる人たちほど、この手の手法は有効なものです。

 誰が決めたわけでもないのに自分たちが絶対だと信じている“だけ”のマイルールを絶対普遍の大原則だと思い込む固定概念など捨ててしまいなさい。騙し易いカモになるだけですから】。――以上ですわ』

「ぐっ、はっ!! ヒデブゥッ!?」

 

 鈴、口から吐血を撒き散らして空を舞うの段。・・・久しぶりに見たな、この光景。

 まぁ、こんなのを毎日毎日飽きもせず繰り返してた中学校時代を過ごせば鈴でなくとも変わるよな、普通なら。

 

「・・・とにかく、コイツらは無人機で間違いないんだな? ぶった切っちまっても誰一人他人が傷つく事にはならないんだな?」

『その質問にも答えを言付かってますわ。【私が保証しましょう。絶対に大丈夫です】』

「了解したっ!」

 

 俺は機体を加速させて、遠慮ない一撃を叩き込でやるため相手に急速接近して雪片・弐式を振りかぶる!

 

 他の誰よりも言葉を重要視して、自分の言った言葉に責任を持ちたがる俺の友人が『絶対』って言葉を使った。

 なら絶対に大丈夫だ。そう確信できる証拠を得ない限り、アイツは絶対にこの言葉を使おうとはしないヤツだから。

 そういうヤツなんだ、俺の中学時代から続く腐れ縁な女の子は。

 

 そんな俺の友達が『絶対に大丈夫』と他人に向かって言ったときは、それがどんな結果に終わろうとも『絶対に責任を取るつもりでいる』その覚悟を決めたってことを意味している。

 女の子がここまで覚悟決めて敵を倒せって言ってきてんだ。

 これで躊躇ったら男じゃねぇだろ!!!

 

 

「食らいやがれ! 【零式白夜】―――――――ッ!!!!!」

 

 

 そうして俺は、二機の敵を『絶対に無人ISなんだ』と確信しながら遠慮なく全ての力で切りつける。

 一機、また一機と、敵を倒して振り向いたとき。そこに倒れていたのは機械であって、人の姿はどこにもなかった。

 

 その事に安心なんて沸いてこない。最初から・・・いや、教えてもらったときから解っていた事だからだ。

 

 『コイツらは絶対に人が乗ってないISだ』俺の友達がそう言った以上は絶対に、その答えは覆らない。絶対にだ。

 

 

「誰が造って送り込んだか知らないが・・・運が悪かったな。

 アイツと俺が知り合っていなきゃ、もう少し苦戦させられてたかもしれない程度には強かったぜ」

 

 

 

 一夏が鬨をつぶやいてから数日後には、山田先生による分析により無人ISのコアが未登録のものである事が判明し、それを聞いた織斑千冬が犯人は誰なのか確信していたのと同じぐらいの頃。

 

 どこともしれない無人島で、一人の女性が携帯端末の画面を見ながらニヤニヤと微笑んで自分の造った機体が壊されていくまでの過程を分析し終えていた。

 

 

 

「いやー、流石だねぇいっくんも♪ 真相を知った途端にアッサリとかたずけちゃう手際の良さには束さん、痺れる憧れ~る☆ この調子なら、ちーちゃんも直ぐに私が犯人だって辿り着けちゃうんだろうなぁ~♪」

 

「・・・でも、他の誰より流石なのは相変わらずなこの子の冴えだよねぇ~・・・。符帳を込めたつもりだったけど、まさか一瞬で見破られるとは思ってもみなかったよ。

 さっすが天災の束さんが思考を読めなかった唯一の人間! 私に相応しいターゲットだよ!」

 

 

「・・・・・・ああ、会いたい! 今すぐ会いに行って抱きしめてあげたい! でも待つ! 我慢する! だって会いたい気持ちを押さえて押さえて我慢し続けてから再会できる悦びを束さんはもう既に知っちゃった後だから!

 ――待っててね! セレちゃん! 束さんと再会する運命の昼はもうすぐそこだ! ゴーイングマイウェイ! ランナウェイ五丈原! 意味は特にない!

 栄光のバージンロードを二人で並んで歩くその日まで、束さんは決して歩みを止めるわけにはいかんのだよIS学園とヤマトのしょく―――ッん!!! フオーッホッホッホ!!」

 

 

 

 

 

「・・・(ぶるり)

 ・・・・・・?? なんでしょう今の? なんか今、ものすっごい寒気に襲われたような気がするんですけど・・・気のせいでしょうかね?」

 

 

つづく

 

 

おまけ『無人IS戦のときの箒ちゃん』

 

審判「ぐはっ!?」

ナレーター「ごはっ!?」

 

箒「・・・はぁ、はぁ・・・。よし、静かになった・・・他には誰もいないな。中継室は占拠したし、これでようやく、男らしくない一夏を叱咤激励してやる事ができる・・・」

 

箒「一夏ぁっ! 男なら・・・男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとす―――」

 

一夏「食らいやがれ! 【零落白夜】――――――ッ!!!!!」

 

 ズバァァァァァァァッン!!!!!

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

箒「・・・・・・あれ?」

 

 

*告【IS学園1年1組生徒、篠ノ之箒を正当な理由もなく審判役の生徒とナレーター役の生徒に暴行を加えた咎により一週間の学生寮での自室謹慎を命じるものとする】

                          IS学園警備主任、織斑千冬より

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