『IS原作の妄想作品集』   作:ひきがやもとまち

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作品の順番を整理したら、だいぶ前の作品が一番新しい順番に変わってしまってたため、とりあえず最新話がクリックしたら出てくるよう投稿し直しました。
中身は変わっていません。

読者様から指摘されて、今さっき気付くことが出来た次第。誤解させてしまった方には申し訳ございませんでした!(謝罪)


IS学園のひねくれ少女 第23話

『海っ! 見えたぁっ!!』

 

 女子たちの声が、トンネルを抜けたばかりのバスの中に響き渡る。

 臨海学校初日の朝が来ていた。天候にも恵まれて天気は快晴。

 陽光を反射する海面は穏やかに踊り、心地よさそうな潮風に鼓膜が震える――とか何とかセレニアが言ってたことを思い出し、その直後に顔赤くしてたなとも思い出しつつ。

 

「おー。やっぱ海を見るとテンション上がるよな」

「う、うん? そうだねっ。えへへ・・・♪」

 

 バスの隣の席になったシャルに声を掛けたら、嬉しそうにはにかみながら手元にばかり視線をやって、いまいち話を聞いてくれない返事だけしか返してくれない。

 今日は出発してから、ずっとこんな調子なのだ。

 

「それ、そんなに気に入ったのか? 何度も言うけど、あんま高い物じゃないからな? それって」

「えっ、あ、うん。まぁ、いいんじゃないかな? えへへ~・・・♡」

 

 と、昨日セレニアと一緒に買い物行ったときに買ってきたお土産のブレスレットが余程気に入ったのか、今朝プレゼントしてからそればかり見ている。

 

「シャルロットさんたら、朝からえらくご機嫌ですわねぇ」

 

 そして、そんなシャルの姿を通路を挟んだ向こう側の座席に座りながら、冷ややかな視線と声音で評してくるのはイギリス代表候補のセシリアだ。

 

「今朝の出発前に二人だけで抜け出したと思ってはいましたが・・・そこまで嬉しがる程とは予想外でしたわ・・・」

「うん。そうだね。ごめんね。えへへ・・・・・・♪♪」

 

 そんなセシリアの冷たい声にも何のその。朝から時々している思い出し笑いと話聞いてない生返事は決して揺るがないシャルロット。

 うーん、ここまで来ると彼女には悪いが、ちょっとだけ怖いっていうか、少しだけ気持ち悪くないとは言い切れなくなっちまってる気がするな・・・。

 

「まったく―――まぁ、これなら白と判断して問題無さそうですし、鈴さんにもメールで知らせておくとしましょう。

 オーバー、“標的の脅威度をレッドからオレンジに低下。モードを即時狙撃可能から準戦闘態勢待機状態へ以降。現時点では安全と判断されるが、引き続き監視の必要性極めて大”――と。これでよし、オーバーですわ」

 

 ・・・・・・そして、シャル以上に怖いっつーか、物騒な独り言をメール打ち込みながら呟いてるセシリアだったが・・・ブルー・ディアーズが使う狙撃武装の話だよな?

 これから行く臨海学校の正式名称が『ISの非限定空間における稼働試験』だから、その試験に使う新装備についての話を開発関係者としてるだけなんだよな? 信じてるぞ俺は本当に。

 ・・・・・・クラスメイトの中にリアルスナイパーがいるとか洒落にならん。そんなフィクションじみた奴はいるはずないと俺は信じたいんだ、心の底から絶対に。

 

 なんか怖くなってきたので気分を変えるため、通路を挟んだ向こう側に座っているセシリアの、更に向こう側の席に隣り合って座っている、残る二人の親しいクラスメイトたちへと視線を移すと、

 

「わー♪ 見てください見てくださいお母様! 海さんです! ラウラは海さんに、また帰ってきたんですね☆

 自分で作った機械お人形さんをお掃除したがる引きこもりの変なオバサンは、どこですか!?」

「そうですね、海ですねボーデヴィッヒさん。危ないですから、座席の上に立って窓の外を見るのは辞めましょうね?

 ――あと、自分で作った機械人形を掃除したがるオバサンって、誰・・・?」

 

 席から立ち上がって、席の上に上ってキャッキャと騒いでいるラウラを相手にセレニアが母ちゃんやっていた。なんか段々と板についてきてしまって違和感なくなってきた昨今だったが・・・・・・機械人形を掃除するの好きの変なオバサンって誰? ラウラが日本に来てから知り合った相手に、そんな奴いたっけ?

