勇者が断つ!   作:アロロコン

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皆様お久しぶりです。
今回は試験的に載せてみたいと思います

では、どうぞ


FGO

 吹き抜ける青臭い風が銀糸を揺らす。

 

「…………………………えー………」

 

 草原の中央、小高い丘。身の丈すらも遥かに超える長大な片刃の大剣を持つ灰色のロングコートを着た青年は死んだ目で辺りを見渡していた。

 

「はっはー…………なんだこれ。マジか?おい。二回も?ふざけんなよ、くそったれ───────」

 

 ブツブツと彼は大剣の切っ先が天を突く様に持ち、柄頭を地面に突き立てヤンキー座りで項垂れる。

 口から垂れ流されるのは呪詛のような愚痴の嵐。

 普通ならば愚痴よりも先に狼狽えるような事態であるはずなのだが、彼はその点は全く当てはまらない。

 辟易としたため息をついて、胡乱な目で辺りを見渡す。何度見ても世界が変わることなく、辺りは草原、小さくそこらに木立が見えるぐらいか。

 

「北方要塞、も無いな。帝都の近くでもない。シャンバラ、はオレが吸収したか…………つーか、オレが居てアイツが居ないとかあり得んだろ」

 

 顎に手をやり、彼は考え込む。因みにアイツ、とは連れのドS人外の事であった。

 因みに、この男も人外であったりする。少なくともそこらの有象無象には全く引けをとらない。それどころか快勝できる。

 

「とりあえず、動くか」

 

 彼は呟き、肩に大剣を担ぐと気の向くままに、一歩踏み出し、なにかに気づいたのか、駆け出した。

 

 

 ▽▽▽▽▽▽

 

 

 彼の向かう先、凡そ一キロ程行ったところか、木立に囲まれた小さな村があったのだ。

 周りには村人が生き抜くには十分な畑が広がり、小川が流れ、時おり涼やかな風が吹き抜ける。穏やかな田舎、といったところ。

 小さな世界だが、それだけで十分な幸せを彼ら村人は謳歌していたのだ。

 だが、今は違う。

 辺りからはパチパチと火の爆ぜる音と、焦げ臭い臭いが立ち込め、悲鳴があちこちから上がっている。

 襲うのは、小型のドラゴン。

 前足がなく、大きな翼と、小さめの後ろ足、長い尾、鋼を弾く硬い鱗と甲殻を持つ、ワイバーンであった。

 彼らは炎の息を吐き、鋭い爪での急降下キック。それらを駆使して蹂躙の限りを尽くしている。

 この適度の村ならば、ほんの僅かな時で壊滅することだろう。

 だが

 

「塵外刀“釵ノ型”」

 

 突如響く、鎖の軋む音。そして空は切り裂かれ、5体のワイバーンが胴体を真っ二つに切り分けられて仕留められる。

 突然の事態、逃げ惑う村人達も、そして襲っていたワイバーンもその動きを止め、鎖が引き戻され飛んでいく巨大な刃を見送っていく。

 

「やれやれ、オレは面倒に縁があるらしい」

 

 木立の中から現れるのは、長大な片刃の大剣を肩に担いで頭をかく銀糸の男。

 彼の登場にワイバーン達は本能的な恐怖を覚える。

 竜というのは幻想種と呼ばれる高い魔力を持つ強力な生物である。そのあり方は圧倒的な強者、絶対的な捕食者。

 ワイバーンも下級とはいえ竜に変わりはない。

 そんな彼らに恐怖を覚えさせる男。いや、正確には彼の持つその大剣に潜在的恐怖を覚えているのだ。

 仮にワイバーン達にもっと知性があったならば、その恐怖にしたがって逃げた事だろう。しかし、残念なことに大型の蜥蜴よりも若干マシなお味噌でしかない彼らはその竜としての強靭さを過信していた。

 恐怖を取り除くために、襲い掛かってしまった。

 

「あめーよ、蜥蜴共」

 

 閃く銀閃。真横に振るっただけだ。

 たったそれだけの動作であるというのに、硬い甲殻はアッサリと横一閃に断ち切られ、突撃したワイバーンが数体切り殺されてしまう。

 

「塵外刀“釵ノ型”────────」

 

 両手で柄を握り、少し捻ると、カシャリと柄が細かい節に分かれた。

 

「───────『飛水』」

 

 ベイパーコーンを引き起こし、刀身は一直線に射出され、こちらも一直線に並んでいたワイバーンの胴体を貫通し、6体のワイバーンが串刺しとなる。

 

「ストックになってもらうぞ、太秦は神とも神と聞こえ来る───────常世の神を討ち懲ますも」

 

 数度刀身が脈打ち、葉脈のような血管のような筋が浮かび上がり、貫かれたワイバーン達にもその脈は伝播していく。

 そして、絶叫と共にワイバーンはその刀身へと飲み込まれてしまった。

 ドクリ、ドクリ、と脈打つ刀身。無機物であるはずのその刃は生きているかのようである。

 

「野生なら、これで終わりなんだがなぁ」

 

 野生で生き抜くには戦闘能力以上に危機察知能力が必須だ。

 そして明らかに、ワイバーン、そして村人が元となったゾンビ達では勝てる相手ではない。

 少なくとも、生物であるはずのワイバーンにはその本能があったはずなのだ。

 

「…………操られてる?」

 

 彼は眉をひそめた。

 大剣を元へと戻し、向かってくるワイバーンとゾンビを切り伏せていきながら、彼らの様子を観察していく。

 後者はまだしも、前者はおかしい。

 

「違うな……………………恐怖か」

 

 自分よりも圧倒的な高位者からの命令。逃げ出せば結局死ぬ。

 

「運が悪かったな」

 

 ドクリ、と一際大きく刀身が脈打った。

 

「塵外刀変化───────」

 

 起動キーワードが唱えられ、大剣独自の能力が発動される。

 

「───────型式“朱雀”」

 

 

 ▽▽▽▽▽

 

 

 焦土と化した村の外れ。

 肩に大剣を担いだ男は、膝をついて空いた手の指を地面に這わせていた。

 土をつまみ上げ、親指、人差指、中指を擦り合わせ匂いを嗅ぐ。

 

「…………どういう事だ?」

 

 辺りを見渡せば、テニスコート程の範囲が焼け焦げており、その外側も所々焦げている部分がある。

 

「威力が落ちてやがる」

 

 いや、十分過ぎる破壊跡ではある。

 だが彼からすれば威力不足。

 何せ、本来ならば炎の津波を起こすことができ、今の範囲の倍は軽く焦土へと変えられる。

 

「オレの異変か…………もしくは塵外刀が不具合を起こしてるか、だな」

 

 カチャリ、と大剣、塵外刀を見上げる。ついでにあることに気がついた。

 

「なんだ、アレ。…………輪?」

 

 それは余りにも巨大な、光の輪。それが空を囲むように浮いているのだ。

 不思議が一杯な彼の故郷でもそんな光景は見たことがない。

 

「…………やっぱり、面倒事、か」

 

 彼のため息は引くほどに、重い。

 

「……………………はぁあ…………」

 

 北の勇者、ヌマセイカ。ある世界では万里を焼き尽くすとさえ言われる黒炎の主。

 運の悪さは筋金入りらしい。

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