【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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如月部隊

「IDOLを分散するーーーッ!?」

 

 素っ頓狂な声を上げた心の言葉にプロデューサーは頷く。

 

「東京の守りを緩めるわけにはいかないと言っていてな。確かにその通りだが、この場合は我が身の安全を最優先したかったのだろう。だが、いつまでも領土を占領されているわけにはいかない。だから、IDOLを分散して強硬策を取る事になった。」

「………具体的には?」

「まず、東京防衛に置いておくのは、巴の霞と愛海の吹雪。海上防衛部隊の第一部隊、第二部隊と共に、太平洋からの攻撃に備えて欲しいとの事だ。」

「何じゃ、うちらは留守番か………。」

「えー、みんなと一緒がいいですぅ。」

 

 不満を漏らす巴と愛海。つまり、北信越奪還戦に参加するIDOLは肇の時雨、芳乃の雪風、そして裕美の陽炎の3体だけになる。

 

「作戦も単純で飛行戦艦武蔵に如月を積めるだけ積んで一気に石川基地を奪還するという物だ。その為に今回連れて行く如月の部隊は精鋭である海上防衛部隊の内の第三部隊だそうだ。そして石川基地奪還後、第三部隊はそのまま福井基地を、シンデレラガールズのIDOLと武蔵は富山基地と新潟基地を奪還する。」

「わ、私達の負担………多く無いですか?」

 

 恐る恐る呟いた裕美の言葉にプロデューサーは頷き、ため息を付く。

 

「尚、本作戦は決定済み。変更はきかない………。残って巴達のバックアップに努める私と晶葉以外は、みんな一緒に行動できるが、それでもほぼスタンドプレイで戦わないといけなくなるだろうな………。」

「上層部は、IDOLを絶対無敵の兵器と間違えてるんじゃないのか?アホだろ。」

 

 心が珍しく頭を抱える。それだけ日本にとってIDOLの戦闘力は重要という事だろうが、あまりにも人使いが荒過ぎた。

 

「前回の戦闘で戦艦を破壊している以上、福井基地と富山基地は、それほど守備隊の攻撃は厳しくは無いはずだ。石川基地でどれだけ消耗するかだな。」

「守る戦いと攻める戦いは状況も戦術も全然違ってくるぞ………。第三部隊もそうだが、対応できるのか?」

「そこは艦長である君の腕の見せ所だ。」

「はぁ………。」

 

 頭をガシガシと掻いた心は美世を見る。

 

「確か、今回出向く3体のIDOLの装備を増設したんだっけな。次の実戦で使えるか?」

「勿論!故郷を取り戻す為ならば何でもやるよー!」

「じゃあ、肇、芳乃、それに裕美。」

 

 呼びかけられた3人は心を見る。彼女は敢えて眉を吊り上げハッキリ言った。

 

「次はよりキツい戦いになる。絶対に死ぬなよ!」

「了解………!」

「お任せなのでー。」

「わ、分かりました!」

 

 三者三様の返事が響いた。

そこで、裕美は違和感を覚える。割とハッキリと返事をした自分の姿に。

 

(慣れて………きてる?)

 

 勿論、不安が無いと言えばウソだし、仲間と生き残る為に出来る事をやるしかないから仕方なく戦っているだけだ。だが、流石に3回目の出撃になってちょっとは心に余裕が生まれてきたのだろうか?裕美の手は震えてはいなかった。

 

(教室でも、私、『こっち』の自分が本体だって感じていた………。)

 

 恐怖の感情が薄れてきているのだろうか?そう思うと、自分自身に不気味な感情すら抱いた。この非日常に順応出来てきている。その真実が、裕美の心を締め付ける。

 

「作戦開始は明日の早朝。今日は基地で過ごしてくれ。家や寮、学校とかにはこちらから理由を付けておく。」

「よし、ちょっと裕美ちゃんに会わせたい奴らがいるから付いてこい。」

「え?」

 

 自分の手を眺めていた裕美は、心の言葉に我に返る。後ろを見れば、仲間達は………特に沙紀と由愛は笑顔を浮かべていた。一体何があるのだろうかと思いながらも、彼女達は心に連れられ、ブリーフィングルームを後にした。

 

――――――――――

 

 連れられて来たのは格納庫。と言ってもIDOLの格納庫では無い。そこはより広い格納庫で多数の灰色の機体………つまり日本の飛行人型戦闘機械『如月』が並んでいた。

 

