どうも頭が混乱気味になってることを自覚しましたので、一晩ぐっすり寝て落ち着いてから今書いてる他の作品の続きを執筆したいと思います。
*朝になって冷静さを取り戻しました。やっぱり書き直したほうがよさそうですね。少なくともバトルシーンだけでも。できるだけ早めに頑張ります。
「一戦目で当たるとはな・・・。待つ手間が省けたというものだ」
箒の思わぬタッグマッチ参戦によって驚き慌てて大声で言い合っちまってた俺は、相手の隣から本命の冷静すぎる声に現実のアリーナへと意識を引き戻され、あらためて相手の姿とISを睨みつける。
「そりゃあ何よりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」
「ふんっ! 時代遅れの旧式機と接近戦しかできない欠陥機―――とは言うまい。敵の事情がどうあろうと、私はただ二人まとめて全力で叩きのめすのみ」
冷徹にして冷厳な口調と態度。出会った直後に俺に見せてきていた『軍人』という印象をモロに表に出していたあの時のままのラウラ・ボーデヴィッヒが復活して俺の前に立ちはだかってきている。コイツを倒さないことには今の俺は前に進めない・・・。
何故かは解らないが、俺は今心の底からそう感じさせられて魂のそこから湧き上がってくる戦意を押さえつけられるのに苦労させられていたほどなのだから・・・・・・。
――と言うか。
「・・・・・・そう言えば、軍人モードのお前と会うのってスゲー久しぶりな気がするよな・・・」
相手の姿と言動を目の当たりにして、思わず嘘偽りなき感想をつぶやいてしまってた俺。
いや、今がそういうときと場合じゃないって事は解ってはいるんだけどな? ただ承知の上でも言ってしまうほど、スゲー懐かしすぎる気がしてしまうほど久しぶりだったんだよ本当に。いやマジで、ガチな話として本当に。
「む? ・・・言われてみれば―――確かに!?」
「あ、あー・・・。言われてみれば確かにそうだよねぇー、うん。えっと、ラウラ。久しぶり、で合ってるのかな・・・?」
箒とシャルルも、少しだけ混乱しながらそれぞれに軍人モードのラウラを見つめ返して曖昧な態度と対応を返すしかなくなってしまってるぐらい、本当の本気で久しぶりすぎる本来のラウラ軍人モードの再登場。
クレシダ先生のよると、今のラウラは別世界で生きて死んだ別のラウラの記憶がこっちの世界のラウラの記憶と混ざり合っているけれど、別に上書きされたとかじゃなくて別々の道を選んだ同じものが融合する道を選んで一緒になってる状態にあるらしく、その時々の感情によって強く表に現れる人格のベースが交代しあってるだけなんだ。
端的に言うと、セレニアと一緒にいる時には母親愛しさで常時お子様モードの異世界ラウラ。
セレニアがいない時には軍人モードの、こっちの世界ラウラが態度や言動の基本となっている。そんな感じなんだとのこと。これだけなら頻繁に入れ替わることも可能そうに見えるのだけれども。
ラウラはそもそも、常にセレニアと一緒にいたがってるしクラスメイトだし、ルームメイトでもあるし。ついでに言えばIS学園は全寮制の国立学校だしで、二人が一緒にいないで行動する必要性自体があんまり生じることがなかったりする。
確実に別れるのはせいぜい、放課後のIS操縦訓練だけで他の時間はいつもセレニアと一緒にいるから常時お子様モードが続いている上に、俺たちは俺たちで放課後はラウラ対策の自主練しているから会える機会はほとんどない。
対ラウラ用の特訓をラウラに見せるわけにはいかない以上、俺たちはコイツが軍人モードになってる(かもしれなかった)時間帯には絶対に出くわすことができないタイムスケジュールを過ごしてきたわけであり。
――早い話が、転校直後の出会ったばかりで殴られて以来はじめて再会したんじゃないのかなって気がしてる俺であった・・・。
一応コイツと俺とはクラスメイトのはずで、こっちの軍人モードが俺の世界のラウラのはずだから本来はこれが普通のはずなんだけど、どうしても違和感があるようなないような・・・。
おかしい。なんで俺は戦う前にこんなことでグダグダ悩まなくちゃいけなくなっているのだろう。挙げ句、悩んでやってる敵の方からは「フンッ! くだらん!」と鼻で笑われる始末。普通逆だろうと言いたくなったけど、言うより先に相手の方から言ってきたから聞くしかなくされてしまった。
「今の私がこのしゃべり方になっているのは当然のことだ。なぜなら今、この会場内に母様が存在しておられないからだ。
私は娘として母様に甘えたいと常々思って行動しているが、母様以外の人に娘として接したいと思ったことは一度もない。ならば母様がいない場所で娘としての私を出さずに、軍人としての私を出すのは当たり前のことでしかあるまい」
