【デレマス×ゼノグラシア】アイドルマスターゼノグラシア・sideシンデレラガールズ   作:擬態人形P

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乃々の帰還

「何で………!?何でまたロボットが街の中に!?」

 

 シェルターへの避難指示が出たほたるは乃々達と一緒に走っていた。

街では様々な所に茶色の機体が飛来し、地上に展開されている黒い機体と砲戦を繰り広げている。その度に街の至る所で爆発が起こり、炎が上がる。

 

(前の時も………。)

 

 最初の襲撃の時はスクールバスに乗っていた時に避難指示が出たので、運転手が気を利かせてシェルターまで連れて行ってくれた。だが、今回は学校から直接走らなければならない。当然、自分を含め、周りの生徒達もパニックに陥っていた。

 

「キャッ!」

「ほたるさん………!?」

 

 ここで不幸な事にほたるは躓いてしまう。乃々が振り返り、慌てて近寄ってくる。ほたるは起き上がろうとするが、手足が震えていて、なかなか起き上がれない。あっという間に取り残されてしまう。

 

「早くみんなに………!」

 

 だが、そこで突如乃々が覆いかぶさってきた。

すぐ後に爆発音が響き、凄まじい風が巻き起こる。思わず目を閉じたほたるは恐る恐る目を開ける。シェルターに続くはずの道は、炎に包まれていた。

 

「み、みんなは………?」

 

 前を走っていたクラスメイト達はどうなったのか?嫌な予感を覚えたほたるは奥歯がガチガチとなるのが分かる。もしも直撃していれば、生きているはずもない。

 

「あ………あ………。」

「回り道をしましょう………!起き上がれますか?」

 

 乃々に支えられ、ほたるはようやく身を起こす。乃々は周りを見渡すと別の道を走り始め………その場で固まっていたほたるの手を掴み、強引に引っ張っていく。

 

「走って下さい!ここにいると死にますよ!」

「う、うん………。」

 

 この時、ほたるの心に余裕があれば気付いただろう。友達である森久保乃々の場慣れした対応に。明らかに一般人とは違う落ち着きように。

 

――――――――――

 

「あの学校のシェルターの位置は………!」

 

 睦月に乗り込み発進したプロデューサーは地図を確認し、機体を全速力で向かわせる。彼が今心の中に思い描いていたのは、あの『栗色の髪の少女』であった。

恐らくこの戦火に巻き込まれているあの娘だけは失うわけにはいかない。それは、彼の中での誓約と化していた。

 

「もう『残っているのは』お前だけなんだ………!」

 

 プロデューサーは他の状況には目もくれず一直線に駆けていった。

 

――――――――――

 

 ほたる達はなかなかシェルターに辿り着けないでいた。至る所で通り道が瓦礫や炎で塞がれ、思うように進めなくなっていたのだ。時折、巻き込まれた人の死体も見つけてしまい、ほたるは何度も何度も足が竦みそうになった。

 

「私が………私が、不幸体質だから………。」

「ほたるさんは悪くは有りません。悪いのは………悪いのは………!」

 

 ほたるの手を引っ張りながら前を走る乃々の顔は見えない。だが、その握る手には力が入っていた。やがて、やっとシェルターが見えてきた。だが………。

 

「う、ウソ………!?」

 

 入口が溶けた鉄で固まっていた。飛んできたビームで溶接されてしまったのだろう。これでは中に入る事が出来ない。ほたるは思わずへたり込んでしまう。

 

「………死ぬの、私達?」

 

 絶望したほたるは自分の不幸体質を呪った。いつも周りで酷い事ばかり起こって、周りから避けられる程のこの体質。それが自分と乃々の命を奪う。そう思うと、やりきれなかった。

と、その時、シェルターの近くの道路に黒い機体が倒れてくる。

 

「ろ、ロボット!?」

「睦月………。」

 

 見ればコックピットが開き、悲鳴と共に、中からパイロットが飛び出し道路の奥に駆けていくのが見えた。

だが、その先で爆発音が巻き起こる。建物の影になって見えなかったが、パイロットがどうなったかは素人のほたるにも分かった。

 

