【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

10 / 60
第4話 「コンビネーション」
飛行戦艦『武蔵』


 ブリーフィングルームに、裕美達は集められる。そこには佐藤心、八神マキノ、一ノ瀬志希、そしてプロデューサーがいた。つまり、これでシンデレラガールズのメンバーは揃う事になる。

 

「あの、出撃って何が………。」

「岐阜と長野にある観測所から連絡が入った。………石川、福井、富山の3県の『占領された基地』から多数の『ダック』の他、新アメリカ帝国の飛行戦艦『アルフォンシーノ』が1隻ずつ、計3隻が発進されたらしい。」

「あ………。」

「アイツ等!もう基地を自分達の物にしているの!?」

 

 心の説明に声を張り上げたのは美世だ。聞く所によると彼女は石川の出身らしく、今回の新アメリカ帝国の侵攻には怒りを覚えていた。20歳という年齢故か、それを裕美達の前で顔に出す事は滅多に無かったが、この場では拳を振るわせて叫んでいた。

 

(故郷のみんな、大丈夫かな………。)

 

 かくいう裕美も実は富山出身。東京に引っ越す前は北陸の大地に住んでいたのだ。それ故に美世の気持ちはよく理解出来た。

 

「人の故郷を我が物顔で………!」

「落ち着けよ。………んで、その3隻はまっすぐ東京に向かっているとの事だってさ。」

『ッ!?』

 

 一同は驚く。戦艦アルフォンシーノはそんなに巨大では無いが、それでも中に多くの人型戦闘機械を搭載できる広さは持っている。晶葉達の授業の内容が正しければ、新アメリカ帝国の主力人型戦闘機械『イーグル』を連れてくるだろう。『ダック』よりも航続距離が少ない分、戦闘能力は数段高いと聞いていただけに、裕美は恐怖を抱く。

 

「また東京が戦場に………。」

「させねえよ。」

 

 心の言葉に、裕美は顔を上げる。

 

「何の為にはぁと達がいると思ってるんだ。都心に来る前に迎撃するぞ。」

「IDOL達や『如月』を出撃させるって事ですか?」

「60点だな。言っただろ、『はぁと達』だって。」

 

 裕美の質問に心はにやりと笑みを浮かべる。その顔に裕美は他の面々も互いに顔を合わせている事に気付いた。

 

「飛行戦艦には飛行戦艦。………日本もただ何も作ってなかったわけじゃないんだぞ?」

「そ、それって………。」

「喜べよ!今回よりシンデレラガールズにも新開発の飛行戦艦が与えられる事になった!名前は『武蔵(ムサシ)』!当然、艦長ははぁとだぞ!」

 

 一同からおぉッ!と声が上がる。

 

「やった!飛行戦艦があれば石川も取り戻せる!」

「でも、アタシ達も知らなかったって事は極秘計画だったんすよね………。」

「中華共和国が降伏する事を見越していたのかな………?」

 

 メカニック班が色々と感想をこぼす。それに答えたのは晶葉。

 

「上層部は、基本頭が悪いが自分の身の安全には金を惜しまない連中だ。プロデューサーが手回ししてくれていたのが丁度この時期に実を結んだな。」

「ちなみに砲手は海上戦から引き続きマキノちゃん。操舵はあたしね!晶葉ちゃんはお休みー!」

「待て、志希!私もマキノの代わりのオペレーターは兼任できるぞ!」

 

 そこに志希が割り込み、何かケンカを始めようとした所で心がコホンと一言。

 

「とにかくIDOLと如月をさっさと武蔵のハンガーに積みこめ!パイロット達も乗りこむ事!中の案内はプロデューサーに聞け!後、裕美!」

「は、はい!」

 

 思わず直立不動になった裕美に心は真剣な目を向ける。

 

「………これがお前のシンデレラガールズとしての初戦闘だ。最初から無双しろとは言わない。まずは、生き残れ。」

「は、はい………!」

 

 裕美の顔が険しくなる。自分に出来る事はまずはそれだ。美羽、ほたる、乃々、そして両親の為にも、死んではいけない。その言葉を心に刻んだ。

 

――――――――――

 

 武蔵への積み込みは効率的に行われた。まずは5体のIDOLが美世達メカニックの指示によって中に。そして、灰色の翼を携えた細身の機体『如月』が出来る限り積め込まれる。

裕美達IDOLのパイロットは、パイロットスーツに着替えると艦橋へと案内された。心が艦長席に座り、マキノ、志希、晶葉が所定の位置に座る。

 