 あるいは、ラウラが前にいたとか言う俺たちの世界と似て非なる歴史を歩んだパラレルワールドだかで今の俺たちが向かってる臨海学校と似たイベントがあって、そこで出会った奴なのかも知れない。

 

 だとしたら一応、『自分で作った機械人形』って点だけなら候補が思い当たらない訳じゃないし、引きこもりってところも合ってはいる。変と言えば変でもあるんだが・・・・・・

 

 自分で作った機械人形を掃除する、ってのは絶対なさそうな人だからなー。たぶん別人なんだろう、多分だが。それこそ似て非なる他人が現れてる世界だったってところか。

 そんな変な奴は、こっちの世界の方には出てきてほしくないもんだとは思うが、今から気をもんでも仕方がない。

 

「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと座れ」

 

 そして目的地までの短い旅も、もうすぐ終わりを迎える。

 海に着くのは、おそらく11時頃。オーシャンズ・イレブンがもうすぐ始まろうとしていた―――。

 

 

 

 

 

「おおー、すげー」

 

 俺は目の前に広がる景色を前にして、平凡極まる言葉と承知していながらも他の言葉が思いつかず、よくある感嘆句でその絶景を表現することしかできない心地にさせられていた。

 

 臨海学校の宿泊先である旅館に到着してから、お世話になる女将さんに挨拶を済ませた俺たち1年生は、海に来た学生らしい行動として早速海へと足を伸ばしてきたのだが、やはり何年かぶりに来ても夏の海は良いと思わずにはいられない。

 

 7月の太陽が熱したのが、素足で感じる熱い砂。波打ち際のビーチ。

 ビーチバレーを楽しむ生徒たちもいる中で・・・・・・そして佇む、【海の家】―――って、えぇ!?

 

「あ、あれ!? 海の家!? だってこの砂浜って国有地じゃ・・・・・・あれぇぇぇッ!?」

 

 驚きのあまり素っ頓狂な声を上げながら、確認のために何度もその姿を見直さずにはいられない!!

 木で出来たチープな作り、ビーチパラソルの下に置かれたカキ氷器、壁に掛けられている輪状の浮き輪、建物の内側から漂ってくる何かを焼く香ばしい油の匂い―――絵に描いたような海の家が、そこには立っていた。

 と言うより、コレが海の家じゃ中ったら何が海の家なのかと問いただしたくなるほど、今時珍しいレベルで海の家らしい海の家だった。

 下手したら天然記念物にでもなりそうなレベルだったが、関係者以外立ち入り禁止の国有地内で勝手に商売している天然記念物ってのは流石にない。普通に犯罪だった。

 

 ――いや待て、落ち着け俺。まだ慌てるような時間じゃない。

 単に旅館の従業員さんが、俺たちIS学園生のために特別営業してくれてるだけの演出かも知れないんだし、とにかく誰が店の店員役をやってるか分かれば判断は容易に出来るようになるはず―――

 

 

「へい、らっしゃいイッチー! ナデシコの名を冠する機動横領戦艦の契約書読まずにサインする今時日本人オッサンな整備士提唱、三大夏の風物詩と言えば!?

 そう、粉っぽいカレーに、不味いラーメン、溶けたカキ氷!!

 私はその伝統を今に伝える一子相伝最後にして最高の妹愛を持つ女教師、クレシア先生とは私のことさー!!」

 

「何やってんですかクレシア先生、こんな所で・・・・・・・・・」

 

 

 ・・・・・・クレシア先生だった。IS学園白兵戦指導の教員に雇われてるクレシア先生だった。

 頭にねじり鉢巻き巻いて、Tシャツ着て、ハーフパンツ履いた姿で焼きそば焼いてるクレシア先生以外の何物でもなかった。

 むしろ彼女以外の誰が、こんな事やるのかと聞きたくなるほどのレベルでクレシア先生以外には誰一人あり得なかった。

 

 って言うか、確かこの人って・・・・・・

 

「先生・・・・・・確か今回の臨海学校はISの新装備テストだから、白兵戦指導は必要ないから学園で留守番組だったはずじゃあ・・・・・・」

「フッ・・・愚問だねイッチー。セレニアの行く所どこへでもクレシアお姉さんは必ず現れる!!

 ――セレニアの水着姿と恥じらってる顔を見るために・・・はぁ~♡ ハァ~・・・♡ はぁ、はぁハァぁぁッン♡♡♡」

 

 そして、教え子の前で堂々と実妹に欲情して、自分自身は恥じ入りもしない国立名門女子校だったIS学校に正規雇用されてる女教師のクレシア先生。

 

 ・・・・・・IS学園って本気で大丈夫なのか心配になる瞬間だった・・・・・・。

 千冬姉もこの人と同じ立場として、同じ職場に雇われてるのかと思うと・・・・・・いかん。色々と夢とか理想とかイメージとかが崩れてきそうだから目を逸らしたくなって来ちまったぜ。

 

 何か代わりに見えそうな物は!? 代わりに見えそうな物、見えそうな物はどこに!?

 とかやっていたら聞こえてくる、砂浜の向こうから砂埃をあげながら全力疾走して鉄拳制裁しに向かってくる、IS学園最強の関羽こと織斑千冬警備責任者でもある先生。

 

 

 ドドドドドドッッ!!!

 

 

「くぅぅおぉぉらぁぁぁッッ!!!

 こんな所まで来て何をやらかしとるんだ、この駄後輩がぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

「くっ!? ヤバいわね、もう来たか! まーた、とっつぁんに見つかっちゃったわ!