「は? いや、セレニアとはさっきまで一緒だったし、今もアリーナ内にいるんじゃねぇの? まぁわからんけども」
大雑把にグルリと人で賑わう会場内の観客席を見渡しながら、俺はその中から一人の人間を見つけ出すのは不可能だと即座に諦めて頭を振る。
実際、さっきまで一緒だったセレニアが今はアリーナの外にいる可能性もないわけじゃなかったからな。普通だったらせっかく入場できたのに第一試合も見ようとせずに帰るなんて有り得ない状況なんだけど、セレニアに一般的常識論はあんまり通用したことないから意味はない。
『体調不良になる予定』を理由にしてタッグマッチを病欠しちゃうような女の子に、IS学園の常識を当てはめて考えるだけ無駄だと言うことを、元クラスメイトとして誰よりもよく理解できてる自信と自覚が俺にはあるから。だから解る。アイツの場合は『有り得ない』なんて言葉は、それこそ『絶対に有り得ないのだ』という現実論が適用されてしまうことを他の誰より思い知らされているのは俺なのだから・・・・・・。
――が、しかし。
世の中どうやら、上には上がいたらしく。
「いや、いない。その点だけは私が保証してやる。間違いなく母様は現在、この会場内にお姿をおいてはいらっしゃらない。それは確実であり絶対だ」
「いやに自信満々で断言してくるが・・・一応聞いておいてやるぜ。なんでだよ? そう思う理由は?」
俺としては大した目的もなく、ただ聞くのが当たり前だと思ったことを聞いてみただけのことだった。それだけだったんだけど・・・・・・どうやら俺は異世界セレニアを甘く見すぎちまってたみたいだった。
俺に聞き返されたラウラは、小さな胸を張って自信満々な態度でこう答えてくれたのだ。
「なぜなら今の私が軍人口調で喋っているからだ。
私は母様がテレビ画面を通して見てくださっているか、直接目視で私を見てくださっているかで自動的にしゃべり方が変わる癖が付いている。
だから私が軍人口調で喋っているときには、母様は直接私を見られる場所にいらっしゃらないことは確定事項になるのだ。それが理由だ。わかったか!? 織斑一夏!!」
「なにその超能力じみた物スゲー感知能力!? 明らかに人間超えすぎてないかオイ!?」
ISネットワークを超越した母娘の愛スゲー! とんでもない能力によってセレニアの不在が保証されちまった!
って言うかソレ、本当に愛情なのか!? なんかヤバい電波受信してるだけなんじゃないんだよな!? なあ!?
「お前には解らないかもしれんが、心と心が繋がり合った親子の絆とはそういうものなのだ。
たとえ体の距離が離れていようとも、言葉が届く距離にいなくても、胸に秘めた思いを言葉にして直接言ってくださらなくても“なんとなく”で解ってしまう。伝わってしまう。それこそが真の親子愛というもの。
血が繋がっているだけで、心を繋げ合うため日々の関わり合いを大事にしてこなかった親と子には決して持ち得ることの出来ない魂の絆だけが持つ力なのだからな・・・・・・」
「・・・おい、やめてくれ。と言うよりも、やめてやってくれラウラ。
さっきから諸事情あってシャルルが藻掻き苦しんでるみたいだから本気でやめてやってくれないか? これ以上しゃべられると試合開始前に再起不能になりかねないぞ本当に・・・」
俺に向かって言われた言葉をタッグ組んでたせいでシャルル巻き添え食わされ、流れ弾ならぬ流れ言葉で傷つけられまくってる姿はタイミングが滅茶苦茶悪すぎる話題だったと言わざるを得ない。
「・・・・・・う、あ、ああぁぁぁ・・・・・・僕はお父さんと・・・お父さんとぉぉぉ・・・・・・ッ」
「う、おおぉぉぉ・・・・・・私の姉さんは・・・姉さんは何故ぇぇぇぇ・・・・・・ッ」
しかも、なんか知らんうちに箒までダメージくらい始めてるし・・・。
あらためて思い出してみると、俺の周囲で親子仲円満なまま今に至っている奴って、あんまいなかったんだよな・・・。それ鑑みた場合に今のラウラの話はちょっと――結構クル奴らが多いのかもしれない。俺にはちょっとよくわからない話題の話ではあるけれども。
『えーとぉ・・・、そろそろ試合開始のカウントダウン始めたいのですが宜しいでしょうか?』
「あ、はい。すいません、審判さん。どうぞ」
いかん、予想より遙かに長く試合開始前の口上の言い合いを続けすぎてしまった。いきなり予想外なことに気づいて訊いてしまった俺が悪いのだから、これ以上は流石に迷惑をかけるわけにはいかない。あとは大人しく試合開始のブザーが鳴るのを待つとしよう。
『えーと、では試合開始まであと5秒。
4、3、2、1――0! 試合開始!!』
ビ――――――ッ!!!