「ここは………。」

「おーい!レナ部隊長!久美子部隊長!比奈部隊長!」

 

「はーい!」

「あら、心さん達じゃない。」

「何か用ッスか?」

 

 心が3人の人物を呼ぶ。見ると、3人の女性がこちらに近寄ってきた。

1人目は女性としては背丈のかなり高い人物で編込みが入って後ろで縛られた茶色のショートの髪が特徴的な女性で、何処か色気があった。

2人目は肇と同じくらいのそれなりに背丈の高い人物で茶色っぽい長い髪を左サイドで縛っているのが特徴の女性で、こちらは気が強そうであった。

そして、3人目は他の2人よりは背丈が低めだがそれでも裕美よりは高くボサボサな茶色い短髪の眼鏡の眠そうな女性で、沙紀と同じく語尾が特徴的だった。

3人共個性が強そうだったが、皆成人しているように思えた。

 

「裕美ちゃん、紹介するぞ。彼女達は東京の海上防衛部隊を担っている如月のパイロット達だ。第一部隊隊長の兵藤レナ(ひょうどう れな)。第二部隊隊長の松山久美子(まつやま くみこ)。第三部隊隊長の荒木比奈(あらき ひな)だ。」

「よ、宜しくお願いします!」

 

 頭を下げる裕美に3人が笑いかける。

 

「へー、貴女が新しいIDOLのパイロットなのね。カワイイ。」

「礼儀正しいのね。でも、もうちょっと勇ましく振る舞ってもいいのよ?」

「久美子さん、多分、コレ元の性格ッスよ。そう簡単には治らないッス。」

 

 何か色々とズケズケ言われている気がするが、これが大人の対応なのだろうか?思わずしかめっ面になってしまったのか、レナが慌てて謝る。

 

「ご、ゴメンなさい。貴女をイジメる気は無かったの。ただ、お姉さんにも青春があったのかなって思って。」

「そ、そうなんですか………。」

「いや、27歳にもなると美貌を保つのも大変なのよ?」

 

 小声で割と洒落にならない事を呟くレナに心がうんうんと頷く。

すると、後ろから由愛が出てきた。裕美並に大人し目の彼女が前に出るのは珍しい。彼女は久美子の元に近寄ると抱き着いた。

 

「久美子さん、お久しぶりです………。」

「由愛ちゃん、元気にしてた?」

「はい、私もスカイペインター号も元気です。」

 

 聞きなれない名前を聞いた裕美に美世が囁く。

 

「スカイペインター号ってのは、由愛ちゃんが設計した人力飛行機の事。久美子さんと一緒に空に飛ばすのが夢なんだって。」

「へぇー………。」

 

 由愛の意外な側面を知った裕美は感心する。そうしていると更に、沙紀が前に出て比奈に手を振った。

 

「………っす。」

「………ッス。」

「す。」

「ス。」

『す!(ス!)』

 

「あの、それは………。」

 

「いや、タダの挨拶っす。比奈さん、進捗はどうっすか?」

「最近、出撃が多くて火の車ッス。コミケに間に合うかどうか………。」

 

「コミ………ケ?」

 

 美世が更に説明をしてくれる。比奈は同人漫画を描く事が趣味で、アートが得意な沙紀(と由愛)はその手伝いをする事もあるのだと。

後、レナはギャンブラーな側面を持っている事も教えてくれた。

何というか想像以上に個性的な面々の姿に裕美はちょっと不安になる。

 

「さてと………もう作戦概要は聞いているとは思うが、そちらの第一部隊に巴と愛海を預ける事になった。宜しく頼むぞ。」

「ええ、任されたわ。巴ちゃん、愛海ちゃん、宜しくね。」

「おう、世話になるな。」

「じゃあ、友好の証にお山を………。」

「だーめ。」

 

 指をワキワキさせる愛海の態度には慣れているのかやんわりと断ったレナが心に対して敬礼をする。久美子と比奈もそれに続く。

 

「こちらからは、比奈部隊長の第三部隊が戦艦武蔵に同行する手筈になっています。どうか、こき使って役立てて下さい。」

「宜しく頼むッス。」

 

 比奈を含め部隊の実力は分からない。それでも頼りになる大人は増えるだろうから、考えているよりは楽な戦いになるかもしれないと裕美は思う。

 

「ちなみに艦長、出撃まで原稿書いていいッスか?」

「ダメだ。」

 

 ………いや、やっぱり期待しない方がいいかもしれない。

 

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