「敵の群れは?」

「10分前に山梨の観測所から通信。3隻のアルフォンシーノの部隊が合流し、東京を目指し始めたとの事。」

「時間が無いな。緊急発進するぞ。」

「では、1段階目から20段階目の処理を飛ばし、発進準備に入ります。ハッチオープン。」

 

 マキノの声で武蔵の格納庫の天井が開き、エンジンが吹かされる音が響いた。巨大な船体が持ち上がっていく。

 

「こ、これが飛ぶんだ………。」

「いいのう。これだけ盛大な方が盛り上がる。」

 

 正直ビビり腰の裕美に対し、巴は楽しそうだった。他のパイロットも特に怖いと言った表情は見せていない。

 

(やっぱりみんな凄いな………。)

 

 そう思ったところで正面に芳乃が立ったのに気づく。彼女は裕美の手を取ると、何やらおまじないのような模様を手の平に書き始めた。

 

「芳乃………さん?」

「芳乃ちゃんの祝福ですね。」

「祝福?」

 

 肇の言葉に裕美は首を傾げる。

 

「シンデレラガールズのパイロット達はみんな出撃前に芳乃ちゃんにまじないを掛けてもらっているのです。幸運が訪れますようにと。」

「生き残れるの………でしょうか?」

「効果は高いと思いますよ。芳乃ちゃんですし。」

 

 根拠のない言葉だったが、肇の笑顔と芳乃の今まで見た姿を想像すると何となく信じられるような気がした。自然と裕美の肩の力が抜け、落ち着いた顔になる。

 

「芳乃さん、ありがとうございます。」

「気にする事は無いのでー。そなたが美羽の分も生きられればそれで良いのですー。」

「はい………。私、生き残ります。」

 

 穏やかな笑みを見せる芳乃に裕美も………この時は本人も気づいて無かったが、自然と笑みを浮かべていた。

やがて、高度を保った武蔵が前進を始める。

 

「さあ行くぞ、お前ら!戦艦、武蔵発進だ!」

 

心の音頭が鳴り響いた。

 

――――――――――

 

 東京を目指すアルフォンシーノの3隻の内の中央の船の艦橋で、『提督』と呼ばれる金髪の髪の青年が艦長席に座っていた。その両隣にはパイロットスーツに身を包んだヘレンとキャシー・グラハムがいる。

 

「上層部も随分決断が早いわね。新型が出てきたと聞くやこうして飛行戦艦を派遣するのだもの。」

「最初の攻勢で福井、石川、富山、それに新潟の基地を占拠できて気分が高揚しているのだろう。それ故にキャシー中尉の映像記録を見て、憎きIDOLが増えた事に歯ぎしりしている者もいた。」

「無様ね。世界レベルじゃないわ。」

 

 ヘレンが腕を組みながら答える。キャシーの方はそんなヘレンを見ながら妙な顔をしている。

 

「どうしたの、キャシー?」

「いえ、その………『提督』は確か現在少将の称号を持っていたはずですが………何でヘレン大尉はタメ口で喋れるのですか?」

「ああ、それは私が世界レベルだからよ。」

 

 ヘレンの即答に『提督』は笑う。どうやらこの男は特にそれを不快には思ってはいないらしい。彼はキャシーに対し言葉を紡ぐ。

 

「私は昔に名を捨て、『提督』と名乗っているだけの男だからな。君も何ならばタメ口でも構わないぞ?」

「いえ、自分は流石に遠慮しておきます………。」

 

 一応『提督』の語源も考えれば偉い事には変わらない。というか、何かはぐらかされたとキャシーは思ったが、細かい詮索はしてはいけないのだろうと思い、これ以上の言葉は控える。そこに、オペレーターから声が上がった。

 

「艦長!」

「提督と呼んでくれ。」

「て、提督!東京基地より巨大な飛行戦艦が1隻出撃してきた模様!」

「ほう………。」

 

 提督はカメラを拡大し、その船を見る。確かにアルフォンシーノよりも大型だとは思った。この場で新しく出てくるのだから、性能も恐らくは高いだろう。

 

「さて、どうしたものか………。」

『我、戦闘を開始する!』

『『イーグル』隊、出撃せよ!』

 

 見れば両脇のアルフォンシーノが前進していく。中からイーグルと呼ばれた茶色の機体が次々と発進し、ダック部隊とフォーメーションを組んでいく。

 

「我先にと功績を取ろうとしているな?」

「貴方は前に出ないの?」

「様子見だ。本艦は後ろに下がっている。ヘレン、キャシー、イーグル部隊と共に出撃して様子見をしてくれ。多分、あの艦にはIDOLが積まれているだろう。今回は無理する必要は無い。」

『了解。』

 

 ヘレンとキャシーは敬礼をすると艦橋を後にした。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。