試合開始を告げるブザーがアリーナ内へと鳴り響き、俺とラウラはほぼ同時に足場を蹴って互いへの最短距離へと突撃を開始する!!
「「いくぜ!(いくぞ!)叩きのめす!!」」
俺とラウラの叫んだ声は奇しくも同じ。
だが、ここから次に続く行動は違うものにしてやるぜぇ!!
「イグニッション・ブーストっ!!」
試合開始と同時に俺は先制攻撃のイグニッション・ブーストを行う。この一手目が入れば戦況はこちらの有利に大きく傾く!
「おおおおっ!!」
「ふん!」
ラウラが右手を前へと突き出すのを見て、「やはり来た」と俺は確信する。
セシリアから『なにも知らない素人のままでは可哀想ですので』と教えてもらったラウラのISシュヴァルツェア・レーゲンが持つ第三世代武装『AIC』
エネルギーで空間に作用を与えて敵の動きを停止させてしまえるっていう、かなり強力な能力の機能だ。これを使えることを教えてもらった俺たちだったが、結局AICを確実に破る方法は思いつかなかった。
それなら手段は一つしかない。―――意外性で攻める!!
「くっ・・・!」
「開幕直後の先制攻撃か。わかりやすいな」
「・・・そりゃどうも。以心伝心で何よりだ」
しかし、その程度の戦略など向こうも読んでいたのだろう。俺の体は腕を始めに、胴と足をAICの網に捕まえられる。押しても引いても動かない。
――だが! これでいい!
俺たちは何も一対一で戦っている訳じゃない。俺たちは二人組なんだから!!
「確かにそうだな。それ故に私は―――――逃げる!!」
「・・・・・・・・・・・・え?」
ブォォォォォッ!!と、ブースターを最大限加速させながら全速後退していくラウラ。
効果範囲の外に出たからなのか、AICの効果が切れて自由に動けるようになった俺なんだけど・・・・・・あ、あれー?
「よし! 敵の戦略は情報通りであることが判明したぞ! 当初の予定通り動くまで! 母様から教わった野戦築城戦術で妖怪さんに勝利を!!
【フォーメーション ヤン・ジシュカ】を展開! 防御陣形!
お前が盾になって私を守り、私はお前の剣となって敵を撃つ! 守り抜けばお前の勝ちだ! 攻撃は任せろぉぉッ!!」
「応っ! 【フォーメーション長篠】だな!
お前への攻撃は全て私が受け止めてやる! 防御は任せろぉぉぉっ!!」
え、えええぇぇぇぇぇぇぇっ!?
箒と合流してから後ろに回って、打鉄を纏った相方を前に出して自分は後方から遠距離射撃体勢に移行しやがった!?
いきなり俺たちの作戦崩壊させられた!? しかも妙にアイツら二人仲いいし! 俺たちの知らない間に何があったんだ一体!?
あと、二人が言ってる作戦名が微妙に違ってなかったか今のって!?
「ちょ、おまっ!? それ卑怯なんじゃないのか!? ひょっとして俺たちのやってた練習のこと知ってたんじゃ―――」
「当たり前だ―――――ッ!!!」
「堂々と大声で自白された!?」
卑怯じゃねぇのかソレ!? 反則って言わないのかソレ!? いや、作戦を事前に読むことだけなら反則じゃねぇのは知ってるけど、その読み方とか盗み方とかで反則扱いされないモンなのかそういうのって!?
「戦争を征する者は情報を征している者! 勝ちたければ多角的に多くの情報を集めることこそ優先せよ! 母様の教えをラウラは絶対守りますです!!」
「セレニア―――――ッ!?」
またお前か!? またお前なのか異世界セレニア!? お前はいったい何度俺の前に立ちはだかったら気が済むんだよ――――ッ!!!
