【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ 作:擬態人形P
「敵指揮官機、1体撤退だ………。」
「やるね、裕美ちゃんも。」
疲れたような晶葉の言葉に心はにやりと笑う。そして、マキノに言う。
「はぁと達もいいとこ見せないとね。左翼の艦、前に出過ぎてない?」
「許可をくれれば『主砲』で狙えます。」
「じゃあ、やるぞ。射線上の味方に退避命令。」
マキノはほんの僅かだけ笑みを浮かべると眼鏡を外し、ターゲットスコープを被り、レバーを動かす。
武蔵に備え付けられた巨大な砲塔が左のアルフォンシーノ………恐らく位置的に福井基地から飛んできた物に向けられる。それが分かったのだろう。アルフォンシーノもこちらに砲塔を向けて『主砲』のレーザー砲を発射しようと慌てる。だが、動きはこちらの方が速かった。
「撃て!」
「発射!」
心の号令にマキノが珍しく声を張り上げ………!
陽炎の手持ち式ビームキャノンとは比べ物にならない位の青いレーザー砲がアルフォンシーノをぶち抜いた。
バシュウゥゥゥウウウウウウウウウウウウウンッ!!
エンジンブロックを的確に撃ち抜かれたアルフォンシーノが大爆発を起こす。新アメリカ帝国の主力飛行戦艦の内の1隻がいとも簡単に落ちた。
「右翼の戦艦は?」
「冷却時間があるので無理ですね。」
「よし、芳乃、裕美!」
心は通信を開いた。
――――――――――
「戦艦を落とせ!?」
武蔵の火力に驚いていた裕美は心の言葉に更に驚く羽目になる。いきなりシンデレラガールズとしての初陣で戦艦を落とせとこの艦長は言うのだ。
『お前の手持ち式ビームキャノンなら近づけばエンジンをぶち抜けるぞ。』
「で、でも対空砲火が………。」
『その為の硬いIDOLだ!守備隊は雪風に任せてお前は突っ込んで行け!』
「そんな無茶な………。」
『………位置的にアレは富山基地から発進したものだぞ。帰らせたら今後の攻略に支障をきたす。』
「……………。」
裕美は通信画面の芳乃の方を見た。彼女は何も言わず頷いた。裕美はそれでやる事を決意する。
「分かりました………!芳乃さん、援護お願いします!」
裕美はアルフォンシーノに向け、陽炎を向かわせる。当然ダックやイーグルが攻撃して来るが、さっきの指揮官機に比べれば大した事が無いように思えた。何より、芳乃の援護があるから安心して行ける。
(生き残るんだ………!みんなと………一緒に………!)
裕美はそう意気込むと、より陽炎のバーニアを吹かせた。
――――――――――
「日本もなかなか強固になったものだ………。」
戦闘を後方で見守っていた提督は既に艦を回頭させる指示を出していた。もう戦局は決した。逃げる機会を失っては無駄死にするだけだろう。
『おい!何をしている!こちらの援護を………!』
通信が途絶える。前に突っ込み過ぎていたアルフォンシーノがビームの直撃を受け、爆散するのが見えた。オペレーターが問いかける。
「宜しかったのですか?」
「戦闘データを持ち帰る事が最優先事項だからな。ヘレン大尉を始め、残った機体はこちらに収容するように要請しろ。」
「ハッ!撤退信号を!」
提督は打ち上がる花火の音を聞きながら目を閉じ、笑みを浮かべた。
――――――――――
『残念ね。どうやらここまでみたい。』
何度か肇の時雨と接近戦を繰り広げたヘレンは撤退信号を見ると、器用にピーコックの肩をすくめる。ビームダガーを二刀流で構える肇は、その余裕のある様子に心が穏やかではいられない。
『今日は楽しかったわ。私を熱くさせてありがとう。また会いましょう。』
だが、深追いは禁物だと本能が悟っていた。彼女は時雨の構えを解かないままピーコックが離脱していくのを見ていた。そんな肇の時雨の所に巴の霞と愛海の吹雪もやってくる。
『………何者だったんじゃろうな。』
『肇さんを接近戦で翻弄するなんて手強いですよね………。』
無言だった肇はようやく時雨のビームダガーをしまう。そして自覚する。まだまだ自分は修練が足りないと。
――――――――――
戦艦武蔵に生き残った機体が全て帰還した。だが、裕美はコックピットの中でしばし呆然としていた。この戦いで起こった事が記憶の奔流となって流れていく。
「私は………。」
「お疲れ様なのでー。」
コックピットハッチが開かれるのを見た。そこには芳乃を始め、シンデレラガールズのパイロット達が立っていた。
この仲間と共に、今日裕美は初めて戦った。協力して敵を撃破した。
「芳乃さん………。みんな………。」
芳乃はコックピットの中に入ってくると裕美の手を取ってまじないをした。武蔵が出撃する際にしたように。
「これは、今日そなたが生き残ってくれた事への感謝のまじないなのでー。」
「感謝………。」
裕美はそれを見ると、ハッとして芳乃の手を両手で握った。首を傾げる彼女に裕美は目を閉じ、そして穏やかな顔で言う。
「私を信じてくれて………ありがとうございます。」
「………はいなのでー。」
その言葉に芳乃は笑う。
今日、裕美はまた戦闘をこなした。最初の日と同じ怖い想いをした。
でも、あの時とは違う事があった。仲間の………協力してくれる人の存在を、確かに感じた。
第4話 完