「もう………嫌………。」

「乗り込みましょう………。」

「え?」

「生身でいるよりは、あの中の方が安全です………!」

「え?えぇ!?」

 

 混乱したほたるだったが、乃々に引っ張られ、ロボット………睦月へと近づく事になる。その機体は、損傷はほとんど無かったように見えた。乃々に連れられるまま胴体をよじ登ると、空いたコックピットの中へと放り込まれる。

 

「の、乃々ちゃん!?」

 

ほたるが縋るように叫ぶが、椅子に座り込んだ乃々は黙ってキーボードを操作しハッチを閉める。そして、目を閉じ、息を吐くとゆっくりとレバーを倒した。

 

「わ、わわわ………。」

 

 機体がその腰を上げる。動力系統まではダメージを負っていないらしく、機体は起き上がった。更に乃々は慣れた手つきでキーボードを弄り、武装欄を確認する。

 

「『近接用振動ナイフ』よし、『レール砲』よし、『盾』よし。………『マシンガン』消失。」

「な、何言って………?」

 

 乃々の呟きの意味がほたるには分からない。だが、起き上がった睦月の前方に、茶色のあのロボットが銃口を構えて迫ってきているのが分かった。

 

「ヒッ!」

 

 その口径が光り、死ぬと思ったほたるであったが、機体の左腕で持っていた盾が掲げられ遮断される。

 

(何!?乃々ちゃん、このロボット動かしてるの!?)

 

 今更ながらに避難開始の時からの乃々の違和感にほたるは気づかされる。この目の前の友達は、一体何でこんなことが出来るのか?

そう思っている内にも目の前の機体、イーグルはビームソードを突きの体勢で構え、突進してくる。

だが、乃々は左レバーを動かし、構えていた盾を水平にするとフリスビーのように敵に飛ばした。それはビームソードにぶつかり、爆散させる。

 

「もう、もりくぼの………。」

 

 間髪入れず、フットペダルを踏みしめ、睦月のバーニアを吹かす乃々。そのまま地を蹴ると、バランスを崩しそうになっているイーグルに迫る。腰から取り出される小型のナイフ。

イーグルは『速射式ビームガン』を再び構えようとするが、間に合わない。

 

「もりくぼ達の日常を壊さないでッ!!」

 

 そのまま懐に飛び込んだ睦月の『近接用振動ナイフ』がイーグルのコックピットを貫いた。

 

「……………。」

 

 ナイフを引き抜いた乃々は後ろに飛ぶ。イーグルの機体は力なく仰向けに落下し地面にぶつかると爆発する。立ち上る炎を見ながら、降下した乃々の睦月は転がっていた盾を拾い上げた。

 

「の、乃々ちゃん………?」

「……………。」

 

 コックピットで息を吐いた少女をほたるは恐る恐る見る。

今の攻防が素人のパイロットにはできない事くらい、ほたるにも理解できた。ならば、それを成し遂げたこの少女は何者なのか?ほたるはこんな『森久保乃々』を見たことが無い。

 

『乃々………なのか?』

 

 そこに、別の通信が聞こえてくる。見れば、後ろから同じ黒い機体………乃々が睦月と言っていたロボットが近づいてくる。通信画面には顔を髪で隠したスーツの男性が映っていた。

 

「プロデューサー………。」

 

 その声に対し、絞り出すように乃々は声を出す。そこには鬱屈した感情が籠っていたのがほたるには分かった。

 

「なんで………なんで………!」

 

 ガンッ!とコンソールを叩き、乃々は怒りに満ちた顔を上げる。

 

「何で裕美さんを巻き込んだんですか!あの『呪われた機体』に!七海さん達と同じようになるかもしれないのに!なんでッ!なんでッ!!」

『……………。』

 

 プロデューサーは答えない。答えられない。

 

「なんで!IDOLなんかにッ!!」

 

 炎と黒煙に包まれる街中に、乃々の声が響き渡った。

 

 第7話 完

 

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