「うぉぉぉッ!! 一夏―――ッ!! お前は私を捨てた! 裏切ったのだ! 私の気持ちを裏切ったお前を、私は絶対許さんからな――――ッ!!!」
「異世界濡れ衣―――――ッ!?」
やっぱりか! やっぱり箒とラウラが仲良くなったのは異世界の俺が原因だったのか! ちくしょう、迂闊だったぜ!
たしかに純真無垢な今のラウラは変なところで意外と可愛い物好きなところがあるっぽい箒と相性が良くなってるし、ラウラの方でもなんか箒には敵愾心がなさそうに見えたし! 多分それも異世界事情が関係してるんだろうけれども!
ことごとく俺の行く手を遮ろうとする、異世界の俺たちの事情共が―――――ッ!!!
「い、一夏! どうするの!? この状況だと数値的に僕たちの方が圧倒的に不利だよ!?」
「く・・・ッ! こうなったら一か八かだ! ラウラたちに俺たちのコンビネーションを見せつけてやろうぜシャルル!!」
「一夏・・・っ、うん! わかったよ! 僕たち二人の絆だって、彼女たちに負けてないってことだけでも証明してあげないとね!」
シャルルの瞳に力強さが宿り、口元には不敵な笑みが浮かび上がる。
そうだ、それでいいんだシャルル。俺は・・・俺たちは強くなんかない。
強くなりたいから、強くなろうとしている奴らなんだ。強くなってやりたいことがあるから、強くなろうと努力している途中にあるのが俺たちなんだ。
敵の方が強いからって立ち止まってたんじゃ、守りたいものも守り切れるようにはなれないぜっ!!
「「てやぁぁぁぁっ!! 俺たちは!(僕たちは!)負けない!!!」」
「うぉぉぉ! 一夏ぁぁぁッ!! お前に取り憑いた変態を祓うためならば今この時のみ私は悪魔に武士の魂を売り払って難攻不落の盾になる!!」
「結果こそ全て! 目的達成こそ最優先事項!! 妖怪に思い知らせるという結果のためなら過程や戦い方になんの価値もありはしない! 個人的プライドや願望なんて二の次三の次でいい! 母様がそう言っていた! 母様は正しい!! 勝利の栄光を母様に捧げるために私は勝ぁぁぁっつ!!」
ワァァァァァァァァッ!!!!!!!!
1試合目から意外性に満ちあふれすぎた始まり方となってしまった、IS学園学年トーナメント・タッグマッチ大会。
後に色々な逸話やあることないこと、無いこと無いこと無数の伝説異説笑い話を世間に提供し続けることになる、この戦いはまだ始まったばかりであり、勝敗の行方も最終的に行き着く場所さえ不鮮明なまま場の盛り上がりだけは凄まじいほどにボルテージを上げていくのでありましたとさ――――
「・・・で、お前は何故こんな所まで試合を観戦しに来ているんだ? 普通に観客席にいたままではダメだったのか?」
「・・・・・・逃げ隠れするために避難してきたんですよ。悪いですか?」
「いやまぁ・・・・・・わからない理屈ではないし、無下にも追い出しにくい状況になってしまっているのも解るのだが・・・・・・」
―――とりあえずは、伝説が誕生する瞬間に居合わせたくなかった当事者は地下へと潜って安全確保中。
たとえ強者の力で敵の凶刃から無力な人々を守れたとしても、民衆のエゴという名の自覚なき暴君から大衆を敵に回してまで無力な個人を守ってくれた勇者など実在した試しはありません。
いつの時代だって民衆は最強にして最悪。英雄とは川だ、民衆とは川底だ。英雄は去り、川底は残る。わずかに表層が水と一緒に川の流れとともに消え去るだけのこと。
それ故私はせめて、川底に沈むだけの貝になりたい心境でっす・・・・・・プルプル・・・(赤面中)
*赤くなりまくった顔を見られないよう必死に隠している暗い地下室の言霊少女ちゃんでしたとさ。まる(^^;)
つづく
オマケ『その頃のタバネンさんは・・・』
クロエ「どうなさいました、束様? 先ほどから脇腹のあたりを押さえられ苦しみ続けておいでのようですが・・・・・・」
束「お、おなか痛・・・ッ、死ぬッ! 笑い死にそ・・・・・・ッ!!(バンバンッ!)」
クロエ「・・・どうやら重傷の御様子ですね。おもに頭とお心が・・・」