 そういう訳だから、また後でねイッチー! セレニアによろしく伝えといて!

 “愛してるわ、一人の女としてアイラブユー♡ ブッチュ♪”と、一元一句間違いなくちゃんと伝えといてね!? それじゃあ!!」

 

 そう言って、海の家の壁に付けられていた、そこだけ妙に浮いている変な赤いボタンを「ポチッ」と音が鳴る勢いで押したところ

 

「チェーンジ、箱形ぁぁぁロボ!!! スイッチ・オーン!!!」

 

 ブシュ~!! ガチャン! ガチャン!! ジャキィィィッン!!

 

 と、格好良さそうな音を響かせながら蒸気を盛大に吐き出しまくりつつ、一瞬の内に海の家がコンパクトに折りたたまれていって、最終的にはバイク式のリアカーみたいなサイズにまで物理法則無視しまくって変形した姿で走り出し。

 

 

「ふははははははッ!! 残念だったな織斑くん! 今回は私の負けだが、次こそは必ずセレニアの心という大変な物を盗んで見せよう! 次の勝負を楽しみにしているよ!

 また会おう!! ふはははははッ!!!」

 

 ブォォォォォォォォッ!!!!

 

 盛大に爆音と高笑いとネタを響かせまくりながら、クレシア先生の乗った可変型海の家バイクは猛スピードで砂浜を走り去っていき、その速度には流石の世界最強ブリュンヒルデでさえ追いつけないことを承知の上で罵倒するぐらいしか出来なくなるほど。

 

「待てぇぇぇぇぇっい!! ええい、また変な物を持ち出しおってからに!!

 お前それ絶対、束に造らせただろ!? アイツが相手するのが面倒くさくなってテキトーな物を造って与えて、さっさと帰らせようとする悪癖を利用して半端な時代限界超えたスーパーマシンを造るよう、また要求した結果だろーが!?

 いい加減、私の手を煩わせ続けるな!! この駄後輩と駄目クラスメイト共が――ッ!?」

 

 

 と、大声で怒りの絶叫を轟かせながらも、砂埃立てまくりながら追いかけ続けて走って行く千冬姉。・・・って言うか、やっぱりアレって束さんの発明品だったんだ・・・。道理で地味にスゲェわけだ・・・。

 

「しっかし、相変わらず嵐みたいな人だよなぁ、あの人って」

「・・・・・・うちの姉が、いつも通り、いつもの如く迷惑ばっかりかけて申し訳ありませんね・・・本当に・・・」

 

 そうこうしている内に、横合いからセレニアの声が聞こえてきた。

 どうやら着替えが終わって、海の方に来ていたらしい。

 コイツはコイツで、男ほどじゃないけど着替えを手早く済ませることで有名だった女子でもあり、長すぎる髪以外では手間の掛かる部分は特にないからと雑な手入れのみをしてきてたらしいけど、流石に高校生にもなると多少は肌の手入れとかも気になるようになるのかも知れない。今回の着替えは今までよりずっと長かった。

 

「おう、セレニアか。お前も来たんだな。お互い目立つ姉を持つと苦労するって、ブゥゥゥゥッ!?」

 

 振り返って普通に返事しながら話しかけたつもりの俺だったが・・・・・・相手の姿を見た瞬間に、思わず牛乳を鼻水として吹いてしまった時みたいな驚きの声を上げさせられ、驚愕させられることになる。

 

 い、いや待ってくれ。仕方がないんだコレは。いったい誰に言い訳してんだか自分自身でもよく分からないけど、とにかく聞いてほしい。俺は無実だ、何もやってない。それでも俺は何もやっていないと自信を持って断言できる!!

 

「・・・・・・なにか?」

「い、いやその・・・・・・何かって言うかお前、その水着って、スクール―――」

「“学園指定の水着”を着てるだけですが、何か問題でも?」

「いや、問題って訳じゃなく・・・・・・お前のイメージ的にって言うか・・・・・・見た目的な特定部分に問題が出やすいって言うか・・・・・・」

「“学園指定の水着”を着てるだけですが、何か問題でも?」

「いやだから、そういう問題ではなくてだな? その―――」

「“学園指定の水着”を着てるだけですが、何か問題でも?」

「・・・・・・・・・・・・・・・いや、大丈夫だ。問題は何もない」

 

 

 めっちゃ据わった目つきで見つめてきながら、ほっぺたは真っ赤に染まっていて、無表情のまま同じ言葉を繰り返され。

 『何も言うな』と言外に告げてきてることを、流石の俺も気付かずにはいられなくなってしまって・・・・・・そっと距離を置くことにした。

 

 セレニアよ、何があったのかまでは知らないし聞く気もないが・・・・・・級友として一つだけ言わせてほしい。

 

 ――グッドラックと。

 

 

 

 

 

 

 

「クッ・・・・・・こういう目に遭わされるから頼りたくない相手でしたのに・・・・・・ッ。

 やはり人助けなんて慣れないことは、やるべきじゃなかったですよ本当にぃぃ・・・・・・(////)」

 

 

 

つづく

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